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あなたは「22歳で見合い結婚した相手」と一生過ごせるか…「沖縄の90歳のおばー」が説く夫婦円満のコツ

プレジデントオンライン / 2024年6月20日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/jacoblund

夫婦仲良く過ごすためには何が大切なのか。沖縄県の最北端、国頭村からTikTokを発信する大田吉子さん(90歳)は、22歳でお見合い結婚した夫と一度も大きな喧嘩をせずに暮らしてきたという。『90歳のおばーのゴキゲンなひとり暮らし 孤独を吹き飛ばして幸せに生きるヒケツ』(KADOKAWA)より一部を紹介する――。

■お見合いだけれど、ずいぶんいい人だった

私は22歳のときに結婚しました。お見合い結婚でございます。

「吉子、大田のところの孝全と一緒にならんかね。孝全は立派な男だから、うちの家族の面倒も見ることができるよ」

と、叔母が見合い話を持って来たのです。それまで私は男性とお付き合いしたことがありませんでしたから、「一緒になる」ということがどういうことか、当時はまったくわかりませんでした。

けれど、そう言われると急に孝全のことが気になりだすのです。同じ村の住人で、お互いの存在はもちろん知っていましたけれど、歳が5つ違うのでそれまであまり交流もなく、どういう人かよく知らなかったものですから。

そこで、まずは孝全を数日間観察してみることにしました。孝全が働いているところに顔を出してみたり、帰り道にちょっと話しかけてみたり。そうしたらね、ずいぶんいい人なんですよ。

あの人は大工だったのですが、「とってもまじめに働くし、穏やかな優しい人だな」と思ってお付き合いを始めました。

■言い寄ってくる人はいたけど、一度決めたら一人きり

内地の人からは驚かれますが、奥間には昔、結婚前に両親公認で、お見合い中の男女を同じ部屋に寝かせる風習があったのです。まぁ、相性を確かめるっちゅうことなんでしょうね。

うちの父も、実家の手伝いに来た孝全に「今夜一泊してかんか?」と言って、うちの奥座敷に私と孝全を一緒に寝かせてしまいました。

孝全はその日、うちの修理や大工仕事をしてくれて、姉の面倒も見てくれました。「優しい人だな」「なんだか素敵だな」なんてぽーっとして、私もなんとなくそのまま一緒に寝てしまい、長男がお腹に入りました。たった1回きりで。なかなかすごいでしょう!

私は子どもの時分から「私が家を守らなければならない」と考えていたので、男の人には父や母、家族を一緒に守ってもらいたいと思っておりました。

叔母が言ったとおり、孝全はまさにぴったり。口数は少ないけど、まじめに働いて、両親にも子どもたちにも優しい人でした。

実は私、こう見えて若い頃はなかなかモテましてね。言い寄ってくる人はけっこういたんですよ。かなりの男前もおりました。

でも私は昔から一度決めたら絶対曲げない性格ですから、孝全と決めた日からずっと、あの人ひとりです。

■喧嘩したとき、「謝る」という一手間は必要ない

夫は、めったなことでは怒りません。

もちろん家庭を一緒に営んでいくうえで、口喧嘩することはしばしばありました。だいたいが「そんな言い方しないでよ」くらいの小さな言い合いでございましたがね。

私は基本的に、争いがあったらいつも自分から謝るようにしています。

ただし、夫婦間の問題はちょっと別です。謝る・謝らないではなく、反省したか・していないかが大事です。他人ですと、謝って歩み寄りますよね。そうして「あなたと一緒にいたい」という姿勢を見せることが大事です。

けれども、夫婦はそもそも家族というひとつの船を一緒に操っているわけです。この船は一度乗ったら降りることはない、これからも一緒にいるのが大前提、と私は思っていますから、夫婦間の場合、謝って寄り添うという一手間は省略しています。

夫が謝ったかどうかも気にしません。反省の態度が見られ、同じことを二度としないように心がけているとわかれば、口喧嘩しても仲直りできるのです。そして、夫婦がお互いに相手を日頃から尊敬しているかどうかも大事。夫は、大工仕事など私には到底できないことを難なくやってのけます。

