「御社の○○さんから教えていただいたのですが…」ビジネスでキーマンの心を鷲掴みにする魔法のフレーズ
プレジデントオンライン / 2024年6月14日 15時15分
※本稿は、伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■「商品のよさだけで契約、営業への信頼で契約」の大きな違い
私が、営業を始めたばかりのこと。
トップセールスだった上司から教わったことがあります。
「商品のよさだけで契約したお客様は、他社がいい商品を提供すれば、縁が切れる。値段の安さで契約したお客様は、他社が安い商品を提供すれば、縁が切れる。しかし、営業への信頼で契約してくださるお客様は、何があっても縁は切れない」
本当にその通りだと、しみじみ思います。
私が通うクリニックで実際に見たシーンを紹介します。
待合室で待っていると、製薬会社の営業(MR)が院長にこんなことを言われていました。
この営業さんは「何でつながっている」のかを想像してみてください。
営業「すみません……」
いかがでしょう。
何でつながっていると思いましたか。簡単ですよね。そうです。
「商品のよさでつながっている」関係です。
商品が途切れたと同時に、縁も切れる、まさにそんなシーンでした。
■今できることを精一杯する
では、どうすればよかったのか。
今できることを精一杯する、が正解です。
在庫がなくても「今、用意できる薬を提示する」ことをしなければなりません。
実は、製薬業界では、薬の在庫がなくなることはよくあること。
もちろん、それだけでは足りません。
「今は代用でしのぎながらも、このタイミングではこの個数を確保できるように折衝します。進捗があり次第、報告します」と、対症療法だけではなく、本質的な対処を詰めておく必要はあります。
このように、できる限りのことをするからこそ、「頼りになる」と思われるのです。
さらに言うと、お客様が期待していたより早く、解決することができれば完璧です。
約束に甘えずに、期待を超えるよう心掛けてみてください。
「頼りになる」と思われるはずです。
もしそれができなければ、進捗を報告することも有効です。
「他の部署にも確認を入れております。また進捗があれば報告いたします」と。
どうでしょう。
あなたは、ここまでやっていますか。
トップセールスは、間違いなくやっています。
「私の気持ちを言わずともわかってくれる……」
「常に、私の視点で考えてくれる……」
つまり、「本気でやってくれている」、
そう思われることこそが、信頼でつながる営業なのです。
![「何」でつながっているのかを常に意識する](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/f/1200wm/img_8f991ce0de9af4a2b9d2a8408742f4bd317223.jpg)
■「自分が何をすれば信頼を得られるか」を考えるシナリオ
営業経験が浅い人はもちろん、担当を引き継いだ際は、なかなか信頼されにくいことが多いものです。
だからこそ、知っておくべき法則があります。
「ジョハリの窓」で考える、です。
ジョハリの窓とは、「相手が知っていること」「自分が知っていること」で整理したマトリクスのことです。
このジョハリの窓を意識した行動をとることで、自分が何をすれば信頼を得られるかを考えやすくなります。
次の図をご覧ください。
![最短で信頼を得る2つのシナリオ](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/3/1200wm/img_835d269138d0bb20c3f453011b9d8963249799.jpg)
これが、お客様とあなた(営業)のジョハリの窓です。
信頼を得るためには、お互いが知っている「解放の窓」で会話する関係を目指しましょう。
■現場のことに関心のないキーマンはいない
目指すべきは「ウチのことをよく知ってくれている」「イチ言えば、すべてが通じる」、そんな状態。
まずは、ここを目指すわけですが、もちろん一足飛びにはいきません。
とるべきアプローチは2つあります。
1つ目のアプローチは、「秘密の窓」で感謝される会話をすることです。
お客様が知らないものの、お客様にとって関心のある情報を持っておくことで、お客様から感謝される会話ができるようになります。
例えば、他のお客様の成功事例。業界の潮流を把握しておくことは鉄板です。
同僚が持っている情報にも、アンテナを張っておくといいでしょう。
また、日ごろから「日経新聞」や「業界新聞」にも目を通しておくことや、YouTubeなどのSNS、ビジネス書を通じて、情報を仕入れておくこともオススメです。
「先週の新聞に出ていたのですが、**社が**をされたそうです」
「え、そうなの?」
という会話を目指してみてください。
そして「超」オススメなのがこれ。
お客様が管理職や経営者なら、お客様の「現場」の情報を知っていると、かなり喜ばれます。
意外と、現場が「秘密の窓」であることも多いからです。
「先日、**営業所の**さんから教えていただいたのですが……」
「え、そうなの?」
という会話をできるようにしてみてください。
現場のことに関心のないキーマンはいません。やらない手はないでしょう。
■当たり前のことを知らないと失点につながる
2つ目のアプローチは、「盲点の窓」をできる限りつくらないことです。
例えば、「今までの取引状況」「前任者との会話内容」、そして「お客様の基本情報(ホームページの情報)」など、当たり前のことを知らないと失点につながります。
「え、聞いていないの?」「前はやってもらっていたけど」「ウチの社長のこと知らないの?」、そうは言われたくないものです。
あなたは大丈夫でしょうか。
![伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/2/1200wm/img_22725754663ea057da22d1cb9df192e091615.jpg)
挽回不能とは言いませんが、「前の担当のほうがよかった」と思われかねません。
できる限りでよいので、調べておきましょう。
まずは、この2つを意識してみてください。
今何をするべきかが、見えてきませんか。
「解放の窓」、つまり、「ウチのことは、あなたに任せれば大丈夫」と思われる。
そんな関係で営業ができるようになります。
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らしさラボ代表
1991年、リクルートグループ入社。営業部長、フロムエーキャリア代表取締役を歴任後、2011年に研修会社らしさラボを設立。YouTubeチャンネルでも営業のノウハウを配信中。近著に『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(日本実業出版社)がある。
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(らしさラボ代表 伊庭 正康)
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