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「1日25時間あればいいのに」と嘆く人は永遠に幸せになれない…時間管理が下手な人ほど「忙しい」が口癖

プレジデントオンライン / 2024年6月24日 6時15分

山本武史 Takeshi Yamamoto 組織マネジメントコーチ/ポテンシャルビジョン代表 製薬メーカーの営業職を経て、2013年にプロコーチ・研修講師として独立。タイムマネジメントやメンタル強化のノウハウを教えながら、組織力強化をサポートする。

少しでも長く眠っていたい――。そう願う社会人に「だらだらするな」と世間の目はきびしく注がれるが、人の睡眠時間は千差万別。そして、「忙しいからと睡眠時間を削っては元も子もない」と声をそろえるのが、2人のタイムマネジメントの専門家だ。

山本武史氏は、どんなに忙しくても、体調管理に必要な睡眠時間はしっかり確保することが鉄則だと語る。

「仕事が忙しいという理由で睡眠時間を削ると生活のバランスが崩れて、結果としてパフォーマンスが低下します。『忙しくて眠っていない自慢』はもはや昭和の遺物であり、今の時代では生産性の低い人として認識されるでしょう」(山本氏)

滝井いづみ氏は睡眠時間はもちろん、食事や家事などの「生活時間」と、趣味や家族とのコミュニケーションといった「プライベート時間」が仕事時間を支えていると唱える。

「仕事のパフォーマンスを上げたいならば、仕事以外の時間を充実させる必要があります。その中でも特に睡眠時間は軽んじてはいけません」(滝井氏)

そして、もし「1日10時間の睡眠を取りたい」と望むのであれば、時間管理に着手するよりも前に、「10時間眠る必要性」をしっかり見定める必要があるという。

「たとえば、仕事の能率を上げたいのであれば、10時間眠る以外の方法も考えられます。そこを深く検討せず『10時間眠る』だけが目的化して、そのほかの時間を削ってしまうのはあまり意味がありません。まずはそれだけの睡眠時間を確保する目的をはっきりさせておきましょう」(滝井氏)

「1日24時間の中から10時間の睡眠時間を確保するのは簡単ではありません。まずは『体調を維持する』『長生きしたい』など、睡眠が必要な目的意識を明確にする。そのうえで、一日のスケジュールの中で睡眠時間を最優先にすると決意しないかぎり、継続は難しいと思います」(山本氏)

■時間配分のカギは「エネルギー管理」

それでは、睡眠時間を確保するため、どうやって時間管理をしていけばいいのか。スケジュールの設計としては、24時間から睡眠の10時間を引き、残りの14時間でやるべきことを洗い出す必要がある。全体像を把握するために、まずは一日の行動記録を取ってみるとよい。

「数日でも行動を記録すると、何にどれだけ時間がかかるか、どんなことで時間を無駄にしているかが可視化されます。他人に行動の改善を指摘されて素直には従えないことでも、自分でつけた記録で気づいたことはすぐに変えやすいのもポイントです」(滝井氏)

滝井いづみ Idumi Takii タイムマネジメントコーチ/研修講師 大手旅行代理店勤務後、2006年より国際コーチ連盟認定プログラムにてコーチングを学び、これまでプロ・コーチとして2000時間以上のコーチングを実施。

記録を参考に時間配分を考えていくうえで、山本氏は「エネルギー管理」に着目すべきだと説く。心身ともにエネルギーが充実している午前中には、新しいアイデアを練ったり学習に取り組み、午後にはそこまでエネルギーを必要としないルーティンの業務や情報収集のタスクをこなしていく。

「朝に強い、夜に強いというタイプは個人で違いますから、その特性を見極めるのも大切です。私は朝型なので、出張する場合、移動は前日の夕方に済ませて、出張先で朝の時間を有効活用するスケジュールを組みます。自分の得意な時間に大切なタスクを組み込むと効率がアップします」(山本氏)

そして、タスクを可能なかぎり細分化してスケジュールを組み立てていく。もし連続して10時間の睡眠を取ることが難しい場合は、仮眠の活用もおすすめだ。朝4時に起床する山本氏は朝食後に29分の仮眠を取るのがルーティン。30分以上になると睡眠が深くなって、目覚めたときにボーッとしてしまうからだ。滝井氏の習慣は、1時間の昼寝。朝目覚めたときのスッキリ感が一日に2度あることが嬉しく、午後に眠気を感じないため仕事や家事がはかどるという。最善の仮眠時間や時間帯は個人によって異なるので、自分の体のリズムに合ったものを見つけて、習慣化するとよいだろう。

時間管理するのに有効な行動習慣を次に示した。これらを使うことで限られた時間をコントロールし、有意義な睡眠時間を確保してほしい。

■長時間睡眠を実現させるための行動習慣9

生活を見直して、一日の全体像を設計しよう
就寝時間と起床時間を決める
生活時間をしっかり見積もる
スケジュールを着手日で管理する
ちょっとした取り組みが時間の余裕を生む!
朝は大切なタスクから取り組む
「忙しい」という口癖をやめる
タイマーを有効活用する
メンタルが変われば時間の使い方も変わる
自己肯定感を高める
100%の完成度を求めない
周囲に目標を宣言・告知する

■幸せになるために時間を使えているか?

うまく時間管理するためには行動の改善だけではなく、意識改革も大事である。上記の「自己肯定感を高める」「100%の完璧を求めない」などを実行すると、活用できる時間は増えていく。また、「1日が25時間あればいいのに……」と嘆く人がいるが、その考えを改めないかぎり、時間管理はうまくいかないと山本氏は指摘する。

「時間が足りないのではなく、時間の使い方がうまくないことを自覚する必要があります。時間はすべての人に平等に与えられていて、使い方さえ工夫すれば理想を実現できる、という意識を持ってほしいですね」(山本氏)

滝井氏は、「幸せになるために時間を使えているか?」という視点を忘れないでほしいとアドバイスを送る。

「どれだけ効率的な時間の使い方をしていたとしても、本人が全く幸せでないなら、それはよい時間管理とは言えません。自分にとっての幸せとは何か? をじっくり考えて、それがゴールになるように時間を使ってもらいたいものです」(滝井氏)

満ち足りた睡眠は幸福だ。さらにその休養が人生を幸福に導くように、睡眠時間を謳歌したいものである。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月5日号)の一部を再編集したものです。

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滝井 いづみ(たきい・いづみ)
タイムマネジメントコーチ/研修講師
大手旅行代理店勤務後、2006年より国際コーチ連盟認定プログラムにてコーチングを学び、これまでプロ・コーチとして2000時間以上のコーチングを実施。著書に『時間を「うまく使う人」と「追われる人」の習慣』など。

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山本 武史(やまもと・たけし)
組織マネジメントコーチ/ポテンシャルビジョン代表
製薬メーカーの営業職を経て、2013年にプロコーチ・研修講師として独立。タイムマネジメントやメンタル強化のノウハウを教えながら、組織力強化をサポートする。著書に『仕事がうまくいく! 絶対的な「1日」の習慣』『「やめたくない看護部」のつくり方』。

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(タイムマネジメントコーチ/研修講師 滝井 いづみ、組織マネジメントコーチ/ポテンシャルビジョン代表 山本 武史 文=松本 史)

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