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「お金やカードを払う番になってから出す」では遅すぎる…「仕事ができる・できない」を決定的に分ける要素

プレジデントオンライン / 2024年6月10日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/koumaru

仕事ができる人、できない人の違いは何か。禅僧の枡野俊明さんは「準備のいい人は、券売機の列に並ぶ前、もしくは並んでいる間に何を買うかを決め、すぐに料金を払えるようにしている。このように一事が万事、『準備力』の低い人は何事も始まってからでないと動かない。仕事ではこれが『できる・できない』の分水嶺になる」という――。

※本稿は、枡野俊明『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■結果は、「始まる前」に決まっている

「準備」に力を込める――できない人はみな「準備不足」

飲食店でも、何かの施設でも、チケットを買うとき、あなたは券売機の前に立ってから買うものを決めますか? お金やカードは払う番になるまで出しませんか?

どちらも準備の悪い人。準備のいい人は、券売機の列に並ぶ前、もしくは並んでいる間に何を買うかを決め、すぐに料金を払えるようにしておきます。

とてもささいなことのように思うかもしれませんが、一事が万事、「準備力」の低い人は何事も始まってからでないと動きません。それまでボーッと、何も考えずに時間を過ごすのです。仕事ではこれが「できる・できない」の分水嶺になります。

たとえば会議に臨むとき、「では、会議を始めます」となってから「テーマはなんだっけ?」というのではいけません。テーマにかかわる情報を収集するなど、きちんと下調べをして、自分の意見をまとめておく。最低限、そのくらいの準備が必要です。

一つの課題について、さまざまなパターンを想定して、どんな方向から質問や意見を求められても答えられるように準備する。どんな仕事もそういった準備を十分にしておいて初めて、“臨戦態勢”に入れます。結果、実のある仕事ができるのです。

■「一分を惜しんで」早く起きる

朝のバタバタが仕事を乱す――スタートダッシュで一日が決まる

「朝は忙しい」という声をよく聞きます。身支度を整え、朝食もそこそこに家を飛び出す人も少なくないでしょう。

毎日、そんなことをくり返すうちに、「朝はバタバタするのが当たり前」という意識になっているのかもしれません。

けれどもそれ、当たり前ですか? ちょっと早起きすれば、かなり落ち着くのではありませんか? 

ここは一つ、起きるときの気持ちを百八十度変えてみましょう。「一分を惜しんで寝たい」から、「一分を惜しんで起きよう」というふうに。

実際、朝のバタバタを続けていて、いいことは何もありません。部屋は散らかり放題。忘れ物をしたり、転んでケガをしたりなど、トラブルも多発します。また仕事を始める前から疲れ切って、一日のパフォーマンスが低下することは目に見えています。

そうならないよう、いまより三十分早く起きましょう。余裕を持って出かける準備をすることはもちろん、今日一日の予定をしっかり頭に入れ、どう行動するかをシミュレーションしておくとなおいい。

会社に着いた瞬間、スムーズに“仕事モード”に入り、アクティブな一日のスタートが切れます。

時計を見ながら出かける笑顔の人
写真=iStock.com/byryo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/byryo

■禅には「結果を出すためにがんばる」という考え方がない

「結果」を二の次にする――それは“後から”ついてくるもの

「結果自然成(けっかしぜんせい)」という禅語があります。

禅には「結果を出すためにがんばる」という考え方がないのです。目の前にあるやるべきことをやり、その小さな成果を地道にコツコツと積み上げていく。そうすると、自然と後から結果がついてくる。そう考えるのです。

現代では「早く結果を出す」ことが求められます。そのために努力をしたり、工夫をしたりすることを悪いとまではいいません。

けれどもあまりにもスピードを偏重すると、無理が生じます。一日の仕事量を増やさざるをえなかったり、収賄とか技術の盗用、データの改ざんなどの不正につながる危険があるからです。

そんなふうでは、早く結果を出すために体力と知力、公正な心をすり減らすのも同然です。結果というのは作為的なものではなく、「自然についてくる」ものであると心得ましょう。

いつの間にか結果が目的化していると気づいたら、すぐに「結果は後から」と、意識を切り替えてください。

■正直者はバカを見ない

「正直者」でゆく――悪事は必ず露見する

東京オリンピックで一連の不祥事が露見しました。それにつけ企業スキャンダルはなかなかなくならないものだと感じます。

粉飾決算、消費期限や産地の偽装、品質を保証するデータの改ざん・捏造、リコール隠し、パワハラ・セクハラ……この種の不正が明るみに出るたびに、多くの人が「またか……」とうんざりしているかと思います。

悪いとわかっていても、最初は「少しくらいならウソをいってもいいだろう。バレないようにすればいい」くらいの軽い気持ちでやってしまうのかもしれません。しかしたいていの場合、悪事はどんどんエスカレートしていきます。

もはや「悪事は必ず露見する」と覚悟したほうがいい。というのも時代がコンプライアンスを重視する方向へ進んでいるからです。しかもネット社会では「不正は必ず告発される」のが当たり前。ビジネスにフェアな環境が整ってきているのです。

いまや「正直者がバカを見る」ことは少なくなりました。「正直者がバカを見ない社会」が形成されつつあると、認識を新たにしましょう。

■いまいる場所が“黄金”に輝くとき

「いま」「ここ」で輝く――「もっと、もっと」が人生を苦しくする

あなたはいまの仕事に不満がありますか?

おそらくかなりの数の人が、「もっといい会社で働きたい」「もっと自分に合う仕事がしたい」「もっと高い給料、高い役職が欲しい」といった不満を抱えているでしょう。

「いまいる場所では、自分の持てる力を発揮して輝けない」

という気持ちがあるのだと思います。

枡野俊明『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』(三笠書房)
枡野俊明『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』(三笠書房)

しかし明言します。それは“世迷い言”でしかありません。「大地黄金」という禅語が説くように、「自分がいま置かれている場所で、精いっぱいの努力を尽くすと、その場所が黄金のように輝いてくる」のです。

つまり“黄金の大地”は外にあるものではなく、自分自身の努力によって磨き上げられるものだ、ということです。

いまの仕事や職場に不満があるなら、まず「自分を輝かせる努力が足りないのではないか」と自分を疑ってください。そう気持ちを切り替えると、いまの仕事にまだまだ努力の足りないところがあると気づきます。

そこに新たなやりがいが見いだせるはず。その瞬間、あなたのいまいる場所が黄金に輝き始めるのです。

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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー
1953年、神奈川県生まれ。多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。

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(曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー 枡野 俊明)

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