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「時給3000~5000円の人」が仕事を奪われるリスクが一番高い…時給5000円以上の「レアカード仕事人」になる方法

プレジデントオンライン / 2024年5月16日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/demaerre

収入を増やすにはどうすればいいか。教育改革実践家の藤原和博さんは「アルバイトと世界レベルのコンサルタントでは、時給換算で100倍の差がある。担い手が多く、誰でもできる仕事はこれから価値を失っていく一方、需要の増える分野で希少性のある仕事は時給を上げていくことができる」という――。

※本稿は、藤原和博『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。

■誰でもなれる「コモディティ会社員」

変わらなければいけないのは、学校教育だけではありません。会社、仕事、スキルやキャリアについて、大きく意識を変えていく必要があります。

キーワードは「希少性」です。

日本はすでに成長社会から成熟社会に移行していますが、その成熟化がさらに深まり、同時にAIロボットの普及が進むと、働く人は大きく二分されることになります。

私はそれを、「コモディティ会社員」と「レアカード仕事人」と呼んでいます。

コモディティ会社員とは、誰でもできるマニュアルワークを行う会社員・アルバイト従業員を指します。

たとえば、小売店の陳列棚に商品を並べたり入れ替えたり、売れ行きの良い商品を前出しする仕事があります。これは、いつでも誰かに取って代わられる仕事ですから、仕事1単位あたりの報酬、すなわち時給は上がりません。労働力が豊富に供給される社会では、時給は下がっていくのです。しかも、技術が進展してAIロボットを導入するコストが下がれば、機械に取って代わられるかもしれません。

■人気の弁護士や美容師は代わりがいない

いっぽう、レアカード仕事人は代わりがいない、かけがえのない仕事をしています。

引き合いの多い弁護士やコンサルタント、指名の多いマッサージ師や美容師などです。代わりがいませんから、時給は高くなります。また、景気にかかわらず常に需要があるので、レアカード仕事人の付加価値は不景気でも下がりません。

つまり、「レアカード仕事人=希少性を持つ人」ということになります。

「それはわかったけど、自分にはできないし、関係ない」。そう思っていませんか。

実は、そうではないのです。まず、時給について説明しましょう。

■日本人の時給には100倍の差がある

図表1は、「日本人の時給」を表したものです。左から右に時給が高くなるのですが、横軸の右側がレアカード仕事人の領域、左側がコモディティ会社員の領域です。

【図表1】日本人の時給
出所=『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』

日本人は収入を語る時、年収や月収を使いますが、あえて時給を使っていることには意味があります。

時給とは、収入を労働時間で割ったもの。

同じ年収1000万円でも、月に100時間残業した人と、まったく残業しない人とでは時給は違います。また、収入を増やすために身体や精神を壊してまで働く人がいますが、それでは本来の意味で収入が上がったことにはなりません。時給が上がっていないからです。

戦後70年以上続いた日本の働き方を見直す必要があるのです。

問われるべきは時間あたりの付加価値であり、時間あたりの仕事の生産性を上げること。

図表1を見るとわかるように、日本人の時給には100倍の差があります。具体的には、時給800円のアルバイトと、時給8万円の世界レベルのコンサルタントです。

■コンビニ店員より先にAIに置き換わる仕事

中央付近に位置するのが普通の会社員や公務員で、時給3000~5000円です。

私は「上質な普通の仕事」と呼んでいますが、実はこのゾーンがもっともAIロボットに置き換わる可能性が高いのです。この領域はあと10年で半減し、20年でなくなる可能性が高いと思っています。もっと早くなくなる、と語る識者もいます。

時給の安い仕事からAIロボットに置き換わっていくのではないか、と思われるかもしれませんが、時給の安い仕事は、AIロボットよりも人間にやらせたほうが安いのです。

コンビニエンスストアのレジが好例ですが、業務はけっこう複雑です。やるべきことが多く、しかも瞬時に判断しなければなりません。さらに、目の前にいるお客さんの気持ちを汲むことも求められます。基礎的な人間力が問われるのです。

