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なぜ人間関係で「悩む人」と「悩まない人」がいるのか…精神科医が「これを知れば悩まずに済む」と説く3分類

プレジデントオンライン / 2024年6月28日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

なぜ私たちは人間関係に悩むのか。精神科医の西脇俊二さんは「人によって『自己重要感』を満たすポイントは異なる。そうしたタイプの違いを知っていれば、他人を恨んだり、自分を責めたりすることは避けられる」という――。(第2回)

※本稿は、西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■人間の個性は「3つのタイプ」に分けられる

精神科医として多くの方に知っていただきたい知識に、基本的な「人の3タイプ」があります。私が長年役立てているタイプ分類です。人間の個性は、①パーソナリティ重視タイプ、②パフォーマンス重視タイプ、③ブランド重視タイプに大別できます。

タイプ分類を知っておくメリットは、「相手の自己重要感を満たしやすくなる」ことです。

自己重要感は、人に必要とされたり、頼られたり、共感されたり、承認されたりといった経験によって高まります。人は基本的に、自分の自己重要感を満たしてくれる人を大切にし、その人の意見やお願いを聞いてくれやすくなります。

以下、三つのタイプの人物像と、自己重要感を満たす方法を紹介します。

①パーソナリティ重視タイプ
・人と接するときは人柄重視、物を選ぶときは品質重視
・信頼や愛情など、「目に見えないもの」に価値を置く
・穏やかな物腰の、気配りの人
・ただし、信念に反することは断固受け入れない
〈自己重要感を満たすには〉
・人柄を褒める、気配りに感謝する
・話を聞き、共感し、理解者になる
・誠実さと温厚さを前面に出す
・裏表のある人を嫌うので、ほかの人々にも誠実に接する
②パフォーマンス重視タイプ
・最短で最大の成果を目指す
・成績や実績、財産など「目に見えるもの」に価値を置く
・「自分への投資」に熱心
・明確で無駄のない話し方をする。ときに辛辣になることも
〈自己重要感を満たすには〉
・相手と同じく、なるべく無駄なくテキパキと話す
・「デキる人」であることを褒める
・空虚なお世辞は逆効果。成果を出したときにその事実を端的に評価するのがコツ
③ブランド重視タイプ
・権威、権力、地位などに価値を置く
・自由にふるまえることが幸せの源
・身振り手振りが大きく、エネルギッシュで行動力がある
・人に仕切られたり、コントロールされたりするのは嫌い
〈自己重要感を満たすには〉
・「すごい」「素敵」といった派手な言葉で褒める
・人前で褒めると効果倍増
・「さすが○○さん、ちょっと違うね」など、「あなたは特別」と感じさせる
・接している間は、相手のペースに合わせる

以上を踏まえ、まずは身近な人から、相手が喜ぶ接し方を実践してみてください。

■物事を進めるときの「動機」の違い

「周囲の人を思い浮かべたけれど、3タイプにうまく当てはまらない」という感想が、きっと出てくると思います。それもそのはずです。

どんな人も、「100%このタイプ」になることはありません。たとえば、誠実で穏やかな基本はパーソナリティ重視タイプの人が、自分の学歴を内心誇っているなどの「ブランド要素」も持っている、といったことはいくらでもあります。誰の中にも、三つのタイプが混ざり合っています。その中でどの要素が強いか、と考えていくのが正解です。

次に紹介する「リスク/ホープ」というタイプ分けにも、同じことが言えます。これは、物事に向かうときの動機の違いです。これは実は結構大きなポイントです。

リスク型は、「○○になったら怖いから、○○しよう」というふうに、危険回避が動機になるタイプ。対してホープ型は、「○○できたらいいことがある! 頑張ろう!」と、希望がエンジンになるタイプ。

