相手が「え、いいの?」と驚く気遣いができるか…トップ営業が絶対に契約を落とせないときに使う必殺フレーズ
プレジデントオンライン / 2024年6月12日 15時15分
※本稿は、伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■お客様の“モコモコの吹き出し”を想像する
営業の世界では「お客様の言葉を額面通りに受け取らない」、これが鉄則です。
お客様の「発した声」が本音ではないことは多いですよね。
実際、おっしゃったことを額面通りに受け取りその通りにしたところ、お客様が不満を感じる、なんてことはよくあること。
でも、これって、難しそうに思いますよね。
ある簡単な方法を紹介しましょう。
お客様の“モコモコの吹き出し”を想像してみてください。
マンガの吹き出しで、登場人物が心で何かを思っている時、モコモコした吹き出しに「クソー」「マズい……」など、心のセリフが書かれていませんか。
あのセリフを想像するのです。
例えば、登場人物がセリフでは、「任せてください」と言っていても、モコモコ吹き出しでは「できるかな……」といった心境が描かれていることも多いでしょう。
それがモコモコ。営業はそれを想像しながら会話をするのです。
■相手の本音を引き出す3つの切り口
さて、ここからが具体策です。
お客様のモコモコを想像する便利な切り口を知っておくといいでしょう。
「3つの不」を想像してみてください。
「どんな不便」を感じていらっしゃるのかな……
「どんな不満」を感じていらっしゃるのかな……
この「3つの不」を想像してみるのです。
私が求人広告の営業をしていた時、広告の依頼を受けた際のエピソードを紹介します。
契約書をいただく際、お客様が私にこう言いました。
「応募があればいいけどね……」と。
その言葉を額面通りに受け取った私は、こう返してしまったのです。
「確かなことは言えませんが、いい人が採用できることを祈っております」と。
その瞬間、ほんの一瞬でしたが、お客様の表情が曇りました。
よくよく考えると、初めて求人広告を使うともおっしゃっていました。
他人事のように「お祈りしています」といった言葉に、「え……祈りますはないでしょ」という、モコモコが見えた気がしました。
すぐに「採用できるよう精一杯サポートさせていただきます。応募を受ける際、面接の際のご不安はないですか?」と言い直しました。
もちろん、お客様の心を完璧に言い当てることはできません。
ただ、想像だけはしてみてください。
間違えていても構いません。
私の経験からも、お客様1人ひとりの感じていることを察知し、それに対応することが、より信頼され、成功する営業になる近道だと確信しています。
■「どう思われるか」ではなく「どう思わせるか」
先ほど、モコモコの吹き出しを想像しましょう、と言いました。
さらに上を目指すのであれば、このモコモコに何を入れるか、そこまでを想像するといいでしょう。
つまり、「どう思われるか」ではなく、「どう思わせるか」を考えるのです。
私のオススメは、このモコモコの中に「え、いいの?」と入れること。
この発想は、トップセールスが無自覚にやっている気くばりのテクニックといってもいいでしょう。
お客様「(え、いいの?)ありがとうございます。助かります」
この流れです。
アメリカに世界一のセールスと言われる伝説の人がいます。
アメリカの自動車販売の営業に従事するアリ・レダ氏です。
月に10〜20台を売れば十分と言われる中、彼はコンスタントに月に100台以上を売り続けるというまさに驚愕の結果を出し、なんとそれまでの販売台数のギネス記録も抜き、世界一の営業となりました。
そんなアリ・レダ氏は、週50時間しか仕事をしていないというのですから、その効率のよさに驚きます。
■できる範囲で、できることをしてあげればOK
彼の営業ポリシーの1つに「顧客のためなら何でもする」といったものがあります。
お客様が屋根の修理に困っているのであれば、「知り合いの業者を紹介しましょうか?」と紹介するそうです。
まさに「え、いいの?」がお客様のモコモコに入った瞬間だと思いませんか。
難しいことでなくてもいいのです。
できる範囲で、できることをしてあげればOK。
もっとも簡単なのは、あなたの営業活動の範疇でもよいので、「え、いいの?」を考えることです。
私が求人広告の営業をしていた時は、管理職の方々に「新人の受け入れ方をレクチャーしましょうか?」と申し出たこともありましたし、「選考の進め方」を資料にまとめてお渡ししたこともありました。
こんな簡単なことながら、他社の営業はしていませんでしたので、「え、いいの?」を意外と簡単に思ってもらえていました。
■「え、いいの?」と頼られる、ちょっとした親切を心がける
「なんだ、そんなことくらいなら誰でもできる……」
