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「親が勉強を教える必要はない」中学受験に挑戦する親子にとって決定的に重要な「2つのポイント」

プレジデントオンライン / 2024年7月17日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/koumaru

中学受験における親の役割は何か。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康さんは「親御さんが勉強を教えてあげる必要はない。それ以上に大事なのは、『正しい勉強のやり方』を身に付けさせることと、『適切なかかわり』をすることの2点だ」という――。

※本稿は、西村則康『「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)の一部を再編集したものです。

■中学受験に親のサポートは不可欠

昨今、首都圏では中学受験者数が増えています。中学受験を考えるきっかけはいろいろだと思います。例えば「どうしても親と同じ医者になってもらいたいから、医学部進学に強い学校に入れたい」というものから、「近所の公立中学では物足りなさそう」「コロナ禍で学びが止まってしまった公立よりも、ICT(情報通信技術)の環境が充実している私立に行かせたい」「大学付属の中高一貫校でのびのびと過ごしてほしい」などさまざまです。

ここ数年でいえば、「揺れ動く大学入試を回避するために大学進学が保証されている付属校か、高大連携が充実している学校に入れたい」「新しい大学入試に対して情報が豊富で手厚い対策もしてくれる学校に通わせたい」など、大学入試改革を意識した受験が多く見られます。中堅校の受験者数が増加しているのも、そういった理由からなのでしょう。

しかし、どのような動機であっても、また志望校の偏差値に差があっても、中学受験には親のサポートが必要です。

■30年前の開成中レベルの問題が偏差値40~50の学校で出る

まず、小学生の子どもに進路や勉強法、学習のスケジュールのすべてを「自主性に任せる」ことは不可能です。そこが高校受験や大学受験とは大きく違う点です。

また、中学受験の勉強に塾通いは不可欠ですが、塾に入れさえすれば成績が上がるなんてマジックは起こりません。塾は各教科の各単元の概念や解き方は教えてくれますが、それを自分のものにしていくには、家庭学習が欠かせません。家で学習フォローをしていくのは、多くが親です。

そういうと、「親である私が勉強を教えてあげなければ!」と思ってしまいがちですが、必ずしも親御さんが勉強を教えてあげる必要はありません。安心しましたか(笑)? いいえ、おそらく教えられないと思います。そのくらい今の中学受験の勉強はとても難しいものになっています。冒頭で「易しくなってきている」とお伝えしましたが、それは「以前よりは易しくなっている」というだけです。この本を手に取ってくださった方の中には、中学受験を経験されている親御さんもいらっしゃるかと思いますが、例えば30年前の中学受験で、首都圏の最難関校の一つである開成中で出題された算数と同じような問題が、今は標準レベルの問題として偏差値40~50の学校で出題されています。

また、近年の入試は「思考力」や「表現力」といった、親たちが子ども時代に学んでこなかった学力が求められています。このように、同じ中学受験でも親世代と令和時代とでは大きく異なっているのです。

■大事なのは「どこまで子どもの気持ちに寄り添えるか」

ただ、勉強の中身については、それを専門に指導してくれる塾のカリキュラムに沿って進めていけば大丈夫です。それ以上に大事なのは、「正しい勉強のやり方」を身に付けさせることと、「親の適切なかかわり」をすること、この2点に尽きます。この2つはどちらも親御さんの言葉がけや問いかけがカギを握ります。特に子どもを気持ちよく勉強に向かわせるにはコツがあります。それを知っておくと、中学受験の勉強がうまく回っていくだけでなく、親子の関係がとても豊かで尊いものになっていきます。詳しくは本書の後の章でも触れていきますが、ポイントは「どこまで子どもの気持ちに寄り添えるか」です。

私たち大人は、つい自分の感覚や価値観で物事を捉えてしまいがちです。例えば「宿題はやるのが当たり前」「受験で合格を手に入れるためには、一生懸命に勉強するのが当たり前」といったように。でも、相手はまだ遊びたい盛りの小学生であることを忘れてはいけません。

■自分の子どもの頃を思い出してみてほしい

振り返ってみてください。みなさんが小学生だった頃、毎日ちゃんと勉強をしていましたか? 「私は毎日していましたよ」と当然のような顔でおっしゃる親御さんがいますが、本当に一人でできましたか? その隣にはお父さんやお母さんが優しく見守ってくれていませんでしたか?

