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「結婚生活は本当に得なのか」の最終結論…和田秀樹「若さを保ち豊かな晩年を過ごす」ために捨てるべき考え

プレジデントオンライン / 2024年6月29日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AzmanJaka

60歳を過ぎて夫婦間で意見の相違が出たらどうすればいいか。医師の和田秀樹さんは「60歳を越えると、目指す人生の違いは顕著になってくるため、2人でよく話し合って関係の改善を図るべきだ。離婚するほどではないけれども、一緒にいるとお互いにイライラが募る場合は、家の中でひとりに一つ自室を持ち物理的に離れるといい。夫婦の距離をとることでストレスが減り、前頭葉の働きもよくなるから脳の老化も予防できる」という――。

※本稿は、和田秀樹『死ぬまでひとり暮らし 死ぬときに後悔しないために読む本』(興陽館)の一部を再編集したものです。

■長年連れ添った夫婦でも、老後を迎えると価値観は変わるもの

長年連れ添った夫婦の間で、ミスマッチが起こることは少なくありません。

たとえば、時間的に余裕が出てきたあなたは、ひとりで色々なところに旅行に行きたい。食事も、これまでガマンしてきたこってりしたラーメンや味の濃い炒め物などが食べたい。どうせ死ぬんだから、これからは自由に生きていきたい。そう考えていたとします。

対して、妻のほうは、これからは2人でいつも一緒に過ごしたい。一日中家でおしゃべりをしたい。少しでも長生きしてもらいたいから、さらにヘルシーな料理をつくりたい。そう考えていたとします。

60歳を過ぎたあたりから、こういった目指す人生の違いは顕著になってくるものです。しかも、お互いに譲りたくないのです。

こうなってくると「一緒にいるとイライラする」となってきます。世間では夫源病などといって、夫の言動が原因で、妻がストレスを感じ、心身に不調をきたすという問題が取り沙汰されています。

なぜ、夫が源の場合の話ばかりなのでしょうか。逆の場合も当然あります。責任を押し付け、支配してくる妻にストレスを感じている夫も世の中には大勢いるのです。

これからはガマンせず、2人でよく話し合って関係の改善を図りましょう。

■お互いに自室を持てば、ポルノサイトや雑誌も見れる

離婚するほどではないけれども、一緒にいるとお互いにイライラが募る。そういった場合は、物理的に離れることです。

可能であれば、家の中でひとりに一つ自室を持ちましょう。あらかじめ「自室で何をしようとお互いに干渉しない」、そう決めておきます。

妻の目を気にすることなくポルノサイトや雑誌を見ることもできます。好きな趣味に没頭するのもいいでしょう。

居室を離して夫婦の距離をとることでストレスが減り、前頭葉の働きもよくなります。

前頭葉は脳において感情をコントロールする部位なので、活発にさせておいたほうがいいのです。感情が希薄になってくると途端に老け込みます。

これまでは、家庭を持って子どもを育て、家族で暮らすというのが、平凡だけど幸せな人生と信じられてきました。でも、そういった考えはもう古いようです。

■あえて結婚を望まない男女が増えている

今、日本の男性の生涯未婚率は28パーセント、女性は18パーセント(2020年統計)ですから、男性の4人にひとり以上は、一度も結婚しないということになります。

私は、生涯未婚率が上昇した理由の一つに、あえて結婚を望まない男女が増えているというのもあると思っています。つまり、ひとりで暮らして、ひとりの時間を楽しみ、ひとりで死んでいくという人生も幸福なのだと考える人が増えているからだと思うのです。

ラップトップを使用する高齢男性
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miya227

「ひとりは寂しすぎる」「不幸な人生だ」と思う人は、結婚を続け、家族と暮らして死んでいくことが幸せなのですから、そのようにしたほうがいいでしょう。

でも、もし、ひとりで暮らすことを寂しいとは思わない。もっといえば、本当は、ひとりでいることに孤独感さえ持たない。

そう感じるのなら、周囲がどう思おうと本人が幸せだと感じるのなら、それが幸せなのだということを思い出して下さい。幸せは主観的なものなのです。

■身近な関係だからこそ、無意識な気遣いで疲れている

ひとりになることへの恐れは誰にでもあると思いますが、同時に私たちには「好きなように生きたい」とか「煩わしい人間関係から自由になりたい」「ありのままの自分でいたい」という願望もあります。

長年連れ添った妻や家族に対しても、そう思うときはあるものです。

自分以外の誰かに気をつかったり、つかわれたりするという息苦しさから逃げ出したいという気持ちです。それは「ひとりになりたい」という思いへとつながります。

身近な関係であればあるほど、できるだけぶつからないように気をつかいます。

長いつき合いの夫婦であれば、お互いに相手の考えていることも分かるようになっています。すると、どうしても遠慮が入り込みますよね。

当たり前につき合っているようでも、その実、つねに相手の機嫌を損ねないように言葉や行動に注意していることが多いのです。それを無意識のうちに常時やっていると、どうしても疲れてしまうのです。

たとえば、ひとりになったとき「どうすればいいんだ」と困惑するような人は、自由なひとり暮らしになっても時間を持て余すだけになるので、向いていないと考えられます。

「ひとりになった。清々する」と感じるどころか、孤独感から苛立ちに包まれてしまうかもしれません。

途方に暮れて、ただ流されるように一日が終わってしまうかもしれません。それは、避けたいところです。

■若さを保って豊かな晩年を過ごすコツ

「誰にも邪魔されず、好きな本を好きなだけ読める時間があったらそれだけで幸せだ」

「訪ねたい美術館がたくさんある。ひとりになれたら1日1館、気が済むまで美術館巡りを楽しみたい」

「音楽が好きで色んなCDやレコードを揃えているけれども、ゆっくり聴いている時間がない。ひとりになれたらそれができるんだなあ」

和田秀樹『死ぬまでひとり暮らし 死ぬときに後悔しないために読む本』(興陽館)
和田秀樹『死ぬまでひとり暮らし 死ぬときに後悔しないために読む本』(興陽館)

そういう人たちでしたら、ひとりに「なれる」というのは幸せな体験でしょう。きっと、孤独という意識すら持たないことと思います。

これからの人生、他人の束縛から解放されて自由に暮らすと考えたとき「さぁ、何をやろうかな」とワクワクしてきたのなら、本物です。

毎日、浮き立つような気持ちで暮らせば、幸せホルモンといわれるセロトニンの分泌量も増え、前頭葉も活発に動きます。老化防止や老人性うつ病の予防にもなるのです。

ガマンは美徳という考えは捨てましょう。これからは、新しい体験を意識して増やし、ガマンや嫌なことは一切しない。これが、若さを保って豊かな晩年を過ごすコツです。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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