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小遣いと別に「スタバ代と便秘予防代で月2万4000円請求」高2娘の言いなりの親を待ち受ける致命的家計崩壊

プレジデントオンライン / 2024年6月2日 10時15分

「収入が低いから貯まらない」と嘆く妻、「使っているから貯まらない」と主張する夫。意見相違が埋まらない共働きのアラフィフ夫婦には2人の子供がいる。家計再生コンサルタントでFPの横山光昭さんが家計をチェックしたところ、住宅ローン返済などもある中で“子供ファースト”に両親の姿勢に問題があることがわかった――。

■突然の収入減で家計大ピンチ! だが蓋を開けてみると…

今回は、「突然の収入減」を機に、家計相談に来られた4人家族のケースをご紹介。清瀬コウジさん(仮名・51歳)は、インフラ企業に勤める正社員。雇用や給料は定年まで安定していて、月の手取りは残業代や諸手当込みで41万円でした。このまま順調に65歳まで働き続けるはずでしたが、1年前の5月にうつ病を発症し、休職することに。ただ、有休を消化した後の収入は大きく下がり、傷病手当金でその額わずか19万円。これまでの半分以下です。

「この先どうなるのか」と不安を抱えて夫婦で相談に来られました。休職までの経緯を話した後、月5万円のパート収入のある妻のカヨさん(48歳)はこう話しました。

「収入が激減して、この先やっていけるのか不安です。夫はいわゆる“準公務員”で安定している職業だから、家計は安泰だと思っていたのに……。『じゃあ君が働けばいい』と言われそうですが、私は小学1年生の長男の世話があるのでパートはお昼過ぎまでしかできず、収入を増やす手段はありません。貯金もしたいのに、一体どうしたらよいのでしょうか」

途方に暮れるカヨさん。しかし、その横でコウジさんがボソっと一言。

「収入が減ったから貯められないんじゃなくて、お金を使っているから貯められないのでは……」

実は、こうした意見の相違は“あるある”です。お金が貯められないのを、妻は「収入が下がったから」、あるいは「収入が低いから」「収入に波があるから」というように収入が原因と捉える。片や、夫は「妻や子の使い方がゆるいから」と考える。

私ならば、こう考えます。収入の多寡にかかわらず、支出がその家計に合っているか。要は、家族の人数に応じた、収入と支出の比率が、貯金額を左右するのだと。

そこで、清瀬家の収支を把握するため、支出を“見える化”してもらい、表を提出してもらいました。

すると、大きな問題点が見えてきました。

清瀬家は、高校2年生の長女と小学1年生の長男との4人暮らしで、夫が休職する前の夫婦の手取りの月収が46万円なのに対し、支出は51万1000円。月5万1000円の赤字です。年200万円のボーナスは、住宅ローンのボーナス払いと、毎月の赤字分の補填でほぼ消えるため、貯まりません。加えて、夫の休職で月収19万円となったことで、妻のパート代を含めても計24万円しかありません(表の「BEFORE」)。月の赤字は27万円を超えてしまいす。

もうお分かりですね。これは「収入が減ったから」以前の問題です。清瀬家は、家計簿をつけていなかったため、特にカヨさんは「収入が減った」ことしか問題が見えていなかったのです。

コウジさんの肩を持つわけではないですが、やはり「収入か支出か」でいうと、支出の適正化を図った上で、収入を増やす作戦を取る方が、ライフスタイルの変化を最小限にとどめられるうえ、継続して貯められやすいと思います。

■子供ファーストなお金の使い方は後々ひびく

家計の内訳を見ていくと、もう一つ大きな“家族の問題点”が見えてきました。

食費が一家4人で月12万円もかかっていたのです。食べ盛りの男子が何人もいるわけでもないのに、なぜこれだけかかるのか。聞くと、本来ならば本人のお小遣いやアルバイト代から出すべき長女の交際費(飲食など)や娯楽費、嗜好品などを、衣食住の生活費として親が家計から出していたことが判明。

一例をあげると、次の通り。

≪長女が衣食住の生活費として請求していたもの(一例)≫
・「夕飯前の小腹を満たすための食費」という名目で、友達とのスタバ代(飲み物とスイーツ)に1回1000円×週3回分。→月1万2000円が食費に加算

