手元の1000万円は30年後に500万円以下の価値に…新NISA食わず嫌いが知るべき"ほったらかし"の天国と地獄
プレジデントオンライン / 2024年7月9日 10時15分
■手元の1000万円は30年後に500万円以下の価値になるおそれも
新NISAが始まって半年が経過しました。数年前まで遡ると、米国株ブーム、S&P500およびオルカン人気、そして日本株の好調などで投資を始めた人が多くおられることでしょう。
一方で、国や新聞・雑誌・ネットなどメディア、銀行・郵便局・証券会社・保険会社など金融機関から、お金や投資(運用)の話があふれるようにアウトプットされて、うんざりしている人も一定数いらっしゃるように感じています。
仕事や家事・育児に忙しいなか、「投資」「お金」「老後資産」と言われ続けると反発したくなる気持ちも頷けます。むしろ、それが普通の反応なのかもしれません。
でも、一時の「思い込み」で得られるはずのメリットを逃してしまうとしたら、それは残念なことです。ビギナーや投資を一歩前に進められない人は例えば、こんな思い込みを抱きがちです。
投資は怪しい、投資は最終的には必ず損をする、投資を学ぶ時間がない、投資をする時間がない、投資は面倒くさい、富の奪い合いは卑しい、投資にはまとまったお金が必要……。
私(50歳)は20代のサラリーマン時代から少しずつ投資を始め、25年間で資産は現在約1億8000万円超、近いうちに2億円も射程に入る予定です。金融には無縁な職業で、いわば素人です。最初は恐る恐る始めた私が今、みなさんに伝えたいのは、上記の投資への思い込みはほとんど誤った理解だということです。
インフレの今、何も動かないと得られるメリットをゲットできないだけでなく、損をする可能性が高い。インフレがもし30年間続いた場合、現在の1000万円の価値は30年後にどうなるか。物価上昇率1%の場合は740万円、同2%なら545万円、同3%なら401万円という試算が出ています。2~3%以上の場合、半額以下に激減してしまう(出典:読売新聞オンライン2024年3月1日配信「物価上昇続く2024年、持っておきたいインフレに強い資産とは?」)。
1年ごとで考えれば、1000万円を現金で持っているなら年20万~30万円も減らしていることになると試算する専門家もいます。つまり、何も投資しない人はどんどん損をする。
もともと投資のど素人の私でもできたのですから、新NISAのつみたて投資など基本的な仕組みさえ覚えれば、あとは「ほったらかし」でいける場合もあります。正直言えば、皆さんが何もしないで貯金のまま「ほったらかし」をして損しても、私の財布は全然傷みません。
でも、それでも気が済みません。本稿では下記10個のお金や投資(運用)の話への思い込みや「うんざり」を解消してさしあげましょう。「ほったらかし投資」と「貯金のままほったらかし」では、大きな違いを生みますから、後者にはならないでほしいです。
■投資への誤った理解10
(2)投資は最終的には必ず損をする
(3)投資を学ぶ時間がない
(4)投資をする時間がない
(5)投資は面倒くさい
(6)富の奪い合いは卑しい
(7)投資にはまとまったお金が必要
(8)税金関係がややこしい
(9)プロには勝てない
(10)手数料が高い
改めて言いますが、これらはどれもほぼ不正解です! 「ほぼ」と付けたのはやり方次第だからです。上記1~10に陥らないやり方をすれば良いということなのです。ひとつずつ解説しましょう。
![ドミノを止める人](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/c/6/1200wm/img_c6bd58c15b737905740904e0c8ede8db386985.jpg)
■(1)投資は怪しい
絶対に儲かるとうたうFXの自動売買、未公開株への投資、販売者があいまいな投資商品、海外でのエビ養殖事業への投資、いわゆる「原野商法」など……怪しい投資話はたしかに存在します。それら怪しい投資とは距離を取る方法があります。投資は必ず証券会社などの金融機関を通じて行ってください。それによって、詐欺や詐欺まがいの商品は除外できて、一定のスクリーニングがかけられます。後述しますが、米国の大企業に投資すれば勝率が上がります。たとえば、マイクロソフトやアップルなどなら皆さんもご存じで、まったく怪しくないですね。
■(2)投資は最終的には必ず損をする
投資はギャンブルとはよく聞きます。それは正しくもあり、間違いでもあり、やり方次第です。デイトレードと呼ばれる、その日のうちに売り・買いする投資法は、ギャンブル的といえます。しかし、優良銘柄への長期投資であれば、ギャンブル的な要素はほぼなくなります。短期では株価は上下しながらも、超長期で見れば高値更新し続けている銘柄が存在します。NYダウ、S&P500、ナスダック100など米国を代表する株価指数は歴史的に成長を続けています。そして、このうち「S&P500に連動する投資信託」が初心者向けとして優良だと思います。長期投資すれば、勝率は上がります。S&P500とは、米国を代表するエース級企業500社の集まりです。あなたが知っている、あなたがよく使っている、マイクロソフト、アップル、グーグル(アルファベット)、アマゾン、ビザ、P&G、スターバックス、コカ・コーラ、マクドナルド、ナイキなどで構成されます。
■(3)投資を学ぶ時間がない
