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「仕事を爆速で終わらせる人」はここが違う…外資コンサルがのんびり休みながら「10倍の成果」を出せるワケ

プレジデントオンライン / 2024年6月27日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Paul Bradbury

仕事が爆速で終わる人は、どこが違うのか。元外資コンサルタントでハイパフォーマンス代表の名郷根修さんは「私はかつて休日も仕事をするほど忙殺されていたが、妻からの一言をきっかけに『同じ時間で10倍の成果を出す』方法を学んだ」という――。

■家族のために働いているのに、家族と過ごせない

仕事で大きな成果を出すには、それなりの時間が必要です。しかし、長く働き続けて心身を休める時間もなく、家族のために一生懸命働いているのに家族との時間が取れずに家庭内がぎくしゃくしてしまったり、健康を損なってしまったりしては、本末転倒です。

かつては私も、膨大な仕事をこなさなければならない日々が続き、週末も仕事をしていて心身ともに疲弊していたことがありました。妻と共働きで仕事の合間に家事をして、2人の子供の面倒も見ていましたが、仕事が増えるにつれて余裕がなくなり、週末に休みが取れた時でも何もする気が起きなくなっていました。

4歳だった息子が「パパ、遊ぼう」と言ってきても、うつ状態で遊ぶ気になれないほど。今振り返ると父親として失格だったと思いますし、当時から自己嫌悪に陥っていました。

■妻に「稼いでもらってもうれしくない」と言われ…

「家族と過ごす時間をもっと取らなければ」と思いながらも、「仕事で成果を出すためには、誰よりも働かなければならない」「家族を守るために、もっと頑張らないといけない」と、つい仕事のほうを優先してしまう日々。そのため子育てや家事の負担が共働きの妻に偏ってしまい、ついに妻から「毎晩遅くまで働いてお金を稼いでもらってもうれしくないよ」と言われてしまったのです。

仕事で成果を出す。家族のために働く。それはもちろん重要なことですが、どうしたら仕事で成果を出すのと同時に、家族との時間も大切にできるライフスタイルを実現できるか。それを探求した結果、「10倍の成果を出しながら自由な時間を増やす方法」を教えるプログラムの存在を知りました。

そして、それを学び実践したことで、ビジネスで大きな成果をあげながらも、家族との時間をゆっくりと過ごせるようになりました。

そうなるまでに、仕事をしていく上で何をどう変えたのか。それは、仕事の効率化を図り、人に任せられる仕事は人に任せ、自分がやるべき仕事に専念したことでした。

■「不得意なこと」を我慢して続けても成果は上がらない

ビジネスをしている人は、人生の多くの時間を仕事に費やしています。その時間で「やりたくないこと」や「不得意なこと」を我慢しながら続けるのか、それとも「好き」で「得意」なことに専念するかでは大きな違いが生まれます。

「やりたくないこと」や「不得意なこと」をやり続けるのは、モチベーションだけでなく生産性という点からも、効率も効果も低いと言わざるを得ません。効率よく成果を出すためには、恐れずに他の人に仕事を任せることが不可欠です。

実際には、人に仕事を任せるには「勇気」を必要とします。特に自分がそれまでやってきたことを任せるのは、多くの人にとって難しいことです。しかし、効率よく成果を出すためには、自身の能力や経験に固執するのではなく、チームメンバーへの信頼と協力の精神を持つことが不可欠です。信頼できるチームメンバーや専門家に仕事を委ねることで、組織全体のパフォーマンスが向上し、成果が飛躍的にアップする可能性を生み出すのです。

私もかつて、プロジェクトリーダーをしていた時に、部下に任せることができずに失敗してしまったことがあります。自分が考えたやり方どおりにプロジェクトを進めるべく、チームメンバーが提案したアイデアや方法をことごとく却下し、私が考えたやり方やスケジュールどおりに進んでいるかを確認するために、逐次報告することを求めたのです。

■「不得意」が半分以上あれば、仕事を見直したほうがいい

その結果、プロジェクトはスケジュールどおりに完了したものの、チームメンバーの士気は下がり、主体性やクリエイティブな発想がまったくなくなってしまいました。さらに、私も管理に多くの時間やエネルギーを費やしていました。今振り返ると、ひどいリーダーだったと深く反省しています。

大きな目標を達成すべくプロジェクトの成功確率を高めるには、自身がすべての業務を担当したり、細かく管理したりするのではなく、信頼するチームメンバーや専門家に仕事を任せることが重要です。

