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攻撃的な人は「ほぉー、そぉーですかぁー。で?」でかわす…禅僧が「頭にきても怒ったら負け」と断言する理由

プレジデントオンライン / 2024年6月7日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Parkpoom

失礼な物言いをしてくる相手にはどう対応するといいか。禅僧の枡野俊明さんは「非礼・無礼に対しては『怒ったら負け』と心得るべきだ。その理由は2つあり、1つは当の本人はだいたいにおいてその自覚がなく、そんな人と同じ土俵で争ってもこちらが疲れるだけということ。もう1つは、相手の指摘が正しいことがままあるということだ。そのため、『受け流す』のが賢明だ」という――。

※本稿は、枡野俊明『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■顔も、体格も、性格も、能力も……何もかもみんな違う

人は人、自分とはすべて違うと考える――この前提が人間関係の基本

この世の中、一人として同じ人間はいません。同じ親から生まれた兄弟姉妹も、双子でさえも、同じではないのです。それは禅語に、

「宇宙無双日(うちゅうむそうにち) 乾坤只一人(けんこんただひとり)」

とあるとおり。宇宙に太陽が二つとないように、私という人間は天地古今――天と地の間にただ一人の存在なのです。

ですから人は自分と違っていて当たり前。容貌や体格はもとより、性格も能力も嗜好も価値観も、すべてが違います。

それなのに、なぜか自分と違う考え方や振る舞いをする人を見ると、あたかもそれが正しくないかのように、「おかしいじゃないか」と不満に思ったり、怒りを感じたりする人が多いのです。

逆にいうと、違いを認めさえすれば、不満や怒りが生じにくくなるのではないでしょうか。

「すべての人が違っていて当たり前」と割り切る、それだけで人間関係はずいぶんうまくいくようになるはず。

いま流にいえば、それが「ダイバーシティ(多様性)の尊重」につながるのだと思います。

■「それでも怒らない」のが賢明  

頭に来ても無礼者と闘わない――「怒ったら、自分の負け」と心得る

人の悪口をいったり、バカにしたり、ちょっとしたミスをあげつらったり。失礼な物いいをされると、腹が立つものです。

どうしてそんなふうに貶められなくてはいけないのかと、自尊心も傷つけられます。あまりに理不尽だと、文句の一つもいいたくなるし、さらに口論、ケンカに発展する場合もあるでしょう。

それでも怒ってはいけません。難しいけれど「受け流す」のが賢明です。

理由は二つ。一つは、非礼・無礼を働く本人は、だいたいにおいてその自覚がない、つまり自分が非礼・無礼な振る舞いをしているとは思っていないからです。そんな人と同じ土俵で争っても、こちらが疲れるだけ。相手にすることはありません。

もう一つは、相手の指摘が正しいことがままあるからです。とくに劣等感や弱みを抱えている人は、痛いところを突かれると、瞬間的に怒りの感情が噴出します。

そんなときはなんとか怒りをこらえて、しばし深呼吸。「彼(彼女)のいうとおり、図星だな。怒りは吞み込み、今後の反省材料にしよう」と、気持ちを切り替えましょう。

いずれにせよ、非礼・無礼に対しては「怒ったら負け」と心得てください。

指をさされて非難される男性
写真=iStock.com/Bulat Silvia
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Bulat Silvia

■“異質なもの”が、あなたの視野を広げてくれる

人との「違い」をおもしろがる――「そんな考え方もあるんだな」

いままで行ったことのない土地を旅行すると、さまざまな発見があります。

「こんな風習が何百年も伝えられてきたのか」「この食材にこんな食べ方があったのか」「同じ言葉でも、ここの方言では標準語とまったく逆の意味なのか」「こんな音楽や踊りをいまも楽しんでいるのか」……など、いくら情報量の多い時代とはいえ、実際にそこに身を置いて初めて知ること、経験することはたくさんあります。

そういう“異質なもの”と出合ったとき、あなたは「自分の知っている文化とは違う」「自分の土地ではそんな考え方をしない」などと怒りますか? むしろ「違い」をおもしろがるのではないでしょうか。

人づき合いもそう。世の中には多種多様な人がいます。「ここが違う、あそこも違う」と感じたら、その「違い」を否定するのではなく、おもしろがるほうに気持ちを切り替えてはいかがでしょうか。