これらを実現するAIロボットは、コストが高くなります。だから、なかなかAIロボットには置き換わらないでしょう。

■「働く人」はこれから二極化していく

つまり、AIロボットに置き換わるのは、時給800~8万円の幅広いゾーンのうち、普通の会社員や公務員の領域、もっと言えば「情報処理的」な仕事です。

では、今後どう変わっていくのか。

図表1の中央が割れて左右に分裂し、コモディティ会社員とレアカード仕事人の2つに収斂していくことになるでしょう。

今は時給3000~5000円の「上質な普通の仕事」をしていても、じっとしていると、やがては限りなく時給800円に近づいていきます(もちろん、インフレが加速し、労働力の需給が逼迫して最低時給が2000円になることも考えられますが、最低レベルであることに変わりありません)。

いっぽうで、時給8万円のゾーンに向かうこともできます。そのキーワードこそ「希少性」です。希少性を有していればレアカード仕事人、図の右側に向かうことができます。

希少性は、仕事の成功だけを意味するわけではありません。

希少性があればコミュニティで豊かな人脈も作れるし、SNSでファンやフォロワーがつきます。たくさんの味方を得て、自分のビジョンに近づくことができるのです。

逆に、「上質な普通の仕事でいいや」と考えたり、会社のブランドに頼ってコモディティ会社員化していると、会社をやめた途端に寂しいことになってしまいます。

■時給では換算できない価値もある

もちろん「時給」だけが、仕事の価値ではありません。

時給を問わないボランティアは、尊敬に値します。また、起業家やスタープレーヤーは社会に大きな価値をもたらすという意味で、時給という尺度を超えた存在です。

仕事の内容が時給を決めるわけではないことにも気づいておく必要があります。

たとえばプログラマーには時給2000円から2万円を超える人までいます。庭師も同様です。少ない収入の人もいれば、大きな収入を得られる人もいる。

同じ職業で時給の差を生むものは何でしょうか。

低く積まれたコインと高く積まれたコイン
写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn

■仕事の値段は需給バランスで決まる

まず、技術の高さや熟練度が挙げられます。しかし、それだけではありません。ある特定の領域に大きなニーズがあり、そこにものすごく強くて、他に代わりになる人がいない。そんな人なら時給は高くなります。つまり、技術の高さや熟練度だけが時給を決めるわけではない。

これこそ「場所」であり、「陣地」であり、「ポジショニング」なのです。

仕事の値段は何によって決定されるのかと言えば、とてもシンプルです。需要と供給のバランスです。需要が大きくて供給が少なければ当然、価値は高まります。

そう考えると、目指すべきところが見えてきます。

需要の増える分野で、供給が少ないところを狙うこと。逆に、誰もができること、みんなと同じ方向に行くほど担い手はたくさんいますから、価値を失います。

どの方向に進むべきかを考える時に意識すべきなのが「希少性」です。

自らをレアカード化するにはどうすればいいのか、を考えるのです。自動運転に任せるのではなく、戦略的に自分の人生を舵取りすることを意識しましょう。

■45歳以上は「賞味期限切れ」のリスク

「いやいや、希少性を持たなくたって、会社員として長く勤めていればなんとかなるだろう」。そう思っているなら、大きな落とし穴があることを認識してください。

それは、45歳以上になると「賞味期限切れ」のリスクが高まってくることです。

藤原和博『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』(祥伝社新書)
藤原和博『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』(祥伝社新書)

会社員は偉くなればなるほど、人事権と予算権を付与され権力が増すように見えますが、その権力を保証しているのはあなたの人間力ではなく、会社の信用力です。

そして、年齢が上がれば上がるほど、昇進すればするほど、上司から切られるリスクが高まる。切られなくても、ソリが合わない上司と向き合うことに耐えられなくなります。

会社員にとって、最大のリスクは上司なのです。

これは、部長になっても、局長になっても、取締役になっても同じ。上司にはその権限があるからです。

だから、早くからレアカード仕事人を意識したほうがいい。そうすれば、社外でのマーケットバリューが高まり、社内で人事部と取引ができるようになるからです。

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藤原 和博(ふじはら・かずひろ)
「朝礼だけの学校」校長/教育改革実践家
1955年、東京都生まれ。教育改革実践家。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。96年同社フェローとなる。2003~08年杉並区和田中学校校長、16~18年奈良市立一条高等学校校長を務める。21年オンライン寺子屋「朝礼だけの学校」開校。主著に『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』『10年後、君に仕事はあるのか?』『学校がウソくさい』など。

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(「朝礼だけの学校」校長/教育改革実践家 藤原 和博)

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