あなたが普段している仕事の中で、「やりたくないこと」や「不得意なこと」の割合はどのくらいでしょうか? もしそれらが半分以上を占めていたら、仕事の内容を見直したほうが良いでしょう。

例えば、私が自分でやり続けていた販売データの集計は、得意な仕事でも好きな仕事でもありませんでした。そのため、この仕事をすると疲れてしまい、エネルギーの高い状態で続けていくことができません。

■なぜ人に任せたほうが成功しやすいのか

そこで、販売データの集計が「好き」で「得意」なチームメンバーに任せると、自分はもっと生産性の高い仕事に時間を使うことができ、より大きな成果を出すことができました。そして、その仕事を任せられたチームメンバーも、私より速くデータの集計をし、より質の高い成果物を生み出すことができました。

ですので、まずは普段あなたがやっている仕事のうち、「やりたくないこと」や「不得意なこと」を減らし、自分が「好き」で「得意」なことを増やしてください。その過程で、あなたが「やりたくないこと」や「不得意なこと」を任せられるチームメンバーを探すことが次のステップになります。

「人に任せる」とは、自分がやりたくない仕事を人に押しつけることではありません。自分の「嫌い」なことや「苦手」なことを、それが「好き」な人や「得意」な人に任せることなのです。なぜ、他の人に任せることが成功につながるのか? それは、他の人には自分にはないスキルや知識、経験があり、それらを仕事に活かせるからです。

人に任せることによって、自分自身の時間とリソースを最適化できます。自分一人が使える時間は限られているので、苦手なことをそれが得意な人に任せ、自分が得意なことに集中すると、生産性が向上します。

ビジネス会議で話している人々
写真=iStock.com/John Wildgoose
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/John Wildgoose

■「サボっている」と見られることはない

中には、自分の仕事を手放すと社内評価に影響するのではないかと心配する人もいるかもしれません。しかし、自分が「好き」で「得意」な仕事により注力し、今まで以上のパフォーマンスを発揮できれば他人からは「サボっている」と見られることはありません。それどころか、情熱を持って精力的に仕事をしていると映るでしょう。

日本人の気質として、周りからの評価を気にしてしまうのは仕方ないことですが、苦手な仕事を抱えていた時以上の成果をあげることで悪い評価を得づらくなるのです。

評価に関していえば、人に任せることは単なる業務の効率化だけでなく、人間関係の側面でも重要です。チームメンバーはビジョンの実現へ向けて協力し、お互いをサポートし合うことで絆を深めていきます。そして信頼と尊敬のある心理的安全性の高い関係が築けると、チーム全体のモチベーションや創造性が高まり、より大きな成果につながります。

その一方で、いくら「好き」で「得意」な仕事に専念していても、それを長く続けていけば疲れが出てきます。すると、クリエイティビティやエネルギーが徐々に下がってきて、受け身の仕事しかできないような状態になってしまいます。

そうなる前に、仕事を一切しない「自由の日」を定期的に持つようにしましょう。ここで心身を休めたり活性化できたりする時間を過ごせれば、休暇後にクリエイティビティと生産性が高い状態で仕事に注力できるようになるからです。

■疲れてから休みをとっても効率は上がらない

その際、仕事に疲れたら休みを取るのではなく、あらかじめ「自由の日」を決めておくことをお勧めします。そうすることで、まず自分が仕事のために使える時間が限られていると認識できます。時間が有限だとわかるからこそ、いかに効率的かつ効果的に使うかという意識にもスイッチが入るのです。

また、あなたが休みを取ることで、チームメンバーが成長します。あなたが「自由の日」を過ごしている間、彼らはあなたの助けを得ることができないため、自分たちで考え、あなたがいないところで判断することになるからです。

ただ、私の経験上、最初は「自由の日」に仕事をまったくしないで過ごすのは難しいです。ついつい仕事のことが気になって、メールをチェックし、休み明けすぐに終わらせたい仕事をしてしまうこともありました。最初から一切仕事をしないというのは、特に真面目な人にとっては難しいかもしれませんが、徐々にオフに切り替えられるよう、休める時間を意識的に増やしていってください。

■何をやっても三日坊主で終わってしまうあなたへ

私の場合、「自由の日」には家族や友人たちと旅行をしたり、バーベキューやキャンプ、ハイキング、サーフィンなどをしたりして過ごしています。意見交換もできるので良い刺激となり、クリエイティビティを高められる効果があると感じます。また、本を読んだり、映画を観たり、美術館へ訪れたりもしています。夕方には、心身を活性化するために、ジムに行って、筋トレ、ストレッチ、水泳をしてから、サウナに入ることがルーティンになっています。

人によってやりたいことはさまざまだと思います。「自由の日」には、自分が心から満足できる活動をするのが一番だと思います。

ここまで読んで、「さあやるぞ」と思ったあなた。以下と似たようなことに身に覚えはないでしょうか?

