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和田秀樹「これから高齢者が増えれば増えるほど性的生活をエンジョイできるサービスが必要になる」

プレジデントオンライン / 2024年6月15日 16時15分

※画像はイメージです - 画像=iStock.com/doomu

50代以降の男女が若々しく生きるために社会に必要なものは何か。老年精神科医の和田秀樹さんは「これから高齢者が増えれば増えるほど、年をとってからときめきを感じられるような場が社会的に必要になってくる」という――。

※本稿は、和田秀樹『50代うつよけレッスン』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

■激しい運動は体にとって害になる

適度な運動や十分な睡眠、ストレスを溜めないことなどがうつ病対策や老化防止で大切なのは、言うまでもありません。

有酸素運動はホルモンの分泌を促し、脳内の神経伝達物質の一つであるセロトニンの分泌を促進します。セロトニンが増えることによって、うつ病の症状が改善されるほか、不安を感じにくくなるといった効果があります。

しかし、激しい運動はむしろ体にとって害になりますから、注意が必要です。

たとえば、呼吸が荒くなるような運動は心臓に大きな負担をかけるだけでなく、体内で活性酸素を大量につくり出します。活性酸素は老化や病気を引き起こす原因となりますので、若さをキープしたい場合は好ましくありません。

特に50代以降は、筋肉痛になるような運動や翌日に疲れが残るような運動はやめたほうがいいでしょう。それよりも、適度にできて長く続けられる運動がお勧めです。

たとえば、ウォーキングやジョギング、水中ウォーキング、水泳、サイクリング、太極拳、ヨガなど。バッティングセンターやゴルフの打ちっ放しでもいいのですが、とにかく自分の好きなスポーツや運動をすることが一番です。

とにかく無理なくできて、続けられることをやればいいのです。マインドフルネスもリラックス法もいろいろありますから、自分だったらどんなものが続けられそうかといろいろ試してみることです。

■「感情散歩」を日常に取り入れる

多くの人に私がもっともお勧めしているのは、散歩です。

それも、ウォーキングのようにストイックに歩くのではなく、散歩しながら同時にあれやこれやと周りを観察しながら歩く、「感情散歩」がいいのです。

高田純次さんが出演されている「じゅん散歩」(テレビ朝日系列)のように街中をぶらぶら歩きながら、気になるお店に入ってみたり、買い物をしてみたり。「お、この喫茶店、レトロでいい感じだな」とか「ここに新しいラーメン屋ができたのか」「行列ができているから、ちょっと覗いてみよう」などと新しい発見を楽しみながら、街をぶらぶら歩くのです。

私はしょっちゅうそんな散歩をしながら、いろいろな街のラーメン屋さんに入って大好物のラーメンを食べています。こうして自分が楽しめる要素を加えて、散歩と同時に脳と感情を刺激しています。とにかく、食事も運動も持続可能なものにするのが肝心な点です。

通勤や移動の際に電車やバスを早めに降りて、1駅分を余計に歩いてみるなどもいいでしょう。毎日続ければ、1カ月後には立派な習慣になっていることでしょう。運動習慣がないのに、「とりあえずジムに入会したから行かなくてはいけない」という状況は、むしろストレスになりかねません。ストレスは免疫力の低下を招きますから、そんなに辛いことや苦しいことはしないほうがいいのです。

■ときめきを感じなくなったら老化の始まり

50代以降は、性的な関心ごとについて個人差が出てくる時期でもあります。

性ホルモンの減少によって恋愛感情や性的好奇心が減ってくる人もいれば、まだまだ若々しく潑剌(はつらつ)としている人もいます。

たとえば職場に新しく異性の人が入ってきたようなとき、以前であれば「どんな人だろう」と気になっていたのに今ではまったく興味を感じなくなっているとしたら、男性ホルモンや女性ホルモンが減って、性欲や異性への関心が落ちているのかもしれません。

しかし、50代以降も若々しくいるためには恋愛への意欲や性欲も重要です。

いや、性欲とまではいかなくても、アイドルにときめくのでも、キャバクラなどで話の合う人に話を聞いてもらって嬉しく感じるのでもいいのです。

大事なことは、何歳になっても「ときめき」や「ドキドキ」という感覚を持ち続けることです。

女性も同様です。「推し活」などでアイドルやアーティストの追っかけをしたり、ジムのインストラクターにときめいたりすると、女性ホルモンが活性化されて肌のツヤが良くなることがあります。

