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自分のリソースを削られるだけで大損する…副業のプロが「絶対やめたほうがいい」と断言する副業5選

プレジデントオンライン / 2024年6月4日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/visualspace

企業の副業容認率が上昇しているが、いざ副業を始めたものの、思い通りにいかなかったという声も少なくない。副業にくわしい藤井孝一さんは「副業には絶対にやめたほうがいいものがある。始める前にそれを知っておいたほうがいい」という――。

■なぜ副業への関心が高まっているのか

コロナ禍でリモートワークが増えて、時間や場所の制約がなくなったことから、空いた時間をうまく使って副業したい人が増えています。また2018年に、国をあげて副業を増やしていこうという方向になり、それを受けて企業側も制度が改善したことから、副業がしやすくなりました。

実際、パーソル総合研究所の調査(図表1)によると、企業の副業容認率は、21年の55.0%から23年は60.9%と上昇しています。

さらに顧客側の意識の変化もあります。個人であれば、対面せずオンラインでサービスを受けて、それに対してお金を支払うことへの抵抗がなくなっていますし、企業としても、プロジェクトの一部分を、外部の専門家に単発で発注することが増えています。

たとえばプログラミングやデザイン、ウェブマーケティング、イラスト、ライティング、翻訳などです。

企業としても働き方改革などで、なかなか残業させられないので、外部の人材にお金を払ってでもお願いしようという動きもあり、そういった面からも副業をしやすくなっているという印象は強いですね。

副業を希望する人と副業する人を求めるマッチングサービス市場も拡大しています。今後さらに普及していくと、ますます手軽に利用する人が増えるでしょう。副業に対するハードルは確実に低くなっているといえます。

【図表1】企業の副業容認率と副業受け入れ率
出典=パーソル総合研究所「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」

■副業で絶対にやってはいけないこと

一方、副業を行うにあたり、絶対にやってはいけないことがあります。主に次の5つがあります。

(1) 会社の信頼を失うようなこと

そもそも副業は、本業があるのでリスクはありませんが、唯一のリスクは本業がなくなってしまうこと。そう考えると、いちばんやってはいけないのは、本業の会社の信頼を失うようなことです。まず会社の就業規則に違反する副業はしてはいけません。

昔は、ほとんどの会社の就業規則は「副業禁止」の一本でしたが、今は条件つきで副業を認める会社が増えています。就業時間中にやってはいけない、本業とバッティングするものはやってはいけない、危険なことはやってはいけない……、会社によってルールがきめ細かく決まっているので、まずルールを確認し、それに違反するようなことはやらないということです。

また本業に支障が出ることも、会社との信頼関係を損ねます。たとえば夜中に作業して、寝不足になってリモート会議中に居眠りをする、リモート会議中にこっそり副業の仕事をする、さらに問題になるのは、会社の情報を持ち出すといったことです。そういう問題は少なからずあり、企業側としても、その管理について真剣に取り組んでいるようです。

いずれも副業をしながら本業の会社との関係をしっかり維持していく。本業を裏切らないことは何よりも大切です。

(2) 時間の切り売り

時間や体力、気力など自分の持っているリソースを削られると、本業に支障が出ます。つまり時間の切り売りをするなということですね。

昔の副業でいうと、居酒屋の店員や工事現場の交通整理といったアルバイトが一般的でしたが、今は食事の宅配などが人気。確かにてっとり早く稼げますが、時間もとられるし、疲れるし、実はわりに合わない。これから宅配事業で起業しようという人以外は、おすすめできません。

(3) 次につながらないこと

食事の宅配もそうですが、マッチングサービスによくある、翻訳やライティングなど単発の仕事も、時間の切り売りになります。こういった切り売りは、いくらやっても単価が大きく上がるわけでもありません。次につながるわけでもない仕事は、あまりやるべきではないでしょう。

ただし、それをたくさんこなすことで実績ができて、かつ自分のスキルがアップされたら、次につながります。それならば最初の段階で、時間の切り売りも、ある程度必要になると割り切ってやるのも作戦の一つです。

