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「ナス科の野菜の食べ過ぎ」は絶対ダメ…人体にアレルギー症状を起こす可能性がある"身近な野菜の種類"

プレジデントオンライン / 2024年7月12日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/petesphotography

野菜を摂取するときに気をつけるべきことは何か。野菜研究家の梅田みどりさんは「ナス科の野菜には、食中毒に似たアレルギー反応を示すアルカロイドという物質がある。その1つがソラニンで、人体に有毒となる可能性があり、皮が緑色になったじゃがいもを食べたことによる食中毒は毎年夏に多く起こっている」という――。

※本稿は、梅田みどり『野菜ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■抗酸化力の高い栄養素を摂り、活性酸素を増やしすぎない

「免疫力が高い」「免疫力が下がった」など、日常的に「免疫力」の言葉を目にする機会が増えました。

そもそも免疫力とは細胞の防御システムのことで、細菌やウイルスなどが侵入しないように対抗する働きがあります。体内の免疫の能力が下がると、疲れが取れなかったり、肌が荒れたり、老化が進んだりしてしまいます。

さらに、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなり、食中毒やがんを発症するリスクも高まります。

また、最近の研究では、様々な不調や病気の原因の1つに、活性酸素が関係していると指摘されています。

通常、私たちの体には高い酸化力を持つ活性酸素があり、体内に侵入した異物を攻撃しながら健康を守ってくれています。しかし、精神的なストレスや紫外線、飲酒や喫煙習慣、食習慣の乱れ、環境汚染などの生活要因によって、現代人は活性酸素が必要以上に増えやすい環境に置かれています。

増えすぎた活性酸素は、自分の遺伝子やタンパク質を攻撃し、体内に炎症を起こしやすくしたり、免疫機能を低下させてしまったりするのです。

日頃から活性酸素を必要以上に増やさないのが健康維持にとって大事ですが、それにはバランスの取れた食事、適度な運動習慣、十分な睡眠が大切です。特に食事では、日常的に抗酸化力の高い栄養素を摂り、活性酸素を増やしすぎないようにすることが必要です。

■無理なくリコピンを摂るための習慣

私たちの健康維持に欠かせない、抗酸化力の高い栄養素として注目されているのが、カロテノイドの天然色素であるリコピンとβカロチンです。

まずリコピンは、トマトや金時にんじん、スイカ、柿、すもも、ピンクグレープフルーツ、パパイヤ、マンゴーに多く含まれています。

加熱しても栄養素が壊れにくいだけでなく、加熱によって吸収率が上ります。油脂と一緒に摂ればさらに吸収率が上がるので、パスタではトマトソースを選ぶ、朝はトマトジュースを飲むといった習慣を身につければ、無理なくリコピンを摂ることができます。

トマトの乗ったトマトソースのスパゲッティ
写真=iStock.com/AnnaPustynnikova
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AnnaPustynnikova

日常的に料理をする方なら、トマトピューレやトマトの水煮を常備し、いつでも使えるようにするのもおすすめです。私も肉や魚料理に加えたり、スープに加えたり、カレーの隠し味に入れたりと調味料のように使っています。

これはケチャップでも同じ効果があるので、トマトが苦手な人も取り入れやすいのではないでしょうか。

もちろん、生のトマトをそのまま食べるのもおすすめです。加熱したものに比べるとリコピンの吸収率は若干下がりますが、オイルを含んだドレッシングをかけるだけで吸収率を上げられます。さらに加熱加工したものにはない、ビタミンCなどの栄養素を取り込むことも可能です。

リコピンは赤い色素に含まれているので、買う際はぜひ色が真っ赤なトマトを選んでください。リコピンは、体内に取り込んだ後も比較的長く蓄積されるので、少しずつ継続的に摂ることで効果も増します。

■継続することで少しずつ免疫力が上がってくる

次に、βカロチンは緑黄色野菜に多く含まれ、にんじん、ほうれん草、ケール、かぼちゃ、ニラなどに多く含まれています。βカロチンもリコピンと同様、加熱しても壊れにくく、油脂と一緒に加熱して摂ると吸収率がアップします。

にんじんに含まれるβカロチンは、細かく砕くことでも吸収率が上がります。そのため、市販の野菜ジュースではβカロチンが摂れる野菜として定番になっています。

βカロチンを効率的に摂取するための調理のポイントは、高温で長時間加熱せず、短時間でさっと加熱することです。それによってβカロチンが残りやすくなるので、普段から緑黄色野菜と油を組み合わせた料理を意識するのがおすすめです。

βカロチンは、体内に吸収されると必要な分だけビタミンAに変換され、ビタミンAとしての効果を発揮します。ビタミンAはレバーなどの主に動物性食品に多く含まれていますが、これだけを過剰に摂取すると肝臓に負担がかかってしまいます。

その点、βカロチンは体内で必要な分しかビタミンAに変換されないので、直接ビタミンAを摂取するよりも効率的と言えます。

今の環境を変えたり、精神的なストレスをすぐになくすのは難しいものですよね。そこで、リコピンやβカロチンを無理のない範囲で食生活に摂り入れてみてはいかがでしょうか。継続することで少しずつ免疫力が上がってくることを期待しましょう。

■ナス科の野菜でアレルギーを引き起こす理由

ここからは、野菜が原因で引き起こすアレルギー症状について説明します。

現在食用されている野菜の中には、ナス科のものがいくつかあります。主に、なす、トマト、じゃがいも、ピーマン、パプリカ、とうがらしなどです。あまり知られていないものとして、クコの実や食用ホオズキもナス科の仲間です。

これらの野菜のうち、特になす、トマト、じゃがいも、ピーマンは日本人が好きで料理にもよく使われています。旬は初夏から初秋にかけてですが、今は季節関係なく手に入るので、料理にはなくてはならない食材となりました。

