朝は5時起床、7時過ぎから畑仕事、夜8時就寝…100歳超えでも元気に一人暮らしする人の黄金ルーティン
プレジデントオンライン / 2024年5月16日 15時15分
※本稿は、木村まり『幸せに人生を終えた人から学んだこと』(自由国民社)の一部を再編集したものです。
■入院生活でもいきいきとしていた100歳超えの患者
毎日忙しく生活をしている方は、いきいきとしていて活発で、エネルギーに満ちあふれ、輝いて見えます。100歳を超えて入院してきた吉江さんもそんな輝きを感じる方でした。
吉江さんはお腹の痛みを感じるようになり、かかりつけのお医者様から紹介されて検査入院となった方でした。入院しても落ち着いていて「別に大したことはないんだけどね、ちょっと医者に行ったらこうなった」と、笑っていました。
検査の結果、腹痛の原因は胆管炎で内視鏡治療を行うことになりました。治療は順調に進み、吉江さんは問題なく回復し、1週間程度で退院が決まりました。
吉江さんは、かなりの高齢にもかかわらず自宅で一人暮らしをしていました。認知症もなく、杖なしで歩けるほど足腰もしっかりしていましたし、入院中も看護師に頼ることなく身の回りのことはすべて自分でしていました。
吉江さんの年齢を知って私も驚いたほど、若々しく見える方だったのです。
■特別なことはせず、「何でも自分でこなし、忙しく過ごしてきた」
そんな吉江さんに、私は長生きと元気の秘訣(ひけつ)を訊(き)いてみました。
「忙しく過ごしてたからかねぇ。特別なことは何もしてないよ。食べ物も特別贅沢(ぜいたく)なものは食べてないし。家にいたときは、朝から晩までずーっと畑仕事をしてたの。家のことも買い物も全部自分でしてたから。それに、何かあれば子どもたちは近くにいるし、心配もないからね」
100歳を超えても、現役で一日中畑仕事をしていたことに私は驚きましたが、何でも自分でこなし、忙しく過ごしてきたからこそ、吉江さんは今まで元気に暮らせたのではないかと思いました。
私はさらにその元気の秘訣を探ろうと、吉江さんに一日の過ごし方を詳しく訊いてみました。
朝は5時に起床。簡単な朝食を食べる。7時過ぎに畑仕事に出かける。お昼に家まで戻り、お昼ごはんを食べてひと休み。また午後から畑に戻り仕事をする。夕方に帰宅し、夕食を食べてお風呂に入る。そして夜8時には就寝する。
そんな生活を長年してきたと吉江さんは教えてくれました。
食事も、畑で収穫した野菜を使ったお漬物や、お味噌汁とごはん。魚もお肉も好き嫌いなく食べると教えてくれました。そして、食事はいつも腹八分目で終わりにしていたそうです。
60代、70代の方なら特に驚くような生活ではないかもしれませんが、これが100歳を超えても自分でこなせていることに私は感心しました。
■高齢の親への心配が本人のできる力を消してしまう
もし、吉江さんが高齢を理由に、上げ膳据え膳の生活をしていたら、どうなっていたでしょう。足腰は弱り、どんどん歩けなくなっていたかもしれません。
畑仕事がなければ身体を動かす機会も減って、動かないためお腹もすかず、食事量は減り、次第に体力もなくなって、栄養状態も悪くなり、一日中寝て過ごすようになっていったかもしれません。
家族は高齢の親を心配するがゆえに、あれやこれやと何かしてあげないと不安で、知らず知らずに本人のできる力を消してしまうこともあります。
「おばあちゃん、もう歳なんだから畑仕事はやめてちょうだい」
「一人暮らしなんて心配だから施設に入りましょう」
そんなふうに言って、本人が自分で生活できる力があっても、家族の不安がそれを妨げてしまうこともあるのです。
吉江さんが一人暮らしを続けられるのは、家族が吉江さんの希望を尊重し、信じているためでしょう。吉江さんが自分のことを自分でできるから、家族も大きな不安を抱かないのです。
自分ができることを続け、どんなに忙しくても自分らしく暮らすこと。そして、その生活を続けることを諦めないこと。
それが、吉江さんにとっての長生きの秘訣なのだと私は学ばせてもらいました。
■「自分で選び、実行すること」を積み重ねる
吉江さんのように、自分の暮らしを自分でコントロールしていくのは、自分の思い通りの人生を歩んでいこうという「意志を貫く力」によるものだと思います。この力は、すべての人にとって、暮らしの幸福度を握る鍵になります。
自分が食べたいものを食べられること。
自分が行きたい場所に行けること。
自分がやりたいと思うことをできること。
ささやかなことですが、「自分で選び、実行すること」の積み重ねがその人の日々の暮らしになり、人生になっていきます。
どんな人でも、今の暮らしは、自分が重ねてきた小さな選択の上に成り立っています。そのことを自分で自覚されている方は、とても潔いものです。自分の人生を他人任せにしません。そういう人を見ていると、なんだか、こちらがすがすがしい気持ちになります。
そんな自立した凛(りん)とした姿に憧れてしまいますし、自分も何歳になってもそうありたいと思わされてしまうのです。
自分の人生はいつまでも自分で選択していいと私は思います。他の人がどうだからとか、歳を取ったら皆、子どもの言う通りにしたほうがいいとか、なんとなく周りに合わせて、同調していこうとする生き方をする必要はありません。
100歳になっても、自分の暮らしを続け、自分らしく生きる吉江さんは、とても輝いて見えました。吉江さんの生き様を、私は心から尊敬しています。
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看護師
静岡県出身。関東学院大学文学部比較文化学科卒業。20代で結婚と出産を、30代で離婚を経験。その後、看護専門学校に入学し、看護師免許を取得。現在も看護師として急性期病院で勤務している。終活ガイド1級、エンディングノートセミナー講師認定資格を取得し、仕事にも自分の人生にも役立てている。
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(看護師 木村 まり)
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