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これで「幸せとは何か」にスラスラ答えられる…自分なりの意見を伝えるために必要な"5つの問い"

プレジデントオンライン / 2024年7月2日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/efa ozel

自分の意見を持つにはどうすればいいか。コピーライターのさわらぎ寛子さんは「自分の意見を言葉にして伝えられる人は、日頃から、様々な問いを立てる習慣がある。たとえば、『幸せ』について考えるなら、『そもそも』『AかBか』『何のために、どこに向かって』『なぜ、何があった』『必要条件』の5つの問いを考えるといい」という――。

※本稿は、さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■人と意見が異なることは当たり前

ビジネスでは、自分の意見が求められます。

またプライベートでも、「意見のある人」との話は面白いものです。

まず、前提として大事なことは、意見は違うから面白いのであり、誰かの意見が絶対であることはない、ということです。

意見が言えない、という人の多くは、「誰かが正解を知っているのではないか」と思って誰かの答え(意見)を参考にしようとしたり、「人と意見が異なってはいけない」と思って、誰かと違うことを考えていたとしても、自分の意見を押し殺したり、相手に合わせたりしようとします。

でも、何かに対してどう思うかという意見は、人と違って当たり前です。

意見というのは、誰かにいい/悪いと評価されたり、合っている/間違っていると答え合わせされたりするものではありません。

伝え合うことで、互いを理解したり、アイデアを広げたりするためのものなのです。

■「意見」として求められる3つの要素

意見とは、自分の考えや思いつきに、「根拠」をつけて、相手が納得しやすいかたちにしたものです。

たとえば、会議の席で「何か意見はないか」と言われたときに求められていることと、プライベートで旅行の行き先を決めるために「あなたの意見は?」と聞かれたときに求められていることは違うでしょう。

オフィスで会議をする従業員
写真=iStock.com/suney munintrangkul
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/suney munintrangkul

いきなり聞かれたのか、もともと準備するように言われていたのかによっても、答える内容は変わってきます。

共通しているのは、「あなたはどう思うか」というあなたの意見が求められている、ということです。

つまり、どこかにある絶対的な正解を求められているのではなくて、自分の経験や知識、価値観に基づいた意見が求められています。

「意見」として求められるのは、この3つの要素です。

①前提(立ち位置、言葉の定義)
②考え(自分なりの答え)
③考えに至った根拠(理由、ファクト)

■「リモートワークを今後推進すべき」意見を伝える方法

たとえば、上司に「リモートワークを今後推進すべきか、君はどう思う?」と聞かれたらどう答えるか、3つの要素をもとに意見を作ってみましょう。

私は、現在週3で在宅勤務をしているチームリーダーとして(立ち位置)、

会社はリモートワークをもっと推進すべきだと考えます(自分の考え)。

ここで言う「リモートワーク」とは、完全在宅のことではなく、必要に応じて在宅と出社をフレキシブルに選べる制度のことを指しています(言葉の定義)。

リモートワークを推進すべき理由は、リモートワークによって、従業員の満足度が上がっているからです(理由)。

チームメンバーへのヒアリングでも、完全出社の人よりも、一部在宅を取り入れている人の方が満足度が高いことがわかっています(ファクト)。

このように、前提、考え、根拠が揃うことで、説得力と納得感のある「意見」になります。

■問いは「質問」であり「問題意識」である

ステップ① 問いを立てる

では、どうすれば、自分の意見を持てる人になれるでしょうか。

意見を持つはじまりは、「問いを立てる」ことです。

意見が答えだとすると、問いは「質問」であり「問題意識」です。

たとえば、先ほど出てきた「会社はリモートワークを推進すべきか」も問いです。

この問いを、上司や先輩から言われてはじめて考えるのと、日頃から興味を持ってそのテーマについて考え続けている人とでは、質問をされたときの答えが変わってくるのは当然です。

自分の意見を言葉にして伝えられる人は、日頃から、様々な問いを立てる習慣がある人です。

問いは、「これはどういうことだろう」「なんか違うな」「なんでそう思うのだろう」という「気づき」や「驚き」が出発点になります。

子どもの頃は、何を見ても新鮮で、周りの大人にいろんな質問をしていたはずです。

「月はどうして形が変わるの?」
「あの人はなんで怒っているの?」
「なんで学校に行くの?」

大人になり、経験を積んでいくと、なんとなくわかったような気になって、新しい発見や気づきを感じなくなっていくものです。

電車の車窓から外を眺める旅する若い女性観光客
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

何かに気づいても、「そんなこと気にしてもしょうがない」「今考えている場合じゃない」「自分が考えることではない」となかったことにせず、「問い」を立ててみてください。

■「そもそも」「AかBか」で考える

ここでは、具体的な問いを5つ紹介します。

たとえば、「幸せ」について考えてみましょう。

1:そもそも(本質・前提)

【例1】そもそも、幸せとは何か?
【例2】そもそも、幸せにならないといけないのか?

