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医師が断言「老け顔は早死のサイン」…頭髪、耳たぶ、まぶたなど"見た目"で心臓疾患やがんリスクが全然違う

プレジデントオンライン / 2024年6月18日 17時15分

南雲吉則 Yoshinori Nagumo 1955年生まれ。東京慈恵医科大学卒業、東京女子医科大学病院形成外科、癌研究会付属病院外科、東京慈恵医科大学第一外科乳腺外来医長を経て、乳房専門のナグモクリニックを開業。『20歳若く見えるために私が実践している100の習慣』(中経出版)など、ベストセラー多数。

■体の中が老けることで見た目が老けていく

初めに伝えたいことは「老け顔は早死にする」ということです。見た目が老けている人は寿命も短いのです。

デンマークの首都コペンハーゲンで1975年から2011年にかけて行われた「コペンハーゲンシティ・ハート・スタディ」という研究は、どのような生活因子が死亡率と関係しているのかを調べたものです。その結果、「老け顔」の人は、さまざまな病気のリスクが高いことがわかったのです。

例えば心筋梗塞のリスクは57%も上昇していて、心臓病のリスクも39%上昇していました。では、具体的にどのような見た目の人が心臓病などのリスクが高くなるのか。それもいくつかの指標が出ています。

1つ目の指標は、前頭部脱毛および頭頂部脱毛。つまりハゲのことです。おでこがハゲている人は40%、頭頂部がハゲている人は14%、それぞれ心臓病発症のリスクが上昇していました。

なお、ハゲと病気のリスクに関する研究はこの研究以外にも行われています。40歳以下のインド人男性を対象に、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈心疾患の患者790人と健常人1270人を対象に比較した研究によれば、ハゲの男性は心臓疾患のリスクが5.6倍にもなることがわかりました。

このほかにも06年から08年にかけて1100人の前立腺がん患者(そのうち約600人が進行がん)を対象に行われた研究では、ハゲの男性はそうでない男性に比べて前立腺の進行がんの発症確率が39%高いことがわかったのです。

ほかにも外見的に老けて見えることが、そのまま早死にに直結することがいくつかあります。日本人にはあまり多くありませんが、高齢者で鼻の付け根に近い部分のまぶたがぷっくり膨れている人がいます。これは眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)と言って、脂肪の塊がまぶたの内側に溜まっている状態です。これがある人は心筋梗塞のリスクが1.48倍、狭心症など、その他の虚血性心疾患のリスクが1.39倍になるという結果があります。

あなたを老けさせる「3大害悪」

■「福耳」は不調のサインかも

さらに、耳たぶの特徴と早死にも関係があるという研究もあります。よく、高齢者になると耳たぶがたれてきて、さらに耳たぶに深いシワがある人がいます。これも非常に危険な兆候です。

耳たぶが大きいと「福耳」だと言って縁起がいいと考えるかもしれませんが、残念ながら医学的にはそうではありません。耳たぶにできた深いシワは「フランク徴候」と呼ばれ、心臓病や動脈硬化などのサインとされています。その的中率はかなり高く、シカゴ大学が実施した調査では、心筋梗塞患者の73%にフランク徴候が見られました。

また、タバコを吸っている人に特有の「スモーカーズフェイス」があります。タバコを吸っている人は肌のハリがなくなってくすみが目立ち、毛穴が開いたり、ほうれい線や口元のシワが増えたりなど、さまざまな兆候が表れます。これは間違いなく見た目を老けさせていますし、実際に寿命も短くなります。

タバコには4000種類以上の化学物質が含まれています。うち200種類以上が有害物質で、発がん性物質も50種類以上あるとされています。吸う度にそれらが血流に乗って全身を巡ります。有害物質は血管の内皮細胞を傷つけますが、傷がついたところにはかさぶたができます。そのかさぶたが血管を硬くして動脈硬化を招くのです。