ナス科の野菜には、食中毒に似たアレルギー反応を示すものがあるのをご存知でしょうか。これは、ナス科の野菜に含まれるアルカロイドという物質で、医薬品にも使われているものです。この成分はもともと天然に備わっているので、個体によっても成分量に差があります。

アルカロイドは有益な効果をもたらす一方で、個人的な要因によって有害に働く場合も少なくありません。

ナス科の野菜に含まれるアルカロイドの1つはソラニンです。

昆虫やその他の外敵から身を守るための防御システムとして働き、光を浴びると生成されやすくなります。じゃがいもの皮や芽に多く含まれ、収穫後のじゃがいもの表面が緑色になるのも、このソラニンが原因です。

芽の出たジャガイモ
写真=iStock.com/Beata Haliw
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Beata Haliw

■緑色のトマトの食用は避ける

ソラニンは人体に有毒となる可能性があり、皮が緑色になったじゃがいもを食べたことによる食中毒は、毎年夏に多く起こっています。

ソラニン中毒の症状には、吐き気、嘔吐、下痢といった胃腸の問題が多いのが特徴です。じゃがいものソラニンは、地表に出て光を浴びた部分や、未熟な実や芽に多く含まれています。

よく小学校の授業で、未熟な状態のまま掘り起こしたじゃがいもを窓辺に並べ、太陽の光を当てていることがありますよね。

これは、わざわざアレルギーを引き起こす原因を作っている行為です。特に体の小さな子どもにとっては深刻な被害になりかねないので、周知を徹底させることが必要です。

じゃがいもに含まれるソラニンとよく似た構造を持つ成分に、トマトが生成するトマチンがあります。

これはトマトが青く未熟な時期に多く生成され、完熟になるとなくなります。未熟なうちに外的に攻撃されないよう、毒性のある物質を生成していることがわかっています。

トマチンによる食中毒では、嘔吐や下痢を引き起こし、不整脈や呼吸困難になることもあるので、緑色のトマトの食用は避けるのがいいでしょう。

ナス科の野菜に含まれるアルカロイドのもう1つに、ニコチンがあります。これはタバコなどに含まれる成分と同様のものですが、ナス科の野菜に含まれるニコチンは、タバコのそれと比べると濃度は大幅に低いので、それほど心配はいりません。

■なすやトマト、じゃがいもに触れても起こるアレルギー症状

さらに、なすやトマト、じゃがいもにはヒスタミンが含まれます。

ヒスタミンはサバやイワシ、マグロなどの魚に多く含まれていますが、ナス科の野菜や他の一部の野菜にも含まれています。

ヒスタミンは粘膜に触れたり、体内に入ることでアレルギー症状を引き起こしますが、それは仮性アレルギーといってアレルギーの免疫を持たなくても引き起こされます。

症状はたいてい1時間以内に起こり、発疹、皮膚の赤み・かゆみ・腫れ、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなど様々です。ヒスタミンは熱に強く、加熱調理をしても分解しないので、煮たり焼いたりしても減ることがないので注意が必要です。

私はある時から、なすをたくさん食べるとお腹が張り、最悪な場合、激しい腹痛に襲われるようになりました。これも、ヒスタミンによって引き起こされた症状です。少量なら問題はないのですが、なすの漬け物や焼きなすを食べすぎたときは大変です。

「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざも、私のように腹痛を起こさないようにと気遣ったものなのかもしれない、と思うようになりました。

ナス科の野菜によるアレルギーは、触れた手にも起こります。なすやトマト、ピーマンを素手で大量に調理する場合にも、アレルギー性の皮膚炎が起こることがあります。

梅田みどり『野菜ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)
梅田みどり『野菜ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

これは接触機会の多さや、接触している肌のバリア機能の低下などによって引き起こされます。また、唇や口腔内もアレルギー性の皮膚炎が起こりやすい場所です。

私の場合、大量のなすやトマトを切ったときや、塩もみしたなすの水分を絞ったり、茹でたなすの皮をむいたりしているときにその症状が起こります。

主に手の触れている部分にピリッとした刺激を感じたかと思うと、次に強いかゆみが出てきます。そのかゆみは水で洗ってもなかなか収まらず、見ると小さな赤い発疹ができているのです。

■それぞれの種子を守るために進化を遂げた

このようにならないための対策としては、トマトやなすを大量に調理する際は、必ず手袋をつけ、素手では触らないようにすることです。

野菜に含まれるアレルギー物質に関しては、複雑な要因が関係しています。これはナス科の野菜だけでなく、他の科に属する野菜も同様です。

長い年月を経て、野菜はそれぞれの種子を守るために進化してきました。アレルギーに対する理解が進むにつれて、今後はより具体的な要因やメカニズムが明らかになると思います。

ともかく、アレルギーの症状が出た場合は医師に相談し、適切な治療とアドバイスを受けるようにしてください。

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梅田 みどり(うめだ・みどり)
野菜研究家・野菜ソムリエ
フードサロンやさいのひ代表。地元の金融機関に就職後、結婚・出産を経て、料理研究家としての仕事がスタート。季節の野菜中心の料理レシピを料理教室やYouTubeチャンネルで公開している。野菜の専門家として、伝統野菜をはじめとする地元農産物の保存や普及に力を注ぎ、野菜の健康効果や食習慣の重要性を発信している。著書に『今日は野菜の日・春夏秋冬』『おうちで本格パン焼けました』(ワニブックス)『こねずに混ぜるだけ やさしいパンづくり』(ナツメ社)がある。

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(野菜研究家・野菜ソムリエ 梅田 みどり)

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