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年収で仕事を選んではいけない…4000人の転職支援でわかった「転職を後悔する人」と「天職に出会える人」の差

プレジデントオンライン / 2024年7月12日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

自分にあった仕事とは何か。『今すぐ会社を辞めたい人の天職診断』(KADOKAWA)を書いた天職コンサルタントの安廣重伸さんは「天職を見つけるには3つの条件を満たす必要がある。例えば、仕事に没入して1日があっという間に過ぎるようであれば、すでに天職と出会っている可能性がある」という――。

※本稿は、安廣重伸『今すぐ会社を辞めたい人の天職診断』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「天職」と言える3つの条件

「そもそも、天職って一体どんなもの?」

こんなふうに疑問を持った方もいるかもしれません。一般的には「天の神様から授けられた仕事」などと言われていますが、やや漠然としています。

本書(『今すぐ会社を辞めたい人の天職診断』)のテーマは「天職の見つけ方」ですから、最初に「天職とは何か?」について、明らかにしておきたいと思います。ここでは、私が数多くのクライアントさんと接する中でたどり着いた「天職の定義」をご紹介します。私が考える天職は、以下に挙げる3つの条件を満たした仕事です。1つずつ、解説しましょう。

【天職の定義】
条件① 最低限の収入(=物理的な豊かさ)が得られる仕事
条件② 没入感(=マインドフルネス)と充足感(=精神的な豊かさ)が得られる仕事
条件③ 他者貢献の充実感(=自分の存在意義)が感じられる仕事

■「生きていくために必要な報酬」を得られることが「最低条件」

言うまでもないことですが、天職は「仕事」ですから「生きていくために必要な報酬」を得られることが「最低条件」です。どんなに自分が得意で好きなことでも、それで生計を立てられなければ、天職からは除外されてしまいます。

一例として「特技=歌うこと(カラオケ)」の男性を取り上げて説明しましょう。彼は、一定レベル以上の歌唱力があり、周りの友人からも「うまいね」などと、褒められていたとします。そこで彼は「カラオケで褒められているから、歌手としてメジャーデビューしたい」と考えるかもしれません。

もしも、プロの歌手になろうとするならば、ボイストレーニングなどの地道な努力に加えて、人の心に響く表現力や、ステージに響き渡る声量、幅広い声域などが必要になるでしょう。もっと言えば、人々の感情を揺さぶる声質や、人を引き付ける人間性も必要だったりします。

このように、プロの歌手になろうと思った場合は、地道な努力と天性の才能が必要です。裏を返せば、これらの要素が満たされていれば、プロの歌手として活躍できるはずです。

その際、生活費を稼げるくらいの人気があるならば、その仕事は「天職」と考えていいでしょう。たとえば、この男性の生活費が「月20万円」で、歌手の活動で月収20万円ほど稼げるようになれば、その仕事は天職です。

■本当に好きな仕事なら、すぐに稼げなくても続けてみるのも手

ここで補足として1点、知っておいてほしいことがあります。それは「本当に好きな仕事なら、すぐに稼げなくても続けてみるのも手」ということです。

つまり、好きな仕事なら、満足に生活費が稼げないからといってあきらめず、自分の可能性を信じて、鍛錬を続けるのも“1つの道”ということです。職種によっては「下積み時代」というものが存在します。たとえ天職だとしても、すぐに結果が出るとは限りません。

先ほどの例で言えば、歌手は長い下積み時代を経るケースが多いと言えます。一例として、歌手のLiSAさんが挙げられます。

LiSAさんと言えば、アニメ『鬼滅の刃』の主題歌「紅蓮華」や「炎」などの大ヒットによって、その名が広く知れ渡るようになった日本を代表する歌手です。彼女は2008年の冬に、21歳で岐阜県から上京しましたが、なかなかヒットに恵まれなかったそうです。

6畳ほどのワンルームには、家具家電が一切なく布団だけ。唯一のごちそうは、100円ショップで売られている瓶詰のなめ茸だったとか。そんな生活を送っていたLiSAさんが、約10年後、日本を代表する歌手の1人になるなんて、本人すら想像しなかったのではないでしょうか。

しかし、LiSAさんが自身の才能の開花をひたむきに信じ、才能をみがき上げ、地道にボイストレーニングを行い、あきらめずに努力してきたからこそ、歌手として大成功を収めることができました。

