高収入DINKSなのに貯まらない不思議 -年収別「貯まらん症候群」&処方箋【年収1000万】
プレジデントオンライン / 2013年1月11日 10時30分
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【家族構成】Dさん[夫]36歳 新聞社勤務[妻]33歳 正社員[子]なし
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■Dさんの悩み
Dさんは現在36歳、妻は33歳。現在、DINKSで、経済的には余裕があるものの、年齢を考えると、すぐにでも子どもが欲しいと思っている。子どもが生まれても妻は仕事を続けるつもりだが、育休中は、収入が減るのに育児費用がかかってくることが不安。子どもができたらぜひ、家と車を買いたいと思っている。
毎月の貯金は3万円程度。月々もボーナスからも天引き貯金はしておらず、旅行へ行ったり、ボーナスでなければ買えない高額な買い物をした残りが自然と貯金に回っている感じ。共働きで忙しいので、家計簿は一度もつけたことがない。
いまはこれでもいいが、子どもができた後のことを考えると、家計の見直しが必要なのではないかと思っている。
■家計再生コンサルタント 横山さんのアドバイス
「貯めている意識はある」とのことだが、まだまだ甘い家計である。子どもがいないいまこそ「絶好の貯めどき」と心得て、ムダな固定費をザクザクともっと積極的に削り落とすべきだ。それだけでも収入アップへの第1段階は終了となる。
ざっと見る限り、Dさんの家計には浪費がかなりある。
「はたしてあなたの家計簿はメタボかスリムか?」(http://president.jp/articles/-/8156)でも紹介したが、多くの人が抱えがちなムダな固定費は、携帯電話、交際費、食費、生命保険料、タバコ・お酒などの嗜好品、車のローン・ガソリン代、タクシー代、外食ランチ、ATM手数料、雑誌やマンガ……といったところだ。
必要経費としての消費以外は、基本的にすべて「浪費」に該当するものだが、Dさんの場合、ほとんどがなんとなくあてはまっているのではないだろうか?
すべてを見直せとは言わないが、この時代、食費、保険料、家や車など、すべての項目で平均以上の金額を使い続けていると、家計は「普通」どころか「破綻」へと向かってしまう。つまり、メリハリが大事なのだ。
まず、「お金をかけていいところと節約するところ」を決めよう。そのためには、やはりお金をどこに集中投入していくかという自分の軸を持つことが大切だ。
子どもが生まれたら、本当にマイカーが絶対に必要だろうか?
本当に家も買わなければならないのだろうか?
もう1度考えてみてほしい。
みんなと同じであることにこだわるのではなく、「うちはうち、よそはよそ」といった、自分なりの価値観を築いていくことだ。
たとえば、車は必要なときだけレンタルして買わないという選択肢もあるはずだ。家も、子どもを何人持つか、その成長度合いなどで必要な広さは変わってくるのではないだろうか?
とりあえず賃貸のままでしばらく様子を見て、その代わり、浮いた資金で年に1度は家族で海外旅行に行く、そして比較的便利な都心に住む、というふうにお金を振り分けてみてはいかがだろう。そうして2、3年様子を見てから、どうしても車や家が必要だと思ったら、改めて購入を検討しても遅くはないはずだ。
すぐにでも子どもが欲しいとのことだが、小さな子どもがいる家庭の理想の家計割合は、住居費=22%、食費=15%、水道光熱費=5%、通信費=6%、小遣い=10%、教育費=10%、保険料=9%、趣味・娯楽費=3%、被服費=3%、交際費=3%、日用雑費=3%、その他=3%、貯蓄=8%といったところだ。
この理想の割合にあてはめて考えると、いま、明らかに使いすぎてしまっている項目がわかると思う。とりあえず大きく削れそうなのは、生命保険料、交通費、被服費、小遣いなどだろうか。
あとは食費など「消費」ではなく「浪費」になってしまっている部分を少しずつ減らせば、月々10万円程度の貯蓄はしていけるはずだ。
子どもができたらしばらくは遠出もできないことが予測されるので、ボーナスからの「帰省・旅行」代は自然に貯蓄や教育費に回せるだろう。
ついでに言わせてもらうと、嗜好品のうち「たばこ」もこの際、やめてしまってはどうだろう?
貯蓄のためというより、自分と家族の健康のために。
かく言う私も、少し前までたばこを吸っていた。たばこは依存性が強いため、一度覚えるとなかなかやめられない。私も「絶対にやめられない」と強く思いこんでいたので、やめるつらさは十分に理解できるつもりだ。
しかし1カ月のたばこ代1万4000円が浮けば、1年で16万8000円。さらに会社や公共の場所の「喫煙スペース」に通う時間も節約できる。病気のリスクも減らせるので、長期的に見ると医療費が浮く可能性も高い。まさに、いいことずくめではないか。
私も紆余曲折を経て、いまはやめてスッキリ。心底よかったと思っている。
たばこだけでなく、お酒やコーヒーの飲みすぎも体に負担がかかる。嗜好品をやめて得られるメリットは、健康的にも金銭的にも大きい。
子どもを持ってから、肩身の狭い「ホタル族」になる前に、メタボな家計&たばことキッパリおさらばしてはどうだろう。
■「タラレバ消費」症候群
【症状】「家庭を持ったらマイホーム買わなきゃ、子どもができたら、絶対車を買わなきゃ……」という発作が起きる。病巣は、本当に必要か考えずに、「みんな買うから買わなきゃ」と思い込んでいる点にあり。
【処方箋】子どもができても毎日車が必要とは限らないし、家を買うことは、メリットだけとは限らない。まずは自分たちにとって何が大切で、限りあるお金をどこにどう投資していくか、自分たちの「軸」をつくっていくことで治療できる。
■「貯めどきはいま!に気づかない」症候群
【症状】別名、忙しいから症候群。共働きDINKSで夫婦とも忙しい家庭に多発する病気。子どもができる前こそが絶好のお金の貯めどきなのに、それに気づかない。多忙を理由に家計のムダもほとんど検証できていないところに病巣が潜む。
【処方箋】子どもができたら、いまよりもっと忙しくなるはず。いまのうちに、2人で一度腰をすえて家計を見直そう。「いましかお金を自由に使えない」ではなく「いましか貯められない」と気持ちを入れ替える。
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1971年生まれ。FPとして司法書士事務所に勤務した後、2001年に独立。5200人以上の家計を再生した実績を持つ。著書『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がシリーズ37万部のベストセラーに。
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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭 構成=八村晃代 撮影=アーウィン)
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