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水を飲む、汗をかくだけでは解消されない…「飲酒した翌日に顔がパンパンな人」が不足している栄養素

プレジデントオンライン / 2024年7月24日 9時15分

リバウンドでかえって太ることも(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kuppa_rock

いつまでも健康に過ごすためには、どんなことに気を付けるべきか。医師の谷口英喜さんは「体のむくみは太る原因になる。体重が気になる人はダイエットをする前に、まずはむくみを解消することが大切だ」という――。

※本稿は、谷口英喜『いのちを守る水分補給』(評言社)の一部を再編集したものです。

■体重の6割は水分

最初に申し上げておきます。

痩せるための水分補給法は実在しません。

その理由は、本書でも学んできたように、体重の6割は水分が占めているからです。

医学的に確実に早く痩せる方法は、水分をとらないか、利尿薬を内服して、水分を体外へ排泄させることです。

これはともにむくみや心不全を起こした場合の病気の治療であり、健康な人が実施すべきことではありません。リバウンドでかえって太ることもあるのです。

よく患者さんから聞くのは、ダイエットサプリを飲んでいる間はたくさん尿が出て痩せているけど、止めた途端にリバウンドで太るという話です。それではサスティナブル(sustainable:持続可能)ではありません。でも安心してください。本書では、太らないためのサスティナブルな水分補給法を伝授しましょう。

■「水飲みダイエット」をしてはならない

水分摂取量は個人によるオーダーメイドです。したがって、規定された水分量を漠然と摂取するのではなく、アウトカム(結果や成果)が得られていれば適切な水分量なのです。

本稿での適切な水分摂取量のアウトカムは「太らない量」です。結論からいえば、体重計測を頻回に行い、太らない量の水分摂取量を個々で見つけることになります。

水分補給を継続する目的は、代謝過程で不要になった老廃物を排泄したり、便通をよくしたりするためです。老廃物の貯留や便秘は体重増加の原因や万病のもとになります。

体重を計測しながら適切な水分補給量を見つけ、水分補給を継続するサスティナブルなサイクルができあがればベストです。体重計だけあればできるので、誰でもどこでも可能ですよね。

決して、水制限をしたり、水だけを飲む水飲みダイエットなどをしないでください。さらには、適切な水分摂取は空腹感も満たすので、食べすぎの予防にもつながります。

■塩分の過剰摂取は肥満をまねく

塩分を摂取することで血圧が上昇したり、むくみが出現したりすることはご存じでしょう。その機序を知ると、塩分の過剰摂取は肥満をまねくことが理解できます。

日本人は通常の食生活でも1日あたり10グラム以上の塩分を摂取していることが明らかにされています。

世界保健機構(WHO)が提案している適切な塩分摂取量は1日あたり5グラム未満としています。

塩分の過剰摂取で高血圧になる機序は、塩分の移動に伴い浸透圧が上昇し、水が移動するからです。つまり、塩分がからだに貯まると水もからだに貯まり、血圧や体重が上昇するのです。

したがって、太りたくなかったら塩分を過剰に摂取しないように心がけることです。日本人は塩分過剰状態にあります。太りたくなかったら、まずは塩分制限です。

■喫煙は腎機能の低下をまねく

いくら適切な水分摂取量を維持して塩分を制限しても、喫煙していたら意味がありません。

水やナトリウムイオンの排泄や再吸収は腎臓の尿細管で行われています。喫煙は、腎臓の細動脈に障害を与え、腎機能の低下をまねきます。当然、腎臓の尿細管の排泄・再吸収能力を劣化させます。

タバコを持つ男性の手
写真=iStock.com/Khanchit Khirisutchalual
喫煙は腎機能の低下をまねく(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Khanchit Khirisutchalual

就学前の小児や高齢者の腎機能が低下しているために、脱水症やむくみが生じやすいのは周知のことです。体内水分量の維持に大切な役割を担う腎機能を守るために、受動喫煙も含め禁煙を徹底することが太らない秘訣です。

■アルコールは肥満の一因になる

アルコールの過剰摂取は腎機能に加え、肝機能にも障害を与えます。肝機能が悪化すると血管内のタンパク質の量が減り、むくみの原因となります。

つまり、肝機能が悪化すれば全身のむくみにつながり、体重増加にもつながるのです。アルコールは食欲増進効果もあり、それはそれでいいことなのですが、肥満の一因にもなるのです。

■むくみは「水分のとりすぎ」ではない

むくみは太る原因の1つです。しかし、病的なむくみは、じつは体の外からは見えないむくみなのです。心不全や肺水腫(肺のむくみ)は、水の過剰摂取や排泄障害の結果起こります。前述した肝機能障害も同様です。

しかし、足がむくんだり、顔がむくんだりするくらいは、病的なむくみではありません。むしろ、健康な人が疲れ、アルコール過剰摂取、塩分過剰摂取の結果、一時的に血管外に水分が漏出した結果と考えてよいでしょう。

なぜ、水分が血管外に漏出するかというと、適切な栄養をとらないからなのです。

特に、血管内のタンパク質が減少したり、からだに炎症が起きていたりすると、血管外に水分が漏出します。決して、水分のとりすぎではありません。

腎機能と同様に水分維持に関係する、つまり体重に関係する体の機能が自律神経です。

自律神経とは、交感神経と副交感神経のことです。

交感神経は車のアクセル、副交感神経はブレーキの役割を担い、からだのバランスを保っています。体重に関係することを表に示します。

自律神経の働き
出所=『いのちを守る水分補給』

表を見てわかるように、交感神経が亢進しすぎるとダイエット効果はありますが、むくみが出たり筋肉量が減少したりして、健康にはよくないでしょう。

■太らない6つのコツ

副交感神経が亢進しすぎると排便や排尿が増加しますが、健康にはよいでしょう。

どちらも亢進させすぎず、バランスを維持することが大切であることがわかりますね。そのバランスを維持するには、質の高い睡眠をとり、バランスのよい食事を心がけることです。

