1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「ね~」からの「あ!」がより効果的…相手から「感じがいい」と思われる"話を切り上げるタイミング"

プレジデントオンライン / 2024年7月14日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

初対面の相手でもコミュニケーションが上手にとれる人は、どんなことを心がけているのか。教育学者の齋藤孝さんは「誰とでも感じよく雑談できる人が知っている、『ほめ方』や『話を切り上げるタイミング』のコツを伝授します」という――。

※本稿は、齋藤孝『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■「10秒雑談」だけで人間関係は変わる

今の世の中は会社でもどこでも忙しい人が増えています。

その分、意味のないコミュニケーションがとりづらくなり、ギスギスした感覚を覚える人もいます。

とはいえ、飲み会やランチの場を設けようとなると、「そういうことに時間やお金を取られたくない」と考える人も多いと思います。

そんなときは、ぜひ「10秒雑談」を試してください。

忙しい中でも、一言二言パパッと会話を交わして、それで人間関係を保つのです。

たとえば、こんな感じです。

(出会い頭に)
1.「○○さん、会議でのあの発言、よかったですよ」
「ありがとう」
「勉強になりました。では」

2.「おはようございます。今日はかなり寒いですね」
「寒いね。今年初めて手袋を出したよ」
「私もそろそろ使おうかな」

たったこれだけでも、人間関係は変わってきます。

こんなふうにさりげなく話をして、床暖房のように、その人との関係をじんわりと温めておくと、いざ大事な話があったときにも、スムーズに進められます。

5~10秒の雑談ですから、中身はなんでもかまいません。

気軽に声をかけてみましょう。

タクシーや美容院で話すことがなく、気づまりだという人も、この方法は使えます。

■嫌味にならないほめ方の“最初の言葉”

嫌味なくさわやかに相手のことをほめるには、いいことを言おうとか、こんなふうに言おうなどとあまり考えずに、「感じがいいですね」などと、手短にスパッと言ってしまうのがよさそうです。スパッと言い切ると、さわやかさを感じさせることができます。

タイミングとしては、気づいたときに、さっさと言ってしまいます。

誰かに感じのいいお店に連れていってもらったときも、入ってすぐ「すごい、イマドキですね」「きれいなお店ですね」と、スパッと言い切る。ムリして頑張って「このインテリアは、アール・ヌーヴォーを意識していて、1920年代をうまくオマージュしていますね」などと、凝った言い回しをしなくてもかまいません。

大事なのは、そのときの気持ちを素直に出せているかです。

人は、下心のある物言いに敏感に反応します。「何か買わされるんじゃないか」「裏があるんじゃないか」と、瞬時に心配してしまいます。

そう思われないためには、最初の「あっ」が大事です。

「あっ素敵ですね」と「あっ」が入ることで、用意したコメントではないとわかります。今そこで気づいたことが自然に言葉に出た、という感覚が大事です。

そして、感じたことを言葉にして、手短にほめる。すると、さわやかな感じになります。

■年齢が離れている相手と話すのが苦手な人は

私は時々テレビで食レポのようなことをするのですが、そこでも、味の分析よりも、一口食べたときの感覚を言います。

このときの伝え方の基本は、「○○でおいしい」です。

「わあ、噛み応えがあっておいしいですね」とか「さっぱりしていておいしいですね」といった具合です。

「噛んだ感じ、結構ガッツリきますね」だと、いいのか悪いのか、中途半端に感じます。だったら「おいしい」をつけて、「ガッツリきて、おいしいですね」とします。躊躇せずに、さっぱりと手短にまとめましょう。

年齢が離れている人と話すのが苦手な人もいます。特に年上だと、失礼にならないかと緊張したり、リスペクトしすぎたりして疲れてしまいます。そんなことで、年が離れた人と話すのが面倒になってしまうのです。

年齢が離れている相手との会話については、敬語を活用することがポイントです。

「敬語は使い方のルールがあって苦手だ」と思う人もいるかもしれませんが、それよりも、敬語を使ってラクになるメリットのほうが、何倍も大きいです。

それに敬語については、難しく考えるよりも、相手を尊重していることがわかるような言い方だけ押さえておけばいいでしょう。

手紙に書くような「お目文字叶いましたら光栄です」「ご指導ご鞭撻のほどお願いいたします」など、普段では使わないような言葉を駆使するよりも、「そうですね、おっしゃる通りです」「なるほど」「そうなんですね」と、少し驚いたふうに合いの手を入れていくほうが、相手を尊重している意思は伝わるものです。

■年下の感覚に無理に合わせてはいけない

自分が相手よりも年上の場合は、あまり積極的に彼らの感覚に合わせていかないほうが無難です。

「自分もイマドキの感覚がわかっているよ」と言って近づきたいのは理解できますが、あまりに無理して合わせようとするのは、年下の人にとってはやや気持ち悪さを感じさせかねません。

それより知らないことは知らないこととして、そのギャップを残しておいてもよいのではないかと思います。

私自身、長年、大学で授業をしているので、今の若い人の感覚に比較的近いと思っています。だからといって、若者の行動すべてを真似できるかというと、そうではありません。

たとえば、若者言葉を使うのは抵抗があります。「違わない?」を「違くない?」とは言えませんし、「真逆」という言葉も使えない。反対に思わず伝染してしまう言葉もあって、「エモい」は、使いやすいのですぐにうつってしまいました。

