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800ホテル12万室を超えたアパ社長76歳…3階建て自宅の40数段のらせん階段を1日最低でも10往復するワケ

プレジデントオンライン / 2024年6月23日 7時15分

元谷芙美子アパホテル社長。1947年、福井県生まれ。県立藤島高校卒業後、福井信用金庫に入社。金融機関の会合で元谷外志雄氏と出会い、結婚。71年に外志雄氏が起業した信金開発(現・アパグループ)取締役就任。94年から現職。

■アラームの1分前には自然に目が覚める

旦那様が会社を立ち上げて今年で53年目。主婦業と両立しつつ、47歳からアパホテルの社長も務めていますが、外を飛び回る毎日は今も変わりありません。不動産仲介事業も展開していてお客様との商談で全国に出張しますし、ありがたいことに講演の依頼もたくさんいただきます。それでも疲れを感じることはほぼありません。外見は年相応にそれなりになってきましたが(笑)、体は一級品。丈夫な体に生んでくれた親に感謝ですね。

疲れ知らずで働けるのは、深い睡眠を取れていることも関係しているのでしょう。睡眠時間は毎日5時間半。日本人の平均と比べるとやや短めかもしれません。ただ、そのぶん快眠です。ベッドに入れば1~3分で眠りに入り、夜中にトイレで一度は起きるものの、その後は朝までぐっすり。不眠や睡眠不足で悩んだことはなく、朝は起きた瞬間から全開で動いています。

快眠のために意識して実践していることはないのですが、夜はだいたい毎日同じルーティンで動いています。

夕食は、旦那様が帰宅するのに合わせてだいたい20~21時ごろから。専務を務める次男家族と2世帯同居で、夕食をつくるのはお嫁さんの担当です。完璧なお嫁さんで料理上手ですが、孫に合わせて洋食がメインになるときは、私が15分くらいで2品くらい和食のメニューをつくります。お嫁さんがPTAなどで忙しい場合は私が一からつくります。

夕食が終われば、お客様は旦那様限定の「クラブふみふみ」を開店。軽いおつまみをつくって、旦那様は森伊蔵を1杯飲みます。ちなみに私は1日に5食食べることもあって、「食前食後に飯を食う」とみんなに驚かれますが、お酒は一滴も飲めず、場の雰囲気だけを楽しんでいます。お酒は睡眠の質を下げるという話を聞いたことがありますが、飲めない体質が快眠に一役買っているのかもしれません。

クラブふみふみを店じまいしたら入浴タイム。結婚以来、先に入るのは旦那様と決めています。私はほとんどカラスの行水で、湯船に浸かるのはせいぜい2~3分です。それでも次男が酸素美泡湯というマイクロバブルのお風呂設備を入れてくれたせいか、ポカポカで肌がしっとりします。

お風呂から上がれば、あとはほぼ寝るだけです。お勉強のためにビジネス誌を読んだり、時には旦那様からすすめられたYouTubeを見たりもします。寝る前にデジタル機器を見ると脳が刺激を受けて眠れなくなるという人もいますが、私に限っては関係ないですね。

寝室にもテレビや雑誌が置いてありますが、私は一切触れずにそのままベッドに入ります。行儀がいいので(笑)、寝転びながら何かすることはありません。これがだいたい12時ごろです。

寝具は、米国シェアナンバーワンであるシーリー社と共同開発したアパホテルオリジナルベッド「クラウドフィット」を使っています。私はどんなベッドでも眠れてしまうタイプなので、開発はグループCEOの長男と専務の次男、そして開発部に任せました。完成品を自宅に入れてもらって試したら、柔らかいのに適度な弾力があって沈み込みすぎず、何でも眠れる私がさらによく眠れるようになりました。ホテルにも導入していますから、雲の上にいるかのような寝心地をぜひお客様にも体験していただきたいと思います。

私は明るくても平気で眠れますが、旦那様は真っ暗でないと眠れないタイプなので、就寝時にはすべて消灯します。電気を消せば、あっという間に夢の中です。

朝は5時半に目覚ましをかけていますが、たいていは目覚ましが鳴る1分前くらいに自然に目が覚めています。起きてからベッドでだらだらとまどろむこともありません。主婦業が本業ですから、旦那様を送り出すまでのんびりする暇なんてないのです。

