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だからサイバーエージェントは「素直でいい人」を採る…ビジネス会食を大成功させる5つの重要ポイント

プレジデントオンライン / 2024年6月10日 9時15分

サイバーエージェントのロゴマーク 2022(令和4)年8月3日、東京 - 写真=共同通信イメージズ

「ビジネス会食」を成果に結びつけるにはどうすればいいのか。大手広告代理店出身のyuuuさんの著書『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』(ダイヤモンド社)より、一部を紹介する――。

■会食の「言った、言わない」問題にどう対処すべきか

酒席の勢いで話した内容は、往々にして忘れ去られる。自社にとってポジティブに働く話であれば、後日議題に上げて行動に移そう。

本来、酒席において意思決定を必要とする話はすべきではない。十中八九、「言った、言わない」で揉める。もし会食中に困った話があれば「一度社内に持ち帰る」と伝えた上で、隙を見て必ず携帯にメモをしておこう。間違っても自分の判断で即決してはならない。

特に厄介なのは、ゲスト側から意思決定を迫る話をされたときだ。この場合も「何を聞かれてものらりくらり」の精神でかわすべきだ。どうしても難しければ「○○さんとの大事な話のため、一度社内に持ち帰ってから話をさせてください!」と伝えるのだ。

他方、ポジティブな話がまとまった時は即座にイエスと答え、後日、話を具体化させよう。

■「席を外してメモを取る」はまったく問題ない

いい会食ができた際には、ゲスト主導でその場で意思決定が進むことも多々あるだろう。自分たちからビジネスの話を切り出すべきではないのだが、もし、ゲストが乗り気になり、サポートしようという姿勢を見せたときにはありがたく話に乗ろう。その際に一言、「今、皆様と大変楽しい時間を過ごさせていただいている中で私からお願いごとをするのは不躾かなとも思ったのですが、大丈夫でしょうか?」と伝えると丁寧だ。

「ぜひこのプロジェクトに一緒に取り組みましょう!」と熱のこもった話で盛り上がったときでも、「言った、言わない」でトラブルにならないように、適宜お手洗いで席を外すなどしてメモを取るに越したことはない。会食時の重要な話をメモしているだけで後日、社内で重宝される人材となり得る。

ただし、いい話かどうかの見極めるのはあなたではなく上司だ。いい話が出てきたと感じた時は、一度上司に話を振ってみることを忘れずに。

■会食でこそ「素直な人柄」を伝えよう

特に若手社員の方にお伝えしておきたいことがある。

ビジネス会食でクライアントや自社が若手に求めるのは、ビジネス全般における評論では決してない。可愛げだ。

コンサルティングファームでは「チャーム」という用語があるという。この「チャーム」とは容姿についてではなく、素直さ、そして人としての魅力を指す。会食に限らず若手の生存戦略として「チャーム」は極めて重要な素質である。少し話は逸れるが、会食全般に関わる要素なので、丁寧に説明していきたい。

インターネット広告の雄、サイバーエージェントで最も重視される採用基準が「素直でいいやつ」であるのはよく知られている。

ここでいう「素直」とは一体どういうことか。松下幸之助氏によると、素直とは「何ものにもとらわれず、物事の真実、何が正しいかを見きわめて、これに従う心の姿勢」であるという。私自身も後輩を指導する立場になって、「素直さ」は極めて重要な素質であると確信している。

パナソニック創業者・松下幸之助
パナソニック創業者・松下幸之助(写真=Mio0222mio/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

■若手のうちは「あるがままの評価」を受け止める

とは言っても若手のうちは、こんなことを考える人もいるだろう(これらは実際に私が新入社員時代に考えていたことだ)。

「こんな仕事をしたくて会社に入ったわけじゃない」
「自分にはもっと可能性がある。別の仕事を任されれば才能を発揮できるはずだ」
「雑務を自分がする必要がわからない。スタッフさんに任せればいいのに」

今振り返ると、このような後ろ向きな考えはすべて、自分の置かれている現実に向き合う勇気がなく、逃げていたから生じていたものだ。

特に自己評価と他者評価に乖離がある場合は、いったん、他者評価が正であると考え、自分の振る舞いやマインドセットを見直すことを強く推奨する。

「言われたことを一度前向きに『なんでもやってみるか』と考えるようになってから、人生が開けた」。私の過去の上司の言葉である。若手のうちは、自分で向き不向きを設定せず、あるがままの評価を受け止め、なんでも取り組んでみるといい。

このように、「現実から逃げず、自分のいい点も悪い点もすべて見つめて、改善に移す」姿勢になれば、会食においても「伸びしろのある若手だ」とクライアント、そして自社ともに評価されるはずだ。

■「会食における素直さ」5つのポイント

ここで、「会食における素直さ」として具体的に意識すべきポイントをいくつか挙げたい。

○まず肯定から入る
他者の話に納得がいかなくても、「いや、」と否定から入らない。

○アドバイスをメモする
頂いたアドバイスについてはいったん受け止めて感謝を伝える。お手洗いで席を外した際や、帰りにメモを取っておき後日の御礼で内容について言及するとよい。

