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週次会議を開催するのに最も効率がいいのは何曜日か…仕事の「滞り」をなくす会議日のベストタイミング

プレジデントオンライン / 2024年7月5日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ralf Hahn

社内の会議を有意義な時間にするには何をすればいいか。物流エコノミストの鈴木邦成さんは「日本の多くの会社の会議は『進捗状況の報告』に終始している。よくZ世代が『それはメールで済む話ではないですか』と批判的にとらえていることが話題になるが、まさしくその通りだ。滞りをなくすという観点から考えると、会議を行うには『締め切り効果』が働く金曜夕方が最適で、会議中はマルチタスクをするとタイパがいい」という――。

※本稿は、鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■1週間でもっとも慌ただしい月曜日の会議はナンセンス

月曜の午前中は会議なので忙しい――こういう会社が少なくありません。

週のはじめにその週に必要な一連のタスクをチェックしておくことや、前の週のフィードバックを行うことなどが目的となるのでしょう。いわゆる週次会議です。

したがって、月曜朝の会議は「何かを決定する会議」(立案・議論メインの会議)というよりも、「現状や進捗(しんちょく)状況を確認する会議」(進捗状況報告メインの会議)ということになります。

しかし、滞りの解消という視点から考えると、月曜日の朝に毎週のように会議をするメリットはほとんどありません。

月曜の午前中は1週間でもっとも慌ただしい時間帯ともいえます。ルーティンの事務作業が多く、急なタスクが飛び込んでくる可能性も高い時間帯です。

その一番忙しい時間帯に、これまでの業務のフィードバックをしたり、新企画の立案を検討する必要性はありません。

個人の日常生活に当てはめて考えてみるならば、朝の身支度の忙しい最中に、前日の反省や来週の予定を議論するようなものです。

また月曜の午後も、本来ならばそこからその週のルーティンやメインワークを本格的に行う時間帯なので、進捗状況報告メインの会議をやるのは時間のムダでしょう。

せっかく仕事に本腰を入れようとしたところで、「これから会議がある」ということになれば、その日の仕事終わりが遅くなって残業する可能性も出てくるため、社員のモチベーションも下がるというものです。

■トヨタの週次会議が行われる火曜の朝はどうか

それゆえ、月曜会議の非効率を理解している企業もあり、たとえばトヨタの週次会議は火曜の朝に行われるといいます。

また「週の折り返し点に当たる」ということから、水曜に週次会議を入れている企業もあります。

確かに火曜や水曜ならば、月曜の朝のように慌ただしいという感じもしないでしょう。しかし立案・議論メインの会議はともかく、進捗状況報告メインの会議を火曜や水曜に行うとなると、他のタスクに忙殺されている可能性もあります。

月曜のスタートから日曜のゴールまで移動するビジネスマンの人形
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

そのため、「出席してもマルチタスク(内職)の時間で、パソコンを広げて別の書類をつくっている」という人も出てくるでしょう。

私がこれまで見聞きした話でも、D社では連日のように営業が会議をやっています。ただし課長は部下の営業報告を聞いているだけ。その代わり、事細かに報告させているので、会議は長時間に及びます。「いったい営業活動はいつやっているのか」と思うほどです。

しかし、これでは冗長な会議のみならず営業成績のほうも心配になってくると思うのは私だけでしょうか。

■週末直前の金曜日に働く「締め切り効果」

滞りをなくすという観点から考えると、金曜夕方が最適といえます。

E社では営業の週会議は金曜日の夕方4時からと決まっています。時間も15分以内で必要事項はA4用紙1枚に箇条書きで数行以内と決めています。

「週末直前の金曜日の午後に会議をしても、みんな上の空で会議になりません」と思う人も多いのでしょう。

しかし、実はそうではないのです。まもなく週末という「締め切り効果」が働くことから、会議を早く終わらせようという心理が働き、逆に効率は上がるようになります。「これが終われば、休める」という気持ちになることで、冗長な会議が引き締まるわけです。

反対に火曜や水曜の会議は「ゆっくり時間をかけて立案したり報告を聞ける」と考える人もいるため、実際は時間が十分にあることに甘えて会議を長引かせたり、余談・雑談、あるいは意味のない質問などで時間が延びることになりかねません。

こういう会議好きの人に対して、金曜の夕方に会議を設定することで「週末なので会議はさくっと終わらせましょう」という無言の圧力をかけることもできます。

また、週末前に会議を行うことで、週明けのスタートの月曜朝から必要なタスクをタイムリーにこなしていけることになるのです。

■報告がほとんどになってしまう会議

本来、会議とは特定の議題を設けて意見交換をして、合意、意思決定を行うものです。しかし、日本の場合、多くの会社の会議は「進捗状況の報告」に終始しています。

よくZ世代が「それはメールで済む話ではないですか」と批判的にとらえていることが話題になりますが、まさしくその通りでしょう。

「みんなで会うことに意味がある」「意見交換は対面でないと説明できないニュアンスがある」といったことが会議開催の根拠となることがありますが、実際は資料や書類の読み上げや読み合わせなどがかなりの部分を占めています。

