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「本当にこの式で計算したら答えが出そう?」と聞けばわかる…中学受験のプロが見てきた"伸び悩む子"の共通点

プレジデントオンライン / 2024年7月19日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/WorSangJun

中学受験で伸び悩む子にはどんな共通点があるのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康さんは「中学受験の成功において重要なのが『なごやかな親子関係』だ。なごやかな親子関係という土壌があることで、『自信』と『好奇心』を育むことができる」という――。

※本稿は、西村則康『「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)の一部を再編集したものです。

■「親の顔色を伺う子」は伸び悩む

中学受験のプロ家庭教師として、長年たくさんの家庭を訪問していると、最初の訪問でその子がこれまで家でどんなふうに過ごしてきたかが、おおよそ分かってくるものです。

私は家庭訪問で指導するときには、必ず親御さんに同席をお願いしています。プロの指導を見せることで、今後の家庭学習の参考にしていただきたいからです。それともう一つ、これはご本人にはお伝えしていませんが、親御さんのお子さんへのかかわり方を見るためです。

例えば算数の問題を解いていたとき、その子が立てた計算式について「本当にこの式で計算したら答えが出そう?」とわざと聞いてみることがあります。すると、家でのびのびと過ごしてきた子は「うん、大丈夫! 絶対そう」と自信を持って答えます。それに対し、こちらが尋ねた瞬間に横にいる親御さんの顔をチラッと見て、表情が険しいのを感じると自信がなさそうに下を向いてしまう子もいます。こういう振る舞いを見せる子は、普段から親御さんの顔色をうかがって勉強したり、いい子を演じたりしています。

中学受験で伸び悩むのは、まさにこの手のタイプの子です。親御さんが教育熱心で過干渉なばかりに、小さい頃からあれこれ言われて、自分に自信が持てなくなっているのです。

■チャレンジする心を育む「なごやかな親子関係」

約3年以上に及ぶ受験勉強生活の中で、膨大な数の問題に挑んでいきます。それらの問題を解くときに不可欠なのが、自分ならきっとできるはずと思える「自信」と、知らないことを知るのは楽しいと思える「好奇心」。そして、その心の支えとなるのが、「なごやかな親子関係」です。

子どもにとっての安全で安心できる環境では、お父さんとお母さんがたいてい機嫌良くしています。「なごやかな親子関係」には、なごやかな親子の会話があります。家庭の中がそういう雰囲気であれば、子どもは親の顔色をうかがわずに、思いのまま話すことができます。おかしなことを言っても怒られないし、笑ってくれる人がいる。すると、子どもは人に話をすることが好きになり、自分が「こうだ」と思ったことを伝える力が自然に育まれていきます。これは、新しい学力として伸ばしていきたい「思考力」や「表現力」に通ずる力です。

「どんなことを言っても大丈夫」と安心を手に入れた子どもは、外への興味が広がっていきます。特に小さな子どもは、見るもの聞くものすべてが興味の対象になります。はじめは「面白いな、楽しいな」と思って見たり聞いたりしていたことが、次第に「不思議だな、なぜだろう?」と知的好奇心に変わったとき、「なぜ?」「どうして?」という言葉があふれるように出てきます。

■なごやかな親子関係があると「自信」も「好奇心」も育つ

このときに、「よくそんなことに気がつけたね! さすがだね」と親御さんが子どもの視点を認め、褒めてあげると子どもは誇らしげな気持ちになり、自分に自信をつけます。同時に、「分からないことを不思議に思うことはいいことなんだな」と感じ取り、日常の中のさまざまなことにますます興味関心を持つようになります。そして、「知らなかったことが分かるのは楽しいことなんだ」と学ぶ楽しさを知り、自分から学ぶ子になっていきます。このように「なごやかな親子関係」という土壌があると、「自信」も「好奇心」も育んでいけるのです。中学受験を成功させる秘訣はまさにコレ。親としてやるべきことが多そうに感じる受験サポートですが、実は大切なことは一つです。