■時間を忘れるほど没頭できるか

このように、本当に自分が好きな仕事ならば、時間がかかっても投げ出さず続けることで、道が開かれることも少なくありません。むしろ、99%の人が途中であきらめる中で、投げ出さないことこそが才能と言えるのです。

歌手のように、天職と言える域まで達するのに時間がかかる仕事は、世の中にたくさんあります。だからこそ、あなたが本当に好きな仕事ならば、すぐに稼げないからといってあきらめず、副業や趣味で続けながら、天職として花開くときを待ってみるのも1つの手だと、私は考えています。

「生活のための報酬が得られる」だけでは、天職としては不十分です。天職は、自分の人生を実り多き豊かな人生に導くために存在しているからです。この点は、天職の定義として、特に強調したいポイントです。

楽しくて時間が経つのを忘れるくらい「没頭」でき、幸せな気持ちで満たされるような仕事を探してみてください。つまり、「没入感(=マインドフルネス)」や「充足感(=精神的な豊かさ)」が得られる仕事であることが、天職の「2つ目の条件」です。

ビル街で喜ぶビジネスマン
写真=iStock.com/Drazen_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Drazen_

ちなみに、ここでいう没入感=マインドフルネスとは「今、この一瞬、一瞬に集中している状態」のことを指します。スポーツの場面では「ゾーン」や「フロー状態」と表現されます。天職かどうか判断する際、必ず確認してほしいのが「マインドフルネスになれる仕事かどうか」です。

マインドフルネスというと「禅とかで言われる『無の境地』でしょ? それって難しくない?」などと言われることがあります。しかし、マインドフルネスは、無心になることではありません。何か1つのことだけに没頭したり、集中したりする状態を作ることです。

■天職だと1日があっという間に過ぎる

たとえば、子どもが遊びに夢中になっているのもマインドフルネスですし、スポーツや作業などに集中していたら、それもマインドフルネスです。ですから、無心になるよりも、実はずっと簡単なことなのです。

マインドフルネス状態になっているとき、私たちの頭の中には、自分をかき乱す悩みや雑念が一切なくなります。歩くなら歩く、筋トレするなら筋トレをする、歯をみがくなら歯をみがくといった具合に、目の前のことに“全集中”の状態になっています。この状態になると、人はとても心が安定し、満たされるのです。

自分が必要なときにいつでも「マインドフルネス状態」になれる人は、ストレス耐性が高いということがわかっています。また、感情のコントロール力が高まり、自己肯定感が見違えるように高まることも報告されています。

グーグル、アップル、ヤフー、メルカリ、メタ(旧フェイスブック)、インテルなど、誰もが知る大手企業でも社員のパフォーマンスを高めるために取り入れられています。結果、企業の業績も高まっているのです。それくらい、マインドフルネスの効果は絶大です。

「天職=マインドフルネス状態になりやすい仕事」です。天職を見つけた人の1日はあっという間なので、遅くまで仕事をしてもエネルギーで満ちあふれています。もちろん、あまりに仕事に没頭し過ぎて、休息を忘れて体調を崩す人もいますから(私もたまにそうなります)、適度な休息が必須なのは言うまでもありません。

■「没入感」と「充足感」は不可欠な要素

さて、マインドフルネスについて簡単に説明してきましたが、一例として「ウエディングプランナー」という職業が天職だった場合について考えてみましょう。

ウエディングプランナーは、新郎新婦の要望を聞いて、満足度の高い結婚式をプロデュースする仕事です。ウエディングプランナーであれば、たとえば次のような場面で、没入感や充足感を得られることが多いのではないでしょうか。

・「没入感」を感じるとき
新郎新婦をはじめ、結婚式に参加するゲストも感動するような演出のアイデアを考えているとき

・「充足感」を感じるとき
新郎新婦、ご家族、ゲストが心から感動し、「一生の思い出」になるような結婚式をプロデュースできたとき

これらはあくまで一例ですが、天職には必ず「没入感」や「充足感」が感じられる場面があります。もしも、充実感や、やりがいを感じる場面がほとんどなく、「つまらない」「早く定時になってほしい」などと感じることが多いのであれば、それは天職ではありません。

■「幸せホルモン」の出る仕事を選んだほうがいい

私は、仕事を通じて、精神的に充実感や幸福感を感じられる人のことを「セロトニン・ワーカー」と呼んでいます。

セロトニンは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質です。セロトニンが分泌されると、精神的に安定したり、心身がリラックスしたりします。セロトニンによってストレスが軽減し、睡眠の質が向上することも知られています。