また「議論したうえで決定する」ことになっている検討・審議事項は、長々と議論しても結論が出ないことがほとんどです。

実際、「何かを議論して決める」ことは、ガチでやろうとするとなると、非常に時間がかかります。1年議論しても喧嘩(けんか)別れにしかならないというケースもザラです。

会議で決まるとは「どこかで妥協する」ということ。「議論して、よりよい結果が出た」ということは、めったにないといってもいいすぎではないのです。

■会議の準備に時間をかけるのは自己満足

では、会社の長時間に及ぶ会議についてどのような姿勢で臨めばよいのでしょうか。

考え方としては3つあります。

「効率的な会議のやり方」を説いた本はとても多いのですが、実は会議で発生する滞りは会議の前後に発生しています。

たとえば、「効率的な会議にするために資料をたくさん用意する」のはどこの会社でも行われていることですが、これが滞りの要因をつくり出しているようなものなのです。

グラフとチャートが記載された財務資料
写真=iStock.com/ispyfriend
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ispyfriend

当たり前のことですが、資料が多くなれば必然的に会議は長くなります。議論・検討以前にその資料の説明、これまでの進捗状況の説明などが加わります。プレゼンだけで30分くらいかかることもザラでしょう。

そうなると会議は延々と終わらないかもしれません。しかも資料づくりに1週間以上かけたりすれば、どう考えても短時間では終わりません。

資料というのはつくり込めばつくり込むほど、専門性が高くなります。大人数で会議に出席しても、内容を理解できる人は一握りになります。ムダな進捗状況報告などを省き、資料も最小限で済むようにして出席者はできるだけ絞ります。

「資料はなくてもよい」(どうせ後でほとんど見返さない)「出席者は最小限」(多くの人は発言しない)を徹底するのです。

■日本の会議は出席することに大きな意味がある

しかし、こういうと「そんな会議改革はできない。ウチの会社は保守的なので……」という人もいると思うので、そういう場合には、2つめの考え方で対応することを勧めます。

会議のなかには「何もしなくていいから、とにかく関係者が出席してほしい」という類いのものがかなりあります。とくに大人数で行う会議はそうでしょう。

こうした会議は「出席することが大きな貢献」と自分に強く言い聞かせることが大切です。「出席しているだけでは意味がない」というのではなく、「無事に出席できたことに満足する」という考え方です。

1つめの考え方に比べて、2つめの考え方はいささか後ろ向きの考え方のように思えますが、実際はそうでもありません。

逆に「毎回きちんと出席している」というのは当たり前とはいえ、社内で評価されることにもなります。したがって、それなりにモチベーションも高まります。

また「出席することが役割」と自分に言い聞かせることで「会議では発言しなければならない」などの心理的なプレッシャーから解放されることにもなります。

野球やサッカーなどの団体スポーツでも好成績を上げる以前の問題として重視されるのは「全試合出場」などのいつも存在するという実績です。

メジャーリーグに「偉大なる2割5分打者」という考え方があります。試合で大活躍しても頻繁に欠場する選手よりも、打率はソコソコでも長期にわたって全試合出場する選手がチームとしては評価できるという発想です。

会社の会議もこれに似たところがあるのです。「ものすごく立派なプレゼンを年に1回くらいするものの欠席は多い人」よりも、「特別なことは何もしないが毎回必ず出席する人」が社内評価は高いのです。

■会議中のマルチタスクが認められる時代

3つめは実践するかどうかは自己責任でお願いしたい考え方です。それは会議中のマルチタスクです。

会社によってはグレーノウハウというかたちで会議中のマルチタスクを容認しているところがあります。

グレーノウハウとは「面と向かって聞かれれば、否定せざるを得ないことでも、暗黙のもとに認めている」というアンリトゥンルール(unwritten rule)のことです。

最近はパソコン持ち込みの会議などではマルチタスクをグレーとしてではなく、認めている会社も増えているようなので、グレーノウハウにかかわらず、思い切って上司や同僚にマルチタスクを提案してみてもよいと思います。

それでも認められない場合は、長時間会議の場合、必ず休憩を提案するようにしましょう。たとえば、10分の途中休憩があれば、簡単な電話やメールの連絡は取引先などに入れられます。

鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)
鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)

あとあとのタイパを考えると、「会議途中の朝11時にメール返信した」というのと「会議が延びたのでメール返信は午後になってしまった」というのとでは、かなりの差になる可能性もあります。

ちなみにマルチタスクといっても、ガチで別の本格的なタスクをするのではなく、メールの返信やパソコンで書類作成などの短時間で行えるライトタスクです。

しかし、会議が長時間に及ぶようならば、こうしたちょっとしたマルチタスクを入れることで前後の滞りは格段に解消されるようになるのです。

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鈴木 邦成(すずき・くにのり)
物流エコノミスト、日本大学教授
一般社団法人日本ロジスティクスシステム学会理事、電気通信大学非常勤講師(経済学)。専門は物流およびロジスティクス工学。物流改善などの著書、論文多数。普段から学生やビジネスパーソンから専門分野に関する相談を受ける一方で、就職、転職、資格試験の勉強方法、職場での時間管理や人づきあいなど、幅広い悩みについても意見を求められるという。そうしたやりとりのなかで、物流・ロジスティクス工学の知見を、「仕事や人生の滞りをなくす」という視点から悩みに当てはめることで、思いがけない解決策を導けることに気づく。主な著書に『トコトンやさしい物流の本』『入門 物流(倉庫)作業の標準化』『トコトンやさしいSCMの本』(いずれも日刊工業新聞社)、『シン・物流革命』(中村康久氏との共著、幻冬舎)、『物流DXネットワーク』(中村康久氏との共著、NTT出版)などがある。

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(物流エコノミスト、日本大学教授 鈴木 邦成)

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