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孤独死は理想的な死に方である…和田秀樹「ベタベタとした人間関係をさっぱり捨てる」ことの意外な恩恵

プレジデントオンライン / 2024年6月5日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hanafujikan

孤独に対する不安を解消するには何をすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「孤独が怖いと感じている人も、いずれ孤独になるときが来るかもしれない。いまのうちから、1日の中に、誰ともつながっていない時間を意識的につくるなど、孤独な時間を楽しむことに、少しずつ慣れておくといい。ひとりの時間に親しむうちに、孤独に対する怖れが薄らいでくるはずだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■孤独死はある意味で理想的な死に方とも言える

「孤独になりたくない」という声がよく聞かれる一方で、孤独が好きな人もいます。

ひとりで映画を観たり、本を読んだりするのが好き。人と関わるのが煩わしくて、ひとりでいるのが一番ほっとする。そんな人は少なくないと感じます。

脳の老化予防という観点では、人と会って話すことは大事なのですが、孤独が好きな人が、無理にでも友達づき合いをしたほうがいいなどとは思いません。いわゆる「孤独死」はしたくない、と言う人も多いのですが、私は孤独死が悲惨なものだとはまったく思っていません。

一人暮らしで誰にも看取られず亡くなり、死後数日経って発見されるということは、死の直前まで元気だったと推測されます。

いまは要介護認定を受けた高齢者であれば、ほぼ例外なく何らかの福祉サービスにつながっていて、日常的に介護ヘルパーなどの訪問を受けます。したがって、病気で寝たきりの高齢者などは、孤独死したくてもできません。

そう考えれば孤独死は「ピンピンコロリ」、つまり直前まで比較的元気に生きて最期を迎える、理想的な死に方とも言えるのです。

■孤独に対する怖れが薄らいでくる方法

ただ、「自分は孤独が好きだから、絶対に人とは交わらない」とか、反対に「自分は友達がいないとダメだから、人と交流しなければいけない」などと、決めつけることはしないほうがいいと思います。

誰しも、ひとりが気楽だと思えるときもあれば、ふと人恋しくなることもあります。ずっとひとりでいる必要もなければ、つねに誰かとベタベタ一緒にいる必要もありません。寂しいと感じたときに会える相手がいれば、それでいいのではないでしょうか。

孤独が怖いと感じている人も、いずれ孤独になるときが来るかもしれません。それなら、いまのうちから、孤独な時間を楽しむことに、少しずつ慣れておいてもいいかもしれません。

1日の中に、誰ともつながっていない時間を、意識的につくってみてください。

自然の中を散歩して楽しむシニア男性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

ひとりで街を歩き、公園でぼんやりしたり、書店に入り浸ったりしてみる。夜の10時以降はひとりの時間と決めて、自室で好きな映画のDVDや動画を観る。

そんなふうに、ひとりの時間に親しむうちに、孤独に対する怖れが薄らいでくるはずです。

■誰かと濃密につき合っていると、他人が入り込む余地はなくなる

いまの人間関係で、「離れるのが不安」と感じる相手、もしくはグループは存在しますか?

その人、あるいはそのグループから離れたら、自分はひとりになってしまう。それが不安だから離れられないのだとしたら、少し考えてみてください。

その人(たち)と一緒にいれば、不安がないかといえば、そんなこともないはずです。

相手が離れていってしまったらどうしよう。嫌われたらどうしよう。自分だけ仲間はずれにされたらどうしよう。

結局、いつもそんな不安がつきまとっているのではないでしょうか。それはとても不自由で、窮屈な状態でもあると思います。

誰かとベタベタとくっついていると、そこに他人が入り込む余地はなくなります。

四六時中くっついているカップルのことを、他人は遠巻きに眺めて、誰もわざわざその間に割り込もうとはしません。それと同じで、誰かと濃密につき合っていると、ほかの人は入り込めないものを感じて、あえてこちらと関わり合いを持とうとはしてこないものです。

すると、おのずと人間関係は固定されてしまいます。新しい出会いもなく、自分の世界が広がることもありません。

■孤独という自由が、相手を受け入れるゆとりをつくる

離れるのが不安な相手から離れる。それは、とても勇気のいることです。それでも、離れれば、そこに必ず新鮮な空気が流れ込んできます。

ベッタリとくっついていたところから離れれば、必然的に隙間(すきま)が生じます。そこに、何かしらのものが流れ込みます。

和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)
和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)

それは必ずしもいいものばかりではなく、たとえば寂しさや不安といったものかもしれません。でもそれは、新鮮な寂しさであり、新鮮な不安であるはずです。

「ひとりになったらどうしよう」。いままでそんなふうに怖れていた、「ひとりになる」ことを、自分から選び、向き合ってみる。それによって、初めて感じられるものがあります。

ひとりの時間ができて、誰にも気兼ねせず、好きなことができる。特定の人に気を遣う必要もない。どんな人間関係も、自分の意志で選べる。そんな自由や解放感、ワクワクした気持ちを味わえるはずです。

「ひとりになったらどうしよう」という不安は、ひとりになれば消えます。ひとりになることでもたらされる、心と時間のゆとりが、新たな人との出会いを受け入れる素地になるのです。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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