1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

お金の問題は「お金がないこと」ではない…収入が低くても「一生お金に困らない人」が絶対に欠かさないこと

プレジデントオンライン / 2024年6月16日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Khosrork

お金の不安を解消するにはどうしたらいいか。エグゼクティブコーチの安藤真由美さんは「将来必要な額がわかっていて、資金繰りできるなら不安にならない。まずは家計簿をつけて、キャッシュフローを把握することが大切だ」という――。

※本稿は、安藤真由美『お金の知識があるだけで あなたが見られるはずのとびきり輝く世界について』(日経BP)の一部を再編集したものです。

■お金の不安が生じる理由

「今の収入で将来も暮らしていけるのかな」
「(同期や友人など)まわりと比べて、自分は大丈夫なのかな」

多くの方がお金に関して漠然とした不安を抱えています。

私のところにも相談がたくさん寄せられます。相談者は無職の方から年収数千万円以上の方まで、さまざまです。何億円もの資産をお持ちの方もいます。

収入や資産の水準と関係なく、お金の不安が生じているのです。

ここでの不安は、「将来いくら必要で、それまでにいくら準備できるか分からないこと」です。不安になって当然ですよね。

つまり、お金の問題はお金がないことではありません。将来が分からないから不安になるのです。お金が足りなくなったときのことを想像して不安になるのです。

これに、自分は金融リテラシーが少ないからと余計に不安になっている可能性もあります。日本の教育では長らく金融リテラシーを身につける機会を提供してこなかった(第1回参照)のですから、分からなくて当然です。

私たちは、知っていたら得したかもしれない多くの機会を、教えてもらえないまま逃してきました。

それでも日々の暮らしは続きます。自分なりに一所懸命生きても、分からないままでは将来に向けて適切に備えることはできません。目の前にあるものをとりあえず手にとる行為は、運任せのギャンブラーのような生きかたになってしまいます。

人生100年時代、遅すぎることはありません。残りの人生をより充実したものにするために、今日から学んでいきましょう。

■売上や利益よりも大切な「資金繰り」

私は大学卒業後、外資系の銀行に就職しました。

そこでは審査室に配属され、銀行がお金を貸している取引先の信用力(融資やその他の取引の決済がきちんとできるかどうか、貸し倒れが生じないかどうか)を調査する、アナリストという仕事に就きました。

あるとき、本店の研修担当者がやってきて、売上や利益も重要だけれど、本当に大切なことは今後の資金繰りの見極めであると教えてくれました。

資金繰りとはその会社のキャッシュ(現金)の出入りのことです。いつ「現金」が入り、いつ出ていくのか、現金の流れをしっかり把握することが大切です。

当時の日本の銀行は資金繰りの予測よりも、会社の規模や歴史、担保価値などを重視していました。しかしその人は、取引先の信用力を分析するには「資金繰り」、つまり正確な現金の流れを見るべきだという本質的なことを教えてくれたのです。

彼が繰り返し言った言葉を紹介します。

「CASH IS KING、CASH IS QUEEN」

「現金は王であり、女王である」。資金の現状と、そして未来を把握すること。それが最も重要なのです。

銀行
写真=iStock.com/olaser
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/olaser

■まずは収支の把握から

この大切さは私たち個人にもあてはまります。

自分の資金の現状と今後の推移について把握することができたら、自身の信用力が見えてきます。安定的な基盤をつくるために必要な方法や効果的な戦略を考えることが大切です。

まずは、収支(フロー)を把握しましょう。そのためには、家計簿をつけるところから始めることが必要です。

家計簿をつけたことがない人も、苦手意識がある人もいると思います。しかし、そういう人も、家計簿が持つ大きな力を知ってほしいと思います。次の項目で説明します。

■家計簿をつけるのは当たり前

家計簿をつけると、まず、自分のお金の使い方のクセを知ることができます。特定の出費が多いことに気づいたり、使途不明金の多さに驚いたり、実はもっと使える余地があることが分かることもあります。その上で、自分が今持つ貯蓄や負債などのストックを確認できれば、自分のお金まわりの確認は完了です。

お金の教養講座を主催しているとよく受ける質問があります。

それは「家計簿をつけることにどんな意味があるのか?」というものです。

家計簿は面倒くさい、大変そうだという気持ちが伝わってくる質問です。たしかに、家計簿をつけなくても人生は送れます。

しかし、この質問は、お金について少し学んだことのある人なら、「はみがきをすることにどんな意味があるの?」と聞かれたのと同じぐらいの衝撃があるでしょう。

はみがきをしなくても人生は送れます。しかし、虫歯になるし、それ以上の病気を引き寄せるかもしれません。

家計簿をつけたことがない、あるいは昔つけたけど挫折したことがある人もいるでしょう。大丈夫です、何ごとも習慣化できると、はみがきと同じくらい普通になります。逆にいうと、挫折してしまった理由は習慣化できなかったことにあります。