さらに、人間の体は傷ついた部分を修復しようとしますから、かさぶたを作っているエラスチンという弾力繊維を溶かして血管の詰まりをなくすための酵素が出てきます。ところがエラスチンがあるのは血管だけではなく、肺にもあります。肺のエラスチンを分解してしまったら、肺は伸び縮みができなくなって広がりっぱなしになり、呼吸ができなくなります。これが肺気腫と呼ばれる病気です。肺気腫はそのほとんどが喫煙によって起こるとされているので、スモーカーズフェイスの人はやはりそうでない人に比べて寿命が短いと言えるでしょう。

このように外見が老けて見える人は、実際に寿命も短いことがわかっています。つまり、見た目のアンチエイジングに取り組むことは、健康寿命を延ばすことにもつながると言えるわけです。

老け顔は「早死に」のサインである

■紫外線による悪影響は白人と日本人では違う

きれいな肌を保とうと、紫外線対策として日焼け止めを塗っている人は多いと思います。しかし、これは大きな誤解です。紫外線は肌にとって決して悪者ではないからです。

もともと、紫外線予防のキャンペーンが始まったきっかけは80年代にまで遡ります。82年に南極観測隊に参加していた日本人の気象庁の隊員が上空オゾンの急減を発見したことから、以降皮膚がんをはじめとする紫外線による健康の悪影響に関心が高まり、紫外線を避ける風潮が強くなりました。

紫外線予防キャンペーンの一番の目的は、皮膚がんを防ぐことでした。しかし、紫外線を浴びるから皮膚がんになるわけではありません。たしかに白人はメラニン色素が少ないため、皮膚がんを発症するリスクが高いと言われています。

一方で日本人の皮膚がんの発症率は、皮膚がんの発症リスクが高いとされているオーストラリア人の100分の1にすぎないのです。しかも、全世界の皮膚がん発症率を見ると、必ずしも紫外線の強い赤道に近い国々が高いとは言い切れません。

さらに言えば、皮膚がんのうち日本人にもっとも多いのは基底細胞がんですが、このがんはほかの臓器に転移することはほとんどなく、命に関わるものではありません。命に関わる皮膚がんはメラノーマ、別名「悪性黒色腫」です。メラノーマは日光に当たることがない足の裏や足の爪に発生するがんで紫外線とは無関係です。

皮膚がんに関する誤解と同様に、紫外線による日焼けがシミやしわをつくるというのもウソです。長年にわたって紫外線を浴び続けていると、露出していることが多い顔や首、手の甲などにサンタンと呼ばれる皮膚の色が濃くなる現象が起きて、皮膚が変化します。また「光老化」と言って、同じく長期間の紫外線暴露によって皮膚の弾力性を保っているコラーゲンやエラスチンという弾性繊維が減少し、シミや深いしわをつくると言われています。

しかし、中年以降の女性に多かれ少なかれできる「肝斑(かんぱん)」と呼ばれるシミを見てみると、おかしな点に気がつきます。もしも、紫外線がシミの原因であるならば、紫外線をもっとも浴びている額や鼻にシミが多くできるはずです。ところが、実際には肝斑など女性の顔のシミの多くは、頬骨のところや目尻とこめかみの間にできているからです。

頬骨の部分は、骨があることで皮膚が下から押されると同時に、洗顔のときにもっとも擦られる場所になります。つまり、シミの原因は紫外線ではなく皮膚の擦りすぎにあるとも考えられるのです。

■日焼け止めを捨てて徐々に紫外線を浴びる

紫外線は若々しい肌の敵ではありません。それよりもむしろ、日焼け止めのほうがはるかに肌に有害です。日焼け止めは海洋汚染やサンゴ礁の破壊など環境への影響も問題視されていて、一部の国ではケミカルな日焼け止めの販売が規制されていることもあるほどです。

日焼け止めにはよくウオータープルーフと表記されていて、水に入っても落ちないことが宣伝文句として謳われています。しかし、水に入っても落ちないということは、家に帰ってただ顔を洗っただけでは落ちにくいということです。

