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バナナは青色と黄色どちらがいいか…自律神経の専門家が勧める腸が「ととのう」スーパー食物繊維とは

プレジデントオンライン / 2024年7月9日 8時15分

出典=『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する! 自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』(Gakken)

腸にいい食材はどのようなものなのか。順天堂大学医学部の小林弘幸さんは「精製した白いものより食物繊維が豊富な黒いものは、腸内環境を整えてくれるので、便秘も解消できる。さらに、血糖値や血中コレステロールの上昇を抑えてくれるため、生活習慣病の予防にもなる」という――。

※本稿は、小林弘幸『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する! 自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』の一部を再編集したものです。

■「白いものより黒いもの」を心がける

Q:腸にいい主食にはどんなものがありますか?

→お答えしましょう!
精製した「白い食品」よりも、食物繊維やミネラルの多い「黒い食品」を意識して摂り、腸内環境を整えましょう。

主食は1日の食事の中でも大きなウェイトを占めるもの。毎日の主食を選ぶうえでぜひ知っておいていただきたいポイントはずばり、「白いものより黒いもの」。腸内環境を整え、自律神経にもよい効果をもたらす食品には黒いものが多いのです。

その代表的なものとしてまず挙げられるのが玄米です。玄米は白米の6倍もの食物繊維を含んでおり、1食1杯、1日3回食べれば、1日に必要な食物繊維の半分を摂取できます。

肉や魚には食物繊維が少ないので、食の欧米化で食物繊維が不足しがちな現代人にとっても、玄米はうってつけです。

■黒いものは生活習慣病の予防になる

同様に、小麦粉を使った白いパンやパスタよりも、全粒粉やライ麦を使った茶色いもののほうが食物繊維を豊富に摂ることができます。また、麺類であればうどんよりそばを。さらに、主食ではありませんが、砂糖や酢なども白いものより黒いもののほうがおすすめです。

精製した白いものより食物繊維が豊富な黒いものは、腸内環境を整えてくれるので、便秘も解消できます。さらに、血糖値や血中コレステロールの上昇を抑えてくれるため、生活習慣病の予防にもなります。

ポイント
素材本来の栄養素を多く残した黒い食品は食物繊維が多く、腸の調子を整えてくれる。

■理想的な排便のタイミング

Q:毎朝、規則的な排便がないのですが……

→お答えしましょう!
腸が動き出す朝食後が排便のタイミング。毎朝便座に座る習慣をつけましょう。

ただし無理にいきむのは禁物です。

排便は起床後、または朝食後のタイミングが理想的です。夜眠っている間は、副交感神経が活発化することによって、腸ももっとも活発に消化・吸収をおこなっているからです。

食べたものの栄養分は、まず小腸が消化・吸収し、その残りかすが大腸に送られ、便になります。固形になった便はS状結腸にたまり、朝になると、排便の準備が整っているというわけです。その後、空の胃袋に朝食が入ることによって、腸が動き出すので、朝食後に便意をもよおすのは自然な流れなのです。

【図表2】朝食後のリラックスした状態で排便を
出典=『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する! 自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』(Gakken)

■出なくても朝食後はトイレへ

人によっては排便のリズムをつかめず、朝食後に便意が起きにくいケースもあります。そんなときは、朝食後の決まった時間にトイレに行くことを習慣づけてください。便意を感じなくても便座に座ることが習慣になれば、自ずと便意をもよおすようになります。図表2のように、下腹部を「の」の字にマッサージするのもおすすめです。

トイレに行ってもなかなか便が出ないからといって、無理にいきんだり、長時間トイレにこもったりする必要はありません。あまりいきむと交感神経の働きが高まり、体が緊張状態になって出るものも出なくなってしまいます。

※大腸の主要部分である結腸の末端部分

朝食後のリラックスした状態で排便を
朝食後は腸が動き出し、便意をもよおしやすくなる。出かける間際の慌ただしい中では緊張状態になって交感神経の働きが高まるため、便意が起きないことも。腸の健康のためにも朝は時間に余裕を持って起きるようにしたい。
便座に座ったら、下腹部を大腸の形に沿って「の」の字にゆっくりとマッサージするのも効果的。

ポイント
朝に便意が起きないからといって無理にいきむのはNG。まずは時間帯にこだわらず、毎日の便通を習慣にしよう。

■腸を整えるコツ

Q:ほかに腸を整えるコツはありますか?