家計
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

■「しくみ化」すれば楽になる

次の項目で、私が生徒さんにお伝えした方法をいくつかお知らせします。

習慣にするためには、しくみ化が大切です。簡単に、自動的にやってしまうようなしくみです。いくつかはお伝えしますが、このしくみ(あるいはやる気スイッチとも言えるかもれません)は個人によって違うため、最初はいろいろ試してみる必要があります。ただ、ひとつ覚えてほしいのは、「家計簿で自分の収入と支出を知ることからしか、お金のことは始まらない」ということです。

趣味など自分が続けられていることを思い浮かべながら、その共通項を探してもいいかもしれません。続けられた先にある姿を思い浮かべたり、頑張ることを周囲に宣言したり、仲間を見つけて一緒に取り組んでみてもいいかもしれません。私の講座ではライングループをつくって、進捗を報告し合ったり、情報交換をしたりしています。

■最低でも1年は続けよう

それではいよいよ家計簿に取り組んでみましょう。「浪費」を見つけ出したり、お金の使い方にメリハリをつけたりするためには絶対に避けて通れない関門です!

大切なのは、継続して家計簿をつけ続けること、記録した内容を分析して今後に生かすこと、のふたつです。継続するのが難しいと感じても、少なくとも1年はがんばってみてください。1年間続ければ季節ごとの特別な収入や支出が把握できます。ご自身の稼ぎ方や使い方のクセについて全体像が見えてくるはずです。その後は大まかな管理方法に変更してもOKです。

■家計簿の選び方

手書きが好きな方は市販の紙の家計簿がいいでしょう。

安藤真由美『お金の知識があるだけで あなたが見られるはずのとびきり輝く世界について』(日経BP)
安藤真由美『お金の知識があるだけで あなたが見られるはずのとびきり輝く世界について』(日経BP)

婦人之友社や主婦と生活社、コクヨなどの文房具メーカーなどからさまざまな家計簿が出ています。選ぶ基準は特にありません。本屋や文房具屋で、手に取るだけで気持ちがあがるようなデザインのものを選ぶのもいいかと思います。

データで残したい方は、シンプルにエクセルなどで管理するのもよいでしょう。

もっと簡単にしたい方はアプリやクラウド上での家計簿サービスの利用がおすすめです。レシートを写真に撮ったり、銀行口座やクレジットカードなどを事前に登録しておけば自動で記録してくれるものもあります。

アプリのおすすめは、会員登録せずに簡単に操作・管理できる「かけ~ぼ」、レシートからの読み取り項目が多く支出の分析に役立てやすい「Zaim」、レシートの細かい読み取りだけでなく、事前登録できる金融機関やカード会社数が多い「マネーフォワードME」などです。

無料で使える機能に制限がある場合もありますので、事前に確認してみてください(個人情報の流出リスクなどが気になる方は、事前に口座情報などを登録するか、よく検討してから判断してください)。

手書きかエクセルかアプリかは関係ありません。

好きなノートを使いたい方は手書きで、移動などの隙間時間を活用したい方はスマートフォンのアプリが便利です。

スマートフォンで家計簿をつける人
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

■「家計簿タイム」を決める

家で記録する方は、最初は夕食の後や寝る前など、あらかじめ家計簿タイムを決めておくとよいでしょう。

忙しくて毎日記録できない方は手帳やスマートフォンのメモ機能を活用し、平日は金額と内容をメモして、週末にレシートを確認したりしながら、まとめて家計簿に転記する方法がおすすめです。財布の残金を確認しながら、転記したレシートを捨てるとスッキリしますよ!

大切なのは、自分が記録と分析を続けやすい方法を見つけることです。

■お金まわりを整えよう

「整える」ことはとても大切な行為です。整理整頓や断捨離®をして、自分のスペースを心地よく整えること。運動や食事によってカラダを整えること。好きな時間を過ごしながら心を整えること。どれもとても大切なことばかりです。

お金まわりを整えていく途中に、「なぜか部屋が片付いた」という言葉や、「健康になった」という声もよく聞きます。自分のお金の流れについてきちんと知り、判断していくことで、お金も生き方も整っていきます。

むだを削ぎ取り、メリハリをつけながら、自分が心地よいと感じられる状態まで近づけていきましょう。整うと、お金に振り回されることが減り、不安が消えていきます。自分で把握・管理できたという感覚が自信にもなります。

----------

安藤 真由美(あんどう・まゆみ)
エグゼクティブコーチ・コンサルタント
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了(MBA)、お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科ジェンダー社会科学専攻博士前期課程修了(社会科学修士)。ブリリアントライフ代表、一般社団法人ジェンダー総合研究所共同代表、株式会社レーサム社外取締役。国内外の金融機関等に22年勤務した後、独立。ファンドマネージャーやアナリストとして数百社に及ぶ投資先の定量・定性分析や、トップ・マネジメントへのインタビューを行った経験を活かし、経営者や管理職を対象としたエグゼクティブコーチングやコンサルティングサービスを手がける。著書に『お金の知識があるだけで あなたが見られるはずのとびきり輝く世界について』(日経BP)がある。

----------

(エグゼクティブコーチ・コンサルタント 安藤 真由美)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください