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自分は何者にもなれていないのにZ世代に忠告する…「妙に説教くさい30代」の頭の中で起きていること

プレジデントオンライン / 2024年6月9日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/playb

自分は成果を出していないのに若手に忠告をする人がいる。一体なぜなのか。2022年に韓国で最も売れた自己啓発書『逆行者』の著者であるジャチョンさんは「自意識を守ってばかりで何の挑戦もしない『自意識ゾンビ』になっている。まずは自意識を解体することが重要だ」という――。

※本稿は、ジャチョン著、藤田麗子訳『逆行者 お金 時間 運命から解放される、人生戦略』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

■ネット記事にコメントする「自意識ゾンビ」たち

「ビル・ゲイツ? ただ単に運がよかっただけでしょ。プログラムを一つ作って、億万長者になったんだから」
「iPhoneを作ったのはスティーブ・ジョブズじゃないよね。ジョブズは、真の天才のウォズニアックに便乗しただけだよ」
「ウォーレン・バフェットが慈善家だって褒め称えられてる理由が理解できない。あの人は株で儲けただけじゃないの? ただの投資家じゃん」

誰が書いた文章なのか? ネイバーニュースの記事についたコメントだ。お金に関するインターネット記事のコメント欄には、決まってこんな意見が上位に並んでいる。こんなコメントをする人は「自意識ゾンビ」といえる。自意識を守ってばかりで、何の挑戦もしない。ベッドの上でコメントを書き込み、社会的に大きな成果を上げた人をこきおろして満足する。ネズミがエサの出てくるボタンを押すように、彼らは自意識を傷つける優れた存在を見つけると、反射的にけなそうとする。ゾンビと変わらない。フェンスの中にいるニワトリと変わらない。あなたがもし自由を求めていないなら、こんな人生のままでもいいだろう。しかし、自由を手にしたいという気持ちがあるなら、自意識ゾンビから脱しなくてはならない。

■不幸や貧困の多くは「自分を愛しすぎている」せいで発生する

自意識はすさまじい。少なくとも数十万年を人類と共に歩んできた、しぶとい本能だ。僕たちの遺伝子は自意識をふくらませる。そのうえ現代社会においては、我が子をちやほや育てる親、他人の関心を集めるためのSNSによって、ただでさえ大きな自意識がどんどん肥大化していく。

自意識を満足させれば、一時的には幸せになれるかもしれない。しかし、いつかは失墜する。物事が間違った方向に進み、人が離れていく。性格がおかしくなるだけではない。自分を客観的に見ることができず、人生につまずいて貧困に陥ることになる。安山で暮らしていた頃の僕、ジヘに嫉妬したギョウォン、ネイバーニュースにコメントを書き込む彼らのように、不幸を呼び寄せてしまう。順理者(遺伝子、無意識、自意識の操り人形として、生まれ持った運命に従って生きる人々)の人生だ。

不幸や貧困の多くは「自分を愛しすぎている」せいで発生する。自意識は人間を大きく成長させる原動力でありつつ、人生を不幸と貧困に陥れる主犯だ。周囲を見てみよう。

幼い頃はとても優秀で、いい大学を出ていても、数百冊の本を読んでいても、不思議なくらい何も果たせていない人がいる。そんな人をそばでよく観察すると、たいていは自意識に縛られて、もどかしいほど意固地になっている。彼らは持って生まれた才能を伸ばすことができずに退化する。誰かに耳の痛いことを言われたときの言い訳も常に用意している。親が、時代が、適性が、好みが、健康状態がよくないからだと言う。誰もが知っている真の原因から、本人は目をそらしている。

■まだ30代なのに説教くさい人は「自意識ゾンビ」である

こんなことが気になっている人もいるだろう。「年を取ると、どうして説教くさくなったり、空気が読めなくなるのか?」。もちろん老化も一つの原因だろうが、まだ30代なのに説教くさい人も少なくない。何も成し遂げられないまま、自分より若いMZ世代に忠告ばかりしている人がいる。これは老化の問題ではなく、「自意識ゾンビ」になっているせいだ。

彼らは20~30代の間ずっと、自意識ゾンビとしてあらゆる情報をはねのけながら、自意識を守って生きてきた。その結果、自分は優秀だったと考えて、世の中を否定する。自分を傷つけた情報からは目をそらしているが、この傷は無意識の中に積もっていく。表向きは堂々としていても、内面は腐っていて、誰でもいいから自分を認めてほしいと願っている。

そのため、自分より若い人に“忠告”をすることによって、自分が優れた人間であることを示そうとする。いつも世間を否定しているから、若者に忠告をして優越感を抱く。これまでの人生で負った傷を癒すために、相手の感情を無視して、自尊感情を満たすのだ。

調査と尋問の概念
写真=iStock.com/Atstock Productions
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Atstock Productions