→お答えしましょう!
大腸の四隅をもむマッサージで便秘を解消しスムーズな排便に。
毎日の習慣にしてみましょう。

快便が健康にとって欠かせない要素であることは、みなさんにもおわかりいただけたと思います。毎日の快便のためには食事や運動、生活習慣などに気をつけることはもちろんですが、それにプラスして、お腹の上から腸をマッサージする方法も有効です。

大腸は、下腹部に四角を描くような形で位置しています。その四隅に便がたまりやすく、便秘を招きやすい構造になっています。

この四隅を意識し、まずは左手で左の肋骨の下あたり、右手で右の腸骨のあたりをギュッとつかみます。そして3分程度ゆっくりともみほぐしてみましょう。

3分経ったら、次は手の位置の上下を入れ替えて同じように3分間もみほぐします。このときに大腸の四角い形状を意識しながらマッサージするといいでしょう。

こうしてもんでいくと大腸のぜん動運動を促すことができ、便秘を防いでスムーズな排便につなげることができます。

【図表3】便秘の解消に効果的な「腸もみマッサージ」
出典=『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する! 自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』(Gakken)

■腸もみマッサージで元気な腸へ

詳しいやり方は図表3で紹介しています。排便の習慣を整え、腸をいまよりも元気な状態に保ちたい人は、ぜひ毎日取り組んでみてください。

便秘の解消に効果的な「腸もみマッサージ」
3分ゆっくりともみほぐし、次は手の位置の上下を入れ替えて同様に3分おこなう。
大腸の四隅に便がたまりやすいため、ここを意識して重点的にマッサージを。

ポイント
大腸を「ダイレクトに」つかむイメージで、しっかりともみほぐしてみよう。

■サウナで「ととのう」

Q:サウナが腸にいいって本当ですか?

→お答えしましょう!
サウナで腸が温まると血流が促進され、「幸せホルモン」の分泌も増加します。
イライラや便秘の解消にも効果的です。

最近はサウナに親しむ人が増えてきました。かくいう私もほぼ毎日通うほど、サウナは日々のルーティンになっています。

サウナは高温の中で体を温め、水風呂や外気浴によって体を冷やす、という急激な温度変化の中で血管の収縮と拡張が起こります。その結果、自律神経を適度に刺激して血流を促し、さまざまな不調が改善される、これが「ととのう」という現象の正体です。

【図表4】小林先生のサウナルーティン
出典=『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する! 自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』(Gakken)

■じつはサウナは腸にもおすすめ

このサウナ、じつは腸にもおすすめなのです。腸を温めると働きが活性化しますが、外側から腸を温めるうえでもサウナは最適です。

小林弘幸『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する! 自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』(Gakken)
小林弘幸『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する! 自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』(Gakken)

オキシトシンという、いわゆる“幸せホルモン”を脳の視床下部から分泌するための指令を出すのが腸なのですが、腸が温まって元気になるとオキシトシンが多く分泌され、イライラの解消に。サウナでととのうと幸福感に満ちるのも、このオキシトシンが深く関係していると考えられます。

また、腸内環境がよくなることで、便秘や下痢を解消する効果も期待できます。

図表4では私のサウナルーティンをご紹介していますので、よろしければ参考にしてみてください。

※高血圧など生活習慣病の持病がある方は、サウナを利用する前に必ず医師にご相談ください。

小林先生のサウナルーティン
これはあくまでも私のルーティンであり、快適に感じられる時間や温度には個人差があります。くれぐれも無理をせず、自分に合ったペースで取り組んでみてください。

ここに注意!
サウナは「我慢」して入り続けるのではなく、「気持ちいい」と感じられるレベルで続けることが大切。

■バナナは青と黄色どちらがよいか

みなさんは、まだ熟していない青いバナナと熟した黄色のバナナ、どちらがお好きですか? 熟したバナナは甘くておいしいですが、じつは腸にとっては青いバナナのほうがおすすめなのです。

青いバナナには、スーパー食物繊維である「レジスタントスターチ(難消化性デンプン)」が豊富に含まれています。レジスタントスターチは腸の末端にいるビフィズス菌などに栄養を運んでくれる存在。腸内環境を整えたり代謝を上げたりするための大きな役割を果たしてくれるのです。

腸にとっては、まだ先端の青いバナナのほうがおすすめ。ただし、バナナは南国系の食べ物で、体を冷やす作用も。食べて冷えを感じるようであれば、量を減らしたり、フライパンでソテーして温めて食べたりするのもおすすめ。

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小林 弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授
1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”としても有名。近著に『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)、『名医が実践! 心と体の免疫力を高める最強習慣』『腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割』(ともにプレジデント社)『眠れなくなるほど面白い 図解 自律神経の話』(日本文芸社)。新型コロナウイルス感染症への適切な対応をサポートするために、感染・重症化リスクを判定する検査をエムスリー社と開発。

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(順天堂大学医学部教授 小林 弘幸)

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