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危険マンションは「エントランスと集合ポスト」を見ればわかる…不動産のプロが内見で必ずチェックすること

プレジデントオンライン / 2024年5月31日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/chanakon laorob

マンションを購入する際は、どんなことに気を付ければいいのか。不動産コンサルタントの長嶋修さんは「内見する際は部屋だけでなく、エントランスや集合ポストなどの共有部も確認しておいたほうがいい」という――。

※本稿は、長嶋修『マンションバブル41の落とし穴』(小学館新書)の一部を再編集したものです。

 

■「天井だけではない」雨漏りチェックが必要な場所

今回は、実際に物件を内見する際、必ずチェックしたい点を紹介します。新築と中古でポイントは変わってきますが、まずはまだ買うかどうかを決めていない状態で、中古のマンションを内見する際のチェック項目を挙げていきます。

まずは専有部から。真っ先にチェックしたいのは、事前に見たチラシなどに載っている間取りと、現況が一致しているかどうかです。不動産仲介業者などが公開している間取りは、資料を基にその仲介業者のほうで作成している場合が多く、建築士などの専門家が書き起こしたものではないので、必ずしも正確とは限りません。

もっとも注意深く確認したいのは、雨漏りや給排水管からの水漏れの有無です。鉄筋コンクリート造のマンションは、木造の戸建住宅と違ってあまりシロアリの心配はないので(例外はありますが)、漏水関係が最重要項目になります。

天井や壁にしみがあったら、雨漏りしているか、上の階の設備から水漏れしている可能性があります。雨漏り=天井というイメージがあるかもしれませんが、マンションで上や左右に住戸がある部屋の場合、雨漏りするのは外側に面する壁(窓やベランダがある壁)からです。雨水がしみて壁をつたい、天井や壁のほか、床にしみができることもあります。

■まだ売主がいても気にせずじっくりチェックしよう

まだ売主が退去しておらず、家具などが置かれた状態で内見する場合もあるでしょう。売主がいると、何となく気が引けて遠慮がちになってしまう人がよくいますが、内見は重要な時間なので、気にせずじっくり見たいところ。

さすがに大型の家具をどけてチェックするのは難しいですが、外側に面する壁際に置かれた本棚などの裏に、しみが隠れていることはよくあります。売主の退去前に売買契約を結んだとしても、後日不動産会社の立ち会いの下、売主の所有物がなくなった状態で、再度引渡し前の確認を入念に行ったほうがベターです。

雨漏りなどが疑われるあやしいシミを見つけたら、仲介業者を通して売主に、過去漏水したことがないか確認をとりましょう。管理組合に問い合わせて、過去にそのような雨漏りの事例がなかったかを調べることもできるので、可能な限り情報を集めてください。情報がなかったとしたら、これまで露見していなかった水漏れかもしれません。

■排水管のチェックは、水を満タンにして一気に流す

パッと見で目立ったしみ跡がなくても、部屋のどこかで漏水していることはよくあります。キッチンのシンク下にある引き出しの奥や、洗面台下の収納の奥に設置された排水管など、多くの人はそれほど気にせずに生活しています。

水道をひねると、すぐに排水管から大量の水が漏れてくるほど深刻な状況ならさすがに気づくでしょうが、水を数分くらい使ったときに、じわりと漏れてくる程度の水漏れは、なかなか見つけづらいものです。

各所の水道から水を数分間出しっぱなしにして、給排水管の様子をチェックすると水漏れに気づきやすくなります。栓ができる場合はシンクに水を満タンにためて、しばらく経ってから一気に流すと、水漏れのほか、排水管に詰まりがないかどうかも確認できます。

そのほかにチェックしたいのは、買った後に何が付帯設備として残されるのか。たとえば、ガスコンロ付きだと思っていたのに、入居してみたらガスコンロを売主が引き払っていることが判明したら、愕然とするでしょう。事前に、付帯設備の確認と、それらが使えるかどうかも知っておきたいところです。

■「付帯設備表」は故障や交換を把握できる大事な書類

多くの場合、不動産仲介会社のサポートによって「付帯設備表」が作成されるので、それがある場合は必ず目を通してください。

付帯設備表には、物件に残す設備と撤去する設備が明記されるほか、残す設備については故障や不具合があればわかるようになっています。付帯設備表に「故障」と明記されているものについて、後から「故障しているから修理代を負担してくれ」と言うことはできません。

付帯設備表に故障なしと明記されていながら不具合があるものについては、一定期間内であれば、買い手は補修請求を売主に行うことができます。ただし設備については、引渡し完了日から7日以内に連絡をしなければならないので、引渡しから引っ越しまでに間が空くと、気づいたときには請求できる期間が過ぎていた、となりがちです。

また、不動産業者のなかには、中古マンションの設備について自社で一定の保証を付ける会社もあります。とはいえ、すべての設備について保証されるわけではなく、保証期間や保証額にも限度があるので「保証=安心」と短絡的に考えないほうがいいでしょう。

付帯設備を確認し、たとえば「給湯器はあとどれくらいで交換の可能性がある」などの情報を把握しておくことができれば、物件を買った後の家のメンテナンスにかける資金計画も立てやすくなるので、事前確認は必須です。