当たり前のことですが、それが太らないコツ、その中に適切な水分補給も含まれるのです。

さまざまなダイエット法を試みる以前に、この6つのコツができているか確認するとよいでしょう。

・太らない水分補給法は、体重を計測しながら適切な水分補給量を見つけ継続する。
・太らない6つのコツとは、①適切な水分補給、②塩分制限、③禁煙、④アルコール過剰摂取を避ける、⑤質の高い睡眠、⑥バランスのよい食事。

■皮膚の水分量は20~30%

むくむのが嫌だからといって水分補給を避ける人が多いようです。

しかし、水分補給法を間違えるとお肌に悪いことがあるということも知っておいてください。

私たちの皮膚の水分量は20~30%と言われており、このくらいの水分が含まれていることがお肌の維持には大切です。

外から見える皮膚は「皮脂膜(皮膜層)」と呼ばれます。

その下には約0.2ミリと非常に薄い「角質層」があります。角質層の中には約100層の「角質層細胞」があり、コーニファイドエンベローブという膜に包まれています。

角質層細胞の中には、NMF(エヌ・エム・エフ)と呼ばれる天然保湿因子があり、水分が保持されているのです。

皆さんが気になるアンチエイジケア化粧品によく配合されているアミノ酸は、NMFの原料にもなります。

皮膚の構造
出所=『いのちを守る水分補給』

■「肌トラブル」が起きる原因

さらに角質層細胞のすき間を埋めるように「細胞間脂質」が存在しています。そして、皮膚の最も外側には「皮脂膜(皮膜層)」が形成され、角層の水分の蒸発を防いでいるのです。

これらコーニファイドエンベローブ、NMF、細胞間脂質、皮脂膜の4つの要素によって肌の水分量が保たれているのです。

したがって、そのどれか1つの機能が障害を受けても皮膚から水分が失われ、皮膚から水分がわれた結果、お肌のトラブルが生じるのです。

■水分補給で肌トラブルは防げる

肌に含まれる20~30%の水分量を維持することで肌トラブルを防ぐことができます。

水の入ったコップを持つ女性
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
水分補給で肌トラブルは防げる(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Liudmila Chernetska

水分量を維持するためには、からだの外側と内側からの適切な水分補給が必要になります。

①外側からの水分補給(保水)

化粧水や水分を噴霧する保湿ケアで肌の水分を補うことが大切です。肌の保水力を外側からサポートすることで、うるおいのある肌へと導けます。

肌の水分量が不足している場合、皮脂も不足している可能性があるため、乳液やクリームで脂分を補うこともよいでしょう。

■生活習慣の改善で肌トラブル回避

②内側からの水分補給(補水)

日々の適切な水分補給(補水)に加え、生活習慣の改善も心がけましょう。

谷口英喜『いのちを守る水分補給』(評言社)
谷口英喜『いのちを守る水分補給』(評言社)

適切な睡眠時間、バランスのよい食事、適度な運動に加え、過剰なアルコール摂取を避けて禁煙を心がけるというような生活習慣を保ち、適切な水分補給を内側から行うことで肌の水分を保持します。

生活習慣の乱れや過度なダイエットは、成長ホルモンの分泌を低下させ、肌のターンオーバーのサイクルを乱します。その結果、健康な角質層を保てなくなり、肌の水分量が減少します。

生活習慣の改善に加え、適切な水分補給(補水)をすることで、お肌の水分が維持され、トラブルが回避できるのです。

■「炎症やタンパク質の減少」がむくみの原因

肌には20~30%の水分が必要で、それ以上の水分が含まれるとむくみが出現してしまいます。例えば、二日酔いのときの目のクマや顔のむくみとして。

このときには血管の中は水分が減少していて、血管の外に水分が出すぎているのです。医学的には、「血管内脱水」という診断名になります。

血管内が脱水すると新陳代謝が低下して、太る原因になるとともに、むくみも出現して体重は増加します。

むくみが出る時期は、血管から血管外に出る水分が増えます。この原因は、血管の壁の隙間が大きくなるためです。原因は、炎症や血液中のタンパク質の減少です。

むくみが起こるメカニズム
出所=『いのちを守る水分補給』

したがって、むくみのあるときに水分摂取を制限するよりも、炎症の原因や低タンパクの原因を除去するほうが効果的なのです。

お肌の張りを保つためにも、適切に水分を摂取して、血管外に水分が出ない工夫をすることが大切です。

血管外に水分を出さないようにするためには、炎症の原因になる食生活の乱れや感染症にかからないこと。そして、タンパク質を十分に摂取して適度な運動をすること。これらによって、肌の弾力性を維持することが可能です。

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谷口 英喜(たにぐち・ひでき)
医学博士、済生会横浜市東部病院患者支援センター長
1991年福島県立医科大学医学部卒業。その後、横浜市立大学医学部麻酔科に入局。2011年神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授。2016年済生会横浜市東部病院患者支援センター長。現在、東京医療保健大学大学院客員教授、慶應義塾大学麻酔科学教室非常勤講師を兼任。熱中症・脱水症に関する報道でマスコミに多数出演。専門は、麻酔学・集中治療学・周術期管理・栄養管理・経口補水療法・脱水症対策など。臨床栄養の生涯教育サイト谷口ゼミを開塾し、医療従事者の生涯教育に邁進中。

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(医学博士、済生会横浜市東部病院患者支援センター長 谷口 英喜)

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