だから厳しい仕事もやり遂げられる…2万人を面接した社長が見いだした「成果を生みだす人材」に共通する"ある能力"
プレジデントオンライン / 2024年6月28日 7時15分
※本稿は、西崎康平『レベルゼロ 自分を超え続ける「仕事の教科書」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「継続するから成果が出る」わけではない
「継続力がある人にはあり、継続力がない人にはないものがある。それは何か?」前職で人材コンサルティング会社に勤めていた当時、グループワークなどを含めると、約2万人の新卒、中途の求職者を面接してきた。
業務を通じて、彼ら彼女らが入社後どのように活躍していくのかをリサーチをしていくなかで、成果を生み出せるほとんどの人材に共通するある能力が見えてきた。それが「継続力」だ。
逆に、成果を残せない人材の多くは、この「継続力」が乏しかった。
継続するから成果が出る。継続しないから成果が出ない。でも、「待てよ」と自分なりに仮説を立ててみる。「もしかするとこれは順番が逆なのではないか」と。
継続するから、成果が出るのではない。
成果が出るから、継続するのではないか。
卵が先か鶏が先かみたいな話だが、振り返ればまさに僕自身がその通りだった。営業成績が最下位で成果が出ない時の感情はどうだったか。成果が出なくてとにかく仕事がしんどい。表情も暗い。声のトーンも低い。その雰囲気は営業先に伝わり、契約につながらない。結果、やるべき仕事が続かない。
まさに「負のスパイラル」である。
■成果への最短距離は真似をすること
仕事が思うように進めば、もちろんうれしい。やる気もあふれてくる。それが相手に伝わり、契約につながる、そしたら、さらにうれしくなる。モチベーションも高くなる。結果、厳しい営業も続けられる。
継続力がある人にはあり、継続力がない人にはないものは成果である。
「いきなり成果と言われても経験値が足りないから無理だ」そう思う人もいるかもしれない。ただ心配しなくていい。ビジネスには成果への最短距離というものがあるからだ。
いま自分ができないのなら、できる人の力を借りればいい。
つまり、誰かの真似をするということだ。
僕もテレアポで成果を出すために「こんなことやったらいいんじゃないかな」、「あんなこと試したらいいんじゃないかな」と色々考えて試してみた。でもやっぱりビジネスの世界って、経験がないなかでいくら想像したところで、その通りにはならない。
だったら、自分の業務領域のなかで一番成果を出している先輩の真似をするというのが、一番手っ取り早く成果につながる。
![デスクで仕事の話をするビジネスマン](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/5/1200wm/img_45eaa9d766135529d8ddabb8344491fd295309.jpg)
営業であるなら、先輩の営業トークを完コピしてみる。デザイナーであるなら先輩のデザインを真似してみる。なかなか成果が出ない僕の営業成績が、少しずつ上向き始めたきっかけも、この「真似をする」ことからだった。
先輩の営業に同行して、営業トークを録音し、毎朝毎晩の通勤時間のなか、ひたすら聞き続ける。トーク内容はもちろん、間の取り方、強弱の付け方から言葉の言い回しまで丸々全部を空で言えるよう、身体のなかに染み込ませた。それをアウトプットする場として、毎日先輩に15分間の営業ロープレをした。そうすることで行動力の経験値を高めてきたわけだ。
真似をし続けると自然と成果に必要な要素が身体に染み込んでいく。その土台を基にしながら、自分なりのやり方を加えていくことが、成果に向けた最短距離となる。
その結果、売上はみるみる上がった。1年目は最下位だった営業成績から、2年目には大阪支社長を任されるまでになった。
まさに「正のスパイラル」だ。
先輩は僕の売上が上がっていくのを喜んでくれる。会社は頑張ってるなと評価してくれる。そんな成果から生まれる自信こそ、負のスパイラルから抜け出すきっかけとなった。仕事が面白くて継続できる自分に変化できたんだな、と振り返って思う。
■ゴールがなければ走り続けることはできない
成果をつくり継続するために設定しなければいけない大切な項目がある。
それが「ゴール」だ。ゴールがなければ、どこまでやればいいかわからない。クリアするための具体的な戦略も立てられない。だから、なかなか続かない、すぐに諦めてやめてしまうということが起こるのだ。
よく考えてみて欲しい。
もしもマラソンのゴールが42.195kmと決まっていなければどうなるだろうか。みんなで一斉にヨーイドン。いつまで続くかわからない道のりをひたすら走り続ける。
これではどこで力を入れて、どこで力をためるべきか、ペース配分もわからない。ゴールが決まっているからこそ、そこに向かって作戦を立て、最後まで走りきることができるというものだ。
継続力を高めるためにも、やることを決めたら、やることのゴールは何かを明確に設定する。まずは、そこからスタートしよう。