迎合せず逆らわず、自然に対応するのがいいのかなと思っています。

■慕われる上司は部下を「さん」づけで呼ぶ

あなたが年長の男性の場合、相手の年齢に関係なく丁寧な言葉を使ったほうがいいでしょう。呼びかけ方も「○○君」や「○○ちゃん」ではなく、すべて「さん」づけにします。特に女性に対しては丁寧語を使うことを基本としたほうが、何かとスムーズでしょう。

上司と話す若いビジネスパーソン
写真=iStock.com/Masafumi_Nakanishi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Masafumi_Nakanishi

なかには、若い部下にも「○○さん」と「さん」づけで呼ぶことで、ともすると増長してしまう自分の中の権威主義、「上から目線」を抑制している人もいます。

サッカーのワールドカップで解説者として呼ばれていた本田圭佑選手が、「三笘さん」「堂安さん」など年下の選手たちに「さん」づけして、丁寧な言葉づかいで解説をして話題になりました。年齢に関係なく「さん」づけで呼んで敬意を示したことに、好感を持った人も少なくないでしょう。

一方で、親交のある選手には名字やニックネームで呼んでいました。こんなふうに、相手との距離感に応じた敬語の使い方ができると、感じがよいですね。

■自分が年下なら、逆にガンガン話を合わせていく

一方、自分が年下の場合は、多少無理をしてでも、合わせたほうがいいと思います。

合わせるといっても、上の世代のことを詳しく調べて話そう、というのではありません。相手が昭和世代だったら、「あの頃はどうだったんですか、バブルってやっぱりすごかったんですか」などと、躊躇せずに話題を合わせにいくのです。

カラオケに行ったときには、昭和の歌をバンバン入れてみる。どうみても気をつかっている感じが丸出しではありますが、それがかえって、思った以上に相手に好感を与えるでしょう。

「○○さんも笠置シヅ子とか聴いていたんですか?」と話を合わせにいって「いや、それ全然違う年代だよ」と言われても、そのずれが面白くて、会話も続いていくはずです。

同じようなことを年上の世代が年下にすると、年下の人たちは、何だか自分たちの領域に勝手に入り込まれたような気がして、嫌な感じがしてしまいます。

ですが、下の世代の人が同じことをしたときには、入り込まれたという嫌な感じはしないのです。

■感じよく話を切り上げる絶妙なフレーズとは

親切な人ほど、人の話に延々と付き合わされて、なかなか会話が終われない……という状況に陥ることがよくあります。時間は有限の財産ですから、相手に奪われたままにならないよう、うまく切り上げたいものです。

雑談を終わらせるよい方法は、ちょっと大きな声で相手に同調することです。「……ですね。それ、ありますよね~」の「ね~」を大きめに言いつつ伸ばしながら同調して、「あっ、それじゃ」という感じで切り上げるのです。

相手をさえぎって話を終わらせるには、まずは同調することが大事です。そうしないと、感じの悪さだけを残してしまいます。

このときのんびり入ると、次の話題に進んでしまい、切り上げられなくなります。

同調したら、次の話題に移る前に「あっ、すみません。じゃあ、また連絡しますね」と続けてください。同調して相手を気分よくさせておいて、話の主導権はこちらに移すのです。

「あっ。じゃあ、この次また、よろしくお願いしますね~」「またアドバイスしてください」と、次の予定があるような雰囲気を出しながらスーッとフェードアウトしていくのもよいでしょう。

極端な話、「次の予定」が本当になくてもよいと思います。

予定の有無よりも、「次の用事があって、致し方なく失礼します」という雰囲気を伝えられればいいのです。

■コツは「思いきり」「元気よく」

「お客さんに電話しなくてはいけないので」でも、「移動して次の場所に行かなくてはいけない」でもなんでもかまいません。自分の中で設定をつくって、あたかも本当のように振る舞います。演技でも問題はありません。そうでもしないと察してくれない人は、本当に気がつきませんから。

「さようなら」は、もともと「左様ならば」。「そのような事情ならしかたないですね」と言い合って別れるのが日本人の伝統でもあります。

言い方としては、思いきり元気よく言うほうがいいですね。大人しく聞き役に回っていると、どんどん自分の時間を奪われてしまいます。

齋藤孝『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(サンマーク出版)
齋藤孝『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(サンマーク出版)

「ですよねー。ほんとね、そういうことありますよね~。あ! ちょっとなんか、また、電話かかってきちゃうんで、また。面白かったので、また次」くらいの勢いで、自分の時間を奪われないようにしましょう。

あまり気の進まない飲み会に対しては、毎回誘われるままに行くというよりも、何度かに一度行くことにして、あとは、避けられない理由を言って断るとよいでしょう。

「すみません。子どもが小さいので」と、子どもを理由にかわす手もありますね。同じような「避けられない感」があるものとしては、「推し活」も使えそうです。

「今日は推しの生配信があるので」「生で見ないとダメなんで」など、ほかの人が思わず納得してしまうような推しがいると、断る理由がつけやすいでしょう。

----------

齋藤 孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。著書に『孤独を生きる』(PHP新書)、『50歳からの孤独入門』(朝日新書)、『孤独のチカラ』(新潮文庫)、『友だちってひつようなの?』(PHP研究所)、『友だちって何だろう?』(誠文堂新光社)、『リア王症候群にならない 脱!不機嫌オヤジ』(徳間書店)等がある。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務める。

----------

(明治大学文学部教授 齋藤 孝)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください