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PCから突然大音量の警告音が…遠隔操作で0を4つ加え100万円を奪い取る"サポート詐欺"の狡猾な手口

プレジデントオンライン / 2024年6月5日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Sorapop

インターネット閲覧中に警告画面を表示し、偽のサポート窓口へ誘導して金銭をだまし取る「サポート詐欺」が急増している。どうすれば身を守れるのか。ライターの高橋ホイコさんは「表示された電話番号に連絡しないことが重要だ」という。国民生活センターに取材した――。

■急増しているインターネット上での「サポート詐欺」

インターネット閲覧中にパソコンに問題が起きたかのように見せかけ、偽のサポート窓口へ誘導する“サポート詐欺”が増加しています。なかには100万円をだまし取られた事例もあり、注意が必要です(国民生活センター「パソコンで警告が出たらサポート詐欺に注意! 」2024年3月27日)。

国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた2023年度の相談件数は7441件。ここ数年は5000件台を推移していましたので、急に増えたと見ていいでしょう。

お金を奪い取るまでのやり口は本当に狡猾です。いったいどんな手口で、どんな人が被害に遭いやすいのでしょうか。国民生活センターに取材をしました。どうやって人をだましているのか、実態を見ていきましょう。

※消費生活センターは、商品の購入やサービスの利用に関する契約トラブルの相談を受け付ける都道府県・市区町村の機関。国民生活センターは、これらの機関に寄せられた苦情相談情報を収集し、情報提供を行っています。

■インターネットバンキングを悪用され100万円を送金

“サポート詐欺”とはどんな手口なのか、事例をひとつ紹介します。この相談者は、インターネットバンキングを悪用され100万円も送金させられてしまいました。

パソコンでインターネットを利用中に突然、大音量の警告音が鳴り「ウイルスに感染した可能性がある」と警告画面が表示された。マイクロソフト社を名乗る電話番号が表示されたので電話をした。
片言の日本語を話す外国人らしき人が出て、パソコンを遠隔操作で見てもらった。インターネットバンキングについて聞かれ、「最近利用した」と答えるとログインするように指示された。
パソコンの修理代として100円を請求され、パスワード等を入力した。すると、インターネットバンキングの画面で送金額を100円としたはずなのに遠隔操作によって100万円に変更されていた。
すぐに電話を切って、銀行に電話をし口座を凍結してもらったが、すでに100万円が送金されてしまっていた。(2023年7月受付 70歳代 男性)

事例を読んだだけでは、“なぜだまされてしまったのか”ピンと来ない人も多いと思います。「なぜ、ウソの警告画面を信じてしまったのか」「なぜ、表示された連絡先に電話してしまったのか」「なぜ、インターネットバンキングにログインしてしまったのか」、そういった疑問が湧いてくるかもしれません。

そこにはつい信じてしまう、巧妙な仕掛けが張り巡らされています。どんな状況で、どんな警告画面が表示されるのかを次に説明します。

■「次ページへ」を押しただけで表示される警告画面

偽の警告画面が出るきっかけは、アダルトサイトを見ていたら……ということもありますが、普通のサイトでも起き得ます。広告をクリックしただけで表示されることがあるからです。

このような不審な広告には、押したくなるような言葉が書いてあります。例えば「次ページへ」とのリンクに見せかけた広告がそれだったことがあります。また、年末には「2024 年賀状 無料 イラスト」とGoogle検索して出てきたサイトを開くと、イラストはなく「クリックしてご覧ください」との広告が置かれていたこともありました(情報処理推進機構(IPA)「サポート詐欺の偽セキュリティ警告はどんなときに出るのか?」2024年3月8日更新)。

広告だとは思わず押しているので、「普通に閲覧していただけなのに、突然警告画面が表示された」と感じてしまいます。クリックする前に見抜くのは難しいと思った方がいいでしょう。ですが、安心してください。身を守る方法はあります。それは、警告画面の“ある特徴”に気づくことです。

■警告画面に電話番号があったら詐欺を疑え

どんな警告画面が現れるのかは、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)が実際の画面をYouTubeで公開していますので、これがわかりやすいでしょう。

