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イタリアンレストランでコピーライターはメニュー名が気になる…そのときピラティス講師が持つ意外な視点

プレジデントオンライン / 2024年7月3日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/lisapics

多角的な視点を身につけるにはどうすればいいか。コピーライターのさわらぎ寛子さんは「相手の考えや意見のすべてを理解することはできなくても、いろんな考えの、いろんな立場の人がいることを知るだけで、自分の視点を広げていくことができる。視点を育てるためには、1つの話題について『学校の教科で考える』『人の悩みを考える』『新聞の「欄」にざっと目を通す』『大きめの書店の普段は行かない「棚」の前に行く』などして、様々な観点から見てみるといい」という――。

※本稿は、さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■根拠と深みのある意見を作る多面的な視点を身につけるには

意見を言葉にして伝えるには、自分なりの視点を持つことが大切です。

多面的な視点を持つことが、より根拠のある、深みのある意見を作るスタートになります。

では、多面的な視点は、どうすれば身につくのでしょうか?

「多面的」というのはつまり、「Aとも言えるけど、見方を変えると、Bとも言える」というように、同じものごとでも、見る角度によって違うことを知って理解することです。

人は、誰しもが、自分なりの角度で、ものごとを見ています。

同じ景色を見ても、同じ場所で同じときを過ごしても、どう見るか、どう感じるか、どう受け取るかは、人によって違います。

そして、自分はずっと自分の視点で見ているので、人との違いには気づきにくいものです。

まずは「違う」「いろいろある」と知ることからはじめましょう。

■大半はわからなくても当然と思えば楽になる

異なる意見を知ったからと言って、すべてに同意する必要はありません。

「私はそう思わないけど、あなたはそう思うんだ」という捉え方でOKです。

何でもかんでも、人に合わせようとしていては、自分の意見は育たないからです。

養老孟司さんの著書『ものがわかるということ』には、「理解しなくても衝突しない方法」として、他人が自分を理解してくれない、あるいは他人のことがよくわからないと、多くの人が悩んでしまう理由が書かれていました。

なぜ、相手のことを理解しなければいけないのか。理解できなくても、衝突しなければいいだけです。
相手の言うことを一から十まで理解しなくたって、ぶつかることは避けられます。

(略)全部をわかろうとするから悩んでしまうのであって、大半はわからなくても当然と思えば楽になります。

相手の考えや意見のすべてを理解することはできなくても、いろんな考えの、いろんな立場の人がいることを知るだけで、自分の視点を広げていくことができます。

■スマホの中にはない情報に意識して触れる

講座の受講生さんたちに、「新聞やニュースなどは見ていますか?」と聞くと、「ネットニュースは見ている」「情報はSNSで得ている」という答えが返ってきます。

スマホでニュースを読む
写真=iStock.com/seb_ra
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/seb_ra

スマホの中の情報は、自分用にカスタマイズされているものです。

検索履歴からおすすめのものが上位に表示され、SNSでは反応したものと似たような投稿が自動的に上がってきます。

スマホの中ばかり見ていると、偏った意見や情報にしか触れなくなるので、視野が狭くなっていきます。

なので、スマホの中にはない情報に意識して触れる必要があります。

ネットのニュースもSNSの誰かの投稿も、よく読んでみると、「〜と聞いた」「〜と誰かが言っていた」と、転載や又聞きの情報が多いものです。

まず、一次情報を確認する習慣をつけましょう。

一次情報とは、直接の情報源から得られた元のデータや情報のことです。

その情報に信憑性はあるのか。

誰が、どんな目的で、なんのために発している意見や情報なのか。

誰かの意見の一部だけを切り取った見出しだけを見て、「そうなのか!」とわかった気にならず、情報の出所を確認してじっくり内容を確認する習慣をまずつけましょう。

■1つの話題を様々な観点から見るための4つの方法

視点を育てるためには、1つの話題について、様々な観点から見てみることも大切です。

様々な観点を身につける方法として、ここでは4つ紹介します。

・学校の教科で考える

国語(コミュニケーションや文化理解)、算数(経済や論理的思考)、理科(環境やテクノロジー)、社会(人間関係や社会情勢、歴史)、音楽(トレンドや感動体験)、家庭科(自己管理やサステナビリティ)、保健体育(健康やメンタルヘルス)、と考えてみると、観点が思いつきやすいです。

・人の悩みを考える

人間の悩みは、人間関係、お金、仕事、健康、家族などに分類できます。

・新聞の「欄」にざっと目を通す

ニュースを読む習慣をつけると、「経済的に考えるとはこういうことか」「社会的に捉えるとはこういうことか」という今までになかった視点が自然と育っていきます。

新聞を毎日読むのは難しい、という人は一週間に一回でもコンビニで買ってみるとか、Podcastで新聞社が提供している音声ニュースを通勤途中に聞くのもおすすめです。

・大きめの書店の、普段は行かない「棚」の前に行く

大きめの書店は、本や雑誌が「棚」に分かれています。

本屋
写真=iStock.com/themorningglory
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/themorningglory

