これで相手の信頼がぐんと上がる…「またわかったら連絡しますね」という社交辞令のような口約束への神対応
プレジデントオンライン / 2024年6月8日 15時15分
※本稿は、伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■「会社をやめても生きていける」という安心感を得る方法
「毎日、同じことの繰り返し……こんなことでいいのだろうか」
そう思うことはないでしょうか。
営業は、いわゆる決まったルーチン業務が多く、時として成長を感じにくくなるものです。
でも、こう考えられないでしょうか。
ルーチン業務の繰り返しは、あなたの「信頼残高」を増やすチャンスだと。
「信頼残高」とは、スティーブン・R・コヴィー氏の名著『7つの習慣』でも紹介されている考え方で、相手との信頼感の状況を銀行口座の残高に例えたものです。
私は、このことに気付いてから、営業ほどラッキーな仕事はないと考えるようになりました。
だって、会社から給料をもらって、いろいろなお客様と会い、“お困りごと”を解消する、それが仕事なわけですから。
見方を変えれば、会社からお金をもらいながら、自分の「信頼残高」を増やす活動をしているとも言えるわけです。
「信頼残高」の具体的な例を紹介しましょう。
「信頼残高」は、銀行の通帳のようには見えません。
なので、なかなか実感しにくいもの。
私は、勤めた会社を退職する際、その効果を実感しました。
お客様に退職する旨を伝える挨拶をした際、
「退職されるのですね。うちの会社に来ませんか?」
「研修会社で独立を……では、うちの研修をやってもらえませんか?」
と複数の会社からお声をかけていただいたからです。
これは予想外でした。声をかけていただいた方とは、そんな会話になったことは一度たりともなかったからです。
考えてみると、営業職は、引き抜きの多い職種の1つです。
私も幾度か、引き抜きの誘いをいただきました。
すべてお断りをしましたが、引き抜きを受けると、「仮に会社から放り出されても、会社がなくなっても、生きていける」、そんな安心感を得たものです。
■「信頼残高」を増やす6つのポイント
さて、あなたはいかがですか。
もし、まだ誘いを受けていないようなら、まだまだできることはありそうです。
実際、このように声がかかる人もいれば、ずっと声がかからない人もいます。
これが「信頼残高」の差だと、私は考えています。
一生懸命に営業をするだけでは、「信頼残高」は増えません。
コヴィー氏は、「信頼残高」を増やすためにやるべきことは、次の6つだと啓発しています。
・相手を理解する(相手を理解せずに、仕事を進めていないか?)
・小さな気遣いと礼儀を大切にする(気遣いと礼儀を適当に済ませていないか?)
・約束を守る(納期や時間、口にした約束を破っていないか?)
・期待を明確にする(お互いの期待のすり合わせをせずに進めていないか?)
・誠実さを示す(相手から見て、不誠実に思われる対応をしていないか?)
・心から謝罪する(言い訳から入っていないか?)
いかがでしょう。
少し、抽象的に思われたかもしれません。
でも、その抽象さこそが、あなた自身が「考える余地」なのです。
大事なことは、ただ営業ノルマの達成を追いかけるだけでなく、お客様のために、あなたなりにできることを色々と工夫し、行動に移し、それをやり続けることです。
お金には代えがたい資産を手に入れることができるでしょう。
■どうでもいいような「口約束」こそ守る
お客様との関係づくりに悩むことはないですか。
だとしたら、超オススメの行動を紹介しましょう。
それがこれ。
一見すると社交辞令のような「些細な口約束」を守るようにしてください。
たったそれだけで、お客様のあなたを見る目が変わります。
カラクリを解説しますね。
「また、いい情報があれば連絡するね」と言われた際、あなたは信じますか。
私は、悲しいですが「連絡はないだろうな……」と思うようにしています。
私の経験上、9割の人は履行しないからです。
例えば、こんな感じ。
営業「知人に聞いておきましょうか」
顧客「いや、いいよ。君も忙しいだろうし」
営業「かしこまりました。では、またわかったら連絡しますね」
この場合、営業からの連絡はないのが普通。
時には忘れることもありますし、後回しになることもあります。
営業は、時間に追われながら、営業目標を追いかけているわけですから当然です。
だからこそ、ここでちゃんと1通のメールを送るわけです。
いい結果が得られなかった場合であってもです。
「知り合いに確認し、ネットでも探したのですが、情報がありませんでした。申し訳ございません」と。
間違いなく、こう思われるはずです。
「へー、ちゃんと覚えてくれていたんだ……」
■記憶に頼らずスケジュールに書いて粛々とこなす
でも、こう思いませんでしたか。
そんなことをイチイチ覚えていられるかな……と。
大丈夫。誰もができる、とっておきの方法を紹介しましょう。
実に簡単。すべての口約束をスケジュールに書くだけで解決できます。
「佐藤様、連絡(**の件)」だけでOKです。
たったこれだけ。後は粛々とこなすだけ。
つまり、記憶に頼らず、スケジュールに従うのが正解というわけです。
実際、私もこの方法をとっていますが、忘れっぽい私でも絶対に忘れません。
モチベーション研究の第一人者、コロンビア大学の社会心理学者ハイディ・グラント・ハルバーソン氏の著書でも具体的な行動に落とすことで実行する確率が300%になるとの研究が紹介されていますので、やらない手はないでしょう。
さらに言いますと、もっとズルい裏技もあります。
メールのタイマー設定(送信予約)を使う方法です。
「2月に入ったら連絡しますね」と伝えたタイミングで、メールの送信予約(2月に送信されるよう)を設定しておけば、何が起ころうとも、約束は履行できるというわけです。
「その節はありがとうございました。2月に連絡をすると申していた**の件でございますが、お変わりはございませんでしょうか。また、ご不明な点等、ございましたらおっしゃってくださいませ。さて、もし、よろしければ3月に入ったあたりにお打合せの機会をいただけませんでしょうか」と。
結論です。小さな「些細な口約束」ほど、必ず履行してみてください。
たったこれだけで、あなたの信用がグッと高まります。
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らしさラボ代表
1991年、リクルートグループ入社。営業部長、フロムエーキャリア代表取締役を歴任後、2011年に研修会社らしさラボを設立。YouTubeチャンネルでも営業のノウハウを配信中。近著に『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(日本実業出版社)がある。
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(らしさラボ代表 伊庭 正康)
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