また、子どもの頃、どんなことを親に言われるとうれしかったですか? どんなことを言われると嫌な気分になりましたか? そうやって、自分の子どもの頃を思い出してみていただきたいのです。すると、どんな接し方をすれば子どもが気持ちよく勉強に向かえるかが少しずつ理解できるようになってきます。

廊下を走る子供の後ろにいる女性の教師
写真=iStock.com/paylessimages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/paylessimages

結局のところ、中学受験の成功は、お子さんが「勉強は楽しい!」と思えるかどうかにかかってくるのです。大人でもそうですが、楽しいと思うことは、どんどんハマっていくし、うまくいかないことがあっても、楽しいことなら「もうちょっと頑張ればなんとかなるかもしれない」と踏ん張りがききます。中学受験の勉強もそれと一緒。

「知らないことが分かるって楽しいな」「できなかった問題が解けるようになるって気持ちがいいな」と思うことができれば、子どもはどんどん勉強が好きになっていきます。そうすれば、自分から勉強するようになるのです。

■「自走」までの道のりは長い

ただ、今の中学受験の内容は子どもの力だけで進めていくのは難しいので、親御さんたちが期待するような「自走」までには至りません。なかには何でも自分でできてしまう子もいますが、それはごくまれなケースで、ほとんどの子どもには当てはまらないくらいの気持ちでいた方がやきもきせずにすみます。「今はこの先、自走できるようになるための練習をしている時期なんだ」、そう思っておくといいでしょう。忙しい共働き家庭にとって「自走」は魅力的なワードですが、それが完成するのはもうちょっと先のこと。ですが、中学受験の勉強がその良いきっかけになることは間違いありません。

中学生になった途端に、「これからは自分で勉強できるようにならないと」とパッと目を離してしまう親御さんは少なくありませんが、突然自主性を求めてもうまくはいきません。中1の夏休みくらいまでは見守り、もう大丈夫かなと思ったら少しずつ距離を置く。そのくらい「自走」までの道のりは長いのです。

■中学受験の道のりが親子を成長させる

中学受験は小学校生活の半分を費やすほどの「親子のビッグプロジェクト」です。プロジェクトには必ず目標があります。中学受験における目標は志望校に合格することです。しかし、現実は中学受験で第1志望の学校に合格して進学できる子は、受験生全体の約3割に過ぎないといわれています。それだけ厳しい世界なのです。

では、第1志望校に合格できなければ、このプロジェクトは失敗に終わるのかといえば、そんなことはないと私は強く思っています。なぜなら、仕事と子育てはまったく別次元のものだからです。

子育ては大人同士の関係で構築される仕事と違って、「計画通りに進めていけばうまくいく」「この方法でいけば売り上げが伸びる」といった展開にはなりません。「これをやっておけば、必ず成績が上がる」といった因果関係は存在しないのです。

西村則康『「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)
西村則康『「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)

ですが、たまたま良いタイミングで何かの経験をして、それが知的好奇心を刺激し、学びに向かうことがあります。または、親御さんのちょっとした言葉に自信や勇気をもらい、頑張る原動力になることもあります。

でも、どのタイミングでやる気のスイッチが入るかは予測できません。

小学生の子どもは、成長発達の途中にいます。体力的にも、精神的にもまだ未熟なため、頑張れる日もあれば、頑張れない日もあります。そんなでこぼこな日々をくり返しながら、親子で一歩ずつ前へ進んでいく。時にはうまくいかなくて一歩戻ることもあるかもしれません。そこからもう一歩前へ、前へ。その道のりが親子を成長させていきます。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
40年以上難関中学受験指導をしてきたカリスマ家庭教師。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきた。

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(中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康)

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