投資を学ぶために9時間だけ時間をつくってください。9時間の根拠は投資本を3冊(各3時間目安)読みましょう、ということです。海外の訳書1冊、投資信託の本1冊、新NISAの本1冊、これだけ読めば充分です。そして、(2)で説明したS&P500について、投資信託について、積立投資について、非課税運用について、理解してください。
■(4)投資をする時間がない
デイトレードのようにずっと相場を見る必要はありません。初心者にとり再現性が高い投資法となる、投資信託への積立投資であれば、初回に買い付け設定さえすれば、次月以降はずっと自動的に積立投資し続けてくれます。あなたが、毎月投資に必要とする時間は「0」です。
■(5)投資は面倒くさい
投資信託への積立投資は、面倒なことが皆無で、つまらないほど暇です。(4)で解説したとおり、初回に買い付け設定さえすれば、あとは何もすることがないのです。よって、むしろ暇すぎて、何かしたくなる欲望を抑えることとの戦いです。
■(6)富の奪い合いは卑しい
富の奪い合いになるのは、デイトレードや短期売買の場合です。(2)で解説した、NYダウ、S&P500、ナスダック100は歴史的に見て高値更新し続けています。よって、これら優良銘柄への投資であれば、富の奪い合いは起こりません。皆で儲けることが出来ます。
■(7)投資にはまとまったお金が必要
まとまったお金があれば有利なことは確かです。しかし、まとまったお金がなくとも充分に戦えます。たとえば、毎月5万円を投資信託に積立投資して、年率5%で複利運用ができれば、20年後には2055万円、30年後には4161万円になります。これが月10万円なら、20年後に4110万円、30年後に8322万円になります。S&P500の過去の成績を見れば、年率5%での複利運用は現実的なポテンシャルがあります。
■(8)税金関係がややこしい
税金関係が不安になる気持ちは分かります。意図せず脱税してしまうのではないか、確定申告が難しいのではないか、と思えてくるでしょう。しかし、心配は無用です。投資信託への積立投資であれば、取引記録から税額の計算、納税まで基本的に証券会社がしてくれます。それに、そもそも新NISAのなかで運用すれば非課税です。
■(9)プロには勝てない
デイトレードや短期売買でプロと戦おうとするから勝てないのです。逆に、プロと戦うような投資をしなければいいのです。それが、繰り返し書いているS&P500への長期の積立投資です。S&P500に投資を始めた瞬間に、あなたは市場平均のリターンを取ることができます。プロから初心者まで全体での平均が取れるというのは、この投資の世界だけだと思います。たとえば、今日から野球を始めても、いきなりメジャーから少年野球までの全体の平均をとったプレイができることは絶対にありません。料理もしかり、ビジネスもしかり。
■(10)手数料が高い
金融機関の手数料ビジネスではないの? 確かに手数料が高い投資信託は存在します。それはお勧めしません。逆に、手数料が安すぎて心配になるくらいの投資信託があります。主要ネット証券であれば、投資信託を買ったり、売ったりする手数料は無料の銘柄が多いです。投資信託を保有中に発生する手数料「信託報酬」は必要ですが、これは資産運用会社に任せる手間賃と割り切れる程度の額です。詳しくはまた別途ご紹介しますが、気にならない程度の僅かな金額です。
■まとめ
![桶井道『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/a/1/1200wm/img_a1dbe62d83e62262210c6c3f7a24fa70331457.jpg)
いかがでしょう。投資への誤解は解けましたでしょうか。お金や投資(運用)の話にうんざりする気持ちは治まりましたか。米国株で構成された優良な投資信託に、長期で、積立投資すれば、手元にまとまったお金がなくとも、充分に資産形成は可能です。年月と複利を味方にすれば資産数千万円も現実的です。したがいまして、1日も早く投資を始めて、年月(時間)を確保することこそ、再現性を高めるといえるでしょう。
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投資家(投資歴20数年)・物書き
2020年に47歳で資産1億円とともに約25年間勤務した会社を早期退職。それから3年強で資産を1.7億円にまで成長させる。投資先は世界30カ国の高配当株や増配株、ETF、REITなど幅広い。現在は両親の介護・見守り(父は難病で要介護5、母はがんサバイバー)、そして家事をしつつ、単行本や連載、ブログなどを通じて投資やFIREに関しての情報を発信している。子ども食堂への支援も行う。著書に『今日からFIRE!おけいどん式 40代でも遅くない 退職準備&資産形成術』『月20万円の不労所得を手に入れる! おけいどん式ほったらかし米国ETF入門』(以上、宝島社)、『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎)がある。(プロフィールイラスト=西田ヒロコ)
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(投資家(投資歴20数年)・物書き 桶井 道)
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