こうしたときめきやドキドキ感は、性ホルモンの分泌を活発にしてくれるだけでなく、脳内の前頭葉にも強い刺激を与えて活性化を促します。

■恋愛感情でホルモンを活性化させる

こうした話をすると、「いい年をして、ときめきだのドキドキだの、みっともない」「年甲斐もなく恥ずかしい」と眉をひそめる人がいます。

でも、これは若返りのために必要なことなのです。

夫婦の場合は、夫や妻が恋愛をするとなると夫婦関係にヒビが入りかねません。お互いにパートナーのいる人に浮気を勧めるのは問題がありますが、せめて配偶者が許してくれるような場所で若さを取り戻したいものです。

キャバクラ通いや推し活などをしていると、積極的に外出したり、服装に気をつかったり、おしゃれになったり、話題が広がったりと、老化防止にも良いことばかりです。普段は付き合わないような世代の人との会話も前頭葉を刺激します。

いや、夫婦がお互いに自由になることを認め合えるなら、恋愛するのもいいでしょう。お互いが自由になれば、改めて相手の良さも見えてくるかもしれません。

少なくとも、恋愛感情を抱くことで、男性にとっては男性ホルモンが増えて若返ります。

女性にはもっとメリットがあります。先述の通り、恋愛をすると女性ホルモンが増えるので、肌が若返ってきれいになりますし、骨粗しょう症になりにくくなります。さらに女性の場合は男性ホルモンも増えるので意欲が出てきてアクティブになり、人付き合いもますます積極的になる傾向があります。

歩きながら話す男女
写真=iStock.com/AH86
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AH86

■ストレス発散のために“インテリ系クラブ”を

最近、私はいろいろなところで半分は冗談、半分本気で話しているのですが、中高年向けの「インテリ系ホストクラブ」をつくってはどうかと思っています。

今のホストクラブには押しの強い若いホストが多いそうですが、そうではなくて、40代、50代の大卒や大学院卒で知力の高い男性が話を聞いてくれるクラブです。

あるいは、「臨床心理士クラブ」もいいかもしれません。臨床心理士の資格を持っている男性がホストになって1時間3万円などで話し相手になってくれるクラブです。じっくり悩み相談に乗ってくれたり、恋愛ごっこのような関係を楽しめたりするクラブなら、日常のストレスを発散する場としても最適です。

臨床心理士の資格を持つ女性がホステスになって、客の悩みをじっくり聞いてくれるクラブもいいかもしれません。

とにかく、これから高齢者が増えれば増えるほど、年をとってからときめきを感じられるような場が社会的に必要になってきます。

「年をとったら枯れていくのが美しい」なんて、マスコミの大ウソです。

そんな意識は捨てて、男性も女性もどんどんときめくことが大事です。

もう一つおまけを。男性ホルモンを増やしたい場合は、「セックスミネラル」とも呼ばれる亜鉛が含まれている牡蠣やニンニクを積極的に食べるのもいいでしょう。

■高齢社会こそ性規制をゆるくしたほうがいい

私から言わせれば、年をとったら、ときめきだけでなくて性的生活も必要です。性的な関心が強い人ほど健康寿命も延びるため、性規制はもっとゆるくしたほうがいいと考えています。

たとえばアメリカやヨーロッパの国々では表現の自由という観点からポルノグラフィーが解禁されていますが、先進国と呼ばれる国のうち、ポルノを解禁していないのは日本くらいです。

男性ホルモン補充療法以外で、男性ホルモンの分泌をもっとも速く促すのは、実はこうしたポルノの鑑賞です。

日本では高齢者がエロ動画やヌード写真などを見ていると眉をひそめられるような風潮がありますが、若返りという点から見れば、性をタブー視すべきではありません。高齢者の多い日本こそポルノを解禁したほうがいいのに、政治家の頭が固すぎるのは残念なことです。

ひざまずいてハートを差し出す人
画像=iStock.com/skvoor
※画像はイメージです - 画像=iStock.com/skvoor

■「性の先進国」の英断

日本とは違い、高齢者に対して思い切った策を取ったのが、北欧のスウェーデンとデンマークでした。

和田秀樹『50代うつよけレッスン』(朝日新書)
和田秀樹『50代うつよけレッスン』(朝日新書)

1960年代から現在の日本と同じように国民の高齢化に頭を悩ませていたスウェーデンとデンマークは、老人たちに活力を与えて若返らせるために、1970年前後からポルノを解禁し、ポルノ映画の上映を合法化したのです。

スウェーデンは特に「性の先進国」と呼ばれますが、他にも非常にユニークな政策を行っていて国民の幸福度も高く、寝たきりの老人もほぼいないと言われています。

このような実質的な考え方を、日本の政治家も取り入れてほしいものです。

性的な気持ちを持つことは悪いことではありません。

「こんな年なのに恥ずかしい」「情けない」などと考えて自分にブレーキをかけないことが、老け込まずに若々しくいるために必要なのです。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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