沖縄県の国頭村からTikTokを発信している大田吉子さん(90歳)
画像提供=KADOKAWA
沖縄県の国頭村からTikTokを発信している大田吉子さん(90歳)。「南の島のおばーと孫」というアカウントで仕事風景やおしゃべりする様子を投稿しており、40万人のフォロワーをもつ名物インフルエンサーだ - 画像提供=KADOKAWA

■一見どうでもいいことでも尊敬できる点を見つけて

一方、私だって夫ができない裁縫などをなかなか上手にこなせます。だからお互いのことを見て「すごいなぁ」と思うことが、日常にあるのです。そういう相手となら、ちょっと喧嘩してもすぐに反省することができると思いますよ。

え? 夫のことを尊敬できない奥さんもいる? まぁ、ずっと一緒に暮らしていたら、尊敬の念を忘れてしまうこともあるかもしれませんよね。でも、なにかひとつくらいあるでしょう? 声が大きいとか、力が強いとか、暗算が速いとか、一見どうでもいいことでもかまわないので、無理矢理にでも見つけてみてください。

きっと相手を見る目が変わって、いい関係を築けますよ。

■夫は仕事ひと筋で、家のことは私任せ

イクメン? なんですかそれ? ああ、育児をする男の人のことを最近はそういうふうに呼ぶんですか。そうですか。夫は仕事ひと筋のところがあったので、育児と家のことは基本的に私任せ。

けれども夫はたいそう子どもたちに甘くてね。ずいぶんとかわいがっていました。だから息子も孫も「おじーに叱られたことなんてない」と言っています。

もちろん夫が甘やかす分、私が??らないといけませんが、まぁそれは仕方ないと割り切っていました。

夫はよく子どもと遊んでくれました。器用に風車をつくってあげたり、川に一緒に行ったり。長男は小さい頃、夫とよく畑に行っていましてね、夫が耕運機を運転するのをよーく観察していました。そうしているうちに、なんと子どもながらに運転を覚えてしまったんですよ。

■血がつながっていなくても、村のみんなで子育てする

「大田さんとこの畑で、耕運機がひとりでに動いているぞ!」

あるとき、近所の人がそう言ってうちに駆け込んできました。なに、怪奇現象でも、機械トラブルでもありません。長男が耕運機を運転していたんです。背が小さな子どもですから、遠くからは運転席に座っているのが見えず、無人の耕運機が動いている! と近所の人が驚いてしまったのでした。今でも、あの近所の人の驚いた様子を思い出すと、おかしくて笑ってしまいます。

大田吉子『90歳のおばーのゴキゲンなひとり暮らし 孤独を吹き飛ばして幸せに生きるヒケツ』(KADOKAWA)
大田吉子『90歳のおばーのゴキゲンなひとり暮らし 孤独を吹き飛ばして幸せに生きるヒケツ』(KADOKAWA)

夫は息子たちを甘やかしてはいましたが、だからといって息子たちがわがままになったということもありません。夫婦ふたりが仲良くあれば、子どもたちは勝手にいい子に育っていきますよ。

それに、この村には親戚がたくさんいて、みんなで子どもを育ててくれました。たとえ血がつながっていなくても、この村の人はみんなで子育てをするんです。私も他の家の子の面倒をよく見ていて、この村の子はみんな私の子みたいなものですよ。

「イクメン」ってのは、育児するメンズだから「イクメン」なんでしょう? こっちは村中のみんなが育児をしますから「イクムラ」ですかね?

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大田 吉子 インフルエンサー
1934年3月18日沖縄生まれ。沖縄本島最北端の国頭村で暮らす。22歳のときに故・大田孝全さんとお見合いで結婚。幼稚園の先生、バスガイド、アメリカ軍のラジオ局で電話の交換手の仕事を経て自営業でアイスキャンディー店、鮮魚・精肉店を営む。その後、農業、畜産業、民泊、ホテルの朝食準備スタッフとさまざまな仕事をこなしてきた。子どもは5人、孫10人、ひ孫は14人。元気のヒケツは毎朝の「ラジオ体操」。口癖は「私でよければなんでもやるよ」。

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(インフルエンサー 大田 吉子)

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