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休日は「ゴロ寝で映画一気見して2度寝3度寝の極楽」がダメな理由…最新研究でわかった「最強の7大休養法」

プレジデントオンライン / 2024年6月4日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

■「寝ること」だけが休むことではない

ゴールデンウイーク(GW)やお盆休みなどの長期休暇には、大勢のビジネスパーソンも、レジャーを十分に満喫します。混雑する行楽地に出かけたり、スポーツを楽しんだりすれば、そのときには“疲れた”と感じたはず。けれども、休みが終わってみると、さらに疲れがたまったというよりは、すっかりリフレッシュできて、休み前よりも「元気が増した」のを、実感している人も多いのではないでしょうか? それも、私たちが考える「休養」の成功例なのです。

「休養する」といえば、普通は「家でゴロゴロして過ごす」といったように、心身を安静にすることを思い浮かべるでしょう。

もちろん、そうした行為も休養なのですが、数ある休養法の一部でしかありません。長時間眠ったり、横になったりしても、疲れが取れるとは限りません。むしろ逆効果になってしまうケースもあります。

言い換えれば、「寝ること」は、「休むこと」と同義ではないのです。私たちが提唱している「休養学」では、「攻めの休養」とも呼んでいますが、実は、レジャーのように、身体を活動させることで疲れを癒やす「積極的な休養法」もあるのです。

■「積極的な休養法」で活力を高めよう

では、「積極的な休養」を取り入れることで何が得られるのか。それは「活力」です。

「疲労」の対義語は何かと質問をすると、多くの人は「休養」と答えます。しかし、辞書を引いてみると、「疲労」の対義語は「活力」であると書いてあります。

そして、実際に「活力」が満ちた状態まで自分自身を持っていくことで、寝るだけでは残ってしまう疲労を、打ち消せることがわかりました。

つまり、疲労回復をするために必要なのは、休養だけでなく、活力を高めることも必要なのです。

ちなみに、日本では「疲れてから休む」わけですが、海外では逆に、「休んで活力をみなぎらせてから働く」といった考え方が一般的です。例えば、海外では休日にレジャーを楽しんでいるイメージがあると思います。

これは「疲労回復だけでなく、活力アップのためにもレジャーを楽しむ」といった積極的で、前向きな休養法がメインとなっているからです。

寝るだけではなく、そうした活力を高めることができる、アクティブな休養法もうまく活用すれば、疲労回復効果が大幅に上がることを、ぜひご紹介したいと考えています。

■疲れの取れる7つの休養法

活力を高めるためには、あえて自分に負荷をかけることが必要です。その際のポイントは、「自分で決める」「仕事とは関係がない」「挑戦することで、成長できる」「楽しむ余裕がある」の4つです。

さらにいうと、肉体的なものと精神的なものの両方から、負荷をかけるとよいでしょう。もちろん、負荷のかけ方は、最初は軽いものから始めることが大事です。

それらを踏まえて、休養学では、休養法を「生理的休養」「心理的休養」「社会的休養」の3つのグループに大きく分け、さらに全部で7つのタイプを定義しています。

生理的休養は身体面から疲労を回復させる休養法で、「休息タイプ」「運動タイプ」「栄養タイプ」の3つのモデルに分類されます。そして、心理的休養は、精神面から疲労を回復させる休養法で、「親交タイプ」「娯楽タイプ」「造形・想像タイプ」という3つのモデルに分類され、社会的休養のモデルになるのは、「転換タイプ」という休養法です。

疲れの取れる7つの休養法

これら7つのモデルを日常生活の中で使い分け、上手に組み合わせて主体的に休養を取ることが、疲労回復には肝心といえるでしょう。

■“自分で決めて休む”ことが大事

①休息タイプ

休息タイプは「寝る」という休養法のイメージに、最も近いでしょう。「休養」といえば、皆さんが最初にこれをイメージすると思います。

具体的には、ベッドで睡眠や短い仮眠を取ったり、ソファに寝そべってTVや動画を見たり、休憩を入れたりすることが挙げられます。

休息タイプは、心身の活動をいったん停止して、エネルギーの消費を抑える休養法。積極的な休養法に対して受動的で、「消極的な休養」ともいえるでしょう。マイナスのイメージを抱くかもしれませんが、実は、重要な休養法でもあります。

その大きな役割は、心身のエネルギー消費を極限まで抑え、活動を再開できるようになるまでエネルギーチャージすること。TVドラマでは、「過労」で倒れて、病院のベッドで点滴を受けたりするシーンがありますが、そうならないように、過労の手前で応急措置を取るわけです。

例えば、スマートフォンのバッテリーの容量が乏しくなると、ゼロになる前に充電しますが、それと同じことなのです。ただし、休息タイプの休養は、必要最低限にしましょう。

「寝だめ」をしようとしても、バッテリーでいう、「過充電」になるので、活力アップにはつながりません。それどころか、体がだるくなったり、活動する気力を失ったりしてしまいます。