2:AかBか(選択肢、比較)

【例1】仕事とプライベート、どちらで幸せになりたい?
【例2】幸せとは、自分で評価するものか?他者から評価されるものか?
【例3】幸せになれる人となれない人の違いは?

3:何のために、どこに向かって(目的)

【例1】何のために幸せになりたいの?
【例2】幸せになったら、何を得られるのだろう?

4:なぜ、何があった(理由・背景)

【例1】なぜ、人は幸せになりたいのだろう?
【例2】あの人は幸せだ、とどうして言えるんだろう?

5:必要条件(何があれば○○と言えるのか)

【例1】どんな状態になれば、幸せと言えるのか?
【例2】何が揃っていれば(満たされていれば)幸せと感じるのか?

■同じ事象でも、どの立場から見るかによって意見は変わる

ステップ② 前提を定義する

意見を作るステップ2は、自分の「前提」として、立ち位置と言葉の定義を決めることです。

立ち位置とは、自分は今どこからの視点でものを言っているかを決めておく、ということです。同じ事象でも、どの立場から見るかによって、意見は変わります。

たとえば、「環境問題についてどう思うか」といった大きなテーマも、

「子ども2人を都内で育てている親の立場で考えると」
「会社で、飲食店の支援をしており、現場の人の話を聞いている立場で考えると」

と、自分の立ち位置をはっきりさせておくことで、意見が言いやすくなります。

会議などで、「何か意見はない?」と聞かれて答えにくいときも、自分の立ち位置を決めた上での発言ならハードルは下がります。

たとえば、新商品のスイーツをA案にするか、B案にするかどちらがいいかと聞かれたら、

「スイーツを毎日食べている自分からすると」

「普段はあまり甘いものを食べない自分からすると」と前提を立てたり、

「売上を上げるために、守りの案ではなく、攻めた案が必要というスタンスで言うと」

など、自分の立ち位置を決めたりしておくと、話しやすくなります。

小さなチョコレートケーキを手で取る人
写真=iStock.com/ti-ja
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ti-ja

またブログなどで発信をしたり、記事を書いたりするときも、読者にとって、自分はどんな立ち位置でいるかをはじめに決めておくと書きやすくなります。

次のようなイメージです。

・専門家として教えるポジション
・そのテーマについて読者より少し詳しい先輩ポジション
・読者と同じ立場で葛藤したり悩んだり挑戦したりしている同志ポジション

■言葉の定義がズレていると、話が噛み合わない

立ち位置を決めるのと同じく、意見を言う前に大事なのが「言葉の定義を決めておく」ことです。

相手と話が噛み合わないときは、たいてい、言葉の定義がズレています。

「新商品について、なんか面白いアイデアを出してよ」と上司に言われた場合。

その「面白い」とはどういう意味か、確認をする必要があります。

「今までにない斬新なもの」という意味かもしれませんし、「納得性のあるもの」ということかもしれません。

相手とすり合わせをしておきましょう。

■理由、ファクト、体験談をセットで伝える

ステップ③ 根拠を作る

「それって、個人的な感想だよね」と否定されたり、「根拠は?」と聞かれたりするのが怖い、という声をよく聞きます。

確かに、せっかく考えたことを言ったのに、そう言われて怯んでしまう気持ちはわかります。

でも、とくにビジネスシーンでは、「なぜそう言えるのか」=根拠が必要なのです。

はじめは感覚的に「なんとなくそう思う」でもOK。

そこに、相手が「なるほど」と思うような根拠をつけていきましょう。

根拠があると、意見の信頼性が高くなり、単なる感想を説得力のある意見に変えることができます。

根拠には、次の3つが含まれます。

「理由」=なぜそう思うか(なぜなら)
「ファクト」=裏付け、客観的なデータや情報
「体験談」=具体例やたとえ(たとえば)

