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ディズニーランドが大嫌いだった漫画家を変えた…"ディズニー通"親子と過ごした12時間の一部始終

プレジデントオンライン / 2024年5月16日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ryosei Watanabe

漫画家の田房永子さんは「5年前に娘と2人で行ったときの経験から、ディズニーランドが大嫌いになっていた。しかし今年、“ディズニーリゾート通”のママ友親子と一緒に行ったところ、認識が大きく変わってとても楽しめた」という――。

■5年前のTDLの記憶

ついこのあいだまで、私はディズニーランドが大嫌いでした。

嫌いになったのは5年ほど前に行った日のことです。

当時小学校低学年の娘と2人で平日に行き、15時頃から入園しました。ハッキリ覚えていないけど、チケットは2人で1万円前後だったと思います。

京葉線でヘトヘトになって着き、とりあえず「イッツ・ア・スモールワールド」に乗ってショップでぬいぐるみなどを見ていたら、17時を過ぎて外は真っ暗になっていました。

乗り物やお店の建物はもちろんライトアップされていますが、それらをつなぐ道には街灯がないので、四方八方に行き交う人々と何度もぶつかりそうになりました。

7歳くらいの子どもを連れて暗い場所を歩くのは不安ばかりで全然楽しい気持ちにならず、さらにその時、工事中のスポットがいくつかあって、極端に通路が細くなっていて、向こうから来る人たちとこっちから歩く人たちが1列ずつにならないと通れないところがありました。スタッフが1人で誘導してくれていましたが、上を見上げると工事の中で新しいゾーンを建設中の作業員のおじさんたちが働いている様子が見えてビックリしました。

子どもが生まれてからランドとシーに2回ずつくらい行った時に飲み込んだ言葉がハッキリ出てきました。

「昔の、20年前のディズニーランドはこんなことなかった……。こういう光景を客に見せないように徹底的に隠していた、だから“夢の国”感がすごかった……」

大好きだったのに、いつの間にかマニアのためのスポットになっている。

90年代末期のディズニーランド。ファストパスが導入されるかされないかあたりの頃。開園と同時に走ってアトラクションに並ぶしかなかった。私たちより先に走っていった人のものだと思われる一眼レフのケースやら、帽子やらが道ばたに落ちていた。それくらい皆、浮かれていた。

でも、変わってしまった……。

いや、私がついて行けなくなったんだ。2010年代の私のTDLの過ごし方は、ファストパスの取り方を調べもせず来て、幼児を連れて何時間も並んだり人混みを歩いたりする元気がないから、16時くらいになったらさっさと帰っていた。だから夜になるとこんなに暗いって知らなかった。

そうして、「東京ディズニーリゾート」の存在を5年くらい頭から消していました。

■ディズニー通と行くTDL

しかし今年に入って、娘が同級生Mちゃんと一緒にディズニーランドに行きたいと言ってきました。

Mちゃんのママはかなりのディズニーリゾート通らしい。楽しみ方を知っている人と行ってみたい! と思い、Mちゃん親子と、私の娘と息子で行くことになりました。

Mちゃんママのプランでは、9時の開園から21時の閉園まで滞在するとのことでした。

12時間!

大人1人(1万900円)と小学生2人(5600円×2)の「1デーパスポート」だけで2万2100円かかるので、確かに東京在住の私たちが日帰りでディズニーランドに行くには、12時間満喫してちょうどいいんだ。目からウロコでした。

そして、とにかくスマホに「東京ディズニーリゾートアプリ」を入れておかないといけない、ということでした。

2023年からディズニーのファストパスは「プライオリティパス」に変わり、アプリ内で「並ばずにすぐ乗れる権利」を取得するので、スマホもアプリも必須。

■12時間滞在の必需品

私は12時間TDL滞在に向けて、準備を始めました。

まずは軽量でたっぷり入って汚れてもよくて、できれば撥水加工のリュックを探しました。これはUNIQLOで見つかりました。「ドローストリングバックパック」(2990円)です。これはのちに、ものすごい量の荷物が「メリーポピンズか」ってくらいスルスルと入っていくリュックだということが分かります。後述します。

ついでに、まだ寒い時期だったので、軽量コートも欲しいので見ました。その冬に通販サイトでそこそこの金額で買った茶色っぽいベージュのコートが1カ月くらいで全面が毛羽立ってきてなんだかシルエットも四角いので、ズボンを履いてそのコートを着ると串カツみたいになって本当にイヤだったのです。

12時間滞在の必需品
イラスト=田房永子

これでディズニーに行きたくない、と思ってUNIQLOで4900円くらいのコートを買いました。これがものすごく軽くてあったかくてシルエットも串カツじゃなくて、安いから気軽に着れるのがうれしい。