そう思いませんでしたか。
だから、あえて書きました。
スキルは不要。やることは簡単。やったもん勝ち。
ちょっとした親切をするだけ。
たった1回で絶大な効果が得られる、「超」効率的な手法といってもいいでしょう。
でも、ほとんどの営業はしていないのが現状です。
実際、私のお付き合いのある営業の方で、これができている人はごく一部です。
しかし、中にはこんな人もいます。
「伊庭さん、研修会社をされているのですよね。社長に伊庭さんを紹介してもいいですか? 私が伊庭さんの研修を受けてみたいので、アプローチしてみたいのです」、と。
まさに「え、いいの?」です。
このようにおっしゃっていただけるだけでも、大好きになってしまいます。
簡単なことでOK。
「よろしければ、**しましょうか?」「え、いいの?」
この会話を狙ってみてください。どんなことでもOKです。
たったそれだけで、関係性が変わります。
■「気くばり」と「心くばり」の違い
ここで、気くばりと心くばりについての違いを確認しておきませんか。
きっと、より素敵な行動ができるようになるでしょう。
まず、「気くばり」。
「気くばり」とは、相手より先に気付いて、気遣って差し上げることを指します。言い換えると「ちょっとした思いやり」です。
イメージとしては、「ありがたい」とお客様から感謝される感じ。
「月末はお忙しいと存じますので、中旬あたりのほうがよろしいでしょうか?」
と尋ねるのも気くばりの範疇。
お客様先を訪問する際に、何かお土産があったほうがいいな……と、お役に立つ資料を持参するのも気くばりの範疇です。
まず、営業は「気くばり」のある行動を日常から心掛けておくといいでしょう。
間違いなく、あなたの好感度は高まります。
次は、「心くばり」。
これは、気くばりよりももう一歩進んで、「(わざわざ)必要なことをして差し上げる」こと。言い換えると「サポート」や「手伝い」です。
イメージとしては、前項でも紹介した「え、いいの?」を狙う行動のように、「いや、そこまでしてもらうと申し訳ないし……」とお客様が恐縮される、そんな感じです。
「月末はお忙しいと存じますので、こちらで稟議に使用される資料を準備しておきましょうか?」は、心くばりの範疇。
「製品を納入する際、お使いになる現場の皆様に、使用にむけての勉強会をいたしましょうか?」と申し出るのも心くばりの範疇です。
■絶対に契約を落とせない際にする声かけ
では、営業としては、どうするべきなのか。
常に「気くばり」を考え、必要に応じ、「心くばり」を見せる、これがセオリーです。普段からできる「気くばり」とは、こんな感じ。
・お客様が稟議を上げやすくするため、予めデータを添えておく
・封書のやり取りで、記載する箇所の多い契約書には、捺印をしていただく場所にわかりやすく付箋を貼っておく
・その際に、切手を貼った「返信用の封筒」も封入しておく
・さらには、その返信用の封筒に宛先の名前(あなたの名前)を書いておく
そんなちょっとした「思いやり」のある行動を考えるといいでしょう。
それだけでも、お客様からの好感度は高まります。
一方で、ココ一番にする「心くばり」は、こんな感じ。
・他社との違いを見せたい時に、製品を納品するだけではなく「納品後、各拠点に伺い、ご使用状況や課題を確認した上で、レポートいたしましょうか?」と提案する
「わざわざ」それをすることで、「え、いいの?」「申し訳ないね」と言ってもらえるような行動を考えてみるのです。
ただし、時間を犠牲にしますので、リターンが見込める「狙い」がないとやるべきではないでしょう。
この「気くばり」と「心くばり」を意識することで、あなた自身の行動に磨きがかかることは間違いありません。
例えば、お客様に封書を郵送する際、「気くばりはできているかな?」とセルフチェックをすることになるはず。
返信用封筒を入れておこうか……など、いろいろと考えるようになるでしょう。
また、ココ一番の際は、「こちらが手伝えることはないかな」と、一歩進んだアクションを考えられるようにもなるはずです。
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らしさラボ代表
1991年、リクルートグループ入社。営業部長、フロムエーキャリア代表取締役を歴任後、2011年に研修会社らしさラボを設立。YouTubeチャンネルでも営業のノウハウを配信中。近著に『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(日本実業出版社)がある。
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(らしさラボ代表 伊庭 正康)
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