■いつまでに何をやるのか、期限とゴールを明確に定める
たとえば、SNS発信で認知や影響力を身につけようと決めたとする。「一生懸命頑張って発信しよう」、「オモシロイ企画に挑戦してみよう」と決意する。でも、これではなかなか続けていくことはできない。「なぜやるのか」という目的に立ち返り、目的を達成するための「ゴールとは何か」を定量(数値的に捉えること)的に設定していく必要があるのだ。
「発信による認知でサービスを知ってもらい、売上を作りたい」
そんな目的があるのだとすれば、「いつまでに(期限)」「何をやるのか(ゴール)」、期限とゴールを定めていく必要がある。たとえば、1年後に月間5件の新規売上の獲得、こちらを期限とゴールに設定したとする。
そのために必要なフォロワー数や発信数を設定すれば、「半年後にはここまで」、「今月にはここまで」という数字が見えてくるはずだ。後はゴールを達成するための具体的なアクションを1日単位にまで落とし込めば、「今日何をやらなければいけないか」が明確になる。
ただやみくもに行動するよりも、ゴールに近づいていく行動がわかることで納得感が生まれる。ゴールに向けて継続しようという意欲につながっていく。継続には期限とゴールが不可欠だ。まずはここを理解し、続ける力を身につけていってもらいたい。
■継続力が身につくまでは低い目標から始めてみる
継続したいと思っても三日坊主でやめてしまう。やろうと思って始めてもなかなか続けることができない。
そんな人は「目標を低く設定」してみよう。
本来なら「高い目標を設定し、頑張って頑張ってそれを乗り越えることがいいことだ」と思うかもしれない。ただ、継続力がまだまだ足りない人がいきなり高い目標設定しても、それは「高い壁」にしかならない。やるべき課題が多すぎて、きつくなる。結果、やめてしまうのがオチだ。
大きな目標設定をして達成できるに越したことはない。でも、まずは小さな目標設定でいいので「続けるための癖」をつけることから始めてみよう。
■頑張っても数字につながらないと自信がなくなる
新社会人時代の僕はまさにそれ。とにかく成果が出なかった。同期入社が25名いたなかで、1年目の営業成績がダントツで最下位だった僕。周りのメンバーは高い売上目標をどんどんクリアし、確実に成果につなげていた。
僕も負けじと、売上目標や商談件数など高い目標設定をして挑んだ。でも、実績も能力も足りない僕に、その高い目標をクリアするための行動ができるわけがない。いくら頑張っても、数字につなげることはまったくできなかった。
数字につながらないと、自信もどんどんなくなっていく。商談でも自信のなさが浮きぼりになる。通常なら決められる契約も決まらなくなった。そんな悪循環な状況から脱出することができたのが「小さな目標設定」である。
■できないことができるようになるのは面白い
まずは「自分が今できるちょっと上のレベル」まで目標設定を落としてみた。売上目標や商談件数は、僕にはまだまだハードルが高すぎる目標だ。
![西崎康平『レベルゼロ 自分を超え続ける「仕事の教科書」』(KADOKAWA)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/6/1200wm/img_866a43dee7faceaf60d88abfd533376a185817.jpg)
1時間に15本電話営業していたのを、16本にしてみよう。
「朝8時の出社」を、「朝7時55分の出社」に変えてみよう。
毎日5分だけ営業ロープレを聞いてもらおう。
このくらいの目標設定からスタートしてみた。目標が高くないから、短時間でクリアできる。クリアしたらその次は「クリアした目標よりちょっと上の目標」を設定してみる。
できないことができるようになるのはオモシロイ。オモシロイから「さらに頑張ろう」と思える。「さらに頑張ろう」と思えるから、継続できる。「継続できない大きな目標」をいつまでも掲げているよりも、「ちょっと頑張ればクリアできる小さな目標」を設定しよう。そうしてコツコツとレベルアップしていくほうが、はるかに簡単なのである。
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トゥモローゲート代表取締役
1982年4月2日生まれ、福岡県出身。新卒で人材コンサル会社に入社し、25歳で執行役員を経て、2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。同社代表取締役・最高経営責任者に就任。第91回毎日広告デザイン賞部門賞、第44回日本BtoB広告賞金賞(企業PRの部)を受賞。著書に『レベルゼロ 自分を超え続ける「仕事の教科書」』(KADOKAWA)がある。TikTok
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(トゥモローゲート代表取締役 西崎 康平)
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