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悪質な嫌がらせに「笑顔でやり過ごす」は絶対ダメ…ストレスを他人にぶつける攻撃的な人から身を守る方法

プレジデントオンライン / 2024年7月17日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ra2studio

嫌がらせや意地悪をされたら、どう対応すればいいか。心理セラピストの大鶴和江さんは「ハラスメントを行う人々は絶対に反撃してこない立場の弱い人を、無意識に選んでやっている。明確なノーが言えず、穏便に済ませようとすると、それがますます相手の加害行為を引き出す結果になってしまうケースも多い。自分自身が『相手の下』に潜り込まないように注意するべきだ」という――。

※本稿は、大鶴和江『「ずるい攻撃」をする人たち』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

■なぜ一番仲良しだった女性が悪口を吹聴するのか

親しくなればなるほどに、関係性がおかしくなっていく、そんな経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

どこにでもいる仲良しの仲間やグループの中でやがて不穏な空気になり、お互いが疑心暗鬼になってその仲良しのグループが散り散りになってしまう、そのようなケースの背景には悪意を持ってその仲良しグループを壊そうとする人物の存在がある可能性があります。

例えば、次のようなケースです。

佳代さん(仮名)は大学生です。

大学のサークルに入って、そこで知り合った男女のグループで仲良く活動していました。

ところが、ある日のこと。

その中でも特に仲良しだった女性が急にそっけなくなって、メールを送っても返事がこなくなり、それどころか会っても無視されるようになってしまいました。

佳代さんはまったく身に覚えがないので、とても気になりましたが、周りの人もなんとなく自分を避けているように見えます。

そのうち好意を持っていてお互いに仲良くしていた男性からも、無視されるようになり、とうとう佳代さんはいづらくなってサークルをやめることになります。

ところがその後、信じられない話が耳に入りました。

なんと一番仲良しだった女性が佳代さんの悪口を吹聴していたというのです。

仲良くしていた男子学生に「あいつはヤリマンだから避けたほうがいいよ、それにみんなのことを利用しているし、あなたのこと嫌いだけど仕方なく合わせている」と言っていた、と。そしてなんと、その好意を持っていた男子学生とその悪口を吹聴していた女性が付き合い始めたとのこと。

ショックと怒りで佳代さんは大学を去っていきました。

このような出来事はよく聞きますし、周りでも同じような経験をした人も多いのではないでしょうか。

■仲良しを引き裂くフレネミーとサークルクラッシャー

2020年頃、福岡県でママ友たちの間で孤立した女性が、支配的なママ友に洗脳され、我が子を虐待、餓死させてしまうという悲惨な事件もありました。

これも支配的なママ友がグループ間に悪口を言い、ターゲットになった本人を孤立させ、その孤立したターゲットに対して「私だけがあなたの味方よ」と安心させて、金銭を搾取し続けたのです。

このように仲良しのグループの仲を引き裂く人を「サークルクラッシャー」あるいは、「フレネミー」とも呼びますが、言い換えれば「他人の幸せが許せない人」です。

このような人は、自分の欲求不満やストレスや周りへの敵意を表現できない人が多く、表面的には「いい人ポジション」を取り、心配するふりをして他人をおとしめる行為を行います。

隣にいる男性を横目で見ている女性
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

だから周りの人はまず気づかないことが多く、しかも本人はいい人ポジションで「被害者」であることをアピールしてくるので、ターゲットにされた人は知らないうちにフレネミーの引き起こすトラブルに巻き込まれてしまいます。

しかし、このような人物は、自分の積み重なってきた幼少期からの敵意や憎しみを隠して、幸せそうな人を邪魔したり、引き摺り下ろしたりして憂さ晴らしをするので、周りからは最終的に孤立してしまうことになります。

