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家事で忙しい妻に「食洗機買う?」はキケン…共働き夫婦の溝を埋める「チーム家事」という画期的な方法

プレジデントオンライン / 2024年6月20日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

夫婦間の家事分担はどのようにすればいいのか。日本で唯一の「家事シェア研究家」を名乗る三木智有さんは「家事・育児のイライラの原因は、負担の多さと、片方が何もしないという不満にある。家電導入は負担しか軽減してくれないので根本解決にならない」という――。

※本稿は、三木智有『家族全員自分で動く チーム家事』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■「時間がない」人におすすめの家事シェア術

「時間の不公平感」と「非効率な家事シェア」の両方を解消していくための実践をしていきましょう。

この不公平な時間感覚の溝に悩む方は「仕事等で、時間を調整することがそもそも難しいんだ」という悩みを抱えているはずです。そして、仕事を調整するとしても、明日からすぐに定時で帰れるようになるわけでもありませんね。そんな時間がない方にこそ効果的なのがパラレル家事です。

パラレル家事とはひと言でいえば「○○していないほうが、○○する」というルールで家事を同時に行うことです。

ただそれだけのメソッドが、なぜ有効なのでしょうか。理由を知った上で実行するのと、知らないままなんとなく実行するのではその意味も応用力も違ってきます。

■掃除する妻の横でヒマそうにスマホをいじる夫

家事をする人が一番腹が立つのはどんなときか、考えたことはあるでしょうか?

それは自分が一生懸命家事をしている横で、ヒマそうに自分の時間を満喫している家族の姿を目にしたときです。

朝早く家を出なくてはいけないパパに「家族の朝ご飯をつくってから家を出て」とは思わないですし、夜11時に帰ってきたパパに「部屋の掃除してから寝て」とも思いません。無理せずに休んでほしいと思うものです。

でも、休日にママが掃除や洗濯をしている横で、ヒマそうにTVやスマホを眺めている姿を目にした瞬間、不満が爆発するのです。これは、当然パパとママが逆転しても同じです。

じつはこの事実が、チーム家事において欠かせない重要ポイントとなります。

■「食洗機買おうか?」では負担は減るが不満は減らない

家事育児シェアのイライラの原因には、「負担」と「不満」の2つがあります。

「負担」とは、いわゆる手間のことです。片付けるのが面倒くさい、食器を洗うのが大変、毎日毎日ご飯の準備をするのが嫌になる。この負担を軽減するための手法は、「家事代行業者に外注する」「便利家電を使う」「時短家事で工夫する」などいくつかあります。

この「負担」はわりと家族からも見えやすい負荷なので、パパが「ママを助けるために家事をしよう」と思う場合、この「負担」をどうやったら軽減できるかばかりに目が向いてしまいがちです。「食器洗いがつらいなら、食洗機を買おうか?」などがそうです。

ところが、家事シェアとは難しいもので「負担」だけを一生懸命軽減させても、イライラがすっきり解消するものでもない。その理由がもうひとつの原因「不満」にあります。

食洗機に食器をセットする手
写真=iStock.com/Prostock-Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Prostock-Studio

「不満」とは、いわゆる不公平感のことです。あれもこれも自分ばかりやっていて、指示をすればやってくれるかもしれないけど、逆を言えば指示をしないと誰も何もしてくれない。こうした「不満」は家事代行を頼もうと、便利な家電を購入しようと解消されることはありません。なぜなら、イライラの矛先は「チームメンバーである家族」に向いているからです。

■「○○していないほうが、○○する」パラレル家事

ここでお伝えするパラレル家事は、この「負担」と「不満」の解消にぴったりの方法です。完全に5:5で家事育児をシェアすればいいということではありません。重要なのは、数値的な分担割合よりも、お互いを尊重し合う気持ちです。