こちらも、「100%リスク型」「100%ホープ型」の人はめったにいません。図表1のように、二極の間で「リスク寄り」「ホープ寄り」のどこかに位置付けられます。

「リスク型」と「ホープ型」
『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』より

■相手は「本音と建前」をどう扱っているのか

さらにもう一つ、「フィックス/フレックス」というタイプ分けを紹介しましょう。

図表2に載せたこの分類法は、人間関係づくりの有効なヒントになります。こちらは前の二つと違い、「フィックスか、フレックスか」に、かなり明確に分かれます。

フィックスにもフレックスにも複数の特徴がありますが、皆さんに注目していただきたいポイントは、「本音と建前」に対する、両者の対照的な姿勢です。

「フィックスタイプ」と「フレックスタイプ」
『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』より

フィックスタイプの人は、本音と建前がくっきりと分かれています。自分の考えを言うとき、「これは本音」「これは建前」と、頭の中で線を引いています。

フレックスの人は反対に、本音と建前の境界が曖昧で、広いグレーゾーンがあります。発している言葉が本音か建前か、自分でもあまりわかっていない、というより、そもそも明確にする必要を感じていません。

フィックスの人は、ともするとフレックスの人に対して「どこまで本気なの?」「いい加減な人!」と不信感を抱きます。逆にフレックスの人は、フィックスの人を否定的に断じることはまれです。持ち前の曖昧さが、ここでは幸いしているようです。

■人間関係で悩まないための秘訣

以上、いくつかのタイプ分析を紹介してきました。相手の自己重要感を満たす手がかりが、少しつかめたでしょうか。3タイプごとの接し方は、すでに述べた通りです。

「リスク/ホープ」に関しては、相手に「頑張ってほしい」ときに活用できます。部下や後輩、パートナーや子供など、自分が応援している人のモチベーションを上げたいときは、相手がどちらのタイプかを考えましょう。

たとえば、大学受験を控えた子供を持つ親御さんの場合。ホープタイプの子供なら、「受かったら、車買ってあげる!」など、相手が楽しみに思うようなことを言うのが正解です。対して、リスクタイプなら「受からないと大変だよ。浪人はさせてあげられないよ」と、危機感に訴えるのが(少々気の毒ですが)効果的です。

では、「フィックス/フレックス」についてはどうでしょうか。

とくにフィックスの人が注意すべきは、フレックスの人をむやみに断罪しないこと。「こういう人なのだ」と認めることを意識しましょう。この両者は近しい間柄になると――とくに恋愛関係では、何かと軋轢が起こります。

フィックスさんが「愛してるって言ったよね? あれはウソ⁉️」と怒る。フレックスさんが「いやぁ、気が変わることもあるじゃん……」と火に油を注ぐ。

そんな修羅場が、しばしば展開されるのです。

もちろん、この場面でフィックスさんが傷つくのは当然です。気持ちを押し殺して平気な顔でいましょう、とは言いません。しかし、別れてから何年経っても、「あの人は悪い人だった」「あんな人を信じた私ってバカ」と思い続けているとしたら?

相手を恨むのも、自分を責めるのも、悩む時間がもったいありません。そこは「あの人、フレックスだったんだなー」で済ませたほうが、ずっとラクです。「良い・悪い」で考えないことは、人間関係で悩まないための重要な秘訣です。

■「合う・合わない」は誰しも当然ある

ここまで登場したすべてのタイプに、「良い・悪い」の差はありません。あるのは、単なる「違い」だけです。

西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)
西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)

「パフォーマンスタイプってガメツそう」「ブランドタイプって俗っぽい」

「ホープタイプって能天気」「リスクタイプってネガティブ」

「フレックスって不誠実」「フィックスって融通が利かない」などと、自分と異なるタイプをジャッジしないことが大切です。

「合う・合わない」は、当然あります。合わないから距離を取ることもあるでしょう。それも、「どちらが悪いから」ではなく、ただ「違った」ということです。善悪でもなく、優劣でもなく、異なる個性として存在を認める。

このフラットな視点を持てれば、前稿でご紹介したスキル「期待しない」にも大いに効果があります。

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西脇 俊二(にしわき・しゅんじ)
精神科医
弘前大学医学部卒業。2009年よりハタイクリニック院長。2008年より金沢大学 薬学部 非常勤講師、2010年よりEuropean University Viadrina非常勤講師も務める。自身もアスペルガーであり、その苦労を乗り越えた経験を生かした著作も多い。テレビ出演のほか、ドラマ『僕の歩く道』『相棒』『グッド・ドクター』、映画『ATARU』等の医療監修でも活躍。

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(精神科医 西脇 俊二)

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