どんな仕事も山あり谷ありですから「セロトニンを放出しっぱなし」というわけにはいかないでしょう。しかし、天職を探すならば、ひと時でも、セロトニンが放出される仕事を選ぶべきです。仕事探しをする際には、その点をしっかりと見極めてみてください。

よく、生活するための仕事のことを「ライスワーク(=ごはんを食べるための仕事)」などと言いますが、ライスワークでは人生の幸福度はなかなか上がりません。

時間が経つのを忘れるくらい充実した瞬間がある「ライフワーク(=自分の人生(life)の中で、追求し続けたい仕事)」を探してください。それが、あなたの人生を好転させる有力な手段です。

笑顔のビジネスマンたち
写真=iStock.com/franckreporter
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/franckreporter

■「給料が高いだけの求人」には要注意

天職かどうかを判断するときには、「誰かの役に立っている充実感(=自分の存在意義)」が感じられるか否かもチェックしてみてください。なぜならば、他者貢献につながらない仕事は、潜在意識レベルで、あなたの心が「拒否反応」を示し、精神をすり減らしていくことが多いからです。

事例を1つ挙げますので、一緒に考えてみましょう。たとえば、次のような求人があったとします。

【職種】 営業職
【仕事内容】 不動産投資用のマンションを販売する
【給与】 月給40万円+インセンティブ
【ボーナス】 通常4カ月(業績に応じて変動あり)
【社会保険】 完備
【年間休日】 120日
【福利厚生】 会社が所有するリゾートホテルの宿泊券(5日分)を提供

営業職に強い興味がある人や、バリバリと稼ぎたい人ならば「なかなか好条件の求人だな」と感じるかもしれません。しかし、この不動産仲介会社に、次ページのような側面があったら、あなたはどう感じるでしょうか。

・「高利回りだから必ず儲かる」「絶対に利益が出る」といった営業トークで、強引に物件購入をすすめる
・劣悪な立地条件や築年数の古さから「満室経営」が難しいマンションを、相場の1.5倍で売りつける
・顧客から寄せられたトラブルやクレームの対応は行わない

「顧客の利益」は無視。ひたすら「会社の利益」を追求する!

■「会社のやり方に同意できない」ならすぐに逃げたほうがいい

ここまでひどい会社があるかはわかりませんが、「倫理的にまずい会社だな……」と感じるのではないでしょうか。私だったら絶対に応募しません。たとえ、生活に困窮していて、今の3倍の報酬がもらえるとしても、多くの人はこのような会社を選ばないはずです。

ただし、ここで重要なのは「倫理的な問題」だけではありません。実は、他者貢献につながらない仕事は「脳」という物理的な場所にも問題が起こります。

私たち人間は「潜在意識」や「集合意識」という、普段は自覚できない意識の中で「人の役に立ちたい」「喜ばれたい」「人から感謝されたい」という願望を持っていると言われています。

安廣重伸『今すぐ会社を辞めたい人の天職診断』(KADOKAWA)
安廣重伸『今すぐ会社を辞めたい人の天職診断』(KADOKAWA)

それにもかかわらず「他者貢献につながらない仕事」をしてしまうと、本人に自覚はなくとも、脳内ではアドレナリンやコルチゾールといった「ストレスホルモン」の分泌量が増大します。その結果、うつ病などの精神疾患や、生活習慣病を引き起こす可能性が上がると考えられます。

少しでも「この会社のやり方には同意できない」と感じるのならば、すみやかに逃げてください。そしてぜひ、「誰かの役に立っている」という他者貢献の実感が得られる仕事を選んでください。

それこそ、あなたが仕事を通じて充実感ややりがいを感じるうえで欠かせないことであり、天職を見つけるためのカギです。

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安廣 重伸(やすひろ・しげのぶ)
天職コンサルタント
1987年、東京生まれ。学生時代、自身のケガをきっかけに医学を学び始め、理学療法士となる。29歳で整体院を開業。翌年には年収1000万円を達成し、後進育成のために経営コンサルティングを開始。4000人を支援してきた経験から、「本人の才能に合った働き方こそ、健康な心身と幸せな人生をもたらす」と確信し、「天職診断システム」を開発。現在は天職コンサルタントとして「オンラインサロンCOMPASS」を運営。全国のビジネスパーソンや自営業者、主婦などに向けて、本人の才能に合った転職・副業・起業をサポートしている。

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(天職コンサルタント 安廣 重伸)

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