「病院はガマンして長時間待つもの」は大間違い…時間を「有効活用できる人」と「できない人」の決定的な差
プレジデントオンライン / 2024年6月6日 18時15分
※本稿は、柿内尚文『このプリン、いま食べるか? ガマンするか?』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
■「常識の規則緩和」で時間のかじ取りをする
「病院の待ち時間がイヤで病院には行きたくない」といっている知人がいます。
たしかに病院によっては、短時間の診察のために4~5時間も待たないといけないケースもあります。
ただぼんやり待っていると、この時間は苦痛です。スマホをずっと見ていても途中で飽きてくるかもしれません。
待ち時間が長そうな時。僕は「準備」をして病院に行きます。
・コーヒーをポットに入れて持参
・コーヒーに合わせてスイーツも用意する
・ノートパソコンを持ち込み仕事ができるようにしておく
・仕事に疲れたら本を読めるように準備
・スマホで動画を見られるようにイヤホンも用意
ここまで準備をして病院に「臨む」と、4~5時間の待ち時間が「充実した時間」に変換できます(なぜかこういう時間のほうが集中力も高まります)。
「時間の意味変換」のポイントは、他者に判断をゆだねるのではなく、自分の希望や欲望に沿って、時間を自分でかじ取りしていくことです。
バスで1時間待つのはつらい。
病院はガマンして長時間待つもの。
こういう考えは、実は自分の判断ではなく、単なる常識や思い込みだったりします。
でも、時間をうまくかじ取りしている人は、こういった常識や思い込みにとらわれません。いってみれば「常識の規制緩和」がうまい。
ちょっと視点を変えてみることで、時間の価値は大きく変わります。
自分をシチュエーションに合わせてイヤな思いをするのではなく、意味を変えて、自分にとってプラスの時間にするための行動をとればいいのです。
■ネーミングで「時間の価値」が変化する
僕の著書『バナナの魅力を100文字で伝えてください』の中で、「ネーミングの法則」という伝わる技術を紹介しています。
「ネーミングの法則」とは、名前をつけると魅力が高まったり、愛着がわいたり、価値が生まれるというものです。
車に名前をつけているという人に時々会います。
「車に名前をつけて、運転しながら車と会話するんですよ。そしたら、車がまるで友だちのような感覚に変わったんです。友だちを傷つけたらいけないので、運転も慎重になります」
名前をつけると、その存在が特別なものになるんですね。
ネーミングの効果はほかにもあります。そのひとつが「認識が生まれる」ことです。
たとえば、仕事で何か新しい気づきがあった時。僕はその気づきに名前をつけるようにしています。
「ファクトとメンタルの法則」
「ずらす法」
「数珠つなぎ連想法」
こうやって名前をつけると、面白いことにその名前をつけたことに、仕事でひんぱんに出合うようになるのです。
これは、名前をつけることでそのことに対する認識が強く生まれたからです。
ネーミングには認識を生む効果があるので、その名前を使い続けると、無意識に「思い込み」を生むこともあります。
たとえば「通勤電車」というネーミング。
通勤電車ってちょっとマイナスな印象がないでしょうか。
混雑した電車で、車内の雰囲気はどんより。避けたいけど、しょうがないもの。
これは「通勤電車」というネーミングが影響しているかもしれません。
■「通勤時間」は「電車オフィス」
通勤のために電車に乗っている時間を「電車オフィス」とネーミングしたらどうでしょうか。これは僕が実際にやっているネーミングです。
電車に乗っている時間を「通勤のための時間」ではなく、「仕事をするための時間」に変換したのです。こうネーミングしただけで、電車に乗っている時間に大きな変化が訪れました。
電車オフィスは自分にとって集中できるとてもいい仕事場です。
降りる駅が決まっているので、終わりの時間は明確です。通勤時の電車時間は50分くらいなので、集中を持続するにもちょうどいい時間です。
電車オフィスでは、「事務的なメールを書く」「アイデアを考える」「原稿を読む」など、その時間にやる仕事を決めています。
その日の仕事のTODOを決める時も、「この仕事は電車オフィスで」「この仕事はデスクで」など、振り分けをしているので、その時間に何をするかの迷いもありません(帰宅時の電車時間は「リラックス時間」とネーミングしているので、仕事はしません)。
オフィス化だけではなく、電車時間を「自分のための勉強時間」「徹底的に趣味の時間」など、その時間を自分にとってより価値の高い時間にするために、ネーミングをうまく活用してください。
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編集者
1968年生まれ。東京都出身。聖光学院高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。ぶんか社、アスキーを経て現在、アスコム取締役。長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本やムックの累計発行部数は1300万部以上、10万部を超えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。現在は本の編集だけでなく、編集という手法を活用した企業のマーケティングや事業構築、商品開発のサポート、セミナーや講演など多岐にわたり活動。著書に『パン屋ではおにぎりを売れ』『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(共にかんき出版)がある。
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(編集者 柿内 尚文)
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