なぜ子供が食べ物を粗末にしても怒らないのか…人気YouTuberが「僕の自慢のヤバい家族」と開き直るワケ
プレジデントオンライン / 2024年5月25日 16時15分
※本稿は、森三久『僕の自慢のヤバい家族 子育ての常識を捨てたらみんなの笑顔が増えました』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■風呂場の扉に空いた穴からポン酢を流し込む息子
子どもといると、「ホンマこいつ……」とイライラしてしまうことも多いですよね。
5歳くらいまでの子どもは摩訶不思議奇想天外行動をします。カチ、オク、ナヅの3人、合わせて暴走ブラザーズは毎日毎日そんな感じです。
発泡スチロールを階段の壁で大根おろしみたいにすって雪景色にしたり、冷蔵庫の上から飛んだり、服を全部出してきてベランダで洗ってみたりします。
この前も、とんだ入浴事件がありました。
風呂場の扉は片桐はいり似の長男、カチの蹴りによって穴を開けられているのですが、ある日、僕がお風呂に入って浴槽に浸かっていると、カチがやってきて「おい! ゴリラ、びしょびしょゴリラ」と言いながら、自分が開けた風穴から覗き込んで、穴から見える父親にゴリラゴリラと言ってきました。僕が「なんや」と言うと、カチは「いいんだなぁ? 本当にいいんだなあ」と前置きも何もなく言ってくるので、「なんやねん」と返すと、カチはどこかに行きました。
そして何かを持って戻ってきたカチが「これでも食らえぇー」と言いながら、風穴から液体をドバドバ出してきます。
アイツが持ってきた物は「ポン酢」です。あの一番メジャーなポン酢を持ってきたのです。
■「なぜ怒らないんですか?」と動画視聴者から質問される
お風呂場の床が一気に真っ黒になり、ポン酢のポンの匂いが、ポンが何かは分かりませんが、たぶん柑橘系だと思いますが、匂いはポンだらけです。湯気とポン酢が合わさって、風呂がまるで鍋の日のリビングみたいな匂いです。
僕が「コラーボケナスー」と言って浴槽から立ち上がると「ハッハー」と言いながら逃げていきます。腹立つなぁと思いながら、カチが置いていったポン酢をとりあえず洗面台に置いて、もう一度浴槽に入りお湯に浸かっていると、こっちに向かってやってくる足音が聞こえます。今度は足音が複数人に増えています。
次に風穴から顔を出したのは次男のオクです。ものすごい笑顔で穴から手を振ってきて、手を振り返すとすりガラス越しにオクも何かを持っています。そしてその穴から持っている物を投げ入れてきます。納豆です。丸いタイプではなく四角い容器の納豆です。投げ入れると次はカチが顔を出して「食べてみろよ」と言ってきます。
「食えるかー持って帰れやぁ」と言うと、オクが2パック目の納豆を投入してきます。3パック入りの納豆のうち2パックがお風呂用になってしまいました。そしてカチとオクは、口々に「食べてみろよ」と言いながら、納豆をそのままにして走り去っていきました。
暴走ブラザーズがやんちゃをする動画や食べ物を粗末にする動画をあげていると、「なぜ怒らないんですか?」「一発しばかないと分からないですよ」的なDMやコメントをいただくことがあります。でも森ケはそんなことはしません。
■「作ってくれた人に申し訳ない」と言っても通じない
5歳くらいまでの子どもは、その子にもよりますが、まだ言葉の意味を理解できません。
例えばポン酢をあんなふうに風呂で撒かれた時、僕たちは「もったいない」と思うでしょう。でもアイツらからすると「もったいない」の意味が分からないのに「コラァーもったいないやろ! そんなすんなボケェ!」とキレたとしても、理解していないのでなんの意味もありません。
あと「作ってくれた人に申し訳ない」とかも、社会に出たこともない子どもたちには、作ってる人への想像力も、作ってくれたことに感謝する感覚もないし、申し訳ないなんて思うはずがありません。大人の感覚で言っても意味がないんです。
でもやめさせたいから、やめさせるために怒鳴ったり、叩いたりする。その時はやめるかもしれませんが、それは親の顔色を窺ってるだけ、萎縮してるだけです。怒っている意味を分からないやつらに、子どもが理解できてないということを理解していない親が怒鳴っても意味がない。
親がそうやって“教育”をしていると、怒ったり叩いたりすることがその子の解決方法になります。子どもは意味が分からなくても行動は真似するからです。
■親が叩けば叩く子になり、怒鳴れば怒鳴る子になる
親がタバコを吸ってたらタバコ吸う真似とかするじゃないですか? だから叩く・怒鳴る行動を真似するようになるんです。自分もそれで親の言うことを聞いたから、相手にも同じようにすればいいんだと思って。悪いことをやめさせるためにキレたり叩いたりすると、子どもはさらにキレたり叩いたりするようになると思います。
