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シチューの日にわが子の"能力"がわかる…医学部合格者が急伸の豊島岡女子学園校長「自分で考える子の育て方」

プレジデントオンライン / 2024年6月4日 10時15分

豊島女子学園中学校・高等学校校長の竹鼻志乃先生 - 撮影=市来朋久

先が見えない不確かな時代、わが子が夢をかなえるために親がしてやれることは何か。「プレジデントFamily」編集部が日本を代表する難関中学、高校の校長に取材した。わが子が小学生のうちに絶対やるべきこととは何か。第1回目は豊島岡女子学園校長の竹鼻志乃さん――。(第1回/全4回)

※本稿は、『プレジデントFamily2024春号』の一部を再編集したものです。

■豊島岡女子学園中学校・高等学校校長 竹鼻志乃先生

お手伝いをしよう! 想像力を磨けるよ!

「自分で考え、自ら行動できる人」になってほしいと、どの親御さんも願うのではないでしょうか。小学生のうちにしておいてほしいこと、それは「おうちでのお手伝い」です。

お手伝い、といっても、そのつど親御さんから指示されてするお手伝いではなく、家族の一員としての役割をもらい、責任を持って担当する形のお手伝いです。

例えば「食器並べ」。その日のメニューに合わせて、「シチューならこっちの深いお皿だな」「サラダ用の器も出さなきゃ」「スプーンも必要だな」と自分で考えて用意するのです。

子供にとっては、家庭内で一定の役割を任されることで自己有用感が高まり、自信や責任感の醸成につながります。

このような「自分で考えて取り組むお手伝い」で身に付くことがもう一つあります。「想像力」です。家族が何を必要としているのか、どんなことをしてあげたら役に立つことができるのかを想像して取り組むことになるからです。

相手の気持ちや相手が考えていることを想像する力は、他者とコミュニケーションをとるうえでの土台となります。特に、グローバル化が一層加速するであろうこれからの社会を生きていく子供たちは、国籍はもちろん、文化も価値観も習慣も異なる人々とコミュニケーションをとっていかなければなりません。

そこでは、相手の立場に立って考える想像力を働かせることができるかどうかが、大切になります。自分の考えを主張しつつ、相手にも配慮することができれば、歩み寄りも可能でしょう。

相手の気持ちを想像できるということは、言い換えれば「気遣いができる」ということでもあります。気遣いは信頼につながります。

■お風呂掃除をする時に親に言われなくてもプラスαできる子

豊島岡女子学園は、中学生から高校生まで6学年の生徒が在籍していますが、その中で友人や先輩・後輩から慕われる生徒を見てみると、ほぼ例外なく気遣いができる生徒ですね。クラブや委員会の先輩が、自分のことを考えて掛けてくれたちょっとした言葉や小さな思いやりがどんなに嬉しいか。

夢は、自分一人の力でかなえることはできません。多くの人に支えられ、助けてもらうことがあって初めて、実現できるものです。もし、自分の都合ばかり押しつけ、相手のことを考えることができない人間だったらどうでしょう。その人の夢の実現のためにと、手を差し伸べてもらえるような人になりたいですね。

また、気遣いというのは、突然できるようになるものではありません。毎日の生活の中のお手伝いといったちょっとしたことを通して、相手の立場に立って考える習慣を身に付けるとができれば、とてもすてきなことだと思います。

お手伝いは、「自分で考えて取り組む」といった要素が含まれていれば、どんなことでも構いません。ただ、ある程度は任せることも必要になるので失敗したときに取り返しがつかなくなってしまうようなこと、例えばペットの健康管理などは、中学生、高校生くらいになってからのほうがいいかもしれません。

お風呂掃除などはどうでしょう。掃除をする時間帯は子供の日課などに合わせてある程度自由がききます。どんな掃除の仕方をすると効率的かなど、考える要素はたくさんあります。

どんな条件が揃うとカビが生えやすいかなども調べれば、自由研究にもなりそうですね。毎日きれいなお風呂に入ることができれば、家族のみんなから感謝され、やりがいも感じるでしょう。万が一、掃除を忘れたり、手を抜いたりすると、汚れたお湯で気持ち悪い思いをするという、わかりやすい結果に結びつきます(反対に言えば、失敗してもその程度なので、「取り返しがつかない」といったことにはなりません)。

「今日は暑いから、帰ってきたらすぐにお風呂に入りたいだろうな」「お母さん、肩こりがひどいって言ってたから、入浴剤を用意してあげようかな」といったことも考えてくれるようになるでしょう。

お風呂を掃除する女子小学生
写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA

■わが子が人に気遣いができる子になるかどうかは親次第

相手の立場でものごとを考えたり、気遣いができるようになるかについては、日頃、親御さんがどんな姿を見せているかということも関わってくると思います。

家族同士で労(いたわ)り合うことはもちろん、例えば道を歩いているときに困っている人を見かけたらすぐに手助けしてあげるといった姿を見ていれば、子供も自然とそういった気遣いができるようになります。

『プレジデントFamily2024春号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2024春号』(プレジデント社)

先が見えない時代だといわれます。でも、先が見えないということは、それだけ多様な可能性があるということです。人生100年もありますから、何度でもやり直しができます。失敗なんてない。

小学生のうちからはっきりとした自分の夢を持っている子供は、そう多くありません。いろんなものに興味を持ってワクワクしていることでしょう。たくさんのワクワクの中から好きを見つけ、追いかけていけば、それが中学生、高校生になったときの夢のタネになると思います。親御さんには、お子さんがいろんなワクワクを楽しむ姿を見守っていただけるといいですね。

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竹鼻 志乃(たけはな・しの)
豊島岡女子学園中学校・高等学校 校長
豊島岡女子学園1984年度卒業生。筑波大学生物学類を卒業後、民間企業の研究所に4年間勤務し、1993年豊島岡女子学園の理科教員として着任。2013年より現職。

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(豊島岡女子学園中学校・高等学校 校長 竹鼻 志乃 構成=金子聡一)

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