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せっかくの新築住宅がゴキブリだらけに…プロ建築士が「絶対にやめるべき」という引っ越し方法

プレジデントオンライン / 2024年7月15日 10時15分

新築住宅でもカビ・害虫対策が必要(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Fevziie Ryman

家にゴキブリを寄せ付けないためにはどうすればいいのか。YouTubeチャンネル「YouTube不動産」を運営する一級建築士の印南和行さんの書籍『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)よりお届けする――。(第3回)

■新築住宅でもカビ・害虫対策が必要

新築住宅は、カビや害虫とは無縁だと思っていませんか?

じつは新築住宅でもカビが生えやすい、害虫が侵入しやすい条件がそろっている場合があります。引っ越して間もないのにカビや害虫を見るのはイヤだと思うのでぜひチェックしてみてください。

一戸建てを建てる際、日当たりのよい位置にリビングを置いて、水まわりを日当たりの悪い北側や西側にまとめるような間取りになるのは自然なことだと思います。

しかし、カビや害虫については、暮らしはじめてから対策を講じてもうまくいかないことが多く、とくにカビは根こそぎなくすことはとても難しいのです。

■カビは「気温25〜30℃、湿度60%以上」で発生しやすい

カビは気温25〜30℃、湿度60%以上になると発生しやすくなり、湿度が80%を超えると繁殖します。

カビをなくすには、かなりの高温で長時間殺菌しなければならないので、実際に家庭内で行なうことは不可能でしょう。

【図表1】北側に水まわりを配置するときには
出所=『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)

図表1の間取りは、北側に水まわりをまとめた住宅のものです。1日中日当たりのない場所なので、冬の朝にはお風呂の窓についた水滴が凍ってしまい、開かなくなってしまうのだとか。

■24時間換気し続けなければならない

このような住宅でカビを防ぐには、入浴後に浴室の水滴を拭きとるしかありませんが、毎晩そうすることは面倒です。

この住宅の北側は湿気のこもる室内だけでなく、外壁の劣化もあり、浮き上がってヒビが入っているところもあるそうです。

外壁については見に行く機会は少ないと思いますが、年に2回ほど、厳しい暑さ、寒さのあとにチェックしてみるといいでしょう。

採光・採風のない場所に水まわりをまとめる場合には、気密性、断熱性の高い住宅にすることが大切です。

なお、2003年以降の住宅に義務づけられている「24時間換気システム」は1年を通して作動させておく必要があります。電気で動かしているため月々数百円の電気代がかかりますが、スイッチを切ってしまうと室内の空気が循環しなくなるので湿気がこもり、カビが生える原因になってしまいます。

換気扇
写真=iStock.com/Thai Liang Lim
24時間換気し続けなければならない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Thai Liang Lim

■新築住宅でもゴキブリに遭遇する

建築中から引き渡しまでの工程でゴキブリが侵入する可能性があります。建築中は入り込むすき間があちこちにあるため、さまざまな害虫が侵入します。職人さんたちがいなくなって暗くなると虫が入ってくるのです。

ゴキブリは「敵」がいないところに侵入して行動する習性があります。まだ誰も住んでいない家は、ゴキブリにとって安心安全な場所なのです。

施工中エアコンなどを取りつけるために開けた穴から侵入することもあります。

ゴキブリは3mmくらいのすき間でもスルスルっと入ってきます。

水をあまり使用していない配水管も要注意です。ゴキブリは食べ物がなくても、湿気のあるところを好むので、配水管にも潜んでいます。知らぬ間に家の中まで入り込んでしまいます。そのため、新築住宅でもゴキブリに遭遇することがあるのです。

■ゴキブリがダンボールにくっついて一緒に引っ越し

引っ越し後、ダンボールのまま収納する人もいますが、ゴキブリがダンボールにくっついて一緒に引っ越ししていることもあります。早めに荷物を全部出して、ダンボールは捨てるのがおすすめです。

ゴキブリはダンボールに卵を産みつけていることがあります。卵は思いのほか大きいので、ダンボールをきちんと確認すれば見つけられます(卵がどんなものかは、インターネットで調べてみてください)。

また、エアコン室外機の排水ホースもゴキブリの侵入経路のひとつです。排水ホースは無防備に家の外に垂らされていることがほとんどなので、そこから家の中に入ってきます。ホームセンターで専用のキャップを購入してふさいでおきましょう。

このように、ゴキブリをはじめとする害虫たちは、どんなに対策を講じてもさまざまなところから侵入してしまいます。風通しをよくして湿気をなくすことは、カビだけでなく害虫の発生も防いでくれるので、日々の換気はしっかりと行ないましょう。

段ボール箱
写真=iStock.com/west
暮らしはじめてから対策を講じてもうまくいかない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/west

■「対面キッチン」には気を付けたほうがいい

ドラマや映画で見るキッチンはとてもおしゃれなことが多く、とくにアイランドキッチンには見とれてしまいます。

「家を建てるときはこんなキッチンにしたい!」と思う人も多いのではないでしょうか?

