こうすれば一気に「話しやすい人」になれる…心理カウンセラーが使っている「大げさな相槌」7パターン
プレジデントオンライン / 2024年5月22日 15時15分
※本稿は、古宮昇『一生使える! プロカウンセラーの傾聴の基本』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。
■言葉より体で「あなたに関心があります」と伝える
私たちが人と会話をしているとき、かならず行っていることがあります。会話のたびに毎回、自動的に行っているので、自分でも気付いていないことです。
それは、会話の相手が私たちに関心があるかどうか、話をしたいと思っているのかどうかを判断することです。
「会話の相手の人は、私に関心があるのかな? 私のことが好きなのかな? それとも嫌いなのかな? 私と話がしたいと思っているのかな? それとも本当は話をしたくないのかな?」と、会話のたび、いつも自動的に判断しているのです。
では、私たちはどうやってそれを判断しているのでしょう?
米国の社会心理学者メラビアンの研究では、判断の手掛かりとして相手の言葉は10%にも満たず、相手の声の感じと質が約40%、そして相手の表情、身ぶり、姿勢など、身体言語が占める割合が約55%、という結論に達しました。
つまり私たちは言葉の内容よりも、声の感じや表情や身ぶり手ぶりによって、「私はあなたに関心があります」と伝えているのです(Mahrabian、1971)。
ですから、聴き上手になるためにまず大切なことは、私たちの体で「私はあなたに関心があります。あなたの話を聴きたいと思っています」と伝えることです。
■受け身で黙っているだけでは「心の壁」が生じやすい
人の話を傾聴するときは、まず、相手に体を向けましょう。
もしあなたが新聞や雑誌を読んでいたなら、それをテーブルに置いて、顔を上げましょう。テレビも消しましょう。そして、話し手に体を向けましょう。
この行動は、相手に次のようなメッセージを伝えます。
「あなたは、私の関心と時間を使うに値する人です。私にとって、あなたはそれだけ大切です。私はあなたと話をしたいし、あなたの言いたいことを理解したいです」
相手は、あなたの誠意を感じるでしょう。これは、傾聴には絶対に欠かせない、大切なことです。
人見知りの傾向が強い人ほど、「人から悪く思われるんじゃないか」という不安が強いために、自分のことを話すのが苦手です。
会話の場面でも受け身的で、自分からはあまり話さないので、話し役よりも聞き役になることが多くなります。そんな人は、「自分は人の話を聴いている」と思っていることがあります。
![コーヒーを飲むカップル](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/8/1200wm/img_2823d0c7041ba72c21620214f36307d5296896.jpg)
しかし、傾聴とは心の壁をつくり、受け身的に黙っていることではありません。心の壁は相手にも何となく伝わり、相手のほうも心の壁をつくってしまいます。
相手が自発的に話しているように見えたとしても、間を埋めるために仕方なく話していることも多いものです。ラクな気持ちで正直に話しているわけではありませんし、受け身的な人に話をしても楽しいどころか、疲れます。
聴き手が表情や反応に乏しかったり、心を閉じたりしていると、相手は内心「話しづらいなあ……」と感じ、冷や汗をかいてしまいます。
傾聴では、話し手に興味を持ち、「話し手が伝えようとしていることを理解しよう」と、積極的な態度で耳を傾けます。
聴き手は自分から壁を取り去ってリラックスし、オープンで積極的な心持ちで人と向かい合い、話し手が伝えたいことを教えてもらおうとすることが大切です。
■豊かに反応されると話しやすくなる
傾聴するときには、あなたが話し手に関心を持っていることを体で伝えましょう。そのためにとても重要なのが「うなずき」です。
私は傾聴力を上げるセミナーをたくさん依頼されますが、一般の人たちを対象としたセミナーでも、プロ・カウンセラーを対象としたトレーニングでも、いつも必ず感じることがあります。
それは、参加者のうなずきが少なすぎることです。練習のとき、聴き手本人は十分にうなずいているつもりなのですが、話し手からすると、うなずきが小さすぎるし、うなずく頻度も少なすぎます。聴き手の反応が薄すぎて話しづらいのです。
そこで、私が聴き役をして傾聴のデモンストレーションをします。すると、周りで観察した人から、「先生のうなずきが多すぎて不自然な感じがしました」という正直な感想が出されることがよくあります。
しかし興味深いことに、デモンストレーションで私の相手として話し役をした人は、「すごく話しやすかったです」とか「もっと話したかったです」と言うものです。
外からはうなずきが大きすぎるとか多すぎると見られるぐらいが良いのです。聴き手がそれぐらい豊かに反応してこそ、話し手は話しやすくなります。
ですから、傾聴するときには、話し手を見ながら大きくたくさんうなずきましょう。すると、次のようなメッセージが伝わります。
「あなたの話を理解しています」
「私はあなたに関心があります」
「あなたの話を聴きたいです」
「あなたは私にとって大切です」
■体を相手に向け、相手を見て、大きくたくさんうなずく
話し手の顔を見ながら、大きくたくさんうなずきましょう。ほとんどの人は顔を小さくしか動かしませんが、そうではなく、首の付け根あたりから、首を縦に大きく動かして「うん、うん」と声を出してうなずきましょう。
![古宮昇『一生使える! プロカウンセラーの傾聴の基本』(総合法令出版)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/c/1200wm/img_9c8e28d4becfacb9d3e6f2642ca3fe82166030.jpg)
またうなずくときは、自然と相づちにもバリエーションが生まれるものです。
「うん、うん」
「ふん、ふん」
「はい、ええ」
「そうか、そうか」
「ほう、ほう」
「わかる、わかる」
「なるほど」
これらの返事を話し手に聞こえるよう声に出しながら、大きくたくさんうなずいて聴きます。特に電話では相手から見えないので、「うん」といううなずきの言葉をいっそう多くすると良いでしょう。
傾聴するときには、体を相手に向け、相手を見て、大きくたくさんうなずくことがとても重要です。
そしてもちろん、言葉で反応することも欠かせません。そこで本書では、効果的な応答についても解説しています。是非ご一読ください。
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心理カウンセラー
心理学博士。公認心理師・臨床心理士。米国州立ミズーリ大学コロンビア校より心理学博士号(PhD.)を取得。米国にて、州立児童相談所、精神科病棟などで心理カウンセラーとして勤務し、州立ミズーリ大学心理学部で教鞭を執る。日本に帰国後は、心療内科医院および大学の学生カウンセリング・ルームのカウンセラー、大阪経済大学人間科学部教授を経て、現在は神戸にてカウンセリング・ルーム輝代表。
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(心理カウンセラー 古宮 昇)
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