では、改めてパラレル家事のやり方について解説します。

パラレル家事とは「○○していないほうが、○○する」というやり方で家事をシェアする方法です。

たとえば「料理をしていないほうが、お風呂の準備をする」「部屋の掃除をしていないほうが、子どもを連れて買い物に行く」「洗濯干しをしていないほうが、水回りの掃除をする」など。組み合わせは自由です。

パラレル家事のよいところは、お互いにやることを決められるためとてもフェアな気持ちになる点です。先程紹介した「家事をしているときに、ヒマそうにされてると腹が立つ!」のイライラを一発で解消することもできます。

さらに、家事シェアをルーティン化しやすいのも魅力です。いちいち指示を出すのは結構大変ですから、パラレル家事を使ってルーティンにしてしまえば、いわゆる「言われなくても家族が自立している状態」を簡単につくり出すことができます。

では、以下にもう少し細かなポイントをご紹介します。

■必ずしも同じ時間に家事をしなくてもOK

「必ず同じタイミングでやらなければいけないですか?」

これはパラレル家事を考えるときによく聞かれる質問です。

人にはそれぞれの生活リズムがあったり、体調や気分の良し悪しもある。家にいるときくらいは、そんなにきつく自分を律していないで、ゆるやかに家事をしたい。その気持ち、よくわかります。

結論からお伝えすれば、「同時じゃなくても全然OK」です。

大切なのは、家事育児ミッションを一緒にクリアしていくことであり、同時にクリアすることではありません。

三木智有『家族全員自分で動く チーム家事』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
三木智有『家族全員自分で動く チーム家事』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

たとえば「部屋の掃除をしていないほうが、洗濯をする」というパラレル家事を決めたとします。もちろん同時に行うこともできますが、時間差があっても構いません。お互いが同じように家事に取り組んでいるという公平感は変わらないはずです。

また、「妻が料理をしている間は、休憩時間にしたいのですが、それってやっぱりダメですか?」と聞かれることもあります。これも全然OKです。休憩時間は家事ではないと思うかもしれませんが、これにもうひとつパラレル家事を追加して、こういう組み合わせにすればいいのです。

「料理をしていないほうは、自由時間にする」
「食器洗いしていないほうは、自由時間にする」

これを合わせて「料理をしていない人が、食器洗いをする」とすれば、料理中に相手がのんびりTVを見ていても嫌な気持ちにならずに済むでしょう。

もっともよくないのは「黙って休憩していること」です。「後で食器洗いしようと思ってたんだよ」と言うのはただの言い訳にすぎません。お互いに合意が取れていることで、初めて不公平感を覚えずに済むのです。

■メインの家事をしている人をサポートするのも効果的

小さなお子さんがいるご家庭だと、家事をしているときにお子さんが邪魔をしてくることもあります。そこでいちいち手が止まってしまうと、終わるものも終わりません。なので「料理をしていないほうが、子どもの相手をする」などは、効果的なパラレル家事です。

このパラレル家事の目的は、料理している人の邪魔をさせないことです。なので、適当に子どもの相手をして「ママー!」と料理している人に向かって行っては意味がありません。これから食卓を並べるのに、ダイニングテーブルを散らかしまくって遊んでいてもダメ。夕飯を気持ちよくみんなで食べるというミッションに向けて、しっかりと子どものお世話をしなくてはならないのです。

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三木 智有(みき・ともあり)
NPO法人tadaima! 代表、家事シェア研究家
「10年後、20年後も『ただいま!』と帰りたくなる家庭」で溢れた社会の実現を目指し、NPO法人tadaima! を起業。家事シェアを広めるための講演を年間80本以上、元インテリアコーディネーターの経験を活かした、子育て家庭のモヨウ替えを年間100件以上行う。日本唯一の家事シェア研究家として、2016年内閣府「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」委員に選任。NHK「あさイチ」、関テレ「報道ランナー」、韓国KBSなどメディア出演多数。著書に『家事でモメない部屋づくり』(ディスカヴァー)がある。

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(NPO法人tadaima! 代表、家事シェア研究家 三木 智有)

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