ただ、そのようなあこがれだけでキッチンを選んでしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあるのです。

図面で見ていたときには、広々とした使い勝手のよいLDKになると思っていたのに、完成してみたら「キッチンがこんなにせまいと思わなかった!」と後悔するご家庭もあります。

「対面キッチン」にこだわりつつ、リビングスペースをできる限り広くとろうとすると、キッチンの通路は最低限でいいだろうと考えてしまいます。

とくに16帖程度のLDKでは気をつけてください。

■通路が狭くなってしまう

図表2は、ご夫婦とお子さん2人の4人家族のご家庭で後悔することになった間取りの例です。寸法を入れるとよくわかります。

【図表2】対面キッチンのあるLDKの間取り
出所=『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)

調理のための通路は、1人で立つことを想定すると、80〜90cmでいいとされています。図表2のように対面キッチンを設置すると、背面に食器棚やカップボードを設置できないので、食器の出し入れをするたびにダイニングへ行くことになりますね。その途中に65cm×65cmの冷蔵庫があると、通路がとてもせまくなってしまうのです。

設計士さんは、「壁づけ型のほうがよいのでは?」とアドバイスしてくれたようですが、対面キッチンだけは譲れなかったとのこと。

対面キッチンには子どもたちの様子を見たり、家族と会話したりしながら調理ができるという利点があります。

朝は家族みんながキッチンとダイニングを行き交い慌ただしいこともあるでしょう。そのようなときに、冷蔵庫まわりがせまくて人がすれ違えないことが大変不便だと感じるかもしれません。

■「壁づけ型」のほうがスペースにゆとりがある

壁づけ型であれば冷蔵庫とキッチンが一直線に並び、のちに大きな冷蔵庫に買い替えたくなったとしてもスペースにゆとりがあります。

どうしても対面キッチンにしたいのなら、L型にするという選択肢を加えてみるとよいでしょう。

先のご家庭の場合も、図表3のようにコンロは壁づけにしてシンクがリビングに向かうような配置にすれば、冷蔵庫まわりがせまくならずに済んだはずです。

【図表3】対面キッチン(L型)のあるLDKの間取り
出所=『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)

マイホームは長く暮らすところなので、家族のライフスタイルの変化に対応できる間取りにすることが大切です。先々のことまでシミュレーションしてみてください。

■「16帖のLDKでアイランドキッチン」は無謀

対面キッチンと並んで人気のある「アイランドキッチン」は、周囲をぐるっとまわりながら調理ができる形状で、両サイドに通路があります。複数人で使うことを想定して、最低でも両サイドには80cmの通路を設けたいところ。

また、背面で人がすれ違うことを考えると、そこにも80〜90cmの幅がほしいです(図表4参照)。

【図表4】アイランドキッチンのあるLDKの間取り
出所=『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)

アイランドキッチンを導入する場合は、キッチンとダイニングで12〜14帖ほどのスペースが必要になるので、LDK全体では最低でも21帖、実際は24帖あるとゆとりがもてます。

16帖のLDKに導入するのはかなり難しいでしょう。

■「おしゃれなLDK」は実用的ではない

それでもアイランドキッチンにしたい場合、ダイニングとリビングをひとつの空間として使用する方法があります。

一般的にはダイニングテーブルで食事をして、リビングのソファーでテレビを見るという考え方ですが、それらがひとつになったリビング・ダイニングテーブルセットを設置して兼用するのです。

キッチンが6帖、リビング・ダイニングで10〜12帖なら、開放感はイマイチですができないことではありません。

ただし、せまいLDKにアイランドキッチンを導入すると、調理音や水音、ニオイなどがすぐそこのリビングに伝わって、くつろげなくなってしまいます。

とくにお客様がいるときにキッチンを使用すると会話の妨げになることもあり、不便になるのを覚悟してください。

また、アイランドキッチンは「見せるキッチン」であり、コンロやシンクもインテリアのひとつとして考えなければなりません。

調理中に食材や調味料が散乱していたり、使用後の食器をそのままにしておいたりすると、リビングが汚れた印象になってしまいます。

水や油の飛び散りなどもすぐに拭き取らないと、周囲の床に汚れが目立ち、劣化も進みます。

印南和行『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)
印南和行『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)

日ごろから整理整頓ができ、清潔さを保つことができればよいかもしれませんが、毎日の家事をなるべく短時間で済ませたいと思うなら、アイランドキッチンはあきらめたほうがよいでしょう。

住宅を建てる際には、ドラマや映画で見るようなおしゃれなLDKを目指す人は多いと思いますが、実用的ではありません。

キッチンは家族のぶんだけモノがあってゴミが出る場所なのです。

何十年も暮らすマイホームでは、動きやすく掃除がしやすい、収納がしっかりできるキッチンづくりをおすすめします。

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印南 和行(いんなみ・かずゆき)
一級建築士
株式会社南勝代表、一級建築士、住宅専門チャンネル「YouTube不動産」運営者、全国不動産売却安心取引協会理事長、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。1972年、東京都生まれ。建築の専門学校を卒業後、建設会社で現場監督経験を積み、2011年に株式会社南勝を設立。これまでに1000件以上の住宅のインスペクション(建物診断)を行うほか、不動産会社向けのコンサルティングを手がける。「後悔のない家づくりをしてほしい」という思いから、2020年9月に立ち上げた住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評で、チャンネル登録者数10万人を超える(2024年7月1日現在)。著書に『プロが教える 資産価値を上げる住まいのメンテナンス』(週刊住宅新聞社)がある。

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(一級建築士 印南 和行)

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