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新NISAで投資を始めた人に贈る先達の知恵…知っていればどんな相場でもメンタルを正常に保てる「投資格言」

プレジデントオンライン / 2024年6月11日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

株式市場は値動きの大きい状況が続き、新NISAで投資を始めた人の中には不安を抱えている人も多いだろう。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「投資は負けたときに“良い言い訳”ができるかどうかで大きな差が出る。上手に言い訳をしてメンタルを正常に保つためには、先達の知恵が役立つ」という――。

■「投資格言」には先人達の知恵が詰まっている

投資をしていれば、誰しも、失敗や後悔はあるものです。

そして、そんなときには、「○○だから、仕方ない」などと、ついつい、自分自身に言い訳をしてしまうもの。

一般には、言い訳はあまりしないほうが良いとはされていますが、言い訳によって気持ちが楽になるのであれば、そして、心機一転、気持ちを切り替えることができるのなら、言い訳をすることは決してダメではありません。

むしろ、メンタルを正常に保つ言い訳は、「良い言い訳」とも言えるでしょう。

しかし一方で、やってはいけない「悪い言い訳」もあります。

まず、良い言い訳の代表は、投資格言です。

投資格言とは、投資に関する知識・経験・本質などを、分かりやすく、端的なフレーズにまとめたものです。

とくに昔から語り継がれている有名な投資格言には、先人達の知恵が詰まった含蓄のあるものが多く、また、投資のみならず、生き方の指針となり得るものも少なくありません。

それらを言い訳に使うことは、大いに意味のあることと言えるでしょう。

代表的なものは、以下のものがあります。

頭と尻尾はくれてやれ

大底で買って、天井で売ることができれば、理想的です。

とはいえ、実際には、そのような売買などほぼ不可能で、買ってからさらに下がる、売ってからさらに上がるのが現実と言えるでしょう。

しかし、理想が高い人ほど、そんなときには「失敗した」と後悔し、いつまでもウジウジと、自分を責めてしまうものです。

そんなとき、この格言が絶好の言い訳となります。

ここでの頭と尻尾とは、大底と天井のこと。それを「くれてやれ」ということは、諦めろということ。すなわち、大底・天井での売買を狙うと上手くいかないので、多少の儲け損ないは受け入れろという意味です。

つまり、先人達も、大底・天井での売買など無理だと言っているわけですから、「大底や天井で売買できなくても仕方ない」と素直に受け入れること(正当化すること)ができて、気持ちを切り替えることができるのではないでしょうか。