出会った人の数だけ、自分には持ち得なかった“視点のストック”ができるはずです。

人づき合いの妙味は、まさに「違い」をおもしろがるところにあるのです。

■意識を向ける方向を心から体にスイッチ

怒っている人には近づかない――その人は、コントロール不能です

会社にも、家族にも、友人・知人にも、怒りっぽい人がいるかと思います。なかには自分の周囲にやたらめったら“怒りの地雷”を埋めているのではないかと疑いたくなるくらい、ちょっとしたことでしょっちゅう怒りを爆発させる人もいるでしょう。

そういう人が一人でもいると、周囲はとても戸惑います。どこに地雷があるかわからず、おっかなびっくりつき合うしかありませんからね。しかもこちらとしてはコントロール不能。「触らぬ神に祟りなし」を決め込み、距離を置くのが一番です。

オフィスの窓の外を見るビジネスマン
写真=iStock.com/kyonntra
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyonntra

ただ誰もが怒りっぽくなることはあります。怒りっぽい人を反面教師に、自分が周囲に怒りをまき散らさないよう気をつける必要があります。

どうすればよいのか。わが身を振り返って考えてみてください。あなたが怒りっぽくなるのは、疲れているときではありませんか? 人間、体が疲れると、どうしたって神経がピリピリするものなのです。

ということは、意識を向ける方向を心から体にスイッチ。体の疲れをほぐすことで、心に生じる怒りの感情をコントロールすればいいのです。とても効果的ですよ。

■相手を“戦意喪失”させるヒント

ケンカは売られても買わない――「その手には乗りませんよ」といなす

プロレスでは、リングの上で「かかってこいよ」とばかりに指を立て、相手を挑発するような場面をよく見かけます。あれは戦略の一つ。わざと相手を怒らせることで、試合を優位に運ぼうとしているのです。

人間関係においても、似たようなことが起こります。わざと相手がいやがることをする人がいるでしょう? そうしてケンカを売ることで、自分優位に事を運ぼうとするのです。

争いごとはいつだって冷静さを失ったほうが負けです。あるいは相手が怒ったり、こわがったりする、その反応を見て、楽しむような輩もいます。

いずれにせよ、「売られたケンカは買わない」ことです。カッとなって、同じ土俵に上がると、「待ってました」とばかりにやられます。

どんなに挑発されても、「はぁー、はぁー、はぁー、ほぉーーー、そぉーーーですかぁーーー。で?」などと間延びした受け答えをしておくに限ります。

さしもの相手も戦意喪失。さっさと土俵を下りてくれます。ケンカっ早い人には、江戸っ子よろしく「その手は桑名の焼き蛤」を決め込みましょう。

■自分のまわりに“褒めの輪”をつくろう

「悪口」はいわず、聞かず――その場からすっと離れるのが得策

悪口には“花が咲く”ものです。

槍玉に挙げられているのが評判のいい人だと、「え、本当はイヤな人なの?」と興味津々。つい首を突っ込みたくなります。

また日ごろから好ましく思っていない人がターゲットにされていると、「よし、自分も参加して“悪口の輪”を盛り上げよう」なんて気持ちになるかもしれません。それほど悪口には、甘い蜜の香りがするのです。

けれどもその蜜にひかれて“悪口の輪”に参加してはいけません。聞くと、自分も悪口をいいたくなるし、いえば必ずどこかで自分も悪口をいわれることになります。

枡野俊明『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』(三笠書房)
枡野俊明『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』(三笠書房)

ですから「悪口はいわず、聞かず」を鉄則にしてください。もし“悪口の輪”に参加したくなったら、その気持ちをこう切り替えましょう。

「自分は相手のいいところを探してあげよう。そして“褒めの輪”をつくろう」

どんなに「イヤな奴」と評判の人にも、一生懸命探せばいいところは必ずあります。そこを褒めてあげればいい。

そうすることで心に生じるモヤが晴れるうえに、相手も気分がよくなるはず。結果、互いの“いい人度”が上がるかもしれません。

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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー
1953年、神奈川県生まれ。多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。

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(曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー 枡野 俊明)

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