・「早起きで人生が変わる」という本を読んで刺激され、「自分も5時起きしよう!」と翌朝から意気込んだけれども、三日坊主で終わってしまう。
・今年はこれまでとは違う飛躍の年にしようと、年の初めに1年の目標を立てたが、いつの間にか忘れてやらなくなっている。

これらには、元に戻そうとする「コンフォートゾーンの力」が働いています。コンフォートゾーンとは、「そのままでいたい」「現状のままがいい」と安心して行動できる範囲のことです。

■厄介なコンフォートゾーンをうまく活かすには

このコンフォートゾーンの外側に出ると、内側に戻そうとする機能が働きます。この機能を「ホメオスタシス(生体恒常性)」と言います。ケガが治るのもこの機能です。そのくらい強い力が、体だけでなく心にも働きます。このコンフォートゾーンの力が、人が「変わりたい」と思って行動を始めた時に、ブレーキになってしまうのです。

ではどうしたらいいかというと、現状に留まろうとするコンフォートゾーンを、未来に自分が設定した目標へとずらすことです。そうすることでコンフォートゾーンへの揺り戻しを防ぎ、今まで現状に戻ろうとしていたのが、自分が本当に行きたい目標にモチベーションが働くようになります。

私の場合、冒頭で述べた「10倍の成果を出す」ことの一つとして、自分が経営に携わっている医療機器会社の「売り上げを10倍にする」という目標を立てました。これまで売り上げが5000万円規模だった製品開発事業を、思いきって10倍の5億円にすると決めたのです。

そして、「10倍の目標」を達成した未来を想像しました。その臨場感が高まると、脳はそのゴール側の世界こそが本当のコンフォートゾーンだと判断します。そうすると、今の状態の居心地が悪くなり、自然と行動が変わり、リバウンドすることもなくなります。

■10倍の成果を出しながらしっかり休むことは可能

そうやってコンフォートゾーンをシフトして、それまでの延長線上で開発を続けるのではなく、医療機器という枠を超えて売り上げが10倍になる可能性がある技術や製品に特化した開発をする方向性を見出すことができました。その結果、売り上げ10倍を達成することができたのです。

仕事が忙しくて家族との時間が取れないというのは、働き方の効率が悪いからかもしれない。効率を高めるには、仕事で「嫌い」なことや「苦手」なことを、それが「好き」な人や「得意」な人に任せる。仕事を一切しない日を定期的に持ち、心身を休めることで、休暇後に生産性が高い状態で仕事に注力できるようにする。そして、これまでのコンフォートゾーンをシフトして、自分が本当に行きたい目標にモチベーションが働くようにする。

こうすることで、「10倍の成果を出しながら自由な時間を増やす」ことが可能になるのです。仕事が忙しくて家族との時間が取れないとお悩みの方は、まずは今の自分の仕事のやり方を見直すことから始めることをお勧めします。

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名郷根 修(なごうね・しゅう)
エグゼクティブコーチ/ハイパフォーマンス代表
1978年岩手県生まれ。Rotterdam School of Management, Erasmus University 経営学修士(MBA)。海外法人の米国戦略コンサルティングファームであるBoston Biomedical Consultants(現:IQVIA)、日本法人のグローバル医療機器メーカー「フィリップス・ジャパン」で勤務後、現在はグループ合計年商180億円の医療分野の会社・南部医理科とフィンガルリンクの経営に携わり、世界最先端の医療技術や製品の普及に努めている。「伝説の戦略コーチ」として知られ、Strategic Coach社を創設したダン・サリヴァン氏に師事し、同社が提供している「10x Ambition Program」を卒業した唯一の日本人。著書に『10x 同じ時間で10倍の成果を出す仕組み』(日本実業出版社)、『習慣は3週間だけ続けなさい』(SBクリエイティブ)がある。

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(エグゼクティブコーチ/ハイパフォーマンス代表 名郷根 修)

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