なぜ私は「日本株119銘柄」に分散投資するのか…年378万円の「不労所得」を手にした脱サラ投資家の選定理由
プレジデントオンライン / 2024年5月29日 9時15分
■20年間コツコツ買い続けた119銘柄
2024年3月22日現在、私が集中的に投資している銘柄から優待目的で保有している銘柄、さらに実験的に1株ずつ投資している銘柄まで、すべてご紹介します。
まずは図表1~5をご覧ください。全部で119銘柄を保有しています。
ちなみに2023年には378万4014円の配当となりました。
■特定の分野で突出した競争力を持っている企業ばかり…
ここでは、全保有銘柄の中からマニーとナカニシという特定の分野で突出した競争力を有している中型・小型の優良株を例に、私がどのような観点から保有しているのかを解説していきます。
■大企業が参入しない「狭い分野」でナンバー1になっている
【事例1】ニッチに特化したビジネスモデル・マニー
マニーは栃木県に本社を置く、針金を素材とした微細加工技術を得意とする医療機器メーカー。1956年の創業から、一貫して医療小物消費財の開発・生産・販売に取り組んでいます。
眼科ナイフの世界シェアは30%を誇り、ニッチな製品群に特化したビジネスモデルで、ニッチ市場で世界的に高い市場シェアを獲得しています。
ちなみにニッチとは「隙間」という意味で、ニッチ市場とは、その市場規模の小さいことを理由に大企業がターゲットとしないような、特定のニーズを持つ市場のことです。
このように、自分たちの強みを活かすことが可能な特定の分野に経営資源を注ぎ込み、そのニッチ市場において高いシェアを獲得してナンバー1を目指す戦略を「ニッチ戦略」と呼びます。
マニーは事業領域を、眼科ナイフやスキンステイプラー等の「サージカルセグメント」、外科手術に使用される針付縫合糸等の「アイレス針セグメント」、歯科根管治療器具や歯科修復材等の「デンタルセグメント」に集中し、存在感を示してきました。
マニーの有価証券報告書から経営指標等の数値を確認していきましょう(図表6)。
ここ5年間の売上高の推移は150億円から250億円程度と、売上高自体は東証プライムの中ではかなり小さいカテゴリーに入ります。
■やらないことを明確にしている
利益率は製造業であれば10%程度あれば合格点と言えますが、マニーはリーマンショックやコロナショックの時でも25%以上の利益率を維持しており、強い競争力を保っています。これは医療機器という不況に強い製品を扱っていることも一因と考えられます。
マニーの財務基盤は鉄壁で、自己資本比率は90%を超えています。営業キャッシュ・フローはプラスで推移しており、手元キャッシュも潤沢です。事業継続に何ら不安のないことが確認できます。
マニーの個人投資家向けIR資料の中では、経営戦略と研究開発方針について以下のように記載されています。
〈経営戦略と研究開発方針〉
トレード・オフ(やらないこと)を明確化し、愚直なまでに実行
①医療機器以外扱わない
②世界一の品質以外は目指さない
③製品寿命の短い製品は扱わない
④ニッチ市場(年間世界市場5000億円程度以下)以外に参入しない
自分たちの強みである分野(医療機器)のみをビジネスフィールドと捉え、その分野で世界一の製品を作り、ニッチ市場以外には参入しないというシンプルな戦略が徹底されてきたことが、マニーの競争力の源泉と言えるでしょう。
マニーは、2013年8月期から10年以上にわたり連続増配をおこなっています。事業の安定性を考えると減配されにくい銘柄であり、その意味では配当利回りを参考に投資判断をおこなうことも選択肢の一つとなりえます。
マニーの配当利回りは、概ね1%弱から2%強で推移していることから、配当利回りが2%を超えた水準であれば、投資機会と捉えることもできそうです。
■製造業としては驚異的な利益率を出している
【事例2】世界トップクラスの医療機器メーカー・ナカニシ
ナカニシは、栃木県に本社を置く歯科医療用製品で世界首位級のグローバル医療機器メーカーです。世界140カ国以上の国々で販売実績があり、海外売上高比率は80%を超えており、グローバルに事業をおこなっています。
地域別売上高比率は、欧州、北米、国内、アジア、中近東・南米・オセアニアなどにバランス良く分散され、特定の地域に依存しない体制を構築しています。
そのビジネスは、歯科医療用製品、外科医療用製品、一般産業用製品の3つの領域で展開。デンタル事業では治療用ハンドピース、技工用マイクロモーター&ハンドピース、外科用ハンドピース及び滅菌器等を、サージカル事業では脳神経外科をはじめとする外科領域で必須の骨切削機器等を、機工事業では手作業用グラインダー及び機械装着用スピンドル等を製造・販売しています。
ナカニシの有価証券報告書から経営指標等の数値を確認していきましょう(図表7)。
売上高はコロナ禍の影響を受けて一時的に減少したものの、長期的には増加傾向にあります。