○お薦めをすぐにチェックする
会食中に紹介してもらった映画・飲食店などは積極的に行き、行った後に写真付きで報告する。本を紹介された際は、その場でAmazonで購入ボタンを押して画面を見せ、後日読んだ感想を伝える。

○どんなことでも、まずは取り組む
今の自分には意味を見出せないことでも愚直に取り組む。会食で話題に出た誰もしたくないような泥くさい調整や雑務こそ、積極的に手を挙げる。

○お礼を丁寧に伝える
会食の解散前、自宅についた時、そして翌日の三度の御礼をホスト・ゲスト参加者に対して欠かさない。

実は、アドバイスや推奨されたことを真摯に受け止めて行動に移せる人材はそんなにいない。だからこそ、この5点を意識するだけで圧倒的なアドバンテージとなるのだ。

■「打てば響く」という信頼は財産になる

なぜ、ここまでしなければならないのか。

それは、「打てば響く」と周囲から思われる存在になるためだ。

これも過去の行き過ぎた話であるのだが、私と仲の良いテレビ局の先輩が、「yuuuよ、今から日本列島ダーツの旅をやろうぜ!!」と言って、会社に飾られていた日本地図に向かって、不意にダーツの矢を投げ始めたことがあった。

当たった場所は、広島県のはずれにある「大久野島」。かつて大日本帝国陸軍が毒ガスの製造をしていた関係で、「地図から消された島」とも呼ばれていた。

「地図から消された島」として知られる大久野島(1948年米軍撮影)
「地図から消された島」として知られる大久野島(1948年米軍撮影)(写真=国土地理院・地図空中写真閲覧サービス/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons)

言うまでもないが、遠い。

さすがにその先輩も本気で言ったわけではなさそうだったのだが、ここで「実際に行った写真を送ったら絶対喜ぶだろうな」と思い、その週の土日に訪問して写真を送ってみた。

結果、先輩は大爆笑。しばらくはそのネタで先輩がいじってくれ、飲み会では困らなかった。

これは非常に極端な例なので、決してお勧めをするものではない。しかし、このように一見無意味極まりないことでも、全力を尽くして取り組んでいたら自分にネタがストックされていく。仕事のチャンスがないときにも、会食で、こうした自分の人柄と信頼度を伝えることは十分にできる。そうして得た「打てば響く」という信頼は、貴重な財産となって、一生、あなたの支えとなるだろう。

■一線を守って、素直を貫こう

「素直さ」の重要性を説いてきたが、もちろんなんでもかんでもやればいいというわけではない。取り組むべき内容にも限度がある。

ここで、素直さと同時に持つ必要がある不可欠な資質を紹介しよう。それは、「integrity(インテグリティ)」。「高潔、誠実」などの意味を持つ言葉である。つまり、倫理的規範を最たる価値観として持つべきだということだ。

それでは一体どこまでやるべきなのか。判断基準としては、「他者や社会に対して誠実な態度であるかどうか」つまり「道徳・規範を逸脱していないかどうか」だ。

yuuu『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』(ダイヤモンド社)
yuuu『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』(ダイヤモンド社)

不正には絶対に手を染めてはならない。上司を含む、周囲からどれだけ強いられたとしても絶対にである。たとえ会社内部では当然のルールだったとしても、社会でそのルールがまかり通るとは限らないし、会社は守ってくれない。

素直であることは極めて重要な資質だが、同時にビジネスパーソンとしてintegrityに逸脱する行為は絶対にしてはならない。具体的には、倫理的に好ましくない話題や、ジェンダーを軽視するような発言は避けよう。

かのピーター・ドラッカー氏も「integrityこそが組織のリーダーやマネジメントを担う人材にとって決定的に重要な資質である」と説いている。リーダー・マネジメント層に限らず、integrityはすべてのビジネスパーソンが持つべき資質である。

このようなintegrityに反することについては、同調しないルールを自らに課しておこう。

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yuuu(ユウ)
会食ライター
京都大学大学院修了後、非体育会系・アルコールに弱いにもかかわらず、新卒で電通に入社。入社当時は競合代理店である「博報堂の回し者」と社内で揶揄されるほどの落ちこぼれであったが、先輩の言葉をきっかけに会食に全力で取り組むように。最大28回会食/月に及ぶ苦戦苦闘の末に、すべての会食・食事会を誰もが成功に導くことができる、徹底的に実務に即した体系的な会食ノウハウ=「会食メソッド」を独自に生み出す。その後、自らセッティングした会食をきっかけに、念願のスタートアップ企業に就職。「会食メソッド」の一部を公開したnoteは大きな反響を呼び、noteでは異例の約30万PVを達成。X(旧Twitter)フォロワー数2万9000人(2024年3月時点)。

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(会食ライター yuuu)

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