TikTokやYouTubeで、僕がカチやオクに棒でしばかれたりしている動画があると思います。
あれは動画だから怒っていないのではなくて、動画を撮っていなくても怒りません。
アイツらが怒っていても、僕はふざけたり笑わせたりしていました。
するとどうなるかというと、カチは、弟たちが怒って車のおもちゃを投げつけたり、銃で殴ったりしても、仕返さずに笑ってふざけたりして僕と同じ反応をするんです。
僕がカチに叩かれた時に叩き返していたら、やり返すカチになってると思います。
叩けば叩く子になるし、怒鳴れば怒鳴る子になる。
なぜなら、叩かれて痛かったから、怒鳴られて怖かったからやめようと自分が思ったなら、自分も同じことをすれば相手を同じ気持ちにさせられると学習するから。
困った時に暴力や強い言葉で解決する子にしたいのなら別ですが、そんな人はほとんどいないでしょう。
■とんでもないイタズラも何度もやれば飽きてくる
感情に任せて怒るのは誰でもできるし、それでやめさせられても、結果自分たちがなってほしくないアイツらになってしまいます。
食べ物をぐちゃぐちゃにしたり、部屋中トイレットペーパーまみれにしたり、物を大切にしなかったとしても、アイツらも何回もやってると飽きてくるんです。カチは毎日ペットボトルの水をリビングに撒いていたのに、しばらくして「最近やらなくなってるな」みたいになりました。前にママと実験したのですが、水の入った2リットルのペットボトルをカチの前に置いても何もしなくて、「水で遊ばへんの?」って聞いたら「濡れるから」って答えたんです。
毎日撒いて、濡れて着替えがなくなっていたカチから「濡れるから」って返ってきたことに、とても感動したと同時に寂しさすら感じました。
アイツらも「飽き」という名の成長をしますし、言葉の意味がちゃんと分かるようになったら改めて教えればいい。だから、子どもたちが小さいうちは、森ケは真似してほしいことを行動で見せています。
■子どもにやってほしいことを親が見せ続ける
真似してほしいことというのは、自分より弱いやつらへの優しさや思いやり、困っている人に対してどうするか。泣いてたらヨシヨシしたり思いっきり抱きしめたり、ケガしたら絆創膏を持ってきたり、人の痛みが分かる人、与えられるより与える人になってほしいんです。
僕たちが率先して利他的な行動をしていると、子どもたちは見てくれていて、娘は自分の物を買うよりも、ばあちゃんにお金を使っています。くーちゃん(次女)も弟たちに果物を分けてあげているし、カチも弟たちをたくさん笑わせています。こういう喜びや幸せを作るためのアクションを起こせた時には、びっくりするほど褒めています。
アイツらはもちろん怒られたいとは思っていません。それよりも何よりも褒められたいと思っている。5歳くらいまでは怒らなくていいから、悪いことをやめさせるより、やってほしいことを自分たちが見せて、それをやってくれたら褒めるのを繰り返す。それでいつか言葉の意味が分かるようになってきたら、そこで初めて伝えればいいと思います。
■怒鳴ってしまえば後悔が長く続く
昔読んだ島田紳助の本にこんなことが書いてありました。
「子どもは親の真似をするんじゃなくて、親が楽しくやってることを真似する。だからピアノをさせたいなら親が楽しくピアノを弾く。勉強をさせたいなら親が勉強を楽しくやってる姿を見せる」
確かに、「勉強しろ」「将来困るから」って言われても、親が勉強してるところを見たことがなかったり、しないと何が困るのか、勉強をすると何がメリットになるのかも分からなかったりしたら、普通はやらないですよね。
善悪の判断をしない子どもは、いいところも悪いところも真似するから、子どもを直す、変えるというスタンスじゃなくて、自分たちの接し方や考え方を変えるだけで楽になると思います。
僕たちも初めから怒ってなかったわけじゃなくて、少しずつ変えていきました。
ママがよく言ってる「片付けなんて5分で終わる」は本当にそうだなと思っています。汚されても、片付けた物をまた出されても5分あれば片付けられる。でも怒鳴ってしまったら、子どもたちの寝顔を見た時に「なんであんなに怒ってしまったんだろう」と後悔する。その後ずっと。
それなら5分で片付けた方が、お互いにハッピーじゃないかなって思います。
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YouTuber
YouTubeチャンネル「森ケの日常」のパパ。趣味は家族。他、YouTubeチャンネルに「森ケの日常『娘』」「森ケの暴走ブラザーズ-Crazy Gag Life-」がある。TikTok
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(YouTuber 森 三久)
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