このような「他人の幸せが許せない人」のターゲットにならないためには、他人の悪口を手土産にして近づく人物には最初から警戒するということが大切です。

うっかりその悪口に賛同してしまうと、あとで「○○さんも同じようにあなたの悪口を言っていた」という言質を取られてしまう可能性があります。

そもそも人の悪口を手土産に近づく、ということにはなんらかの悪意が隠れています。そのような人物に対しては、警戒して秘密は明かさないよう心掛けることと、想像や他人の言葉ではなく、現実や事実を見て客観的に判断する意識を持つことが大事になります。

■「笑顔、穏やかに過ごす」対処法が、関係を悪化させる

怒りを直接表現しない嫌がらせや、巧妙な意地悪や受動的な攻撃などは、わかりにくくて目には見えません。そのため攻撃を受けた側が指摘したり、非難したりすることは難しいものです。

そのような攻撃を受けたときにどうしたらいいのでしょうか。

その対処法として多くの人は次のように考えます。

「笑顔でやり過ごす」
「波風を立てずに、穏便に、平穏を保つこと」

しかしどうでしょう。

現代はパワハラ、モラハラをはじめ、最近ではモンスタークレイマー、カスタマーハラスメント、モンスターペアレンツ、モンスターペイシェントなど、新しい言葉が次々と生み出されています。

それくらい現代人はストレスの処理ができずに、未解決の自分の葛藤や怒りの矛先を関係のない他人に向けて発散してしまうのです。

特に最近はこのようなハラスメントに対する対策や理解がなされているのに、一向になくなる気配はありません。

なぜなら、「やってはいけないことだ」と禁止されればされるほどにその怒りを抑圧してしまうから。つまり自分の中の怒りやストレスを抑圧して、自分の中にはそのような感情はないという善人でいなければならなくなるのです。

「自分は善人であり正しい」という前提で生きようとすればするほど、心の中で起きる葛藤が大きくなり、自分の中に湧き上がる怒りやストレスはかえって大きくなって処理不能になってしまいます。

■絶対に反撃してこない立場の弱い人を、無意識に選ぶ

なぜなら人は不満や本音を抑え込めば込むほど、その欲求不満やストレスは肥大化してしまうからです。そうやって自分を誤魔化して抑圧すればするほど、溜まったストレスはちょっとした刺激で暴発することになってしまいます。

そして、このようなハラスメントを行う人々というのは、誰にでも迷惑行為や嫌がらせをするわけではありません。

その「ずるい攻撃」の矛先は、必ず自分より弱いものに向かいます。

なぜなら、絶対に反撃してこない立場の弱い人を、無意識に選んでやっているからです。

自分の妻や夫、子ども、親、パートナー、親しい友人、同僚や部下、タクシーの運転手、コンビニの店員、スーパーのレジ係、電話オペレーターなど、立場上弱い人に吐き出す傾向にあります。

その被害を受けた人は、相手に逆らって反論したり、対立したり、諭したりすればするほど、相手は激昂し、よりひどい暴言や威嚇行為などになる場合もあります。

そして、被害にあった人が心を病んでしまうようになります。

部下のネクタイをつかみ、怒る上司
写真=iStock.com/amenic181
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/amenic181

■「心理的なゴミ箱役」を引き受けてはいけない

結局、海外などとは違い日本では「平和至上主義」であり、穏やかに笑顔で返すケースが多いです。

例えば、相手から皮肉やわかりにくい嫌味を言われているのに笑顔を作ったり、マウントを取られているのに何も対処しなかったりといった具合です。

ほかにも、毎日のように特定の店員がいるときだけコンビニにやってきて説教をする老人、企業の電話オペレータに言いがかりをつけて恫喝や脅迫を繰り返すカスタマーハラスメントなどに対しても、明確なノーが言えず、とにかく穏便に済ませようとします。