私の知り合いでコンサルタントとして活躍されている人がいます。その人も最初はコンサルタント事務所で資料づくりやおつかいなど、ずっと時間の切り売りのようなことをしていましたが結局、そこで経験したことを生かして独立しました。そういう形であれば、時間の切り売りもOKということです。

(4) 本業との相乗効果のないもの

副業を行う以上、本業に生かせることを行うのが重要です。たとえば副業としてセミナー講師をしている人の中に、プレゼンスキルがどんどん磨かれて、本業にもそれが生かされて、営業成績が上がったという人もいます。

そういった相乗効果が生まれると、時間効率が格段によくなります。反対に相乗効果が生まれないものには、慎重に取り組むべきだということです。

(5) 自分に適性のないもの、嫌いなこと

もうかるからと人気の食事の配達やフリマサイトの転売、動画編集などは、適性や好みに大いによります。適性があれば楽しく効率的にできるけれど、適性がないと、やたら時間がかかる。まさに自分のリソースを削ってしまうことになるので、やらないほうがよいでしょう。

たとえば筋トレが趣味で、引っ越しのアルバイトをしている人がいます。筋トレになるからといった理由でやるのはよいと思いますが、大して体力に自信もないのにやると疲弊するだけです。自分のことを知ることは、すごく大切です。

■手っ取り早いのは本業関連の副業

では、どんな副業ならやってもいいのか。

私は20年以上前から、どうせ副業をするなら、趣味や特技など本業以外のことをしましょうと、ずっと言ってきました。しかし長く指導していると、やはり本業関連がいちばん手っ取り早い。趣味や特技では、それなりにスキルがないと、なかなかビジネスとして成り立ちません。

その点、本業でやっていることは、もともとビジネスでやっていることですから、お金のとれるレベルにはあります。会社の守秘義務や業務のバッティングなどに気をつける必要はありますが、そこさえうまくクリアできれば、やはり本業をうまく生かすのが、いちばん効率的でしょう。

そのためには、まず本業を見直してみる。自分の持っているスキルを、自社以外で役立てられるところはないか、と発想を変えることです。私に相談される方も皆さん「自分はあまりキャリアがない」「自分の会社の仕事はよそで応用がきかない」とおっしゃいますが、よくよく話を聞いてみると、そんなことはありません。

プログラミングの仕事をする人
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

■自分の立ち位置を変えると意外に高く評価される

たいていの人は限られたコミュニティにいるので、つい自分のことを過小評価しがちです。でも世の中は広いので、たとえば大企業の人が中小企業に目を向ける、都会で働く人が地方に目を向けるといった形で、自分の立ち位置を変えると、意外に高く評価されて、びっくりするようなお金になることがあるのです。

ある大手住宅メーカーの営業の人が、中小企業に目を向けて成功した事例をご紹介しましょう。その方は営業成績もいいのに、自分なんて外部に評価されるレベルではないです、とおっしゃる。でも大手住宅メーカーの営業の人のスキルは、その会社でナンバー10に入らなくても、業界全体で見ると相当高いレベルにあります。そこで、その方は営業コンサルタントとして中小企業向けに、そのノウハウを伝える講師としてセミナーを行ったら大盛況。非常に成功しました。

また地方に目を向けて成功した事例もあります。都心で大手メーカーのリサーチャーをしている人が、実家のある町の地域おこし事業に呼ばれて、自分のリサーチングスキルを生かして集客の提案をしたら、すごく喜ばれたと。それで今は、地域おこしのリサーチャーとして、他の地域でも活躍しています。

■副業で旬のテーマは「地方創生」

ちなみに、この地方創生は旬のテーマです。パーソル総合研究所の調査でも、地方企業の65.1%が人手不足に陥っていると発表しています。一方、地方での副業に関心を抱いている正社員は55.3%、地方出身者のふるさと副業の関心度は69.6%と非常に高い。

首都圏の人材と地方の仕事をマッチングするサイトも盛り上がっています。成功事例もたくさん出ていますので、興味のある人はチェックしてみるといいですね。

結局、多くの人が本業を生かせないと思っているのは、自分の仕事を「業種」でとらえているから。業種ではなく「職種」でとらえると、自分の生かし方が広がってきます。先ほどの住宅メーカーの人も自社の製品以外、売るものはないと思っていましたが、「ものを売るスキル」に着目すれば、住宅でなくても、いろいろなものに応用できるのです。

