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だから相手が「ぽかーん」となる…何でも野球や戦国武将にたとえる人に決定的に欠けている視点

プレジデントオンライン / 2024年7月6日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/anyaberkut

相手の心をつかむたとえ話は、どうすればできるか。コピーライターのさわらぎ寛子さんは「以前、仕事でご一緒した人が、すべてのことを野球にたとえる人で、野球に詳しくない私は、なんのことを言っているのかよくわからなくて苦労したことがある。同じように戦国武将にたとえても、それにピンとくる相手ならいいが、わからない人は、ぽかーんとしてしまう。相手がピンとくるたとえ話を作るためには、『相手の関心ごとを知る』『具体的で身近な例を使用する』『相手の知識や経験に合わせて濃度を調整する』の3ステップで考え、相手がイメージしやすく、テンションが上がるたとえを選ぶといい」という――。

※本稿は、さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■文章は1行目で気持ちを掴めないと読んでもらえない

文章を書くときは、書き出しに悩むものです。

1行目が面白くないと、2行目を読んでもらえることはありません。

1行目でグッと気持ちを掴むことは大事です。

でも、文章は何も1行目から書かないといけないルールがあるわけではありません。

私はいつも、書き出しは(仮)で書いておいて、最後に変えています。書き出しは、とりあえず書いておいて、後から修正すればOKです。

「私は」「弊社は」「今日は」などのありきたりな言葉からはじめないと決めるだけでも印象が変わります。

ここでは、書き出しのパターンをいくつか紹介します。

■ありきたりじゃなくなる6つの書き出し

1、結論からはじめる「仕事ができる人は、感情コントロール力が高い」

結論(一番言いたいこと)を頭に持ってくるパターンです。今からなんの話がはじまるのかわかりやすいので、読み手のストレスが減ります。

2、疑問文、問い「肌がきれいな人は、寝る前に何をしているのか」

おっ、なんだろうと読者の興味を惹けるのがこの書き出しです。

このとき、「あなたは〜していませんか」「いつも〜していませんか」「まだ〜している人はいませんか」など、責めるニュアンスがある疑問文を連発すると、読者は余計なお世話に感じたり、怒られているようで苦しくなったりするので、注意が必要です。

ソファに座ってフェイスパックをする女性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg
3、セリフ「とにかくすごいことが起きた」

実際のセリフや脳内に浮かんだセリフから書き出すパターンです。

4、数字「日本人の8割が、一生に一度は腰痛を経験する」

「日本人の多くが腰痛に悩んでいる」と書くのではなく、「8割」という数字を入れているのがポイントです(根拠がしっかりあることが前提です)。「とても寒い」と書かずに「温度計がマイナス5度を指している」と書いてみてください。

数字を入れると言葉は強くなります。

5、情景「オープンキッチンにしたら、食器洗いが夫の担当になった」

起きた事実や、目の前に広がっている情景をそのまま書き出すパターンです。

次に紹介する、川端康成の『雪国』の冒頭のようなイメージです。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。」

6、逆説(ギャップ)「つらいときほど、ため息をつこう」

「え? なんで?」と読者が思わず聞き返したくなるような冒頭です。

ため息なんてついたらダメなんじゃないの? 幸せが逃げるとかいうじゃん、と思ったところで、「ため息には、リラックス作用がある。ふーっと長く息を吐くことで、バランスが崩れた自律神経の働きを回復させようとする」といったように、その理由が続くと、「なるほど」と納得感が上がります。

「私は」「今日は」「弊社は」などありきたりの書き出しで書いていた文章を、6つの書き出しパターンのどれかに当てはめて書き換えてみましょう。

■なんでも野球にたとえる人に欠けている視点

話がわかりやすい人は、たとえ話がうまいものです。

以前、仕事でご一緒した人が、すべてのことを野球にたとえる人で、野球に詳しくない私は、なんのことを言っているのかよくわからなくて苦労しました。

「今回の提案は、ヒットを狙うな、とにかく塁に出ろ」とか「置きに行くようなコピー書くなよ〜」とか言われても、ピンとこないのです。

戦国武将にたとえたり、好きなアニメのストーリーにたとえたりするのは、それにピンとくる相手ならいいですが、わからない人は、ぽかーんとしてしまいます。

相手がピンとくるたとえ話を作るためには、次の3ステップで考えてみましょう。

1、相手の関心ごとを知る

まずは、観察(先の記事でお伝えした方法)で、相手の関心や興味を理解します。

その上で、共感できるテーマや事例を見つけましょう。

2、具体的で身近な例を使用する

たとえ話は、抽象的なことを具体的なイメージに変換するための手段です。身近な体験や具体的な例を使うことで、相手がより理解しやすくなります。

3、相手の知識や経験に合わせて濃度を調整する

それについてよく知っている人なら濃いめの話を、あまり知らない人なら薄めの話といったように、濃度調整していきましょう。

■相手がイメージしやすく、テンションが上がるたとえを

例として、「仕事で成功するには、柔軟性が大切だ」ということを、2つのシーンに合うたとえ話にしてみます。

A:20代前半の新入社員研修

(営業職で、多くの人が学生時代にスポーツ経験あり)

仕事はサッカーの試合みたいなものです。

最初は戦術を練り、チーム全体で戦い方を考える。でも実際の試合では、相手の動きに合わせて瞬時に判断し、柔軟にプレーを変えなければならない。

同じように、営業も準備は大切だけど、現場では柔軟に対応することが成功のカギです。そのための対応力を今日の研修でつけていきましょう。

B:30代前半の女性が多めの接客業の方向けの勉強会

仕事はファッションショーみたいなもの。

さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)
さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)

新しいトレンドが出てきたら、それに対応してスタイルを変える必要があるし、お客様やファンの好みや要望に応えるために柔軟にアプローチすることが大事です。

常に時代の流れをチェックして、お客様の憧れの存在になっていきましょう。

伝えたいことは「仕事で成功するには、柔軟性が大切だ」という同じことでも、相手の興味・関心やイメージしやすい言葉を選ぶことで、たとえ話の内容が変わります。

相手がイメージしやすく、テンションが上がるたとえを選びましょう。

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さわらぎ 寛子(さわらぎ・ひろこ)
コピーライター/コトバワークス株式会社代表取締役
1978年京都府生まれ。関西大学社会学部卒。関西大学非常勤講師。現役コピーライターで、企業の広告制作のほか、企業研修も多く手がける。24年間コピーライターとして食品、美容、ホテル、学校、病院、製薬会社、電鉄など様々な業種の広告制作を手掛ける。書いたコピーは3万件以上。2010年「2時間でキャッチコピーが作れる」メソッドを独自で開発。現在は、オンラインとリアルな会場で長期講座を開催。自分メディアを使って集客したい、売上を上げたいと願う経営者や起業家から高い評価を得ている。著書に、『キャッチコピーの教科書』(すばる舎)、『今すぐ自分を売り出す1行を作れ』(大和書房)など。

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(コピーライター/コトバワークス株式会社代表取締役 さわらぎ 寛子)

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