休むも相場

これといった銘柄が見つからない、相場状況の判断が難しいなどの理由で、なかなか投資ができず、もどかしい思いをしているときには、この格言が絶好の言い訳となります。

意味は、「何もしないという選択肢もある」です。

すなわち、「分からないときは、(無理に売買せずに)いったん相場から離れて、冷静になりましょう」ということです。

今、堅調な相場環境の中で、投資で儲かっている人も多く、取り残されているようで悔しい思いをしている人も多いことでしょう。

しかし、それで焦って安易に投資をしてしまい、損失を被れば、それこそ大きな後悔につながります。

そんなときには、この投資格言を言い訳にして、「冷静に、状況を見極めている状態」を正当化することは、大いに意味があるといえるでしょう。

■良い言い訳の好例は「ベンチマークと比べる」

あと、良い言い訳としては、「ベンチマーク(※)と比べる」があります。

※運用の目安となる指標のことで、日本株での運用であれば、日経平均株価や東証株価指数などが挙げられる。

たとえば、日本株で運用していて、その運用成績が▲10%だったとしましょう。

このマイナスリターンとなった数字だけを見れば、気持ちも凹むかもしれません、

しかし、もしも、同じ期間の日経平均株価や東証株価指数のリターンが▲20%であったなら、▲10%であっても、これは十分に健闘していると言えるわけです。

この場合、「運用成績はマイナスだけど、平均は上回っているから、これは良し」と捉えることができます。

この言い訳によって、運用成績自体は振るわなくても、自信を失うことがなく、心理的なダメージを避けることができるのであれば、これは大いに意味のあることです。

もし、ベンチマークを上回っているような状況であれば、ぜひとも意識しておきたいところですね。

実際、投資の世界では、運用成績はベンチマークと比べて判断するものです。

また、ベンチマークと比べることで、相場全体の状況を把握することができ、冷静な投資判断ができるというメリットもあります。

■損していてもポジティブになれる「都合の良い」解釈

ところで、自身の運用成績が+10%でも、そのベンチマークが+20%であったなら、これは残念ながら「劣った運用成績」となります。

しかし、そこはあえて、「平均は下回っているけど、運用成績がプラスだから、これは良し」と、都合よく解釈してもよいでしょう。

これはかなりご都合主義な、ある意味、自分勝手な解釈かもしれません。

お客様からの資金を預かって運用しているプロがそんなことを言うと怒られそうですが、自己資金で運用している個人であれば、自分さえ納得すれば良いわけです。

そして、自身のメンタルを最優先で考えるのであれば、そんな解釈(言い訳)もアリでしょう。

実際、私自身も、都合よく、そんな解釈(言い訳)をしております。

■「悪い言い訳」は、思考停止に陥り詐欺を呼び込む

一方で、悪い言い訳とは、「あのファイナンシャル・プランナーが勧めていた銘柄なのに……」「あの雑誌には、日本株はまだ上がると書いていたのに……」などと、人のせいにすることです。

暗い表情の女性
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

たしかに、人のせいにしてしまえば楽ですし、そして、自身が失敗したわけではないと、プライドは守られるのかもしれません。

しかし、人のせいにすることは、人任せにすることなので、それは思考停止につながります。

それゆえ、いつも「人のお勧め」「雑誌の予想」のままに投資をして、それで失敗すれば、いつも人のせいにする言い訳をするようになってしまいます。

それがひどくなれば、「○○に騙された!」と、メンタル面でのダメージも深刻です。

そして何より怖いのは、人のせいにする言い訳に慣れてしまうと、すべてが人任せの思考となってしまうことです。

これは投資詐欺に引っかかる典型的な思考でして、非常に危険なのです。

実際、詐欺師は、そのような人を狙ってきますし、本当に「騙された」となってしまう危険性が高いのです。

■投資をしない人の、言い訳とは

そして、悪い言い訳は、もう一つあります。

それは、投資で失敗した言い訳ではなく、そもそも、投資をやらないことへの言い訳です。

人は、やらないことへの言い訳を考えるのが得意です。

たとえば、起業に憧れつつも、「お金がないから」「身内が反対しているから」と、もっともらしい言い訳を盾に、いつまでも起業への一歩を踏み出さない人は数多くいます。

投資に関しても、そんなケースは少なくありません。

投資をしない言い訳の典型例としては、以下のものが挙げられます。

どうせ、ほとんどの個人投資家は投資で失敗するんだろ

イソップ寓話「すっぱい葡萄」をご存じでしょうか?

これは、狙っていた葡萄を取ることができなかったキツネが、「どうせ、あの葡萄なんて美味しくないさ」と、できなかった自分を正当化するために負け惜しみを言う話です。

この言い訳は、まさに、そんなキツネの負け惜しみですね。

実際に投資をしていないのに「失敗する」と思い込むことは、実際に食べてもいないのに「すっぱい」と思い込むことと同様に、できない(やらない)ことに対する言い訳なのです。

投資は、お金持ちがやるものなんだろ

前回コラムでも取り上げましたが、1万円からでも投資は十分できます。

これは少し調べれば分かることなのですが、それをしないで、このような言い訳をしている時点で、すでに思考停止となっていると言えるでしょう。

投資なんて、しょせんマネーゲーム、博打だろ(※)

これは、投資そのものを貶めて、投資をやっていない自分は、さも「悪事(?)に手を染めていない高潔な人間だ」として、投資をしている人を見下すような言い訳です。

なので、投資をしている人(とくに投資で儲けている人)に、やたら噛みついてくるような人も少なくありません。

その意味では、一番質(たち)の悪い言い訳かもしれません。

※投資方法によってはマネーゲーム・博打にもなるかもしれないが、基本的には、国や企業等へ資金を投資することで、世の中を発展させることになる、大いに意味のある行為である

■投資に興味があるからこそ、「投資をしない」言い訳をする

そもそも、投資にまったく興味のない人は、そのような言い訳などせずに、投資そのものに見向きもしていないはずです。

つまり、投資に興味があるものの、投資は怖い、難しい、面倒だと思っている人が、そのような(投資をしない)言い訳に陥るのです。すなわち、「怖い」「難しい」「面倒」といったネガティブな気持ちに蓋をして、前述のような、もっともらしい言い訳をして、投資をしていない自分を守っているわけです。

実際、投資に興味はあるけれど、投資に踏み出せていない人は、前述のようなネガティブな言い訳に思い当たる節があるかもしれませんね。

しかしそれらは、投資は「怖い」「難しい」「面倒だ」が作り出した幻想なのです。

そのような言い訳に惑わされずに、(本当に投資に興味があるのなら)ぜひ、投資の第一歩を踏み出してみてください。

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藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。

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(ファイナンシャルプランナー 藤原 久敏)

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