経常利益も売上高の伸びに応じて伸長しており、業績は堅調と言えます。利益率は製造業としては驚異的な水準で、コロナ禍の最も業績が悪化した際にも25%以上を確保しています。
■長期ビジョンと、それを可能にする技術がある
1株利益も長い目でみれば増加傾向です。自己資本比率は80%以上を維持しており財務基盤は堅牢です。
自己資本利益率はコロナ禍の時期を除けば10%以上となっており、高い資本効率を維持していることが読み取れます。営業キャッシュ・フローはプラスで推移し、手元キャッシュも潤沢です。
事業基盤は盤石で、事業継続に不安はないでしょう。
ナカニシの長期ビジョンである「VISION2030」では、「ダントツの『最優良グローバル医療機器メーカー』になること」を目標に掲げていて、以下のように定義されています。
「デンタル・サージカルのグローバル市場において 世の中にない革新的な製品を次々と生み出し 全世界の人々の健康寿命の延伸に大きく貢献できるONLY ONEのメーカーになること」
このVISION2030を実現するために、以下の5点に力点を置いています。
▼デンタル・メディカル グローバル市場シェア拡大 世界のお客様のニーズを把握
▼RD・A1におけるスピーディーな開発と最高の品質の実現(※RDは研究開発の中核拠点、A1は生産の中核拠点)
▼内製化率85% 自社で技術を究める ダントツのコスト競争力実現
▼新たな医療領域・新たなニーズへのチャレンジ(協業・M&Aの活用も含め)
▼海外売上比率約80% 全世界に強い販売・サービスネットワークを構築
これらの施策を現実のものとしてくれるのが、強みである超高速回転技術であり、この技術をコアに事業を展開しています。
■他社がまねできない強みを持っている
ナカニシにおける超高速回転技術のように、他社が模倣することが困難で競争優位の源泉となるような能力のことを、コア・コンピタンス(Core Competence)と呼びます。
直訳すると、コアは核、コンピタンスは能力で、その企業における中核となる能力(強み)という意味です。
コア・コンピタンスの概念は、ゲイリー・ハメルとC.K.プラハラードが1990年に共同で発表した論文『The Core Competence of the Corporation』において、「顧客に対して、他社にはまねのできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」とされています。
具体的には、以下の3つの条件を満たす能力となります。
1.その能力は競合他社に模倣されにくい
2.その能力を活かして他の事業へも展開できる
3.その能力は顧客価値を創出できる
ナカニシは、ダントツの超高速回転技術という模倣されにくい技術を中核に、新たな医療領域・新たなニーズに対応すべくチャレンジし、スピーディーな開発と最高品質を実現、全世界へのサービスネットワークを構築することで顧客価値の創出を試みています。
■減配される心配が少ない
業界首位級の企業は、競争力を維持するためのコア・コンピタンスを有していることがほとんどです。投資を検討する際には、その企業における中核的な能力(強み)とは何かを考えてみることは、有意義であると言えるでしょう。
ナカニシは、特別配当や記念配当を除いては、10年以上減配をおこなっていません。
堅調な業績が続いていることや財務の堅牢性を鑑みるに、大きく減配されるという事態はそうそうないでしょう。このような減配可能性の低い銘柄は、配当利回りのレンジを参考にしつつ投資を検討することも可能です。
ここ数年の配当利回りは、1%半ば~2%半ばで推移しています。したがって、配当利回りが2%半ばを上回った際には、投資妙味が増しているという考え方もできるでしょう。
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個人投資家
1977年、熊本県生まれ。2004年から株式投資を始める。2009年、ポートフォリオを大型配当株メインにスイッチ。以降は「どのような相場でも安定的に配当を受け取るには?」を日々模索し、安定的に資産を増やす。2022年の税引き後の手取り配当額は、282万5128円と過去最高を更新し、運用資産1億円を突破。近年は、19年間の投資生活で磨いた技術やノウハウをTwitterやブログにて発信。2023年3月、長年勤めた会社を早期退職し、オンラインサロンを開設。「途中で挫折することがないよう、焦らずゆっくりと」をモットーに投資教育をライフワークとする。著書に『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』(KADOKAWA刊)。
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(個人投資家 長期株式投資)
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