また人脈を生かすと、同業でなくても活躍できるケースがあります。印刷会社に勤めている人の話です。本業では、ひたすら印刷をしているけれど、いざ副業といっても、印刷の機械も持っていないし、印刷会社を起業するわけにもいかない。でも出版社とのお付き合いがけっこうあることに気づいて、出版コンサルタントとして活躍されています。

業種ではなく、職種としてとらえる。そして、自分が何をやっているのかというところまで落とし込んで棚卸しすると、できることが見えてくるでしょう。

■コーチングで月何十万も稼いでいる女性も

女性の成功例として多いのが「コーチング」です。コーチングとは、相手に質問を投げかけながらモチベーションを上げていくもの。性差は関係ないとはいえ、女性は話を聞くのがうまい人が多いからでしょうか。プロコーチとして成功している女性は、非常に多いです。

最初はスキルアップのつもりでコーチングを学び始め、それを身に付けると、仕事で悩んでいる人などの個人の専属コーチとなって、月に3万~5万円という報酬をもらう。だんだん実績を上げて、月に何十万と稼いでいる人もいます。

コーチングのメリットは、顧客が現役のビジネスパーソンということ。活動時間が働いている自分と似ていて、コーチングをするのは、夜や週末など就業時間以外に集中するので、副業としては、すごくやりやすい。リモートでコーチングする人も増えていますね。

■プログラミングやウェブマーケティングの人気が高い

また単発になりますが、デザイン、ライティング、翻訳などの仕事をこなして、副業として一定の収入を積み上げている女性も多いですね。

副業にあたり資格の有無は、関係ありませんが、一定のお金を払い、一定のカリキュラムをこなせば、体系的に学べて、スキルが身につくという意味では、資格取得はおすすめです。

私自身、経営コンサルタントの資格として人気の中小企業診断士を持っていますが、その資格がないとできないわけではありません。ただ私のように、もともと金融系の会社にいて、コンサルタントの経験も全くないような人間が、体系的に学ぶには資格をとるしかなかった。それで独立したので、資格はとってよかったですね。

今は、プログラミングやウェブマーケティング、ライティングなどの資格も人気があります。特にプログラミングやウェブマーケティングは、地方企業だと人材を求めているので、このスキルのある人は引き合いが強いでしょう。地方の特産品をインターネットで国内外に売りたい、これらを売るアプリをつくりたい、この手の仕事に携わっている人に手伝ってほしいというニーズは、すごく多いです。またリモートにも向いている仕事です。

今はどこの会社も既存の業務で既存の人材は回っています。プラスアルファで何かやろうと思ったら人を雇うしかない。でも、その余裕がなかなかないとなると、単発でそういうスキルを持った人にお願いしたいという発想になりますよね。

■力を入れるべきはプロフィール

いざ副業を始めようとマッチングサイトに登録するときは、プロフィールづくりには力を入れましょう。仕事を依頼する側が、まず見るのは実績です。ですから自分の経験や特技など、持っているスキルをしっかりと表現すること。プロフィールをしっかりと書きつつ、さらにこのプロフィールを充実させるつもりで、どんどん数をこなしていくと、さらにプロフィールがバージョンアップされます。

最初のうちは実績づくりを目的に、多少安くても受けるというのは、戦略的にあるだろうと思います。

副業からいずれ起業を目指すべきか。私自身、起業人を増やすことをミッションに仕事をしていますので、一人でも多くの人に副業から起業してもらいたいという思いはありますが、起業はその人の適正もありますので、起業するかどうかは家族の理解やライフプラン次第といえます。

ただし誰もが、いつなんどきクビになるかわからないし、いずれ定年退職を迎えても年金がもらえるまで働かなければいけないことになるかもしれません。実は今は誰もが起業に備えておかなければならない時代なのです。そう考えると、いつでも起業できるように準備しておくために副業を意識するとよいでしょう。その際は、先述した5つの「やってはいけない」に、くれぐれも注意しましょう。

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藤井 孝一(ふじい・こういち)
経営コンサルタント
中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。

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(経営コンサルタント 藤井 孝一 構成=池田純子)

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