・家族で食べるものの他に、娘の便秘予防として、毎日1パック400円程度のこだわりの乳酸菌のヨーグルトを摂取。→月1万2000円が食費に加算

・必要な服以外でのおしゃれ着

などとなっています。

長女はアルバイトをしていて月2万円の収入があるほか、5000円のお小遣いももらっているとのこと。それなら、せめてスタバ代だけでも月収2万5000円から出せばいいものを、「衣食住にかかる費用を私のバイト代から支払うのって、おかしいよね?」と、請求していたそうです。

スターバックスのフラペチーノ
写真=iStock.com/segray
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/segray

父親のコウジさんは、「いや、それは衣食住かもしれないけれど、一つひとつがちょっと高くない? ヨーグルトだって、こんなに食べる必要ある? みんなと同じもの食べればいいじゃん」などと、いったん止めるものの、父親がいないところで母親に「お父さんはわかってない!」と交渉。母親のカヨさんは「まあまあ、わかったよ」と、娘の言うがままに財布の口を開く。

さらには、娘と息子は水道光熱費を節操なく使うし、母も日用品はAmazonのセールなどで「安いから」と無計画に購入。コウジさんは、注意はしても反論されれば言い返す気力もなく、溜息をつくばかり。

子供の言いなりにお金を出してきた母とそれを見過ごしてきた父、そしてエスカレートしてどんどんお金を要求する長女。清瀬一家の「お金がない」問題の根本的原因は、この“なあなあ”な家族関係にあったのです。

家族4人で支出50万円超では、いくら収入が高くても貯まりません。家族4人なら35万~40万円くらいの生活費に収めたいものです。教育費は15年先までかかり、夫婦の老後の費用も貯める必要がありますから――。

私がこう話すと、カヨさんは意を決した表情で、「これからは家計を見直します」とキッパリ。それから約半年後――。食費、水道光熱費、日用品費などは大幅に減らした家計簿を提出してくれました。

コウジさんの調子もよくなり、今は復職して給与は元通りに(表の「AFTER」)。ただ、娘さんのお金の使い方だけは、一筋縄ではいかなかったようです。

「こういう状況だから、協力してほしい」と両親が訴えても、例えば1回1000円のスタバ代に関しては、こう主張。

「私は別に、友達と最新作のフラペチーノが飲みたいからでスタバに行ってるわけじゃない。小腹を満たさないと帰るまで持たないから、健康のために行ってるの。どうしても私の小遣いから出せというなら、ママがパートで家にいない時にもらう晩御飯のお弁当代1000円をスタバ代に回して、その日の晩御飯は食べないから!」

要は、食事代より友人と立ち寄るスタバ代のほうが優先度は高い、と言うのです。そう言われると、親としては食事を与えないわけにはいかないから、スタバ代を渡してしまう……。

そうしたやりとりも経て、最終的には、「今、パパが調子が悪くてお仕事休んでいるでしょう。いつもの半分以下しか給与がないの。パパが元気にならないと、これからはママのパート代5万円だけでやりくりしないとならない。あなたの大学費用はおろか、来月の住宅ローンも払えない。このままだと、あなたは退学するか、バイト代から生活費を出してもらうことになるかもしれない」と、繰り返し説得すると、娘さんはしぶしぶ了承。

「もし夫が休職していなかったら、娘を説得するのは無理だったと思います」と、カヨさんは苦笑いして言いました。

おかげで月10万円の削減ができましたが、そこに至るまで半年間。毎日のように口を酸っぱくして注意し続けてきたそうです。一度ついた習慣を変えるのは、根気と時間が要るのです。

近年、カヨさんのように子供の気持ちを尊重する“子供ファースト”な親御さんが増えているように思います。ですが、子供の主張をすべてのみ込んでしまうと、いざというとき軌道修正に苦労します。

清瀬さんのケースではありませんが、食べ盛りの子供がいるからと、常に家に菓子パンを常備していたご家庭がありました。この物価上昇で支出を抑えようと菓子パンの購入を止めてみたら、「何で菓子パンを置かないんだ!」と子どもが荒れ、結局菓子パンを買い続けざるを得なかったそうです。

「うちは夫(妻)が子供に甘くて何でも買い与えてしまう」という方は、今からピンチに備え、意識改革に努めたほうがいい。今はゆとりがあっても、いつ何が起こるか分かりませんから。家計のガンは、1日でも早いうちに根こそぎ切り取っておいたほうがいいと思います。

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横山 光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万6000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は90万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を代表作とし、著作は171冊、累計380万部となる。

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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭)

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