情報処理推進機構(IPA)も例を紹介しています。

不審な広告をクリックすると、まるでパソコンに重大なトラブルが起きたかのような画面が表示されます。Windowsが出しているかのようなデザインの警告画面が次々現れ、不安をあおる音声が流れてきます。「ウイルスに感染しています」「銀行情報が盗まれています」「ハッキングされています」といった物々しい内容です。

場合によっては大音量でピーと鳴る、×ボタンを押してもウインドーが閉じないといったことも起きます。突然こんな画面が出てきたら、ドキッとする人も少なくないでしょう。

そして「データを守るためパソコンをロックしました。すぐにサポートに連絡してください」などと誘導してきます。画面には電話番号があり、あたかもマイクロソフトのサポート窓口かのように表示されています。チャット画面が出ることもあります。ここに連絡してしまえば相手の思うツボです。そう、ここに“詐欺見破りポイント”があるのです。

警告画面が出た段階では、実はパソコンには何も起きていません。ブラウザーを閉じさえすれば元に戻ります。つまり犯人は電話をかけてもらわないと、お金をだまし取れないのです。

ですので警告画面が出ても、掲載されている連絡先に電話しないことが最も重要となります。マイクロソフト社は自社サイトで「マイクロソフトのエラーメッセージと警告メッセージに、電話番号が記載されることはありません。」と明言しています(マイクロソフト「マイクロソフトのサポートを装った詐欺にご注意ください」2021年1月29日)。連絡先があること自体があやしいのです。

なお、警告画面の消し方は情報処理推進機構(IPA)のサイトにある説明がわかりやすいでしょう(IPA「サポート詐欺で表示される偽のセキュリティ警告画面の閉じ方」2023年11月15日更新)。同法人が運営する「情報セキュリティ安心相談窓口」でも技術的な相談にのってくれます。

■電話をすると遠隔操作ソフトをインストールさせられる

では、警告に従い電話をすると何が起きるのでしょうか。マイクロソフトのスタッフなど、それっぽい肩書を名乗る人物が出てきます。「パソコンを確認する」などと説明し、遠隔操作ソフトをインストールさせられます。相手はカタコトの日本語だったりするので、コミュニケーションが取りづらいまま、あれよあれよと誘導されてしまいます。

こちらもJC3が、実際に詐欺サイトにだまされてみたとの動画を公開しているので、見れば、よりリアルに理解できるでしょう。

最終的にはサポート料金を請求されます。ここで2022年10月頃から見られるようになったのが、冒頭で紹介したようなインターネットバンキングを悪用した手口です。

そのほか「Google Playカード」「iTunesカード」といったギフトカードや、マルチメディア端末を操作するタイプのプリペイド型電子マネーで支払いを求められるケースも依然多く見られます。「コンビニに行け」と言われたら、あやしいと思った方がいいでしょう。

■犯人がつけ込んでいるのは「ネットへの不安」

サポート詐欺は、どんな人がだまされているのでしょうか。パソコンをよく使う人だと思うかもしれません。ですが、実際のところ相談事例の53%が70歳以上です。

60~79歳の人のうち8割を超える人がインターネットに不安を感じているとの統計もあります(総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」2023年5月29日)。結局のところ、元からある不安につけ込んでいるのです。

パソコンに詳しくない人ほど、「ハッキングされている」「クレジットカード情報が漏えいしている」などと言われれば焦ってしまうでしょう。けれども、不安をあおるのは詐欺の常とう手段。冷静に対処してほしいのです。

支払ってしまった場合でも、相手がお金を引き出す前に対処すれば戻ってくることがあります。ですが、難しいケースも多いのです。警告画面が出たときには、家族や友人、消費者ホットライン「188(いやや!)」、警察相談専用電話「#9110」に相談するなどして落ち着いてください。画面に出ている電話番号を信用しないことが、なによりも大切です。

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高橋 ホイコ(たかはし・ほいこ)
ライター
元国民生活センター職員。在職中は商品テスト、相談情報データベース(PIO-NET)、ホームページを通じた広報活動の業務に従事。現在はフリーライターとしてウェブメディアを中心に活動中。

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(ライター 高橋 ホイコ)

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