週末に目覚めたとき、「寝不足」を感じるようであれば、睡眠時間を延ばしてもいいのですが、「つい眠りすぎてしまう」という人は、「目覚まし時計」をセットしたりして、適度な睡眠時間になるように調節してみるといいでしょう。受動的にゴロゴロとするのではなく、あくまでも能動的な睡眠を取ることが大切です。

疲労が解消され、「もう活動できるな」という状態になったら、休息タイプの休養から、積極的な休養法に切り替えましょう。

休息タイプのポイント

■適度な運動が疲労回復効果につながることも

②運動タイプ

運動タイプの休養は、ストレッチしたり、ウオーキングをしたりと、体を軽く動かすこと。「運動が休養になるとは、矛盾している」と感じるかもしれませんが、適度な運動をすれば、血液やリンパの流れが良くなるので、体内に酸素や栄養が行き渡ったり、体内の老廃物が除去されたりして、疲労回復が進むわけです。血行を促す「入浴やサウナ」も、運動タイプの休息になります。

運動タイプのおすすめ休養法

例えば、アスリートが、激しい練習の終了後も少しランニングをしたり、ストレッチをしたりと、軽い“運動”をあえて行っているのは、疲労を残さないようにするためです。スポーツやサウナが好きなビジネスパーソンなら、会社帰りにフィットネスジムに行くと、仕事の疲れが取れることをご存じではないでしょうか?

とはいえ、「好きなスポーツだから」と、疲労困憊するまで打ち込んでしまっては本末転倒です。休養が目的であれば、汗を流して軽い疲労感を覚えたら、そこで運動は切り上げましょう。

高齢者やケガで動きにくい人も、じっとしているよりは、無理をしない範囲で軽く体を動かしたほうが、ストレスを解消でき、疲労がたまりません。体が適度に疲れたほうが、ぐっすり眠れます。とりわけ、高齢者は、筋力や運動能力が低下しやすく、筋肉量が減って身体活動に支障が生じる、「サルコペニア」という状態に陥りやすいのですが、軽い運動を続けていれば、その予防にも有効です。

運動する時間がなかなか取れない多忙なビジネスパーソンでも、例えば、電車を一駅前で降りて会社や自宅まで歩いたり、オフィスビルではエレベーターを使わずに階段を昇り降りしたりといった具合に工夫すれば、日常生活で軽い運動を取り入れることは可能でしょう。掃除や洗濯、炊事、買い物といった家事も体を動かすので、軽い運動になります。

■腹八分目が長寿の秘訣

③栄養タイプ

栄養タイプの休養といえば、皆さんは、「疲労回復に役立つ食事をすることか」と思うかもしれません。しかし、休養学では、「食べすぎないこと」を重視します。

不必要な栄養摂取を控えるという意味で、「引き算の栄養学」とも呼んでいます。というのも、例えば、「疲労やストレスの解消」になると思って、「お酒のガブ飲み」や「スイーツのドカ食い」をしたりすると、かえって体に重い負担をかけてしまうからです。

「腹八分目が長寿の秘訣」という先人の教えは真理で、エサを満腹になるまで食べるマウスと、腹八分目まで食べるマウスを比べた実験では、腹八分目のマウスのほうが約1.5倍長生きしました。

具体的な栄養タイプの休養としては、「ご飯のおかわりを我慢する」といった食事量のセーブ、小腹が空いたら「体が温まるお湯」を飲んだりして凌ぐこと、消化に良いおかゆといった「胃腸にやさしい食べ物」を摂ることなどが挙げられます。また、「断食」といった食事制限も引き算の栄養学の一つと考えられます。

NGな栄養タイプの休息法

引き算の栄養学を勧奨するとはいいましたが、ミネラルやビタミンのように日常生活で摂取しにくい栄養を、食事やサプリメントで補うことは、もちろんかまいません。

疲労回復の働きがあるミネラルでは、鉄分や銅、亜鉛、マグネシウムなどが不足しがちです。ビタミンでは、とりわけ、体内の糖分やたんぱく質、脂質を分解して、エネルギーに転換するのに必要なビタミンB群が、疲労回復には欠かせない栄養素なので、積極的に補給するようにしましょう。

市販のドリンク剤でも、ビタミンB群が手軽に摂れます。しかし、疲労感や眠気を感じにくくする「マスキング」の作用がある「カフェイン」も含まれていることが多いので、注意しましょう。

(後編へ続く)

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年6月14日号)の一部を再編集したものです。

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片野 秀樹(かたの・ひでき)
日本リカバリー協会代表理事、博士(医学)
東海大学大学院医学研究科、東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般財団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)、株式会社ベネクス執行役員も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組んでいる。編著書に『休養学基礎 疲労を防ぐ! 健康指導に活かす』(共編著、メディカ出版)、著書に『あなたを疲れから救う休養学』(東洋経済新報社)。

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(日本リカバリー協会代表理事、博士(医学) 片野 秀樹 構成=野澤正毅)

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