■「共用部に住民の私物が置いてある」物件は注意

続いて、中古マンションの共用部でチェックすべきポイントを紹介しましょう。

セキュリティ面を重視しているなら、コンシェルジュが常駐しているマンションだと、エントランスに常に人の目があるということで、一定の安心感は得られます。

オートロックや防犯カメラの有無もチェック。タワマンのなかには、メインエントランスに一つ目のロックがあり、さらに進んで2つ目、3つ目のロックがあるという多重ロック仕様になっているところもあります。

ただセキュリティの厳しさゆえに、かえって不便になっているケース(ウーバーイーツなどの宅配を頼みにくい、など)も見られるため、自分がどの程度のセキュリティレベルを求めるか、改めて考える必要があります。

共用施設は実際に見に行きましょう。有効に活用されていない施設、維持費がかかりそうな施設がある場合、ムダなランニングコストを負担することになりかねません。

エントランスや廊下を歩いてみて、掃除が行き届いているかどうかも確認を。まれに、共用部に住民の私物が放置されていることがありますが、この場合、管理組合が身勝手なモンスター住民を制御できていない可能性も考えられます。

■ゴミ置き場、駐輪場、ポスト、掲示板の張り紙も

ゴミ置き場や駐輪場の状態も、見るべき箇所の一つ。どことなく荒れていてルールが守られていない雰囲気のときは、やはり管理が行き届いていない可能性があるでしょう。掲示板があったら、どんな張り紙がしてあるか確認を。騒音トラブルへの警告などがあったら、警戒したほうがいいかもしれません。

そのほか、郵便物がたくさん刺さっているポストが多い場合は、空き家が多いと予想されます。空き家が多いということは何らかの理由で不人気になっている証拠ですし、マンションの維持管理に必要な資金(住民が負担する管理費や修繕積立金)が積み上がっていないことも懸念されるので、その時点で購入は再考したほうがよさそうです。

チラシがいっぱいの金属製の郵便受け箱
写真=iStock.com/germi_p
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/germi_p

加えて、専有部分の内見の際にでもベランダの上裏をチェックしてみましょう。上裏とは、上階のベランダの裏側のこと。マンション外壁やベランダのコンクリートのなかには鉄筋が入っていますが、コンクリートの表面にひびが入ると、なかに水が入って鉄筋が腐食します。

すると、表面に茶色や褐色の腐食生成物(錆び汁)が出てくるように。この錆び汁が見られやすいのが上裏です。これを放置すると、腐食した鉄筋が膨張し、内側からコンクリートを押し出す「爆裂」という現象が起きてしまいます。

■水害リスクが高いエリアは「電気室の場所」が重要

築20年くらいだとひびが入ることはよくあり、何も対処しないと爆裂につながります。本来は、ひびが入った時点ですぐに補修して、錆び汁が出る前に食い止める必要があります。錆び汁が出ているのに対策を怠っているマンションは、いずれ爆裂を招く恐れがあり、管理状況に問題があります。なお、1カ所でも爆裂が起こっていることが確認できる建物については、住宅ローンのフラット35を利用できなくなるので注意してください。

建物の周りも歩いてみましょう。周囲に覗かれたり、植栽から住戸に侵入できそうだったりしたら、低層階への居住に不安が生じます。

水害リスクが高いエリアの場合、電気室(電気設備が格納された部屋)がどこにあるのかも重要です。もともとは地下に作られることが多かったのですが、過去にはタワマンの地下に作られた電気室が浸水し、停電と断水が発生。エレベーターやトイレが使えずに騒動になったケースが話題になりました。そのため、過去に水害があったエリアで物件を探す場合、電気室が地下に設置されていないこともチェックポイントになるでしょう。

■地震に強くないことが一発でわかる場所とは?

地震に対する強度も、確認しておきたいポイント。そもそも、建造物の地震対策としては「耐震」「免震」「制震」という3つの工法があります。

長嶋修『マンションバブル41の落とし穴』(小学館新書)
長嶋修『マンションバブル41の落とし穴』(小学館新書)

耐震は、大半の住宅に採用されており、文字通り揺れに耐える構造です。免震は、建物と基礎の間に免震装置を入れ、地盤と離すことによって揺れを建物に直接伝えないようにする構造。制震は、建物内部にダンパーなどの制震部材を入れることで、地震の揺れを吸収する構造です。

もっとも揺れにくいのは免震構造ですが、コストが高くつくため、あまり一般の住宅には採用されていません。しかし、最新のタワマンでは免震や制震の工法が取り入れられていることも多く、地震への対策は強化されています。検討中のマンションに、どのような工法がとられているのかは確認しておきましょう。

ぱっと見で地震に対する強度があまり高くない、とわかる構造もあります。それは、1階が柱のみで広い空間(ピロティ)をとっているもの。ピロティ構造と呼ばれますが、1階に住戸や共用施設などがある建物に比べると、耐震性が弱くなりやすいです。阪神淡路大震災でもピロティ構造のマンションの被害が多かったので、覚えておくといいでしょう。

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長嶋 修(ながしま・おさむ)
不動産コンサルタント
さくら事務所会長。1967年生まれ。業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」を設立し、現在に至る。著書・メディア出演多数。YouTubeでも情報発信中。

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(不動産コンサルタント 長嶋 修)

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