これをやれば「絶対にすべらない話」が簡単にできる…人気者が徹底している「人類普遍の会話の大原則」
プレジデントオンライン / 2024年5月22日 15時15分
※本稿は、藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■オウム返しで無意識の相手の「YES」を引き出す
卓越したコミュニケーションがとれる人は、カウンセリングの傾聴のスキル「オウム返し」を使い、ラポール(信頼関係)を構築して会話を弾ませます。
実は、脳は外部からの情報に対して、安全で受け入れていい情報はYES、危険で拒否すべき情報はNOと無意識にジャッジしています。だから、この検問を突破しなければ、何を話しても相手には響きません。
突破するためには、「オウム返し」が有効です。
営業「少し、日焼けされましたか?(「YES」としか答えられない質問)」
お客様「そうなんですよ(YES)。先日、沖縄旅行に行ってきたんですよ」
営業「沖縄旅行に行かれたのですね。うらやましいな〜」
お客様「はい(YES)。楽しかったです」
このようにオウム返しは相手が話した言葉を繰り返すので、相手は声に出さなかったとしても、無意識に「うん」「はい」など「YES」としか答えようがない会話になります。
■下手な言い換えは会話のテンポを乱すことがある
脳のレベルでは、あなたの言葉は安全と判断され、言葉の検問を軽やかに突破したのです。では、もしオウム返しをせず、次のように言い換えた場合はどうでしょうか?
営業「少し、日焼けされましたか?」
お客様「そうなんですよ。先日、沖縄旅行に行ってきたんですよ」
営業「国内旅行に行かれたのですね」
お客様「?(NO)はい……。(国内だけど、海外じゃなきゃダメだったのかな?)」
このように言い換えると、相手の言葉そのままではないので一瞬頭にNOが浮かび、「沖縄=国内」と変換が必要で、会話が思考的になります。
ぜひ実験してみていただきたいのですが、オウム返しの際は相手の表情がリラックスしているのに対し、言い換えた場合は真顔になります。
言葉を吟味するため、脳が分析的になるからです。すると、気持ちのいいテンポで会話ができず、「楽しかった」という感情を感じにくくなります。
相手の言葉は、相手の世界観そのものです。オウム返しで相手の世界観そのものを大切にすることが、ラポール=信頼感を育てることにつながるのです。
■人気芸人のすべらない話の極意
芸人さんのようにすべらない話=面白い話をしたいと思う人は多いものです。
では、人気の芸人さんたちは、どんな努力をしているのでしょうか?
芸人さんは、人気芸人のネタやトークを何百本も見たり、ツッコミ担当なら、ものを知らないとツッコめないと、普段から新聞や本などを通して大量に情報収集をしています。
素人でも、好きな芸人さんや自分に近い声量・雰囲気の面白い人を見つけて、モデリング(観察学習)することはできます。心理学でのモデリングとは、モデル(=すでに目標を達成している人)の仕草や考え方、行動を真似して取り入れ、成果を出そうとすることです。
しかし、この方法はよほどお笑い好きな人でないとできません。高度な笑いをとるテクニックは、にわか仕込みでは身につかないからです。
では、素人はどうやって笑いを会話に盛り込めばいいのでしょうか?
それには、「誰しも最大の関心事は自分自身である」という大原則を活用することです。
■会話に参加できないとどんな話もつまらない
相手が興味関心を持っていることを話題にし、相手の美点を探し、承認(褒める・労う・認める)を意識的に行うだけで、笑いや笑顔が生まれやすくなります。
相手を主人公にして話すことが大切です。
相手に関係のない、どこかで聞きかじった話をするより、すべることは格段に減ります。トップセールスや人間関係がうまくいっている人は、鉄板ネタで会話を盛り上げるのではなく、必ず周りにいる人が会話に参加できるように気を配っているだけです。
たとえば、ビジネスの集まりで遅れて到着した人が隣の席に座ったら、「今、主催者から説明があって、これから名刺交換が始まるみたいです」と説明して、相手に会の進行状況がわかるように気遣います。
また、団体で話していて、1人がお手洗いなどで席を立って戻ってきた際は、「さっきの話、結局、○○ってことで落ち着いたらしいよ」と相手が話にすっと入れるように配慮します。
反対に、嫌われる人は仲間内だけがわかるような話を延々続けます。「つまらない……」と感じるのは、多くの場合、話がつまらないのではなく会話に参加できないからです。
■決してお客様を置いてけぼりにしない落語家の語り
相手を巻き込むほど、あなたの話は聞き入れられ、会話も盛り上がるようになります。
そのためには、相手をキャリブレーション(=観察)することが必須です。これは、カウンセリング等でも活用されている、相手の言語や非言語から本音を探るためのスキルです。
落語は、落語家が一人喋りをしているように見えて、実は決してお客様を置いてけぼりにしません。
タレントの伊集院光さんは、師匠から古典落語の世界では有名なキャラクター、能天気なうっかり者の与太郎の話をするときのコツを、次のように教わったそうです。
父「おまえ、いつも鼻たらしてるな。ちっとは鼻をかめ!」
与太郎「あんまり、鼻ばっかりかむとちり紙がもったいねえ」
父「だから、言ってんだろ? 最初に鼻をちり紙でかんで、二度目は便所で使えって」
与太郎「それが……」
ここまで話して、客席がクスクスと笑い出したら、
父「汚ねーな、お前は!」
とツッコんで次の話に移り、客席がまだ笑っていなければ、
父「まさか、順番間違えたりしてね〜だろうな?」
とお客様に、笑うポイントがわかるように話を変えるといいます。
■相手に心の矢印を向けられているか?
普段の会話でも、相手の理解度を表情や相槌、態度から見抜いて、説明を加えたり省いたりできる人が相手を心地よくし、飽きさせず話に引き込んでいけます。
相手からの評価を気にして、目を合わせずに一人で話し続ける人がいますが、これでは相手の心が離れてしまいます。相手に心の矢印を向けて観察し、理解度や相手の関心がどこに向いているかを意識することが大切です。
自動車の生みの親、ヘンリー・フォードも「成功の秘訣があるなら、それは常に相手の立場を理解しようと努め、相手の立場からものを考えることだ」と言っているほどです。
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ファイン・メンタルカラー研究所代表
NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフル瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。コーチング、パーソナルカラー、カラーセラピスト、骨格診断ファッションアナリスト等のプロ養成講座の卒業生は500人を超え、個人診断においては1000人を超える。著書に『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)などがある。
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(ファイン・メンタルカラー研究所代表 藤本 梨恵子)
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