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「学年の半数超」が東大京大合格…灘校長が語る「世の不条理と対峙するために小学生で経験してほしいこと」

プレジデントオンライン / 2024年6月6日 10時15分

聖心女子学院初等科・中等科・高等科校長の大山江理子先生(撮影=学校提供)

先が見えない不確かな時代、わが子が夢をかなえるために親がしてやれることは何か。「プレジデントFamily」編集部が日本を代表する難関中高一貫校や名門公立高校の校長に取材した。わが子が小学生のうちに絶対やるべきこととは何か。2回目は聖心女子学院初等科・中等科・高等科校長の大山江理子さんと、灘中学校・高等学校校長の海保雅一さん――。(第2回/全4回)

※本稿は、『プレジデントFamily2024春号』の一部を再編集したものです。

■聖心女子学院初等科・中等科・高等科校長 大山江理子先生

親子でたくさん対話をして!

子供らしい6歳から思春期に向かう12歳まで。小学校時代はなかなか長いですが、人として生きていく基盤をつくる大切な時期です。学校や習い事など家の外の世界での活動も増えて、毎日新しいことに出遭い、たくさんの刺激を受けて成長します。その、外での活動のための力を蓄えるのが、ご家庭の中での過ごし方になると思います。

人間は一人だけでは生きられません。大勢の人に支えられ、自らも人と関わりながら生きています。これからの時代では、人との関わりはごく身近なローカルなものから、もっと広いグローバルなものまで多様になるでしょう。

人と関わるうえでは、喜びだけではなく、困難なことにも遭遇すると思います。意見が食い違ったり、理解してもらえなかったり、誤解を招いたり、理不尽な思いをすることもあると思います。

けれど、ご家庭の中で温かく見守られながら、愛情をたっぷりともらって育つことができたら、生きることは基本的には楽しいこと、世の中には困難なことだけでなくすてきなこともたくさんあるのだと実感できますから、困難な状況でも希望を見失わずに、次の一歩を踏み出すことができると思います。

世界の情勢は残念ながら不確実な方向に向かっています。AI(人工知能)をはじめとする技術革新は進展していきますが、そうした状況の中では、一人一人が自分の置かれた状況でものごとを自分ごととしてしっかり考えることが求められると思います。

自ら問いを立て、知ろうとする姿勢を持つことで、自分らしく生きていくことができるのではないでしょうか。ぜひ、ご家庭の中で、たくさん対話をしてもらいたいと思います。

対話とは、「テーマを決めてお互いに意見を交わすこと」ですが、あまり堅苦しく考えず、おしゃべりよりはほんの少し落ち着いてじっくり語り合うイメージです。私は、親子間であっても対話は可能だと思いますし、対話ができたら素晴らしいと考えます。学習についても、結果だけに注目せずに、いま学校で学んでいる内容について関心を持って話をすると、学びの世界が広がります。

自ら考えて取り組むことで、人は常にブラッシュアップされていきます。それはつまり、常に新しい自分になること、常に自分の殻を破っていくことにつながります。

■灘中学校・灘高等学校校長 海保雅一先生

一つでいい、夢中になれるものに出合って!
海保雅一先生
灘中学校・灘高等学校校長の海保雅一先生(撮影=梅田佳澄)

「小学生のうちに絶対やるべきこと」

プレジデントFamily編集部からの課題について、私にはその答えとなるものが思いつきません。やらないよりはやっておいたほうがいいかもしれないこと、なら山ほどあるでしょうが、それらが欠けたらお子さんが順調に成長できないなどということはないと思うのです。

これからの時代を生き抜いていくために必要な能力にはさまざまなものがありますが、こうしたらお子さんにその能力が身に付くなどと、健康食品の宣伝のようなことは、とても申し上げられません。

ただ、個人的には精神科医の帚木蓬生(ははきぎほうせい)氏が提唱しておられるネガティブ・ケイパビリティが、これからの時代には必要だと思っています。

小学生のお子さんも、学年が上がるにつれて、世の中の仕組みは絵本や教科書に書かれているほどうまくできてはいないことに、徐々に気づき始めるのではないでしょうか。

実際、世の中に出ると、不条理なことや解決方法が見えない困難なことにしばしば出合います。そんなときに、あきらめたり、安易な解決法にとびついたりせずに、未解決の問題を抱えた宙ぶらりんの状態を持ちこたえながら前向きに生きるのに必要な力を、ネガティブ・ケイパビリティと呼びます。

ネガティブ・ケイパビリティを育む土壌となるのは、世界は「素晴らしいものだ」とまではいかなくても「捨てたものではない」という認識、そしてその世界と自分がつながっているという感覚です。

『プレジデントFamily2024春号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2024春号』(プレジデント社)

この認識や感覚を持つ方法は一つではありません。音楽、美術などに触れてその美の世界と共鳴する。スポーツや集団活動に取り組んで人との絆の大切さを体感する。植物や昆虫などの自然や宇宙の仕組みの精緻さを知って感動する。まだまだたくさんありそうです。

それぞれのお子さんの個性に合った方法を親御さんが一緒に見つけてやることが大切だと思います。

小学生のうちにしておいてほしいこと。それはつまり、感動したり共鳴したり、夢中になれたり、そんなことに一つでもいいから出合っておいてほしい、ということかもしれません。

(プレジデントFamily編集部)

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