とはいえ、忙しい親にとって、余裕がない中でイライラしたりすることも当然あるでしょう。ゆとりを持つことは親御さん自身の心身のためにも大切ですが、そうはいってもいられない、という人も多いはず。気づいたら眉間にしわがよっている、なんてこともあるでしょう。「なごやかな親子関係」と聞いて自信がない方は、多少意識してでも機嫌良く子どもの前で過ごす時間を作ってみてください。子どももきっと落ち着いて、家の中があたたかな空間になる、それを親が感じられたら十分です。

楽しそうに話す親子
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

■「受験に強い子」3つの共通点

これまで受験生を多く見てきた中で、確かに「受験に強い子」がいます。そういう子の共通点として挙げられるのが次の3つです。

①基礎学力がある

②学習習慣が身に付いている

③自分に自信がある

③「自分への自信」は、先ほど触れた「なごやかな親子関係」のもと、育まれていくものですが、これらはある程度成長し、受験勉強を進めていくうちに、自然と身に付いていくものと思われがちです。しかし、実は子どもの力だけで身に付けていくのは難しいものばかり。特に小学生の場合は、親御さんの適切なかかわりが必要になります。

第1回目の記事で、中学受験に挑戦できるかの判断基準として5つを挙げました。理想としては、中学受験の勉強を始める前の低学年のうちに学習習慣を身に付けておきたいところですが、4年生のスタート地点ではまだ不安定な子の方が多いでしょう。でも、中学受験をするのであれば、基礎学力と学習習慣は早い段階で身に付けておかないと、後々まで親子で苦労することになります。何事もはじめが肝心です。

■まずは朝学習で「計算問題3問」「漢字3つ」からでOK

4年生の段階でこの3つがうまくいっていない場合、基礎学力と学習習慣はセットで身に付けていくようにしましょう。家庭学習は朝30分と夕方から夜にかけて1時間など、ある程度、時間を決めておいた方が習慣化しやすくなります。とはいえ、はじめからきちんとできる子なんてほとんどいません。ですから、最初は時間にこだわらず、「毎日勉強ができた」かに注目します。考えてみてください。大人だって朝はできるならゆっくり寝ていたいですよね。時間にすればたった30分ですが、朝に勉強をするのは、習慣化していない子にとってはなかなかつらいものなのです。

西村則康『「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)
西村則康『「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)

だから、はじめは計算問題3問、漢字3つからでもOK。まずは、その時間に起きて勉強するという習慣づけの練習から始めてみてください。30分できなかったとしても、少しでも勉強に向かえたら「朝ちゃんと起きられてえらかったね」「眠いのに頑張ったね」と褒めてあげてください。そうやって、少しでも頑張った姿が見られたら、子どもの頑張りを認め、褒める。これをくり返していくうちに毎日の学習が習慣化していきます。

朝学習は計算や漢字などのドリル学習が向いています。はじめは起きたばかりで頭がうまく働かないかもしれませんが、手を動かすことで次第に頭がクリアになってくるので、目覚めの学習にはちょうどいいのです。このように学習習慣を身に付けていくと同時に、基礎学力も身に付けていくことができます。

■励ましがなければ毎日コツコツ勉強するのは難しい

学習習慣は4年生のゴールデンウイークまでを目標に身に付けていくようにしましょう。もちろん、3年の間には気分が乗っている日もあれば、乗らない日もあり、毎日必ずできるわけではありません。学年が上がれば学習量が増え、勉強の中身も難しくなり、家庭学習もハードになっていきます。それでも毎日コツコツと勉強に向かうには、誰かの励ましがなければ、くじけてしまうでしょう。

ところが、多くの親御さんは「中学受験をするのなら、毎日勉強するのが当たり前」と勝手にハードルを上げ、ちゃんとやったかどうかのチェックをしようとします。そして、できていないと「ちゃんと勉強しなさい! そんなんじゃどこにも合格できないわよ!」と叱ったり、「○○ちゃんはちゃんとやっているのに、あなたは……」と他の子と比べたり、あからさまにため息をついたりと、子どもを非難してしまう……。こうした日々が続くと、「勉強のことになると、お母さんはガミガミうるさく言う」「お父さんが急に厳しくなる」などとマイナスのイメージを持つようになり、勉強嫌いな子になってしまいます。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
40年以上難関中学受験指導をしてきたカリスマ家庭教師。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきた。

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(中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康)

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