この3つが揃うことで、単なる感想ではなく「意見」としての説得力が増します。

■「こう言えば」を、その日の帰り道やお風呂の中で口に出す

たとえば、新商品のポスターを決める際、A案か、B案かどちらがいいかの意見を求められた際に「A案がいいと思います。なんとなく、ですけど」では、説得力がありません。

「理由」「ファクト」「体験談」の3つを入れると、次のように説得力のある意見になります。

「A案がいいと思います。理由は、商品の使用後イメージが写真で伝わるからです。

商品特徴を並べたポスターと、商品を使った先の未来に起こる変化を伝えたポスターだと、後者の方が反応がいいというテスト結果が出ています。

たとえば、今はインスタでも、ただの投稿よりも、ユーザーと双方向で交流できるものが主流になっています。A案の場合、これを見たユーザーが同じポーズで写真を撮って投稿しようというような、動機につながるのではないかと考えます」

「いきなりこんなこと、スラスラ答えられるかー!」と思うかもしれません。

スラスラ答えられなかった、と感じたときは、先の記事に書いた「復習」がおすすめです。

もっとああ言えばよかった、こう答えればよかった、と感じた「こう言えば」を、その日の帰り道やお風呂の中で口に出してみてください。

バスルームで水を出すシャワーヘッド
写真=iStock.com/Toru Kimura
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Toru Kimura

次に同じようなシチュエーションが来たときには、前回よりはスムーズに答えられるようになるはずです。

■独りよがりではない、バランスの取れた意見を作る方法

ステップ④ ツッコミを考える

自分の意見を作るために、「問い」を持ち、「前提」を定義して、「根拠」を作ってきました。

さらに、ツッコミを予想して答えておくと、独りよがりではない、バランスの取れた意見になります。

たとえば、カスタマーサポート部門で働くAさんが、「顧客対応に生成AIを導入すべきだ」という意見を上長に伝えるとします。

前提……Aさんは、日々の対応をする中で、応答が効率化すればより顧客満足度が上がると感じている

言葉の定義……ここでいう「生成AI」とは、顧客の問合せに自動で応答するシステムのことで、「顧客対応」とは、Webサイト上でのチャットを想定している

根拠……生成AIを活用することで、迅速な対応が可能になり、サポートチームの負担が軽減される。24時間対応が可能になるため、顧客満足度の向上も期待できる

ここまで聞いた相手が、ツッコんできそうなことを次のようにあげてみます。

「AIを導入すると、お客様から詳しいご意見を聞く機会が減るのではないか。AIの対応だと企業としての姿勢が伝わらないのではないか」

こうして、ツッコミを想定しておくと、そう言われたときにどう答えるかを準備しておけます。

相手の意見との妥協点(ちょうどいい落とし所)を見つけたり、さらに追加でデータを探しておいたり、AかBかを比較検討した上での、新しいC案を考えたりすることもできるでしょう。

■「こう言われたら、こうしよう」を用意しておく

たとえば、今回の場合は、妥協点を探すなら、次のように考えられます。

さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)
さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)

・チャット対応は、生成AIを導入して24時間対応に。電話を好むお客様には、従来のサポートデスクに電話してもらえるようにする

こうして、ツッコミを先に考えておくと、もとの意見よりも、さらに深く検討した意見が作れるようになります。

プレゼンをしたり、人前で何かを発表したりするときや、またはセールスや接客の場でも、「相手からこういう質問やツッコミが来たらどうするか」をいくつか隠し持っていると安心です。

「なんか言われたらどうしよう」「質問されたらどうしよう」ではなく、「こう言われたら、こうしよう」を事前に決めておく。意見を言うのが怖くなくなるコツです。

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さわらぎ 寛子(さわらぎ・ひろこ)
コピーライター/コトバワークス株式会社代表取締役
1978年京都府生まれ。関西大学社会学部卒。関西大学非常勤講師。現役コピーライターで、企業の広告制作のほか、企業研修も多く手がける。24年間コピーライターとして食品、美容、ホテル、学校、病院、製薬会社、電鉄など様々な業種の広告制作を手掛ける。書いたコピーは3万件以上。2010年「2時間でキャッチコピーが作れる」メソッドを独自で開発。現在は、オンラインとリアルな会場で長期講座を開催。自分メディアを使って集客したい、売上を上げたいと願う経営者や起業家から高い評価を得ている。著書に、『キャッチコピーの教科書』(すばる舎)、『今すぐ自分を売り出す1行を作れ』(大和書房)など。

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(コピーライター/コトバワークス株式会社代表取締役 さわらぎ 寛子)

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