そして、パレードを見る時の必需品として、100円ショップのキャンドゥで見つけた、アルミシートの裏面がフリースになっている敷物です。アルミシートとフリースが縫ってあるもので、1枚300円くらいしました。これとどでかいアルミシート(折りたたむと弁当箱くらいの大きさ)を購入しました。

これらものちに、底冷えする地面に敷いて座ると、尻がぽっかぽっかしてくるスグレモノでした。

■日本の大企業に飲まれる気持ち良さ…

念には念を入れて、モバイルバッテリーは4つ持っていくことにしました(結局1個で十分でしたが)。

驚きなのは、これら大量の小物やシートや何やらがUNIQLOの「ドローストリングバックパック」にどんどん入っていくことでした。まだ入る……まだ入る……。

色が紺ということもあって、背負ってもそんなに中に詰め詰めに入ってるようには見えず、肩紐にはクッションが入ってないのに全く痛くなく、もはや不思議でした。

今のところ、「子連れでテーマパークに行く時に便利なリュックNo.1」でいいんじゃないでしょうか⁉️

とにかく、UNIQLOとキャンドゥには、ディズニーランドに長時間滞在するのにピッタリな商品があることに、快感を感じました。

日本の大企業に飲まれる気持ちよさ……。

この、資本主義の権化のような出来事は良いことなのか、よくないことなのか。そんなこと考えるのやめてウットリしてしまいそうなほどの親和性の高さです。

■外出先の「子どものトイレ問題」

それから、家族で出かける時の、子どものトイレ問題もこの日、気づきがありました。

2組の家族で男子は、私の息子とMちゃんの弟の2人だけでした。

息子がトイレに行く際、Mちゃんの弟が「パパから、『息子くんがトイレに行く時は一緒に行ってあげなさい』と言われた」と、トイレについていってくれました。

Mちゃんのパパ、ナイスアシスト……! そしてMちゃんの弟くんありがとう!

ママたちと子連れで遊ぶ時、「男子のトイレ&大浴場問題」はつきものです。

子どもだけで商業施設などに行く際、女子は「トイレには1人で行かないように。必ずお友達と一緒に行くこと。お友達が行く時もついて行くように」と家庭で教えられている子がほとんど、と言っていいくらい浸透しているように思います。公衆の場のトイレに1人でいる子どもを狙った性犯罪が起きやすいからです。

女子と同様、男子の被害も多くあるため、1人でトイレに入ってもらうのはヒヤヒヤします。

それに、こういった「1人で公衆のトイレに行かないように」というのは、あまり学校で注意喚起されたりしません。そのためか、保護者の中には、男子の性被害の現実を知る機会がない人もいるので、そのあたりの意識が同じかどうかを、ママ同士で確認し合うみたいな時間があったりもします。

ディズニーランドという、むちゃくちゃいろいろやんなきゃいけない事がある場で、「前日のパパからの助言」は、そういった確認作業をスッ飛ばしてくれる効果があるのです。

助かる!

何より、パパの気遣い、声かけが、男子たちを性暴力などから救います!

■5年前と今回の違い

12時間滞在では時間を持て余すんじゃないだろうか、と思っていたけど、「プライオリティパス」によって時間ごとにやることが決まるので、次から次へと目の前に楽しいアトラクションやミッキーたちのショー、美しい景色や子どもたちのきらめく笑顔、時には息子のぐずりが繰り広げられ、あっという間に日が暮れていました。

「ディズニーランドは街灯がない、真っ暗である」

というのは、やっぱりそうでした。しかしなぜか気にならないのです。

たぶんもう、“楽しいマインド”がギンギンになっている上に「次にやること、21時までにやること」がハッキリしているので、目からビームが出てるような、「暗くても見えている」みたいになっていたんだと思います。

5年前の娘と同じ年齢の息子を連れているのに、まったく気になりませんでした。

あの日は、次に何に乗れるかもわからない、とりあえずディズニーの景色を眺めながら歩くだけでも楽しいはず、という状態でいたので、暗くて何も見えないのがすごく気になったんだと思います。

最後は、リニューアルのために今年7月で幕を閉じる「スペースマウンテン」に乗りました。一定のリズムの轟音、暗闇を駆け抜ける星の残像、有無を言わさず猛スピードで進むトロッコにしがみついて振り落とされるのを抵抗する感じ。ほぼ分娩でした。分娩の時と同じ必死さ。分娩マウンテンでした。

新しいスペースマウンテンに乗ることはないと確定していますが、ディズニーランドは本当に楽しかった!

目玉が飛び出る金額がかかるのですぐには行けないけど、また行きたいです。

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田房 永子(たぶさ・えいこ)
漫画家
1978年東京都生まれ。2001年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞(青林工藝舎)。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を2012年に刊行、ベストセラーとなる。ほかの主な著書に『キレる私をやめたい』(竹書房)、『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(河出書房新社)、『しんどい母から逃げる!!』(小学館)などがある。

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(漫画家 田房 永子)

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