朝、起床したら真っ先にやるのはベッドメイキング。帰ってきたときにベッドが汚いと、なんとなく気分よく眠れない気がして、欠かさず綺麗にしています。

それからお洋服に着替えて、ばっちりお化粧もします。おしゃれをすると気分も上がるし、何より一日のスイッチが入ります。仕事に出かける服の上からエプロンをして、朝食をつくったりお洗濯をします。

朝のルーティンは毎日ほぼ同じです。もともと主婦業や社長業は1年365日お休みがありませんが、多少ゆとりのある土日でも、欠かさず早起きします。日曜日は、朝5時半から『洋子の演歌一直線』(テレビ東京)という30分の歌番組を見ます。広告塔として歌手活動もしているので、半分はお勉強で、半分は自分の楽しみかな。番組を見終われば平日と同じで、ベッドメイキングからまた一日が始まります。

私が快眠できているのは、このルーティンを規則正しく続けていることが大きいでしょう。毎日同じ流れで動いているから、時間がくれば自然に眠くなるし、時間がくれば自然に目覚めるんです。

ただ、ほかにも心当たりはあります。実は2年前にグループの体制が変わりました。それまで旦那様は帰宅が遅く、それに合わせて私は2時就寝、7時起床が習慣になっていました。会長就任を機に旦那様が早く帰れるようになって、一日の流れが2時間前倒しに。生活リズムがいったん変わりましたが、“時差ボケ”はまったくなく、すぐに切り替えられました。リズムが変化しても快眠できたのは、規則正しい生活のほかにも何かポイントがあるからでしょう。

【図表】元谷芙美子の朝から晩まで働ける体を手に入れる眠り方

■こうすべきと考えた瞬間にストレスになる

ひとつは、日中によく動くことが良い睡眠につながっているのではないかと思います。自宅は3階建てで、宅配便が来るたびに四十数段ある螺旋階段を下りていきます。少ない日でも一日に10往復。仕事で歩き回るうえに階段を頻繁に上り下りするので、体が適度に疲れてぐっすり眠れます。

精神的なストレスに縁がない性格であることも大きいですね。仕事をしていれば、うまくいかないこともあります。でも、落ち込むのは一瞬だけ。商談が失敗しても、残念だと思った次の瞬間には「もっといい物件に出合うために必要だった」と考えています。その場でさっと切り替えるので、仕事の不安や心配事は寝室どころか自宅に持ち込むことがないのです。

むしろ仕事は楽しいことのほうが多いです。そもそもこの年齢になっても最前線で仕事をさせてもらえるのは本当に幸せなこと。「今が人生で一番楽しい」と言ってきましたが、それは今も同じで、楽しさを更新中です。

私は生まれつき楽天的な性格なので毎日気持ちよく眠れますが、そうではないビジネスパーソンは、目いっぱいに仕事をして成果を出すことが最高の睡眠薬になるかもしれないですね。明日は今日よりもっと良くなると信じていれば、余計なことを考えずにベッドに入れます。そう信じるには仕事を頑張って結果を出すことが一番です。

何より大切なのは、毎日を楽しむことです。私のルーティンをお話ししましたが、毎日楽しく過ごせているなら、睡眠の取り方なんて気にする必要はない。こうすべきだと考えた瞬間にストレスになるので、好きなことを好きなようにやればいいんです。結果的にそれが気持ちのいい眠りにつながるのではないでしょうか。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月5日号)の一部を再編集したものです。

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元谷 芙美子(もとや・ふみこ)
アパホテル社長
1947年、福井県生まれ。県立藤島高校卒業後、福井信用金庫に入社。金融機関の会合で元谷外志雄と出会い、結婚。71年夫が起業した信金開発(現アパグループ)に入社。94年アパホテル取締役社長に就任。

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(アパホテル社長 元谷 芙美子 構成=村上敬 撮影=石橋素幸)

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