普段は「ビジネス」とか「自己啓発」の棚ばかり見ている人は、まったく関係のない「趣味」や「実用」の棚の前に立ってみることをおすすめします。

普段は見ないジャンルのものに触れることで「自分ではない人たち」の興味や感情に触れる体験ができます。本のタイトルを眺めたり、目次を見たりするだけで、自分とは違う視点があることに気づけます。定額で雑誌が読み放題になるアプリも便利です。

■価値観、興味、仕事をキーワード化する

自分なりの視点を持つには、自分が何に興味があり、どんな価値観を持っているのかを「キーワード」にしておくのがおすすめです。

「なんとなくこういうことかなぁ」と頭の中で思っているだけよりも、自分の興味・関心、専門領域が明確に言葉になっている方が、自分の言いたいことが整理しやすくなります。

人から見ても「このことなら、この人に聞いてみよう」という目印になるのです。

価値観のキーワード

価値観とは、自分が何を大切にして生きたいかや、仕事をする上で大事にしていることです。書き出すのは単語でもいいし、短いフレーズでもOKです。(先の記事の「思いをたどる日記」で出てきたフレーズも、書いておきましょう)

例:誠実さ、家族の時間、変化を楽しむ、自由に生きる、健康、社会貢献

興味のキーワード

今、自分が興味を持っている分野や社会問題などを書き出してみましょう。

例:テクノロジー、アート、デザイン、料理、スポーツ(特定のスポーツ)、自然保護、異文化、言語

仕事(専門分野)のキーワード

自分の職業の特性や、得意分野、仕事でよく使う単語、お客様にとってのメリットなど。これからやりたい分野のキーワードでもOKです。

例:営業戦略、顧客サポート、チームワーク、リサーチ、交渉、プレゼン

■同じできごとでも職業によって見るポイントが違う

キーワードを書き出しておくと、何かの情報に触れたときに、キーワードをもとに自分の視点からものごとを見られるようになります。

たとえば、日常のできごとを、そのまま書くだけでは、ただの日記ですが、それを「価値観」や「興味」「仕事」のキーワードにつなげて書くと、自分なりの視点の文章が書けるようになります。

日常のできごとを、「価値観」や「興味」「仕事」のキーワードにつなげる思考ができるようになると、今までは「興味ない」「わからない」「難しい」とスルーしてきたようなことにも、自分なりの意見を持つ足がかりができるようになるのです。

同じものごとを見ても、職業によって、視点が異なるのも面白いものです。

たとえば、いろんな職種の人と、イタリアンレストランへランチに行ったとします。

コピーライターである私は、メニューの名前が気になります。

オムライス、とだけ書いてあるのと、「ふわとろ卵のオムライス」だとどっちが美味しそうか、などをつい考えてしまうのです。

ピラティスのインストラクターをしている友人は、座っているお客さんたちの姿勢が気になったり、置いてある椅子の座り心地が気になったりするそうです。

このように「つい」自分の専門分野からものごとを見てしまう、というのはどんな職業でもあるものです。

【図表1】職業によって視点は違う
出所=『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』

営業だったら、原価率が気になったり、回転率が気になったりするかもしれません。

さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)
さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)

接客業なら、お店の人の挨拶の仕方や、待っている間にお客様に何かできないか、と考えることもあるでしょう。

人から「職業病じゃない?」と言われるようなことが、自分なりの面白い視点になるのです。

日常のできごとを、自分なりの職業視点で語れるようになると、聞き手が「この人の視点は面白い」「自分にはない視点で、視野を広げてくれた」と感じる話になっていきます。

自分の中の職業グセを書き出してみましょう。

つい、こんなふうに見てしまう、ついこういうふうに考えてしまう、と感じることを具体的に書き出してみましょう。

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さわらぎ 寛子(さわらぎ・ひろこ)
コピーライター/コトバワークス株式会社代表取締役
1978年京都府生まれ。関西大学社会学部卒。関西大学非常勤講師。現役コピーライターで、企業の広告制作のほか、企業研修も多く手がける。24年間コピーライターとして食品、美容、ホテル、学校、病院、製薬会社、電鉄など様々な業種の広告制作を手掛ける。書いたコピーは3万件以上。2010年「2時間でキャッチコピーが作れる」メソッドを独自で開発。現在は、オンラインとリアルな会場で長期講座を開催。自分メディアを使って集客したい、売上を上げたいと願う経営者や起業家から高い評価を得ている。著書に、『キャッチコピーの教科書』(すばる舎)、『今すぐ自分を売り出す1行を作れ』(大和書房)など。

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(コピーライター/コトバワークス株式会社代表取締役 さわらぎ 寛子)

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