■自意識を解体する3ステップ

自意識解体の重要性がわかったら、実践に移ろう。

誰かに会って理由もなく居心地の悪い感情が芽生えたとき、僕はまず「自意識解体」という言葉を機械的に思い浮かべる。そして、この不快な感情はどこから来たものなのか、どんな劣等感が刺激されたのかを考える。こうした「探索」が自意識解体のステップ1だ。

この探索には驚くべき効果がある。肥大化した自我から、一定の距離を置くことができる。嫉妬し、腹を立て、疑う幼稚な自分の姿を落ち着いて見つめられるようになる。すると、自分の傷、誤った攻撃性、ゆがんだ思考がある程度見えてくる。新しいことを受け入れる余裕が生まれる。

ステップ2は「認知」だ。

「あの人を見ると、なぜイヤな気分になるんだろう? 嫉妬しているのかもしれない。嫉妬は学びを邪魔するから、いったん自分の感情を認めて、相手のいいところを吸収しよう」
「僕はどうしてモテないんだろう? 魅力がないんだろうな。魅力がないなら、高めていけばいいや」
「お金の話をする人を見ると、なんだか不快だし、反感を抱いてしまう。充実した人生を送るには、お金があることが必須条件の一つなのに。お金に関して自分に自信がないから、目をそらそうとしていたみたいだ。これから何をすべきだろうか?」

■最後はポジティブ思考に切り替える「転換」が必要

最初は少し気恥ずかしくて抵抗があるが、何度かやっているうちにおもしろくなる。誰かに初めて会ったときに理由もなく傷つくのは、自意識が刺激されたからかもしれない(たとえば、ずっと手にしたかったけれどあきらめたものを相手が持っている、自分より魅力にあふれている、自分が必死で否定してきたものを持っている、など)。

ジャチョン著、藤田麗子訳『逆行者 お金 時間 運命から解放される、人生戦略』(CCCメディアハウス)
ジャチョン著、藤田麗子訳『逆行者 お金 時間 運命から解放される、人生戦略』(CCCメディアハウス)

だとしたら、あなたの内面は自我を守るためにさまざまな対応の準備を始める(争うべきか、逃げるべきか、激高すべきか、など)。自意識解体はこの段階に進まないための努力なのだ。自意識から一歩離れて、自分を客観的に見られるようになる。

最後のステップ3は「転換」だ。探索と認知によって自分の感情を理解して認めた後は、それをポジティブ思考に切り替えなくてはならない。以上をまとめると次のようになる。

探索:自分の気持ちの変化をじっくり観察し、その感情がどこから出てきたのかを考える。
認知:気持ちの変化の理由を客観的にとらえ、現在の自分の境遇と比較して、認めるべき点は素直に認める。
転換:認知によって劣等感を解消し、これを変化のきっかけにするためのアクションプランを練る。

■自意識を解体すれば意志決定力も高まる

探索、認知、転換はどんなふうに行うのか? 例を見ていこう。

【実践1】

探索:どうしてあの人の動画を見るとイヤな気分になって、うさんくさいと思ってしまうんだろう?
実践:あっ、自意識のせいで相手を否定しようとしていたみたいだ。でも、あの年齢であんな成功を収めたのなら、見習う点が必ずある。合わないところもあるかもしれないけど、とりあえず学ぶべきところは学ぼう。
転換:動画を見るのは不快だけど、それでも最後まで話を聞いてみよう。学ぶべき点は学んで、実践できることは試してみよう。

【実践2】

探索:女にモテるあいつを見ると、「女を食い物にする遊び人に決まってる」と思ってしまうのはなぜだろう。
実践:自意識のせいで相手に嫉妬して、劣等感が芽生えたんだな。異性に好かれる魅力はどこにあるのか? 観察してみよう。
転換:あんな奇抜な行動をとるなんて。ああいうところが魅力の秘密なんだな。一つ勉強になった。敵対視するんじゃなくて、友達として仲よく過ごしてみよう。

自意識解体はメンタルを強くするだけでなく、学習能力を大きく向上させ、意思決定力を高めてくれる。僕が最初に自意識解体について話した理由は簡単だ。これができなければ、これからお話しするどんなことも実現できないからだ。心にバリアを張っている人に、僕の話がまっすぐ届くはずがない。腕組みをして鼻で笑う準備をしている人に話を聞いてもらえるだろうか。新しいことを受け入れるには警戒心をやわらげる必要がある。自意識が強まっている状態ならなおさらだ。

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ジャチョン インフルエンサー
韓国のインフルエンサー、起業家(マーケティング会社社長)、ライフハッカー。1987年生まれ。2019年にYouTubeチャンネル開設、2022年著書『逆行者』を刊行し、韓国では「逆行者」シンドロームを引き起こすほどのベストセラーに。

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(インフルエンサー ジャチョン)

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