しかし、それがますます相手の加害行為を引き出す結果になってしまうケースも多いようです。

これらの人々は自分個人の抱えている問題やストレスの捌口(はけぐち)として、無抵抗な相手を選んで吐き出しているものですから、受け取る必要はありません。

相手の「心の問題」を受け入れたり、受け止める側になったりしてはいけないのです。

この他人の愚痴や悪口、相手のストレス解消の受け皿になってしまうことを「心理的なゴミ箱役」と私は名付けています。

言いたいことが言えない人や対人恐怖を抱えている人ほど、この「心理的なゴミ箱役」を引き受けがちです。

一度引き受けてしまうと、相手に対して「心理的なゴミ箱役」を受け入れたというメッセージになってしまい、その後も相手の愚痴の吐き捨て場として利用されてしまいます。

相手のストレスや怒りは相手のものですから、丁寧にお返しするのがベストですが、そのやり方としては、様々な方法があります。

■受動攻撃や意地悪をしてくる人への対処法

では、明確な意図を持った悪意のある攻撃的な言葉をぶつけられたり、嫌味や嫌がらせをされたりする場合、どのように対処したらいいのでしょうか。

私がいつもお伝えしているのは、

自分自身が「相手の下」に潜り込まないように注意する

ということです。

受動攻撃をする人、意地悪する人、悪意を明確な意図として持って攻撃してくる人は、無意識的にも意識的にもターゲットを選んでいます。

まずはそのターゲットに選ばれないように意識することが大事になります。

攻撃者がターゲットを選ぶということは、自分自身が相手からの反撃を何よりも恐れている証拠です。自分よりも意志が弱そう、反撃してこないと思われる、見下してバカにできるとみなした人間を無意識に狙ってきます。

大鶴和江『「ずるい攻撃」をする人たち』(青春出版社)
大鶴和江『「ずるい攻撃」をする人たち』(青春出版社)

そういう悪意を跳ね返す一番の特効薬は、相手に淡々と冷静に接するという態度を取ること。相手の悪意を受け取らないという姿勢を見せることなのです。

しかし、対人恐怖が強い「怯える人」はなかなかすぐにはその特効薬が使えません。

だからまずは自分自身がそのような悪意をなぜ受け取ってしまうのか、なぜ支配下に入ってしまうのか、そのような攻撃的な人物を何よりも恐れているのは、何かのトラウマや恐怖の経験や、支配的な親に育てられた経験から出てきたものか、を精査して掘り下げていくことが必要になります。

そうすると原因になるものが必ず見つかります。

■相手にいい顔をすることが、かえって相手の攻撃性を引き出す

私は幼少期にいじめを受けてきたのですが、その自分の経験から考えても、そうです。相手の攻撃をどこかで無意識に避けて、自分の意見や言葉を自分自身が表現せずに、相手にどこかで嫌われることを恐れて屈していたことを思い出します。

嫌われることを恐れて相手にいい顔をすることが、かえって相手の攻撃性を引き出してしまうことも学びました。

相手はあなたを使って自分の不満やストレスを解消しようとしているわけですから、あなたには関係のないものをぶつけられている、と解釈したらいいでしょう。

ですから、相手のいじめや意地悪を受け取らない、ノーと言って断る、自分の立場が弱い場合はより強い立場の人の力を借りる、公に訴える。つまり、いじめや悪意をそのままにしない、という態度が非常に大事なのです。

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大鶴 和江(おおつる・かずえ)
心理セラピスト
心理分析・心理セラピー講師。大分県生まれ。児童養護施設で8年間過ごした体験から、さまざまな心理学や心理療法を学び、2005年に独立。延べ1万人以上の心の悩みを解決し、現在も福岡と東京を拠点として活動している。独自の心理療法「リトリープサイコセラピー」を考案。問題の利得にフォーカスしたセッションは、「悩みがリバウンドしなくなる」と評判。著書に『自分を縛る“禁止令”を解く方法 見えない「利得」に気づくと、すべての問題は解決する』(大和出版)などがある。

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(心理セラピスト 大鶴 和江)

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