肌のことを考えれば今すぐ日焼け止めを使うのをやめて、むしろ積極的に紫外線を浴びるのがベストです。もちろん、普段紫外線を浴びていない人がいきなり真夏の日差しで焼いたら、サンバーンと呼ばれる皮膚の火傷になってしまいますし、熱中症のリスクもあります。

しかし、秋や冬にかけて、もしくは真夏であっても早朝や夕方であれば、いくら紫外線を浴びても火傷にはなりません。なぜなら、少しずつ紫外線を浴びて慣れておくことで、皮膚の表面に保護膜ができてバリア機能が働くからです。つまり、紫外線対策は日焼け止めを塗ることではなく、普段から意識して紫外線を浴びることなのです。

日焼け止めをしっかり落とすには、化粧落としのフェイシャルソープを使う必要が出てきますが、これも避けてほしいです。多くの場合「ラウレス硫酸ナトリウム」という成分が入っていて、これは食器洗い用の洗剤と同一の界面活性剤の一種だからです。当然のことながら肌への影響も深刻です。食器洗い洗剤を使うと手が荒れてしまう人もいるかと思いますが、それで顔をゴシゴシと洗っているのですから、頬にシミができても当然なのです。

また、ラウレス硫酸ナトリウムは、フェイシャルソープ以外にもボディソープやハンドソープ、シャンプーなどにも入っています。これらは洗浄能力が高すぎて、かえって肌の環境を荒らしてしまいます。そのため、私はボディソープやフェイシャルソープなどは一切使わず、全身を純石けんで洗っています。

純石けんというのは、昔ながらの固形石けんのことです。これで体も髪も全身洗うことができますし、ほどよい洗浄能力なので肌を荒らしてしまうことにはなりません。

肌を若返らせる4つの生活習慣

■加齢臭と嫌な体臭の原因は重曹風呂で分解できる

肌をきれいに保つと同時に、臭いについても意識したほうがいいでしょう。いくら見た目が若くても、加齢臭や体臭が強いと周囲に不快感を与えかねません。加齢臭や体臭の原因は皮膚の表面にある脂です。ただし、皮膚から出てきた脂そのものに臭いはありません。腋臭(わきが)の人であっても、脂そのものは臭わないはずなのです。

では、どんなときに臭うのか。それは脂が皮膚の表面の細菌によって分解されたときです。脂がグリセリンと脂肪酸に分けられ、さらに脂肪酸が酵素によってどんどん分解されていくと、やがてカメムシのような臭いになるのです。

しかし、この臭いを何とかしようとナイロンタオルとボディソープでゴシゴシと洗いすぎるとかえって逆効果です。強く擦りすぎると肌の保護膜がなくなり、細菌が繁殖して細菌性の皮膚炎や乾燥性の皮膚炎になってしまうからです。やはり、ボディソープなどは使わずに純石けんで優しく洗い流す程度にとどめるほうがいいでしょう。

もう一つ、加齢臭や体臭対策には重曹風呂が効果的です。入浴時にキャップ1杯ほどの重曹を湯船に入れて溶かします。すると、重曹と皮膚の脂が結びつくのです。重曹は他の物質と結びつくときに、ナトリウムを相手に渡す働きをします。よって、浴槽の中で脂肪酸ナトリウムができあがります。

脂肪酸ナトリウムとは、弱アルカリ性の石けんのこと。つまり、重曹を入れた風呂に入ると、肌の表面に天然の石けんの膜ができるのです。重曹風呂で細菌の繁殖を防ぎつつ、加齢臭も防止しましょう。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年6月14日号)の一部を再編集したものです。

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南雲 吉則(なぐも・よしのり)
医学博士 乳腺専門医/ナグモクリニック総院長
1955年生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京女子医科大学病院、東京慈恵会医科大学附属病院を経て、ナグモクリニックを開業。著書に『「空腹」が人を健康にする』など。2019年、鎌倉・稲村ヶ崎に自らがプロデュースする「日本料理 吟」をオープン。

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(医学博士 乳腺専門医/ナグモクリニック総院長 南雲 吉則 構成=横井かずえ 撮影=藤中一平)

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